山本周五郎のレビュー一覧
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市井の人々の日常や人情の機微を
表して面白い
泥棒と若殿は 権力闘争に敗れ
ボロ屋敷に置かれ 世話してくれる
付き人も無く 食料も途絶え
餓死寸前の若殿の寝所に泥棒に
入った男
あまりの窮乏ぶりに同情し
世話をやくようになる
厳しく辛い人生だったが
殿を見ると何だか世話したくなり
それが生き甲斐か 自らの張りに
繋がり
殿も争いの世界に虚しさを感じ
こんな生きように満足していたところ
争いに決着がつき殿として
迎えがやってくる
最後の夕食を殿が作り
多くの民を幸せにすべく
早朝に発つと そこに忠臣の家来が
頭を垂れていた
痺れる
人間同士の思い 忠義
こんな世界
昔はあったよね きっと -
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時代小説にちょっとばかり免疫がついたと思い、この作品を読んでみることにしました。
主人公はさぶ、じゃなく英二…。ふたりは同じ年で江戸の下町で表具屋の職人、栄二は男前で仕事も器用にこなすが、さぶは要領が悪く愚図だが誠実ではあるが、ともに友情を育んでいた。ある日、栄二は信用していたお得意様から盗人の濡れ衣を着せられることに…自暴自棄になった栄二は暴力沙汰を起こし、人足寄場で罪人として収容されてしまう…。さぶは栄二を探し出し、わが身より栄二を思い足しげく人足寄場を訪れるさぶ…そして栄二と同時期に収監されていた罪人の仲間たち…栄二は徐々に頑なだった心を開いていく…。
栄二が濡れ衣を着せられた -
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2月14日は山本周五郎の命日である(昭和42年没)。かつて少年は、時代小説に目覚めたあと、司馬遼太郎派に行くか、山本周五郎派に行くか別れた。わたしは、山本周五郎派に行った。その時既に吉川英治の八割がたを読んで、歴史物は極めたという慢心があり、それとは全くジャンルの違う世界を読んでみたく思ったと思う。本屋の山本周五郎棚を1/3くらい制覇した頃に、わたしはSFとか、純文学とかに移っていった。けれども、本屋の本棚はそれから数十年「いつでも戻っておいで」とほほえんでいた。
表題作「人情裏長屋」
今読むと極めて「定型的な人情話」である。超絶的な剣技を持つ浪人・信兵衛は、長屋の住人を陰ひなたに支えながら -
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「山本周五郎」の中篇時代小説を2篇収録した『柳橋物語・むかしも今も』を読みました。
ここのところ「山本周五郎」の作品が続いています。
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過酷な運命と愛の悲劇に耐えて、人間の真実を貫き、愛をまっとうする――。
一途な愛を描き、永遠の人間像を捉えた感動の二編。
幼い恋心で男との約束を交わした「おせん」は、過酷な運命に翻弄される。
「おせん」を愛する「幸太」は、命をかけて彼女を守り抜く(『柳橋物語』)。
周囲の愛情に包まれ何不足なく育ったまきに降りかかった夫の裏切り。
密かに慕う直吉は愚直なまでにまきに尽くすが(『むかしも今も』)。
一途な愛の行方を -
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「山本周五郎」の長篇時代小説『さぶ』を読みました。
『山本周五郎名品館Ⅰ おたふく』、『山本周五郎名品館Ⅲ 寒橋』、『若殿女難記』に続き、「山本周五郎」の作品です。
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小舟町の芳古堂に奉公する「栄二」と「さぶ」。
才気煥発な「栄二」と少し鈍いがまっすぐに生きる「さぶ」。
ある日、「栄二」は身の覚えのない盗みを咎められ、芳古堂から放逐されてしまう。
自棄になった「栄二」は身を持ち崩し人足寄場へ送られるが――。
生きることは苦しみか、希望か。
市井にあり、人間の本質を見つめ続けた作家の代表作。
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「朝日 -
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山本周五郎の短篇小説集『花杖記』を読みました。
『編傑作選4 しづやしづ』に続き、山本周五郎の作品です。
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何者かによって父を殿中で殺され、家禄削減を申し渡された加乗与四郎が、事件の真相をあばくまでの記録『花杖記』。
どんな場合も二の矢を用意せず、また果し合いにもあえて弱い弓を持ってのぞむ弓の達人の物語『備前名弓伝』。
ほかに『武道無門』『御馬印拝借』『小指』『似而非物語』など、武家社会の掟の中で生きる武士たちの姿に、永遠に変わらぬ人間の真実をさぐった作品10編を収録。
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大正15年(1926年)の