あらすじ
枯野の襖絵に点睛を加えるために、初めて会った芸妓に野原で扇を落させる流れ絵師。その後の二人の道行きと、その陰で力をつくす女のまごころを鮮やかに写し取った『扇野』。“三十ふり袖、四十島田”のたとえに流れる女の哀しみを、下町の人情と善意で救った『三十ふり袖』。なにげない会話や独白のなかに男女の機微と人生の深い意味を伝える“愛情もの”の秀作全9編を収録する。
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Posted by ブクログ
ささやかな暮らしの中に垣間見える、男女間の深い愛情を綴った短編集。生きづらいくらいに凝り固まった性癖や、過去の償いきれないあやまちを抱えて苦しんでいる人々を、著者は尊大な視点で優しく受け止めている。人を許し、人の罪を許し、ひたすら相手を思いやる。人間の卑小さや弱さとオモテウラにある、人生の美しさや輝きに気づかされる。
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山本周五郎らしい話だが、どこか他の作品とは違う。秀作。夫婦間の愛情についての描写をここまで細やかに表現できるのはこの人ぐらいだろう。でも、deep loveに感動する人たちはわかんないのかなあ
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全て男女の愛を書いた短編集.
「滝口」は台詞がストレートでは無く,かなりじっくり読み込まないと分かりにくいのだが,それもそのはず,周五郎大先生のかなり晩年の作である.言葉の持つ重みが違う.
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夫婦って素敵だなぁと思いました。表題作よりも「夫婦の朝」と「めおと蝶」が好きです。カッコイイ旦那さんと可愛らしく貞淑な妻という感じが良いです。
最初は男が書くにしては男性キャラが格好良すぎると思ったのですが、男が書くからこそかもしれません。寡黙で普段は愛想の欠片もないけど決めるところでは決める、というような男女問わず誰から見ても良い男だなぁって思うキャラが多い。女性作家が書いたらこんなキャラクターは描けないかもしれません。
逆に作中の女性は素直で従順過ぎるかなと思うこともしばしば。細かいところでは読む性別によって思うことが違うかもしれません。でも、夫婦って、結婚するって良いなぁと思わせてくれるのは一緒じゃないかな。
最後の「超過勤務」は毛色が違ってて、演劇の舞台を見ているような気分になりました。これはこれで面白いけど、なんか違和感がありました。
Posted by ブクログ
私的には恋愛小説のバイブルです…といっても時代小説なんですけどね。
うっとりするような恋物語から夫婦愛に満ち溢れた優しいお話まで、短編がぎっしり詰っています。私のオススメは『夫婦の朝』旦那が渋い!嫁が可愛い!