山本周五郎のレビュー一覧

  • 四日のあやめ

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    武家もの中心の構成です。
    印象に残るのは”契りきぬ””四日のあやめ”あたりです。
    そして”燕”。僅かなページに様々な場面を埋め込み、発散した感もありますがそれでも読ませるのは、流石に周五郎円熟期の作品です。
    周五郎、連続5作。まだまだ続けられそうですが、このあたりで終わりにしましょう。

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    2017年10月30日
  • 深川安楽亭

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    初期作品から、周五郎の最後の完成作品である「桝落し」まで満遍なく収集された短編集です。全体の出来は中の上くらいでしょうか。
    こうして初期から後期までの作品を並べられると、山本周五郎が成長しつづけた昨夏であると良く判ります。一つの作品を読むと、それが何時頃書かれたものなのか、想像がつくようになります。初期の作品群には、やや修身的な色合い、説教臭さのある作品が集められています。これらの作品は直線的で、底が浅い感じがします(後期に比べてですけど)。それに比べ後半の作品は、流石に重厚感があります。ただ暗い色調なのが残念なのですが。

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    2017年10月30日
  • 寝ぼけ署長

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    ま「赤ひげ」の現代版とでも言いましょうか。
    主人公は警察署長。所長室でいつも居眠り。貧民を愛し、権力の横暴を憎む。
    実は、読み始めて直ぐにガクッと来た。こんなんミステリーじゃない。稚拙で我田引水のトリック。やっぱり周五郎の現代mの野には手を出すのじゃ無かったって。
    でも読み進むうちに、やっぱり周五郎なんですよね。かなり青臭いけど、人情味に溢れて。古臭さは否めないけど、なんかホッとする小説を読めました。そんなこんなで星4つです。

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    2017年10月30日
  • 赤ひげ診療譚

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    17年秋にBSプレミアムで船越英一郎、中村蒼でドラマ化。赤ひげって話は前から知ってたけど、読んだのは初めてで、赤ひげが主役と云うより登の成長物語って初めて知った。

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    2017年10月22日
  • 栄花物語

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    山本作品はどれも面白い。この時代にはその子のような存在が武家の娘としていたのか?
    何にしても人間を生き生きと描写する山本作品は素晴らしい。

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    2017年08月23日
  • おさん

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    文章の巧みさが流石です。
    特に『偸盗』の文章が秀逸です
    一人称で語られている物語が、まるで上質な狂言をみているように思われてきました。
    『青竹』、『饒舌り過ぎる』もしみじみと心に染み入りました

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    2017年07月17日
  • あとのない仮名

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    表題の「あとのない仮名」の印象が強くて他を忘れる。

    周五郎作品は主人公に辛く当たって最後に解放するというカタルシスのようなものを用意していることがわりと多いのですが、この作品はそうしたポイントがない。

    世に拗ねた主人公であることは珍しくないけれど、その拗ね方に隙がない。一定の境地に達した完成された諦観を持っていてその拗ね方に、寂しさと不安を感じる。

    この作品は周五郎の最晩年の作品らしい。
    最晩年の作品として他に「おごそかな渇き」も読んだけど、あれもざわっとする読後感の強い作品だった。

    あれだけ労働讃歌のような作品を多く残している周五郎の最晩年の作品で、そこへの諦観をこれだけ鮮やかに描く

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    2017年06月05日
  • 一人ならじ

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    テッパンでおもしろい山本周五郎大先生の短編集のうちの一冊.
    今回は「黙々と働く名の知れぬ市井の人が如何に偉いか」という話が多かった気がするが,充実しているのは戦後に書かれた後半の「柘榴」「青嵐」「おばな沢」「茶摘は八十八夜から始まる」の4編だ.

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    2017年04月09日
  • ながい坂(下)

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    読み終わってうん、そうだね「長い坂」だったね。と思う。
    主人公「三浦主水正(もんどのしょう)」が階級は低いが、志を胸に幼少の頃から学問に励み、周りからも認められ、藩の中で自分の役割を大きくして行く話。
    最初はシーンの切替が多く登場人物が覚えられないのと、淡々と下積み話で読みづらいが、藩の仕事に携わってからはぐいぐい話に引き込まれる。しかし、つらい時期の話も長く、志高く生きるのは強い我慢が必要だよなとか、私も今のプロジェクトがうまく行っていないので、耐え忍ぶ時を共感する。
    本著者は派手に良いという感じではなく、物語を積み上げ後半しみじみいいねと思わせる系話を書くのだねぇ。ラストも良かった。

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    2017年04月04日
  • 栄花物語

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    『樅の木は残った』と言い、どうしてそこまで体制維持に腐心するのか理解できない面は否定できないが、本当に愚劣な、もとい正確を期せば「犬」のように世に阿る人間への怒りがこの作家を支える骨の一つかと。田沼意次を軸に据えるというのは余程性根が座っていないと出来ない芸当、かつ締め方も苦渋に満ちていて、この作家はどこまでも底を見つめ続けていると思われ。

