山本周五郎のレビュー一覧

  • さぶ

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    1963年に書かれた本とは思えないぐらい現代につながるとこがあり、人の営みは変わらないとはいえ驚く。
    身に覚えのない盗みから、人足寄場におくられた英二。この盗みの事件を誰が何のためにやったのかというミステリー要素としても続きが気になるし、"さぶ"や"のぶ"達の登場人物が魅力的。
    不公平や理不尽なことがある世の中でも周囲の支えてくれてる人を大切にしたいと思う本

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    2022年01月02日
  • 季節のない街

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    山本周五郎先生の短編集。

    昭和30~40年位でしょうか、その頃の貧民街で起こるあれこれ。

    好みとしては、江戸時代ものがよい。

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    2021年12月14日
  • 裏の木戸はあいている 山本周五郎名品館II

    購入済み

    武士と職人の江戸情歌

    沢木耕太郎の選んだ周五郎作品集(I)「おたふく」が良かったのでこの(II)を購入しました。直木賞を辞退した周五郎のような、意地っ張りの武士、職人の男伊達が巧みに描かれております。「情」たっぷりで、演歌のような情感を感じました。でてくる男性よりも女性の方が魅力的だとの見方もあるようですが、読み方次第ですね。「おたふく」も是非お読みください。(完)

    #胸キュン #ほのぼの #切ない

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    2021年12月04日
  • 日本残酷物語 1

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    ネタバレ


    道ばたに倒れ伏すものは数かぎりなく、はじめのうちこそ死体を埋めていたが、まもなくだれ一人としてかえりみるものはなくなった。いたるところに犬やカラスがむらがって、死体を食いちらす光景がながめられた。

    この飢饉のときといえども人間が家畜に近かったのではなく、家畜が人間に近かったのである。

    飢えの記録 より


     明治十二年九月十三日埼玉県北足立郡中尾村の農民はコレラ流行防衛のために、県が避病院に患者を隔離しようとしたのに対し、村民は患者の生肝をとるのだと誤解しこれを妨害した。

    新潟県西蒲原郡では消毒薬をまくのを毒薬を撒布すると誤解して暴動を起こしている。

    そこには、無知の暗黒と、じぶんたちの仲間以外の者に対して冷酷なまでの非情が見られるのである。

    自然の悪霊 より


     堕胎のことを当時の隠語で「水にする」といい、水にされた子どもの死体を水子といった。水子は藁や菰につつんでひそかに川へ流したり、社寺の境内にうめられた。

    間引きと堕胎 より


    いわゆる「歴史」というスポットに当たることのない市井の人々の暮らし、またはその人間そのものに焦点をあてた編集書籍。まとまりがないと言えばないし、それこそ膨大なのですが、監修者、執筆の協力者(主に民俗学者や)は20人以上。
    口承をまとめたもの、語りをほとんどまま(ばりばりの方言)収録したものなど様々です。語り部が暗い部屋でぽつりぽつりと話し始めているような生っぽさ。足を使って集めてきたその「話」の数々は、ときとして悲惨でどうしようもなく、情感溢れる形で、けれども淡々と語られています。
    暗記を主にした学校の授業にはない、確かに人が生きていた、という距離感があったように感じました。そもそもそれが民俗学なのかもしれませんが、土地や地域にフューチャーしたというよりかは、暮らし、人、差別的な観点から見られていて、それは現代にも通ずることだと思います。

    自然の悪霊の章などを読んで、今も昔も、という感想を抱くのは自分だけではないのかもしれません。コロナの風邪扱い、反ワクチン派、陰謀論。つい最近炎上した某メンタリストも似たような視点のようにも思える。
    書籍や歴史をただの知の塊として見るのではなく、過去の悲惨な出来事、暮らしの積み重ねがこの国の一部としてあるということ。
    面白かった、ではすまないほど、自覚と自問と気付きのある読者時間でした。

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    2021年08月28日
  • 樅ノ木は残った(中)

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    仙台藩の分割を目論む一ノ関側と、それを阻止しようという原田甲斐側との息詰まる頭脳戦が続く。
    原田甲斐は一ノ関の懐に入り、内側からその計画を破却しようというのが当初の計画だったはずが、盟友と袂を分かち、妻とも離縁し、たとえ結果がうまく行くにしても、失うものが大き過ぎるような気もして来た。
    陰気な描写が続く中、伊達家の家臣でもなく、でも彼らの間を飄々と行き来する伊東七十郎の一本気で明るい性格が、物語に涼やかな風を入れている。彼が主人公でも良かったような。
    原田甲斐が何を考えているのか、全容が明らかになることを期待して、最終巻へ。

