山本周五郎のレビュー一覧

  • あとのない仮名

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    泣きながら読んだ作品、思わず笑った作品、後味が悪く感じた作品。
    どれをとっても人間味の溢れた作品でした。
    現代の人が読んでも充分に共感でき、時代は違えど、人の営みや社会性はあまり変わりがないのかもしれないと、身近に感じられる。

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    2023年03月26日
  • 正雪記(下)

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    由井正雪を主人公とした長編。周五郎にしては珍しく実在の人物を描いた作品。徳川政権が磐石のものとなっていく中でその陰の部分を見つめて模索した正雪と、幕藩体制の中で藩としての生き残りを模索する原田甲斐(『樅ノ木は残った』)。この二作は時代も近しくて対になるような作品ですね。

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    2022年12月04日
  • 雨あがる

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    読み終わった時のお腹にずっしりとくる、揺るぎない満足感。コレだ!と思わせられる人物像。
    人間味あふれる人柄。主人公は例えばクラスに居たら全く主役では無いタイプではないか?
    誰の上にも立たず、自分を過剰評価せず、人を喜ばせ、人に譲る。
    そんなタイプがいたとしてそれに気づくのは難しいのではないか?
    そんな人間になりたいと思うけれど、なりたいと思ってなれるものでは無い。コレはもう生まれつきの性分なのでは無いだろうか?
    実直、直向きさ、辛抱強さ、潔さ。
    なりたいと思ってなれるものではない。そういう人物を描くから山本周五郎は魅力なのかもしれないなぁとぼんやり思ってしまった。
    「雨あがる」とても良かった。

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    2022年11月29日
  • 町奉行日記

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    山本周五郎の短篇小説集『町奉行日記名』を読みました。
    ここのところ、山本周五郎の作品が続いています。

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    着任から解任まで一度も奉行所に出仕せずに、奇抜な方法で藩の汚職政治を摘発してゆく町奉行の活躍ぶりを描いた痛快作『町奉行日記』。
    藩中での失敗事をなんでも〈わたくし〉のせいにして、自己の人間的成長をはかる『わたくしです物語』。
    娘婿の過誤をわが身に負ってあの世に逝く父親の愛情を捉えた短篇小説の絶品『寒橋』。
    ほかに『金五十両』『落ち梅記』『法師川八景』など全10篇を収録。
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    1940年(昭和15年)

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    2022年11月08日
  • 日日平安 青春時代小説

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    山本周五郎の短篇小説集『日日平安―青春時代小説』を読みました。
    山本周五郎の作品は、8月に読んだ『つゆのひぬま』以来ですね。

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    お家騒動に遭遇したのを幸いに、知恵を絞り尽くして食と職にありつこうとする主人公の悲哀を軽妙に描き、映画「椿三十郎」の原作にもなった「日日平安」をはじめ、男勝りの江戸のキャリアウーマンが登場する「しゅるしゅる」、若いふたりの不器用な恋が美しい「鶴は帰りぬ」など、若者たちを主人公に据えた時代小説全六篇を収録。
    山本周五郎ならではの品のいいユーモアに溢れ、誇り高い日本人の姿が浮かびあがるオリジナル名作短篇集。
    (編/解説・竹添

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    2022年11月01日
  • 寒橋(さむさばし) 山本周五郎名品館III

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    巻末で語る沢木氏の世界も一片の作品の様で「情」の世界が持つ彼なりの想いを自分の父の話を軸に切々と語っているのが哀切を伝える。

    とは言え、山本氏の作品に「情」が流れていないものが有るかな・・ユーモア小説の類でも情が有る。
    でも沢木氏が語るように、膨大な作品群の中でも秀逸揃いを納めてある~「人情裏長屋」「なんの花か香る」「かあちゃん」「あすなろう」「釣忍」は題名だけで内容が湧き上がってくる。今回、しっかり刻み込んだ「寒橋」の情感・・切なさと底冷えのするような空気感がもたらす夜の河岸の情景が心を震わせる。
    おたみの産む子の父はひょっとして・・と邪念も働くけど。

