山本周五郎のレビュー一覧

  • 赤ひげ診療譚

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    映画にもなった作品です。貧しい庶民の苦しさと富裕層の豪奢な生活のコントラストが、医者の目を通して克明に浮き彫りにされます。心に響く作品です。

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    2018年01月26日
  • 山本周五郎中短篇秀作選集 5 発つ

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    「雨あがる」
    同名のあの映画が山本周五郎の原作だったのか。「・・・他人を押徐けず他人の席を奪わず、貧しいけれど真実な方に混じって、機械さえあればみんなに喜びや望みをお与えなさる、・・・」

    「扇野」
    おけいさん、尊敬します!

    「鵜」
    いつも喧嘩ばかりし、江戸から国許へ謹慎となった布施半三郎。謹慎となった身で、毎日川へ釣りに行ってしまう。ある日その川の上流から、女がなにも身にまとわず流れてくる。その日から、ひっそりと二人は会い始める・・・。

    山本周五郎は雑誌の記事で知り、この選集で初めて読みました。江戸時代の町衆の人情や、侍や殿様として生きる姿、様々な階級の女の生活、そして恋情。
    読みたい本リストに載せておいて良かったと思った著者でした。
    今回は中短篇のみだったので、長篇も探しだして読もうと思っております。

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    2017年12月23日
  • 四日のあやめ

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    武家もの中心の構成です。
    印象に残るのは”契りきぬ””四日のあやめ”あたりです。
    そして”燕”。僅かなページに様々な場面を埋め込み、発散した感もありますがそれでも読ませるのは、流石に周五郎円熟期の作品です。
    周五郎、連続5作。まだまだ続けられそうですが、このあたりで終わりにしましょう。

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    2017年10月30日
  • つゆのひぬま

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    昭和二十年初頭から三十年初頭にかけての周五郎の作品集です。
    周五郎さんが大きく脱皮するのが二七年頃といわれていますので、それを挟んだ数年になります。幾つかの作品は脱皮前とは言うものの、その中でも優秀な作品が選ばれているのでしょう、全体としての質は高く感じられます。
    とはいえ、やはり後ろに行くほど、例えば”水たたき”などの作品は、構成も複雑で、物語としての深みは増すようです。

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    2017年10月30日
  • 深川安楽亭

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    初期作品から、周五郎の最後の完成作品である「桝落し」まで満遍なく収集された短編集です。全体の出来は中の上くらいでしょうか。
    こうして初期から後期までの作品を並べられると、山本周五郎が成長しつづけた昨夏であると良く判ります。一つの作品を読むと、それが何時頃書かれたものなのか、想像がつくようになります。初期の作品群には、やや修身的な色合い、説教臭さのある作品が集められています。これらの作品は直線的で、底が浅い感じがします(後期に比べてですけど)。それに比べ後半の作品は、流石に重厚感があります。ただ暗い色調なのが残念なのですが。

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    2017年10月30日
  • 寝ぼけ署長

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    ま「赤ひげ」の現代版とでも言いましょうか。
    主人公は警察署長。所長室でいつも居眠り。貧民を愛し、権力の横暴を憎む。
    実は、読み始めて直ぐにガクッと来た。こんなんミステリーじゃない。稚拙で我田引水のトリック。やっぱり周五郎の現代mの野には手を出すのじゃ無かったって。
    でも読み進むうちに、やっぱり周五郎なんですよね。かなり青臭いけど、人情味に溢れて。古臭さは否めないけど、なんかホッとする小説を読めました。そんなこんなで星4つです。

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    2017年10月30日
  • 赤ひげ診療譚

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    17年秋にBSプレミアムで船越英一郎、中村蒼でドラマ化。赤ひげって話は前から知ってたけど、読んだのは初めてで、赤ひげが主役と云うより登の成長物語って初めて知った。

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    2017年10月22日
  • 栄花物語

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    山本作品はどれも面白い。この時代にはその子のような存在が武家の娘としていたのか?
    何にしても人間を生き生きと描写する山本作品は素晴らしい。

