山本周五郎のレビュー一覧

  • ならぬ堪忍

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    ネタバレ

    時代物を主とした短編集。必ずしも読後感がすっきりするものばかりではなく、その理不尽さに対して考えさせられるものもあった。

    表題作が比較的短い話の分、伝わってくるものが強い印象。戦時中に作られた話というのも納得できる一方で、現代にも通じる寓話にもなる。

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    2021年02月28日
  • ちいさこべ

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    皆、自分の生き方を貫くことは尊い
    ちいさこべはハッピーエンド
    山本周五郎の小説の終わり方はさっぱりで余韻を残す

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    2021年01月30日
  • 樅ノ木は残った(上)

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    ネタバレ

    面白かった。
    但し後味は限りなく悪い。藩の為、長年の艱難辛苦を耐え忍んだ主人公が最後は一族切腹、奉公人離散の目に合わねばならぬのか?
    武士道と言うかも知れない。改易された家名は名誉回復の希望もなく関係者を全て絶望の底に叩き込んだ。
    こんな世界をどう肯定せよと言うのか?

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    2021年01月24日
  • 人情裏長屋

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    ネタバレ

    NHKドラマ’’子連れ信兵衛’’の原案になった人情裏長屋のほかも収録されている短編集。コメディも含まれており出来の良いものから順にあげると’’泥棒と若殿’’、’’おもがけ抄’’、’’雪の上の霜’’、’’麦藁帽子’’、’’秋の駕籠’’。あとは同列で’’ゆうれい貸家’’、’’三年目’’、’’風流化物屋敷’’、’’長屋天一坊’’、’’豹’’。長編と違って短編はぐっと私の感覚にあう作家です。

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    2020年10月25日
  • 樅ノ木は残った(下)

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    やっと3冊読み終わった。
    たった3冊を読むのに、一ヶ月もかかってしまった。
    内容はかなり面白いのだが、私がとにかく時代小説が苦手ということで、
    言葉が頭の中に映像として入ってこない(-_-;)

    それなのにとても面白く、最後まで何とか諦めずに読むことができた。


    この本は、伊達騒動と呼ばれた、江戸時代前期の仙台伊達藩で起こった御家騒動の話。

    史実上では、原田甲斐宗輔は奸臣とされているようだが、
    この本ではその真逆の立場で描かれていた。

    この原田という人物の描写が非常に巧み。
    私の文章能力では、とても形容出来ない、非常に魅力的な人物に描かれている。

    主人公の原田だけでなく、伊達騒動の中に

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    2020年06月07日
  • ちいさこべえ 4

    ネタバレ 購入済み

    現代風にしたのは見事

    時代物を現代風な漫画に、
    しかも独特のテンポで間を読ませる技術は素晴らしいです

    いろんなことを考えている主人公ですが、そういう風にみえないのがなんともはや。

    しかし私の目から見るとやはり…
    やや女性に対する社会的認識の古さというか
    押しつけみたいなものは、
    少しあります。

    時代物だったから仕方ないかな、とも思いますが。

    女は女らしく
    男は男らしく

    そういうことに、まだわずかばかりの抵抗を、私は感じているのです。

    他の人がどう感じるかはわかりませんが
    どちらかといえば男性向けの漫画でしょう

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    2020年05月26日
  • 人情裏長屋

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    ネタバレ

    山本週五郎初読。江戸時代、長屋を舞台に描かれる軽妙な筆致の短編集。しみじみとした人情あり、くすっと笑える話あり。『泥棒と若殿』薦められて読んだのだが、けして交わらぬ立場の二人が共に暮らすうち、心を寄せ合う様が印象に残った。20200508

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    2020年05月08日
  • 楽天旅日記

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    大吉田藩七十万石の正嫡順二郎は、四歳の時、側室一派の陰謀によって廃嫡され、国許で幽閉同然の生活を送る。ところが、二十四歳になった時、世継ぎとされていた側室の子が突然死亡し、順二郎は隠密裡に江戸表へ迎えられる事になるが……。お家騒動の渦中に投げ込まれた世間知らずの若殿の眼を通して、現実政治に振り回される人間たちの愚かさとはかなさを諷刺した長編小説。

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    周五郎風の風刺を効かせた癖の強い話。周五郎の滑稽物は癖が強い。というか何かを風刺するときには滑稽さというか悪ふざけを大げさにすることでマイルドにしている感じなのかと。

    主人公が特に自覚も危機感もないまま騒動に巻き込まれつつも、主人公の素

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    2020年04月27日
  • 青べか物語

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    これはなかなか味わい深い物語である。
    しかし、著者の他の作品と同様な「小説」を期待すると肩すかしを食らうかもしれない。
    大正末期~昭和初期が時代背景と思われるが浦安近辺の漁師町に数年滞在した「私」の日記のような物語で、当初その「私」は当然、山本周五郎その人であろうと読み進めるのだが、そうではないらしい事が少しずつわかってくる。
    この変の微妙な読者の心理変化が独特な感覚を味あわせてくれる。
    昭和初期なんて、もちろん私自身は知らない。
    しかし、その頃の郷愁やノスタルジーはなんとなくわかる。
    今、三丁目のなんとかとか昭和三十年代がもてはやされているけど、いつの時代でも昔を懐かしむ事は繰り返されていた

