山本周五郎のレビュー一覧
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山本周五郎の中で、ちょっと異色の本。サスペンス好きの方に向いているかも。 初めて読んだのは20代のころで、この主人公が自分とそんなに年が離れていなかったせいか、おどろおどろしいものを感じたものの、どっぷりとその世界の中に浸り、忘れられない題名となった。 今読むと、う〜ん、18の娘がこんなにも妖艶で女らしくあり、しかも意思強く、手の込んだ策略をめぐらすことができるものか・・・と、思ってしまうが、そんな 夢のないことはいうまい・・・・。 五人の男に罪を償わせるため暗殺していく話を、簪(かんざし)と椿のはなびらという同じ設定でつむいでいくのは絵をみるようだ。 単純に、次々暗殺する、いうのではなく、自
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「つゆのひぬま」とは「露の干ぬ間」である。 深川の小さな娼家に働くおぶん不幸な過去を持つ良助を客にとる。 年かさの娼婦おひろは、労咳の浪人の夫と子供をかかえている、と自分の身の上話を作り上げ、金をためるのに励んでいる。 おひろは、客との間に真実の愛は育つはずがない、といい、またそうなってもならないと決めている。 おひろにいわせれば「どんなに真実想いあう仲でも、きれいで楽しいのはほんの僅かの間、露の干ぬまの朝顔、ほんのいっときのこと」なのだ。 おぶんにそう忠告するのだが、おぶんはそれでもだんだんと良助を待つようになる。 ラストシーン、大洪水で屋根の上にとり残されたおひろとおぶん。愛情に不信感をも
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山本周五郎の中で、ちょっと異色の本。
サスペンス好きの方に向いているかも。
初めて読んだのは20代のころで、
この主人公が自分とそんなに年が離れていなかったせいか、
おどろおどろしいものを感じたものの、
どっぷりとその世界の中に浸り、忘れられない題名となった。
今読むと、う〜ん、18の娘がこんなにも妖艶で女らしくあり、
しかも意思強く、手の込んだ策略をめぐらすことができるものか・・・
と、思ってしまうが、
そんな 夢のないことはいうまい・・・・。
五人の男に罪を償わせるため暗殺していく話を、
簪(かんざし)と椿のはなびらという同じ設定で
つむいでいくのは絵をみるようだ。
単純に、次々 -
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「つゆのひぬま」とは「露の干ぬ間」である。
深川の小さな娼家に働くおぶん
不幸な過去を持つ良助を客にとる。
年かさの娼婦おひろは、労咳の浪人の夫と子供をかかえている、と
自分の身の上話を作り上げ、金をためるのに励んでいる。
おひろは、客との間に真実の愛は育つはずがない、
といい、またそうなってもならないと決めている。
おひろにいわせれば
「どんなに真実想いあう仲でも、きれいで楽しいのはほんの僅かの間、
露の干ぬまの朝顔、ほんのいっときのこと」
なのだ。
おぶんにそう忠告するのだが、おぶんはそれでも
だんだんと良助を待つようになる。
ラストシーン、大洪水で屋根の上にとり残されたおひろ