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    2022年10月31日
  • 日日平安

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    日日平安を読んでいて、この短編が、世界の三船が躍動した映画 ‘椿三十郎‘ の原作という事に気づく。山本周五郎は、滑稽話として描いた武士の世界が、黒澤明の手にかかると、スピード感のある見ごたえのあるあの映画に変わる、のですね。久しぶりに手に取った山本周五郎、どの短編も良いですね、★四つです。

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    2022年10月24日
  • ながい坂(下)

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    山本周五郎の長篇時代小説『ながい坂〈上〉〈下〉』を読みました。
    『寝ぼけ署長』、『五瓣の椿』、『赤ひげ診療譚』、『おさん』に続き、山本周五郎の作品です。

    -----story-------------
    〈上〉
    人生は、長い坂。
    重い荷を背負って、一歩一歩、しっかりと確かめながら上るのだ。

    徒士組の子に生まれた阿部小三郎は、幼少期に身分の差ゆえに受けた屈辱に深い憤りを覚え、人間として目覚める。その口惜しさをバネに文武に励み成長した小三郎は、名を三浦主水正と改め、藩中でも異例の抜擢を受ける。
    藩主・飛騨守昌治が計画した大堰堤工事の責任者として、主水正は様々な妨害にも屈せず完成を目指し邁進する。

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    2022年08月14日
  • ながい坂(上)

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    山本周五郎の長篇時代小説『ながい坂〈上〉〈下〉』を読みました。
    『寝ぼけ署長』、『五瓣の椿』、『赤ひげ診療譚』、『おさん』に続き、山本周五郎の作品です。

    -----story-------------
    〈上〉
    人生は、長い坂。
    重い荷を背負って、一歩一歩、しっかりと確かめながら上るのだ。

    徒士組の子に生まれた阿部小三郎は、幼少期に身分の差ゆえに受けた屈辱に深い憤りを覚え、人間として目覚める。その口惜しさをバネに文武に励み成長した小三郎は、名を三浦主水正と改め、藩中でも異例の抜擢を受ける。
    藩主・飛騨守昌治が計画した大堰堤工事の責任者として、主水正は様々な妨害にも屈せず完成を目指し邁進する。

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    2022年08月14日
  • 赤ひげ診療譚

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    山本周五郎の連作時代小説『赤ひげ診療譚』を読みました。
    『寝ぼけ署長』、『五瓣の椿』に続き、山本周五郎の作品です。

    -----story-------------
    給与は最低。
    昼夜のべつなくこき使われる。
    けれど“赤ひげ”先生こそ本物の医者だ!

    幕府の御番医という栄達の道を歩むべく長崎遊学から戻った保本登は、小石川養生所の“赤ひげ”とよばれる医長・新出去定の元、医員の見習勤務を命ぜられる。
    不本意な登は赤ひげに反抗するが、その一見乱暴な言動の底に脈打つ強靱な精神に次第に惹かれてゆく。
    傷ついた若き医生と師との魂のふれあいを描く医療小説の最高傑作。
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    2022年08月06日
  • 五瓣の椿

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    山本周五郎の長篇時代小説『五瓣の椿』を読みました。
    『寝ぼけ署長』に続き、山本周五郎の作品です。

    -----story-------------
    父思いの娘が復讐の殺人鬼と化す異色の周五郎時代長編。
    倒叙ミステリーとしても傑作。

    婿養子の父親は懸命に働き、店の身代を大きくした。
    淫蕩な母親は陰で不貞を繰り返した。
    労咳に侵された父親の最期の日々、娘の懸命の願いも聞かず母親は若い役者と遊び惚けた。
    父親が死んだ夜、母親は娘に出生の秘密を明かす。
    そして、娘は羅刹と化した……。
    倒叙型のミステリー仕立てで描く法と人倫の境界をとらえた傑作。
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    講談

