山本周五郎のレビュー一覧
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「おさん」がいちばん有名かもしれないが、表題作がいい。会話が落語のように活き活きとして、暖かないい心持ちになる。特に、冒頭からの一段!ここだけで、おしずが大好きになってしまう。その会話の頓珍漢ぶり、お人好しっぷりは、母親を思い出させる。。
山本周五郎には尽くすタイプがしょっちゅう、呑気なタイプが時々、出てくる。尽くす系は胸に迫るが、正直重たい。呑気物の方が好きだが、運も要領も悪い我が身を思うと嫉妬に似た気持ちになる事も。おたふく姉妹は、そのどちらでもない。
おしずは忍耐の人だが、自己犠牲の陶酔とは無縁だ。のんきそうに暮らしながら幸せを掴むが、決して苦労なしに手に入れたわけではない。共感でき -
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よく悪い政治家の代名詞として挙げられる田沼意次の話。現世の評価とは完全に違って、幕府財政の改革者として描かれている。案外こちらのほうが真実味があるかもしれない。
歴史というのは権力者によって語り継がれていて、ある意味恣意的なものだと思うし、世に言う名君が築き上げた現代がこうして行き詰まっている。実際には今と違う未来を描こうとした人のほうが実際には名君と言われるべき人かもしれない。
また、いわゆる市民は政治には無関心で、何も変わらないと諦めているのはどこの世界でも不変だ。
国という単位を個人が実感することはまずないし、政治家もどこまで国のことを考えているか疑問だ。
そういった意味でも本作はリアル -
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相変わらずの庶民の生活を描く山本周五郎。短編集であるが、各お話は最初の数ページはほぼ頭に入ってこない。これは文体が少し古いのと、登場人物が分かりにくいのともろもろの理由があるが。しかし、中盤から終盤にかけてどんどん話が盛り上がってくると内容が俄然頭に入ってきて最後は感動してしまう、というのが自分の周五郎さんの読み方である。基本的に長屋人情物を描く周五郎さんの短編はさほど代わり映えがしないが、この書はバラエティに富んでいた。ちょっと、ホラーっぽいのもあったし。最後の未完成で絶筆した表題の「おごそかな渇き」は長年対峙してきた宗教を扱ったものであるとのこと。さながら現代の聖書を志した著作であったがか
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この短編集、やたらと「汚れ役を自ら買って出る」
登場人物がでてくる話が多い。
追い腹のための手段、藩の政治を良くする為、
息子夫婦の仲の為…。
理由は様々だけれども、汚れ役を自覚しつつも
その姿勢を突き通す人々には感動せざるを得ない。
「わたくしです物語」…他人の責任を負うのは果たして
相手のためになるのかといわれたら微妙。
解説見て初めて登場人物の名前のもじりに気付く。
「修業綺譚」…女の人って怖いね。新しい形のSM(笑)
「町奉行日記」…主人公は町奉行という役職に就きながらも
治安の悪い城下町の郊外へと遊びに向かい、
奉行所に一度も通うことなく結果的に家臣の悪習を正す。
これぞ大衆 -
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中学校の恩師から頂いた本です。
ファンタジー好きだった当時は5ページも読んだら飽きてしまって、今の今まで放っておいてしまいました。
大学生になった今しっかり読んでみて、とても良い本でした。頂いてよかったなぁと、改めて思いました。
江戸時代(幕末)が舞台の短編集です。偉人の話とかそういう歴史物ではありません。(日本史の知識が中学生レベルなのではっきりとは言えませんが…)
それぞれの話で好き嫌いなど差がありましたが、じーんとくるような感動がたくさんありました。
侍などが登場するような時代ものは初めて読みましたがとても良いものでした。
もっといろいろ読んでみたいと思います。