柳橋物語・むかしも今も

柳橋物語・むかしも今も

小説・文芸
616円 (税込)

3pt

幼い一途さで答えてしまった「待っているわ」という一言によって、一生を左右され記憶喪失にまで追いやられてしまう“おせん”の悲しい生涯を描いた「柳橋物語」。愚直な男の、愚直を貫き通したがゆえにつかんだ幸福を描いた「むかしも今も」。いずれも、苛酷な運命と愛の悲劇に耐えて、人間の真実を貫き愛をまっとうした江戸庶民の恋と人情を描き、永遠の人間像をとらえた感動の2編。

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柳橋物語・むかしも今も のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    辛く哀しい読書だったが、読後ささやかではあるが確かな温かさに包まれる。貧しいからこそ耐えられる辛苦、得られる幸せがあるということを教えてくれた。

    0
    2026年04月07日

    Posted by ブクログ

    高校の時の課題図書だった。当時ひねたガキやったはずやのに号泣した。宿題の感想文が書けなかった。書けない理由を原稿用紙に綴った。今の僕の国語力では書き表せません、いつか文章でこの感動を書き表わせるよう、これからいっぱい本を読もうと思います、と。
    今大人になって読み、今だに書けない自分がいるけれど、それが周五郎の大きさなんだと素直に思う。心にただ刻むべき作家なんだ。

    0
    2017年10月05日

    Posted by ブクログ

    江戸庶民の生活。
    つましく善良な人が報われるとか報われないとかそういう単純な勧善懲悪さではなく、諦めではないけど「まあそういうものなのだよ」ということが書かれているように思った。

    0
    2017年03月18日

    Posted by ブクログ

    昭和二十年代の作品なので、現代の小説より重くて、読んでいて苦しくなります。それでも心が洗われる思いを得られるのが山本周五郎作品の良さだと思いました。

    柳橋物語のほうは、最後にも救いがなくてどこまでも悲しくなりました。
    おせんは優しい子だと思いました。幸太郎をどこまでも見捨てないし、不幸に落ち込む友人にも優しい。いつか幸せになって欲しい人物です。
    むかしも今も、のほうは、最後に救いがあってやっとほっとします。1冊にまとまったこの本の最後がこちらで良かった、と思いますね。

    どちらの女の子も、どうしてそんな男のほうを選ぶのか……、という残念感。
    大事なことは目に見えない、そんな教訓が籠められているように感じます。

    0
    2017年03月11日

    Posted by ブクログ

    中編2本、どちらも素晴らしい。
    そしてどちらにも共通するテーマは、天災と究極の愛。
    特に柳橋物語。まだ幼いおせんが結んだ結婚の約束。
    火事、水害、どんな災難もその約束を支えに乗り越えて来た、おせんがようやく再会した契りの相手の言葉。
    そして彼女が知った愛の苦しみと本当の意味。
    これこそまさに、究極の愛。
    二つ目の「むかしも今も」も心温まるお話で、どちらも読み終わった後目に涙を浮かべてしまった。
    心が浄化された。

    0
    2014年07月18日

    Posted by ブクログ

    戦後の山本周五郎の江戸下町作品。
    「柳橋物語」と「むかしも今も」の2作品です。
    「柳橋物語」は主人公おせんの悲しい半生が描かれ、なぜここまで…、という感じがします。その人生の分かれ道となったのが、短い時間に庄吉と交わした約束から。その約束を守りとおしたが故の運命。登場人物のだれが悪いわけでもない。環境と巡り合わせにより逆らうべくもなく悲しい人生に落ちていくおせん。その中で、精神的な愛が描かれています。

    「むかしも今も」も愚直な直吉の人生を描いたもの。最後まで読むとなんともいえないあたたかい感情が湧いてきます。

    やっぱり山本周五郎の作品はいいです。

    書評より
    「作者は問うている。愚直さまで一途であり、一旦きめた約束を守り通そうとすることは、くだらないことであろうか。世俗的に見てたとえばかと思われようとも、そこにこそ人間の他の動物とは違う尊さがあるのではないかと。」

