山本周五郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
やっと3冊読み終わった。
たった3冊を読むのに、一ヶ月もかかってしまった。
内容はかなり面白いのだが、私がとにかく時代小説が苦手ということで、
言葉が頭の中に映像として入ってこない(-_-;)
それなのにとても面白く、最後まで何とか諦めずに読むことができた。
この本は、伊達騒動と呼ばれた、江戸時代前期の仙台伊達藩で起こった御家騒動の話。
史実上では、原田甲斐宗輔は奸臣とされているようだが、
この本ではその真逆の立場で描かれていた。
この原田という人物の描写が非常に巧み。
私の文章能力では、とても形容出来ない、非常に魅力的な人物に描かれている。
主人公の原田だけでなく、伊達騒動の中に -
ネタバレ 購入済み
現代風にしたのは見事
時代物を現代風な漫画に、
しかも独特のテンポで間を読ませる技術は素晴らしいです
いろんなことを考えている主人公ですが、そういう風にみえないのがなんともはや。
しかし私の目から見るとやはり…
やや女性に対する社会的認識の古さというか
押しつけみたいなものは、
少しあります。
時代物だったから仕方ないかな、とも思いますが。
女は女らしく
男は男らしく
そういうことに、まだわずかばかりの抵抗を、私は感じているのです。
他の人がどう感じるかはわかりませんが
どちらかといえば男性向けの漫画でしょう -
Posted by ブクログ
大吉田藩七十万石の正嫡順二郎は、四歳の時、側室一派の陰謀によって廃嫡され、国許で幽閉同然の生活を送る。ところが、二十四歳になった時、世継ぎとされていた側室の子が突然死亡し、順二郎は隠密裡に江戸表へ迎えられる事になるが……。お家騒動の渦中に投げ込まれた世間知らずの若殿の眼を通して、現実政治に振り回される人間たちの愚かさとはかなさを諷刺した長編小説。
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周五郎風の風刺を効かせた癖の強い話。周五郎の滑稽物は癖が強い。というか何かを風刺するときには滑稽さというか悪ふざけを大げさにすることでマイルドにしている感じなのかと。
主人公が特に自覚も危機感もないまま騒動に巻き込まれつつも、主人公の素 -
Posted by ブクログ
これはなかなか味わい深い物語である。
しかし、著者の他の作品と同様な「小説」を期待すると肩すかしを食らうかもしれない。
大正末期~昭和初期が時代背景と思われるが浦安近辺の漁師町に数年滞在した「私」の日記のような物語で、当初その「私」は当然、山本周五郎その人であろうと読み進めるのだが、そうではないらしい事が少しずつわかってくる。
この変の微妙な読者の心理変化が独特な感覚を味あわせてくれる。
昭和初期なんて、もちろん私自身は知らない。
しかし、その頃の郷愁やノスタルジーはなんとなくわかる。
今、三丁目のなんとかとか昭和三十年代がもてはやされているけど、いつの時代でも昔を懐かしむ事は繰り返されていた -
Posted by ブクログ
ちょっと前に豊川悦司が主演する映画の原作本「犯人に告ぐ」と「サウスバウンド」を読んだおかげで、ちょいと調べていたら、またまた映画「椿三十郎」に出演するという。
でこの映画、黒澤監督と三船の名コンビで作られた名作「椿三十郎」の焼き直しというではないか。
ならば原作も読んでみたいという事で探したが、山本周五郎著に「椿三十郎」なんて本はありません。
原作は、この「日日平安」(にちにちへいあんと読む)という事でした。
また、原作に「椿三十郎」という侍も出てきません。(まあ、モデルになっている浪人は同じ人物ですが)
さて、この本、短編集で11作品が含まれています。
私は、上下に分かれるぐらいの長編が好 -
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伊達騒動を描いたもの。
この小説の主人公原田甲斐が逆臣であったという通説とは異なり、伊達家を守るために真意を隠し、友や家臣、自身の命、そして家までも賭して伊達家を守ったというプロット。
最後の200ページのクライマックスに向かう節は、息を飲む展開で一気に読んだが、結末は、現代的感性からすると「行き過ぎ」の感を持ったのが正直なところ。
しかし、「史実」の裏側にこのような「真実」があったとすれば、タイトルともなった樅の木に重ね合わせられたロマンを十分に感じられる。
武士社会の主役の男たちの周りに描かれる女たちが、その儚さに彩りを添えている。
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Posted by ブクログ
2018年の春くらいから、気分的には1年半くらい続いていた仕事上の繁忙期が終わりました。
虚脱。そして、けっこう嬉しいです。
読んだ本のメモも長らく途絶えていました。そもそも本を読むこともかなり減っていました。
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「赤ひげ診療譚」山本周五郎 1958年 新潮文庫。
2018年の12月頃に仕事の都合で再読。
大昔から思っていたのですが、山本周五郎というと人情べたべたな小説家だと思われているかもしれませんが、
きちんと読んでみると時折実に胃液が逆流するほど残酷で素晴らしかったりします。
でも、いまどきそもそも山本周五郎を知らない人も増えていることと思いますが。ちょっともったいない。
ただ、好