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    2017年08月23日
  • おさん

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    文章の巧みさが流石です。
    特に『偸盗』の文章が秀逸です
    一人称で語られている物語が、まるで上質な狂言をみているように思われてきました。
    『青竹』、『饒舌り過ぎる』もしみじみと心に染み入りました

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    2017年07月17日
  • あとのない仮名

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    表題の「あとのない仮名」の印象が強くて他を忘れる。

    周五郎作品は主人公に辛く当たって最後に解放するというカタルシスのようなものを用意していることがわりと多いのですが、この作品はそうしたポイントがない。

    世に拗ねた主人公であることは珍しくないけれど、その拗ね方に隙がない。一定の境地に達した完成された諦観を持っていてその拗ね方に、寂しさと不安を感じる。

    この作品は周五郎の最晩年の作品らしい。
    最晩年の作品として他に「おごそかな渇き」も読んだけど、あれもざわっとする読後感の強い作品だった。

    あれだけ労働讃歌のような作品を多く残している周五郎の最晩年の作品で、そこへの諦観をこれだけ鮮やかに描くというのはどういう心境だったのだろう。

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    2017年06月05日
  • 一人ならじ

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    テッパンでおもしろい山本周五郎大先生の短編集のうちの一冊.
    今回は「黙々と働く名の知れぬ市井の人が如何に偉いか」という話が多かった気がするが,充実しているのは戦後に書かれた後半の「柘榴」「青嵐」「おばな沢」「茶摘は八十八夜から始まる」の4編だ.

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    2017年04月09日
  • ながい坂(下)

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    読み終わってうん、そうだね「長い坂」だったね。と思う。
    主人公「三浦主水正(もんどのしょう)」が階級は低いが、志を胸に幼少の頃から学問に励み、周りからも認められ、藩の中で自分の役割を大きくして行く話。
    最初はシーンの切替が多く登場人物が覚えられないのと、淡々と下積み話で読みづらいが、藩の仕事に携わってからはぐいぐい話に引き込まれる。しかし、つらい時期の話も長く、志高く生きるのは強い我慢が必要だよなとか、私も今のプロジェクトがうまく行っていないので、耐え忍ぶ時を共感する。
    本著者は派手に良いという感じではなく、物語を積み上げ後半しみじみいいねと思わせる系話を書くのだねぇ。ラストも良かった。

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    2017年04月04日
  • 栄花物語

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    『樅の木は残った』と言い、どうしてそこまで体制維持に腐心するのか理解できない面は否定できないが、本当に愚劣な、もとい正確を期せば「犬」のように世に阿る人間への怒りがこの作家を支える骨の一つかと。田沼意次を軸に据えるというのは余程性根が座っていないと出来ない芸当、かつ締め方も苦渋に満ちていて、この作家はどこまでも底を見つめ続けていると思われ。

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    2017年02月25日
  • 赤ひげ診療譚

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    医療問題以前に、人間の心や貧困の改革がなければ、その問題は解決しない。そう思った。
    所詮、人間の生命力次第で医療はなんの力もない(そんな感じだったかな)という言葉は正しいと思ったが、同時に、死にゆく病というのは生命力ではどうしようも出来ないとも思った。

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    2017年01月25日
  • ながい坂(上)

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    (01)
    普通には時代小説として読まれるだろう。また、文庫版の奥野健男の解説にあるようにビルドゥングスとして、また現代的にはサクセスのコツを含むビジネス小説として読まれるのかもしれない。
    しかし、本書は文体論としても問題的なあり方をしており、驚きをもって読まれる。例えば、時系列あるいは空間系列に従うシークエンシャルな文脈の流れにあって、文脈から離れた回想や記憶の手がかりが、けっこう生々しい(*02)タイミングで突然に、普通のコンテクストからゆうとありえない角度からぶっこまれてる。こうした違和感のある文体、いってみればアバンギャルドな文体について、現代文学史の中では、川端康成の意想と比較しても面白いと思われる。