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    2020年04月16日
  • 日日平安

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    ちょっと前に豊川悦司が主演する映画の原作本「犯人に告ぐ」と「サウスバウンド」を読んだおかげで、ちょいと調べていたら、またまた映画「椿三十郎」に出演するという。
    でこの映画、黒澤監督と三船の名コンビで作られた名作「椿三十郎」の焼き直しというではないか。
    ならば原作も読んでみたいという事で探したが、山本周五郎著に「椿三十郎」なんて本はありません。
    原作は、この「日日平安」(にちにちへいあんと読む)という事でした。
    また、原作に「椿三十郎」という侍も出てきません。(まあ、モデルになっている浪人は同じ人物ですが)

    さて、この本、短編集で11作品が含まれています。
    私は、上下に分かれるぐらいの長編が好

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    2020年04月16日
  • 戦国物語 信長と家康

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    山本周五郎作品は初めて読んだ。文章の持つ重圧感や戦場の細かく迫力のある描写のため、読みきるのにエネルギーを費やした。家康編より信長編のほうが好きである。

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    2020年03月22日
  • 寒橋(さむさばし) 山本周五郎名品館III

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    沢木耕太郎セレクション「山本周五郎名品館3」.

    人情裏長屋が傑作.映画化する場合の主人公を演じるのは,沢木耕太郎のお勧めは大友柳太朗だが,35歳ぐらいの仲代達矢がいいかなあ.

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    2020年03月01日
  • ちいさこべえ 4

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    ネタバレ

    泣いた。

    このもじゃもじゃ髭と髪、いつすっきりさせるんだよ、それはどんな展開だよと思ってたら表紙のこれ。

    墓前のセリフに泣きました。

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    2020年01月02日
  • 樅ノ木は残った(下)

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    伊達騒動を描いたもの。

    この小説の主人公原田甲斐が逆臣であったという通説とは異なり、伊達家を守るために真意を隠し、友や家臣、自身の命、そして家までも賭して伊達家を守ったというプロット。

    最後の200ページのクライマックスに向かう節は、息を飲む展開で一気に読んだが、結末は、現代的感性からすると「行き過ぎ」の感を持ったのが正直なところ。

    しかし、「史実」の裏側にこのような「真実」があったとすれば、タイトルともなった樅の木に重ね合わせられたロマンを十分に感じられる。

    武士社会の主役の男たちの周りに描かれる女たちが、その儚さに彩りを添えている。

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    2019年12月24日
  • おたふく 山本周五郎名品館I

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    沢木耕太郎セレクションの山本周五郎短編集.帯に「周五郎短編はこれを読め」とあるが,まさにその文句にふさわしい,女性に焦点をあてた9編が収めてある.半数近くは他の短編集(新潮文庫)で既に読んだことのある話だったが,この短編集は山本周五郎入門として最適だろう.

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    2019年12月22日
  • 赤ひげ診療譚

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    2018年の春くらいから、気分的には1年半くらい続いていた仕事上の繁忙期が終わりました。
    虚脱。そして、けっこう嬉しいです。
    読んだ本のメモも長らく途絶えていました。そもそも本を読むこともかなり減っていました。



    「赤ひげ診療譚」山本周五郎 1958年 新潮文庫。
    2018年の12月頃に仕事の都合で再読。
    大昔から思っていたのですが、山本周五郎というと人情べたべたな小説家だと思われているかもしれませんが、
    きちんと読んでみると時折実に胃液が逆流するほど残酷で素晴らしかったりします。
    でも、いまどきそもそも山本周五郎を知らない人も増えていることと思いますが。ちょっともったいない。
    ただ、好

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    2019年11月28日
  • 日本残酷物語 2

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    「忘れられた土地」という副題のとおり、離島、山間部、北海道開拓地の人々の明治から終戦直後の苦労を聞き取ってまとめた話。書かれたのは昭和35年。
    北海道のクマ、蚊、霜、冷害の話は壮絶。

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    2019年11月23日
  • さぶ

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    初周五郎。この著者の名を冠した作品はいくつか読んだけれど、本家は読んでないなということで前から気になっていて…漸くです。オススメいただきました(^^
    面白かったです!ここまで思い遣ってくれる友達がいるなんて、きっと素敵なことでしょうね…。最後、おすえに言った栄二の言葉は本心から出たものだと思います。紆余曲折あり、ヒトとして一回りも二回りも大きくなりましたな。>栄二は。さぶとの友情、そしと栄二の人間的成長を見た、大変良い作品でした。さすがに賞が創設されるだけのことはある作家でした!星四つ。

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    2019年11月04日
  • 寝ぼけ署長

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    初・山本周五郎本でした。短編だからか、無駄な形容なくすっきりした文章で、でも味わい深く、そんな文章がこの署長の人物像とぴったり合った。
    こんな人いい、こんな風に生きられたらよかったな。本の中だけでもこんな人と会える、これが本の醍醐味。面白かった。

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    2019年10月08日
  • 赤ひげ診療譚

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    長崎での遊学を終えて江戸に戻った主人公の保本登は、小石川養生所で医員として勤務させられる。「赤ひげ」と呼ばれる新出去定のもとで、貧しい人たちへの医療活動を通じて人間として成長していく。

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    2019年06月28日