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    2022年08月04日
  • 白石城死守

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    人がまだ義理とか人情とか武士道とか、言っていた時代の話。泣ける。我慢して、自我を通すことなく、貫いて生きる。やろうと思っても、できないから余計すごさがわかる。

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    2022年07月03日
  • 日本残酷物語 2

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    島に生きる人々、というのが一番印象深い。壱岐対馬の部分だけでも読む価値がある。山の騒動では、一揆が資料をもとにして説明している。50ページもあるが、本書の趣旨からは外れているような感じがした。
     文字は大きいのだが、活字が古く、紙が黄色いので、読むのに意外と時間がかかる。

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    2022年06月30日
  • 戦国武士道物語 死處

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    古い話だけど、泣ける。大将ではなく、名も知らない部下たちの忠義、武士としての生き様、心にじんわりくる。

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    2022年05月25日
  • 時代ミステリ傑作選 逃亡記

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    今、流行の時代小説の人情物の原典がここにある。古さを感じさせない。人間は、そうはかんたんには変わらない。いいです。

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    2022年05月07日
  • さぶ

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    ネタバレ

    時代小説に苦手意識持ってたけど、読んでよかった。
    栄ニタイプもさぶタイプも現代でも、生きてると損するのは、変わらずだな。
    そしておすえタイプの女、昔からいたんだな。
    栄ニとさぶの男の友情物語としては美しいけれども、そこに厄介な女が絡んでたんですね、という、そんな私の大敵みたいな女が絡んでて、おもしろかった。

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    2022年04月16日
  • さぶ

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    読み終えて一言。
    『えええええぇぇぇーーーーー‼︎』
    しばらく驚いた後、
    驚きを通り越して、思わず笑ってしまった。
    これだから小説は面白い‼︎

    そしてこの最後の場面はどうして、こんな風に終わるんだろうと考えると…
    やっぱり最後の場面があるからこそ、主人公が過去の出来事を本当に乗り越え、怒り怨み復讐の気持ちを昇華できた事が、より伝わってくる気がする。

    ブク友さんの感想を読むのがとっても好きだ♪
    読んでいると"いいね"を5個ぐらいつけたくなる感想に出会う事がある。
    『さぶ』はそんな素敵な感想がきっかけで手に取った作品。

    その感想を書いたのはブク友の"おびのり&q

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    2022年03月18日
  • さぶ

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    山本周五郎の胸つまる時代小説。
    女子高生時代からの久々の再読。(いつの話よ)

    江戸下町の表具屋で、少年時代からの職人仲間の、栄ニとさぶ。栄ニは、利口で器用、さぶは、愚鈍だが誠実。お互いを支え合い生きていた。

    栄二は盗みの濡れ衣をかけられて、仕事を失い自暴自棄となり、人足寄場での生活となってしまう。

    栄二の頑なな態度と心を、取り巻く人々の人情が和らげていく。

    「一人では生きていけない」悟った彼は、過去の遺恨をたち、さぶと新妻との生活を始めるー
    で、本当のラストは、読んで泣いてほしい。

    ストーリーの主人公は「さぶ」ではない。だが、自身の能力・生い立ち全てを受け入れて誠実に愚直に生きるさぶ

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    2022年03月07日
  • 山本周五郎 作品集 二

    匿名

    ネタバレ 購入済み

    今回は1作目より哀愁漂う感じの3作品でした。
    菊千代抄 昔のしきたりに翻弄された女性の話

    その木戸を通って 今で言う記憶喪失の女性が
    最後、記憶を取り戻したのか居なくなり
    その後どうなったのか凄く気になりました。

    ちゃん  家族の嫌味なく支え合って
    生きている感じがとても良かったです。

    #感動する #切ない #癒やされる

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    2022年03月02日
  • 山本周五郎 作品集 一

    匿名

    ネタバレ 購入済み

    初めて山本周五郎作品を読みました。
    あだこ 晩秋 おたふく 3作品
    どれも読んでいて嫉妬だったり苦悩だったり
    でも喜びがあったりで面白かったです。

    #深い

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    2022年03月01日