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    2021年07月06日
  • 赤ひげ診療譚

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    「話を聞いてこい」という去定。身体ばかりではなく心の病もある。
    「いま富栄えている者よりも、貧困と無知のために苦しんでいる者たちのほうにこそ、おれは却って人間のもっともらしさを感じ、本来の希望が持てるように思えるのだ」@去定。「もしあたしたちが助かったとして、そのあとはどうなるんでしょうか、これまでのような苦労が、いくらかでも軽くなるんでしょうか」@おふみ。
    江戸時代の設定ですが、程度は違えど今の時代でも変わらないような気がします。

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    2021年07月04日
  • 柳橋物語

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    柳橋物語としじみ河岸
    柳橋物語はもう、悲惨。泣きっ面に蜂という感じ
    火事で祖父を失い、ショックで記憶喪失、洪水でお世話になったひとを失い、
    結婚を約束した庄吉に勘違いされ、裏切られる。
    しかし、最後には避けていた幸太の愛に気づく。
    強い女性

    しじみ河岸はもっと悲惨。救いがない。
    家族を養うのに疲れて、犯してない人殺しの罪を被る。
    律之助の操作により、罪を犯していないことがわかり、また元の生活に戻っていくり
    救いがない。。

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    2021年06月07日
  • 楽天旅日記

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    軽快な文章で物語に入りやすく、間抜けな馬鹿殿様の珍道中で、大御所の作品にしてはこんな「アホ」な作品で良いのかと思ったら、最後の対面シーンで一気に胸が熱くなった。

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    2021年05月22日
  • 町奉行日記

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    表題作はいかにも映像化されそうな感じ。
    人物・背景設定の面白さ・痛快さもそうだけれども、この作家が持つ読み手に対するイメージ喚起力は相当なもの。
    実際にクロサワという映画史に残る巨匠への影響力を考えれば分かるというもの。

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    2021年05月03日
  • 樅ノ木は残った(上)

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    (上中下巻あわせての感想です)

    山本周五郎作品は何といっても庶民や名もなき流れ者に対する温かい視点が魅力(上から目線の司馬遼太郎作品とは対照的)なのですが、本作では伊達藩の家臣というそれなりの立ち位置の人物を主人公に据えているのと、大きな陰謀に対峙するという物語のスケールの大きさに引きずられているせいか、主人公の原田甲斐以外の人物の掘り下げ方が他の作品と比べて弱いような気がしました。なので本作が著者のベストかというとそうでもないかなというのが個人的な見方なのですが、それでも伊達騒動(寛文事件)について、これだけの枚数をかけて斬新な解釈を提示したことは十分評価に値すると思いました。

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    2021年04月18日
  • 樅ノ木は残った(下)

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    藩を守ります。
    歴史物は得意では無いのだけれど、これは面白かった。序盤はあまり入り込めなかったけれど登場人物像それぞれが生き生きとしてきて、(長いのもあったと思うけど)入り込むことができました。
    昔だけど大河にもなってる作品で、歴史上悪人とされる主人公に、異なる解釈からスポットを当てて、実は忠臣だったんだよ、という作品ですが、実のところはどうだったんでしょうね…藩第一という江戸の、高潔な、そして異常な人達・社会を楽しむことができました

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    2025年12月28日
  • 風流太平記

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    しっかり者の長兄、口うるさい次兄、そして剣術は強いのに戦いは好まない末っ子の主人公、みんな魅力的だ。

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    2021年04月09日
  • ならぬ堪忍

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    ネタバレ

    時代物を主とした短編集。必ずしも読後感がすっきりするものばかりではなく、その理不尽さに対して考えさせられるものもあった。

    表題作が比較的短い話の分、伝わってくるものが強い印象。戦時中に作られた話というのも納得できる一方で、現代にも通じる寓話にもなる。

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    2021年02月28日
  • ちいさこべ

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    皆、自分の生き方を貫くことは尊い
    ちいさこべはハッピーエンド
    山本周五郎の小説の終わり方はさっぱりで余韻を残す

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    2021年01月30日
  • 樅ノ木は残った(上)

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    ネタバレ

    面白かった。
    但し後味は限りなく悪い。藩の為、長年の艱難辛苦を耐え忍んだ主人公が最後は一族切腹、奉公人離散の目に合わねばならぬのか?
    武士道と言うかも知れない。改易された家名は名誉回復の希望もなく関係者を全て絶望の底に叩き込んだ。
    こんな世界をどう肯定せよと言うのか?