    本文より
    「『この頃の職人はなっちゃあいないよ、爺さん、一日に三匁とる職人が逆目に鉋(かんな)をかけて恥ずかしいとも思わない、ひどいのになると尺を当てる手間を惜しんでおっつけて鋸を使うんだ、そのうえ云いぐさが、そんなくそまじめな仕事をしていたら口が干上がってしまうぜ、こうなんだ』
    『それは今にはじまったことじゃあないのさ』と源六は穏やかに笑う、『…どんなに結構な御時世だって、良い仕事をする人間はそうたくさんいるもんじゃあない、たいていはいま幸さんの云ったような者ばかりなんだ、それで済んでゆくんだからな、けれどもどこかにほんとうに良い仕事をする人間はいるんだ、いつの世にも、どこかにそういう人間がいて、見えないところで、世の中の楔になっている、それでいいんだよ』」

    「『人間は正直にしていても善いことがあるとはきまらないもんだけれども、悪ごすく立ち回ったところで、そう善いことばかりもないものさ』」

    0
    2013年06月26日

    Posted by ブクログ

    今回、再読して逆に感じたのは、おせんが決して不幸な境遇だったとは思えなかったのです。 逆にこちらは少数意見かもしれませんね、とりわけ女性読者からはお怒りを買うかもしれません。 私は却って針仲間のおもんの身を持ち崩して行く姿がおせんよりも不幸なように感じました。 というのは、庄吉はこの物語の中ではどちらかと言えば悪役めいた役割を演じてますが、物語の初めの告白から江戸に戻ってくるまで、少なくともおせんに対する愛情は尋常なものではなかったはずだと私は確信しています。

    そして男は結構疑い深いというか、本作にあるシチュエーションからして誤解が生じて当然だと思います。 まあそのあたり、作者の力量の確かさでしょうね。 いずれにしても、主人公のおせん、最後にはつつましくかつたくましく生きることを貫きます。 つつましさが“八百屋”を営むことによって描かれているところが作者の優しさなんでしょうね。 たくましさの源は死んだ幸太の愛情だけでなく、冷めきってますが過去の庄吉へのいちずな思いがそうさせたんだなと私は捉えています。 人を愛することって難しいけど素晴らしいことです。

    もう一遍の「むかしも今も」 物語に“つき当たり”という言葉が出てきて重要な役割を演じています。 これは直吉とまきとが幼いころに遊んだ場所の名前なのです。 いわば2人の長年の愛情が築き上げられた場所として描かれています。 とりわけ直吉のやさしさは女性読者から圧倒的な支持を受けると思います。 そしてその優しさの根底は誠実さと義理堅さなのですね。 まきが失明した後も献身的に支える直吉の姿が印象的です。 これはなかなかできませんよ。 ラストが少しはっきりせずに読者に委ねている部分のあるのが作者の心遣いだと受けとめています。

    0
    2012年09月10日

    Posted by ブクログ

    中編二編。どちらもよかった。貧困や天災やなにか抗いがたい運命によって厳しい道を歩まされる人間の物語。山本周五郎の真骨頂のような二つの物語だった。耐え忍ぶ美とそれでも朽ち果ててしまう美。スポットライトがあたる花が美しいのではなく、その周りに咲く誰にも見向きもされない花にこそ真の価値があると、やはりテーマはそういったところだった。しかし、こういうものを書くときもお涙頂戴にせず、この世の無常と厳しさをきっちりと書き上げ、時代劇ではなく現代にも耐えうるものに仕上げてるあたりが、ただものじゃないなと思う。

    0
    2012年05月21日

    Posted by ブクログ

    読んでいて、情景が浮かんできて、文章に引き込まれてしまいました。

    柳橋物語は、苦しく辛くなってきたけれど、最後におせんが味わった待ってた人が他の人と結婚して苦しい思いをした時に気付いた幸太の想い。
    新たな気持ちで前に進むおせんに人の強さを感じた。

    今もむかしも 直吉の素直で真面目一辺倒だけれども、芯の強さを感じた。
    男性として、顔ではなく心が素敵な人で、まきも目に見えるものより見えない所に本当に大切なものがあるのだとわかった。

    えてして、人はおおいに、目に見えるものに惑わされる事がある。

    本当に素敵な作品でした。

    0
    2011年12月13日

    Posted by ブクログ

    昭和39年に初版が出ているので、字が小さい上、印刷が薄く、ぱっと開いて読むのが嫌になるほどだったが、読み出せば、グイグイと引き込まれた。
    まっすぐに生きるっていいなとしみじみ思えた1冊。

    0
    2011年11月29日

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