山本周五郎のレビュー一覧
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ネタバレ
道ばたに倒れ伏すものは数かぎりなく、はじめのうちこそ死体を埋めていたが、まもなくだれ一人としてかえりみるものはなくなった。いたるところに犬やカラスがむらがって、死体を食いちらす光景がながめられた。
この飢饉のときといえども人間が家畜に近かったのではなく、家畜が人間に近かったのである。
飢えの記録 より
明治十二年九月十三日埼玉県北足立郡中尾村の農民はコレラ流行防衛のために、県が避病院に患者を隔離しようとしたのに対し、村民は患者の生肝をとるのだと誤解しこれを妨害した。
新潟県西蒲原郡では消毒薬をまくのを毒薬を撒布すると誤解して暴動を起こしている。
そこには、無知の暗黒と、じぶんた -
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(上中下巻あわせての感想です)
山本周五郎作品は何といっても庶民や名もなき流れ者に対する温かい視点が魅力(上から目線の司馬遼太郎作品とは対照的)なのですが、本作では伊達藩の家臣というそれなりの立ち位置の人物を主人公に据えているのと、大きな陰謀に対峙するという物語のスケールの大きさに引きずられているせいか、主人公の原田甲斐以外の人物の掘り下げ方が他の作品と比べて弱いような気がしました。なので本作が著者のベストかというとそうでもないかなというのが個人的な見方なのですが、それでも伊達騒動(寛文事件)について、これだけの枚数をかけて斬新な解釈を提示したことは十分評価に値すると思いました。 -
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やっと3冊読み終わった。
たった3冊を読むのに、一ヶ月もかかってしまった。
内容はかなり面白いのだが、私がとにかく時代小説が苦手ということで、
言葉が頭の中に映像として入ってこない(-_-;)
それなのにとても面白く、最後まで何とか諦めずに読むことができた。
この本は、伊達騒動と呼ばれた、江戸時代前期の仙台伊達藩で起こった御家騒動の話。
史実上では、原田甲斐宗輔は奸臣とされているようだが、
この本ではその真逆の立場で描かれていた。
この原田という人物の描写が非常に巧み。
私の文章能力では、とても形容出来ない、非常に魅力的な人物に描かれている。
主人公の原田だけでなく、伊達騒動の中に -
ネタバレ 購入済み
現代風にしたのは見事
時代物を現代風な漫画に、
しかも独特のテンポで間を読ませる技術は素晴らしいです
いろんなことを考えている主人公ですが、そういう風にみえないのがなんともはや。
しかし私の目から見るとやはり…
やや女性に対する社会的認識の古さというか
押しつけみたいなものは、
少しあります。
時代物だったから仕方ないかな、とも思いますが。
女は女らしく
男は男らしく
そういうことに、まだわずかばかりの抵抗を、私は感じているのです。
他の人がどう感じるかはわかりませんが
どちらかといえば男性向けの漫画でしょう -
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大吉田藩七十万石の正嫡順二郎は、四歳の時、側室一派の陰謀によって廃嫡され、国許で幽閉同然の生活を送る。ところが、二十四歳になった時、世継ぎとされていた側室の子が突然死亡し、順二郎は隠密裡に江戸表へ迎えられる事になるが……。お家騒動の渦中に投げ込まれた世間知らずの若殿の眼を通して、現実政治に振り回される人間たちの愚かさとはかなさを諷刺した長編小説。
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周五郎風の風刺を効かせた癖の強い話。周五郎の滑稽物は癖が強い。というか何かを風刺するときには滑稽さというか悪ふざけを大げさにすることでマイルドにしている感じなのかと。
主人公が特に自覚も危機感もないまま騒動に巻き込まれつつも、主人公の素 -
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これはなかなか味わい深い物語である。
しかし、著者の他の作品と同様な「小説」を期待すると肩すかしを食らうかもしれない。
大正末期~昭和初期が時代背景と思われるが浦安近辺の漁師町に数年滞在した「私」の日記のような物語で、当初その「私」は当然、山本周五郎その人であろうと読み進めるのだが、そうではないらしい事が少しずつわかってくる。
この変の微妙な読者の心理変化が独特な感覚を味あわせてくれる。
昭和初期なんて、もちろん私自身は知らない。
しかし、その頃の郷愁やノスタルジーはなんとなくわかる。
今、三丁目のなんとかとか昭和三十年代がもてはやされているけど、いつの時代でも昔を懐かしむ事は繰り返されていた -
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ちょっと前に豊川悦司が主演する映画の原作本「犯人に告ぐ」と「サウスバウンド」を読んだおかげで、ちょいと調べていたら、またまた映画「椿三十郎」に出演するという。
でこの映画、黒澤監督と三船の名コンビで作られた名作「椿三十郎」の焼き直しというではないか。
ならば原作も読んでみたいという事で探したが、山本周五郎著に「椿三十郎」なんて本はありません。
原作は、この「日日平安」(にちにちへいあんと読む)という事でした。
また、原作に「椿三十郎」という侍も出てきません。(まあ、モデルになっている浪人は同じ人物ですが)
さて、この本、短編集で11作品が含まれています。
私は、上下に分かれるぐらいの長編が好