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    2022年03月22日
  • 人情裏長屋

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    ネタバレ

    NHKドラマ’’子連れ信兵衛’’の原案になった人情裏長屋のほかも収録されている短編集。コメディも含まれており出来の良いものから順にあげると’’泥棒と若殿’’、’’おもがけ抄’’、’’雪の上の霜’’、’’麦藁帽子’’、’’秋の駕籠’’。あとは同列で’’ゆうれい貸家’’、’’三年目’’、’’風流化物屋敷’’、’’長屋天一坊’’、’’豹’’。長編と違って短編はぐっと私の感覚にあう作家です。

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    2020年10月25日
  • 樅ノ木は残った(下)

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    やっと3冊読み終わった。
    たった3冊を読むのに、一ヶ月もかかってしまった。
    内容はかなり面白いのだが、私がとにかく時代小説が苦手ということで、
    言葉が頭の中に映像として入ってこない(-_-;)

    それなのにとても面白く、最後まで何とか諦めずに読むことができた。


    この本は、伊達騒動と呼ばれた、江戸時代前期の仙台伊達藩で起こった御家騒動の話。

    史実上では、原田甲斐宗輔は奸臣とされているようだが、
    この本ではその真逆の立場で描かれていた。

    この原田という人物の描写が非常に巧み。
    私の文章能力では、とても形容出来ない、非常に魅力的な人物に描かれている。

    主人公の原田だけでなく、伊達騒動の中に生きる多くの登場人物の個性が
    非常に緻密に描かれており、時代小説嫌いの私でも、楽しく読ませていただいた。


    超大作!読んでみて絶対損は無い!

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    2020年06月07日
  • ちいさこべえ 4

    ネタバレ 購入済み

    現代風にしたのは見事

    時代物を現代風な漫画に、
    しかも独特のテンポで間を読ませる技術は素晴らしいです

    いろんなことを考えている主人公ですが、そういう風にみえないのがなんともはや。

    しかし私の目から見るとやはり…
    やや女性に対する社会的認識の古さというか
    押しつけみたいなものは、
    少しあります。

    時代物だったから仕方ないかな、とも思いますが。

    女は女らしく
    男は男らしく

    そういうことに、まだわずかばかりの抵抗を、私は感じているのです。

    他の人がどう感じるかはわかりませんが
    どちらかといえば男性向けの漫画でしょう

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    2020年05月26日
  • 人情裏長屋

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    ネタバレ

    山本週五郎初読。江戸時代、長屋を舞台に描かれる軽妙な筆致の短編集。しみじみとした人情あり、くすっと笑える話あり。『泥棒と若殿』薦められて読んだのだが、けして交わらぬ立場の二人が共に暮らすうち、心を寄せ合う様が印象に残った。20200508

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    2020年05月08日
  • 楽天旅日記

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    大吉田藩七十万石の正嫡順二郎は、四歳の時、側室一派の陰謀によって廃嫡され、国許で幽閉同然の生活を送る。ところが、二十四歳になった時、世継ぎとされていた側室の子が突然死亡し、順二郎は隠密裡に江戸表へ迎えられる事になるが……。お家騒動の渦中に投げ込まれた世間知らずの若殿の眼を通して、現実政治に振り回される人間たちの愚かさとはかなさを諷刺した長編小説。

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    周五郎風の風刺を効かせた癖の強い話。周五郎の滑稽物は癖が強い。というか何かを風刺するときには滑稽さというか悪ふざけを大げさにすることでマイルドにしている感じなのかと。

    主人公が特に自覚も危機感もないまま騒動に巻き込まれつつも、主人公の素質や自力でもって自体が進んでいくという様は最近の”なろう小説”のようですらあるけど、物語の向かうところは違っていて、締めの持っていき方はなるほどというところでしたし、そこら辺に風刺の効いているところなのかとも思う。キャラの立ち方も良い。「超高速!参勤交代」みたいなノリの映画にしたらいまでも面白いのではないかと思う。

    風刺のきき場所について。周五郎は政治をきれいなものとしては描かない。周五郎の描く政治を引き受ける人間は業を背負っていることが多くて、そして街の人間たちにしてみれば関わりの濃いものとしては描かれていない。これは江戸時代の話であって、明治の話なのかもしれなくて、現在の日本政治や社会の姿なのかもしれなくて。

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    2020年04月27日