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    2017年02月25日
  • 赤ひげ診療譚

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    医療問題以前に、人間の心や貧困の改革がなければ、その問題は解決しない。そう思った。
    所詮、人間の生命力次第で医療はなんの力もない(そんな感じだったかな)という言葉は正しいと思ったが、同時に、死にゆく病というのは生命力ではどうしようも出来ないとも思った。

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    2017年01月25日
  • ながい坂(上)

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    (01)
    普通には時代小説として読まれるだろう。また、文庫版の奥野健男の解説にあるようにビルドゥングスとして、また現代的にはサクセスのコツを含むビジネス小説として読まれるのかもしれない。
    しかし、本書は文体論としても問題的なあり方をしており、驚きをもって読まれる。例えば、時系列あるいは空間系列に従うシークエンシャルな文脈の流れにあって、文脈から離れた回想や記憶の手がかりが、けっこう生々しい(*02)タイミングで突然に、普通のコンテクストからゆうとありえない角度からぶっこまれてる。こうした違和感のある文体、いってみればアバンギャルドな文体について、現代文学史の中では、川端康成の意想と比較しても面

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    2017年01月07日
  • ながい坂(下)

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    (01)
    普通には時代小説として読まれるだろう。また、文庫版の奥野健男の解説にあるようにビルドゥングスとして、また現代的にはサクセスのコツを含むビジネス小説として読まれるのかもしれない。
    しかし、本書は文体論としても問題的なあり方をしており、驚きをもって読まれる。例えば、時系列あるいは空間系列に従うシークエンシャルな文脈の流れにあって、文脈から離れた回想や記憶の手がかりが、けっこう生々しい(*02)タイミングで突然に、普通のコンテクストからゆうとありえない角度からぶっこまれてる。こうした違和感のある文体、いってみればアバンギャルドな文体について、現代文学史の中では、川端康成の意想と比較しても面

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    2017年01月07日
  • つゆのひぬま

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    武家草鞋
    つゆのひぬまが好きでした。ハッと気付きのある物語です。短編で展開がはやいのでどれも読みやすいです。

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    2016年11月11日
  • 樅ノ木は残った(下)

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    ワークライフバランスの間逆。己れや家族、友人、親族よりも藩の存続に身を粉にする主人公、原田甲斐。今読んでも充分面白いが、戦後の経済成長期に読んだ世代はより感情移入したのかも。

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    2019年12月18日
  • 樅ノ木は残った(上)

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    伊達家お家騒動。組織、人事、事業継承が複雑に入り組んだケーススタディのようで、大作なのに紙面量を意識することなく没頭できる。

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    2016年11月05日
  • 樅ノ木は残った(下)

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    秀作。
    江戸時代、初期はまだ戦国時代を引きずって、幕府は大きな大名を潰そうとしていたと言う事か。
    史実は知らないが、原田甲斐は、藩を救うため、家族を含めた命をかけた。最後の衝撃的なシーン。大河ドラマになるわけだ。

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    2016年10月29日
  • ちいさこべ

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    望月峯太郎の「ちいさこべ」を読もうと思って、その前に読んでおいた方が楽しめるかと思い、原作である本書を購入。

    江戸の風俗、昔の日本人の感覚みたいなものをとてもうまく書いている。表題作のちいさこべは落語の人情話を聞いているような心地よい、古の波に体ごとゆっくりと漂いながら流されるように山本周五郎が書き連ねた言葉に包まれていく。表題作以外の短編、特に花筵は三歩下がる昔の女性を表現しているのではなく、女性の真から人を愛する美しさを怒濤のような出来事のなかでよく書いている。災害の描写のうまさに引き込まれたが、巻末の解説を読むと、作者の実体験が色濃く反映されているのだなと納得。あれはそういう出来事を感

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    2016年10月24日
  • 五辯の椿

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    親子の愛憎劇というと、とかく父親が悪者になるイメージがあるが、こちらは母親。そもそも山本作品で「性」の問題をテーマにした作品も珍しい(と感じるのは自分だけ?)。復讐の背景にある様々な人間模様。加害者を許せないのは当然。しかし主人公のすごいところは、被害者は助けてもまた被害者になるという被害者たる人間性を見抜いている点(たとえば、借金棒引きで救済してもそれに味をしめてまた借金する人とか)。18歳にして悟りの境地か?と思わせときながら、自分の思いだけは果たしていく姿が生娘らしく且つ物悲しい。

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    2016年09月28日
  • 樅ノ木は残った(上)

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    秀作。
    長いけど、面白い作品は、苦にならない。
    少し読みにくいが、格式のある文章。綿密な人間描写。
    まだ、序章でこれから波乱を感じさせる。甲斐の人間性と関係する人との伏線。
    江戸時代初期は、まだ混乱の様相があったと言うことか。仙台藩にこのような出来事があったことは知らなかった。

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    2016年10月08日