    (02)
    生々しさという形容から類推すれば、藩政時代の武家のエロスを会員制クラブあるいは秘密結社さながらの、魔窟な方面から描いてしまう件についても寡聞にしてちょっと知らない。戦国時代の女忍者や、中世の貴族、近世の町民や庶民(*03)といった典型ならあるあるなパターンであるが、そうではない時代と階級のエロスを描いている。主人公の夫婦関係や性愛のあり方についても異数(*04)といえるだろう。

    (03)
    匿名と顕名のありかたにも独特の徹底ぶりが発揮されている。つまり、名のない者が出てこないことの煩雑さのうちに物語が紡がれている。植物学の牧野富太郎が著者に範を垂れた雑木(*05)の有名性については有名なエピソードなのだろうか、本書での人名に対する偏執ぶりもかなり異様な部類に入るだろう。
    この煩雑な顕名性は著者のポリフォニカルな語り口との関連で読まれてよいだろう。数章の並びの中に挟まれる断章あるいは幕間劇についても、脚本の柱のように立てられたシーンの下に繰り広げられる対話という構成は、神話的な情景すら帯びさせるにいたっている。

    (04)
    地の文にも面白味があって、普通の文体であれば、主人公が、云々と思った、何々と考えた、という構文なるところを、本書の場合、鉤括弧を付けない地の文で、科白のように言いかけて、やっぱり止めた、みたいな寸止め口調として現れている。科白にもなっていない、地の文にした主人公の思いでもない、宙吊りともいえるような、言いかけでやっぱり思いとどまってしまうこの寸止めな言葉については、近代私小説を解く鍵のひとつとなるだろう。
    ちなみにこの寸止め感が主人公夫婦の寸止めな営みに通じることは言うまでもない。

    (05)
    植生を含む地勢という歴史地理の問題も含まれている。坂を呈示する標題からして地形地勢的であるが、橋、水路、山林、くぬぎの雑木を植栽した屋敷の趣味なども興味深い。エピローグとみなされる章で主人公はこれまで認識の外にあった緩い勾配に衝撃される。この一点をもってしても衝撃的な小説である。

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    2017年01月07日
  • ながい坂(下)

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    (01)
    普通には時代小説として読まれるだろう。また、文庫版の奥野健男の解説にあるようにビルドゥングスとして、また現代的にはサクセスのコツを含むビジネス小説として読まれるのかもしれない。
    しかし、本書は文体論としても問題的なあり方をしており、驚きをもって読まれる。例えば、時系列あるいは空間系列に従うシークエンシャルな文脈の流れにあって、文脈から離れた回想や記憶の手がかりが、けっこう生々しい(*02)タイミングで突然に、普通のコンテクストからゆうとありえない角度からぶっこまれてる。こうした違和感のある文体、いってみればアバンギャルドな文体について、現代文学史の中では、川端康成の意想と比較しても面白いと思われる。

    (02)
    生々しさという形容から類推すれば、藩政時代の武家のエロスを会員制クラブあるいは秘密結社さながらの、魔窟な方面から描いてしまう件についても寡聞にしてちょっと知らない。戦国時代の女忍者や、中世の貴族、近世の町民や庶民(*03)といった典型ならあるあるなパターンであるが、そうではない時代と階級のエロスを描いている。主人公の夫婦関係や性愛のあり方についても異数(*04)といえるだろう。

    (03)
    匿名と顕名のありかたにも独特の徹底ぶりが発揮されている。つまり、名のない者が出てこないことの煩雑さのうちに物語が紡がれている。植物学の牧野富太郎が著者に範を垂れた雑木(*05)の有名性については有名なエピソードなのだろうか、本書での人名に対する偏執ぶりもかなり異様な部類に入るだろう。
    この煩雑な顕名性は著者のポリフォニカルな語り口との関連で読まれてよいだろう。数章の並びの中に挟まれる断章あるいは幕間劇についても、脚本の柱のように立てられたシーンの下に繰り広げられる対話という構成は、神話的な情景すら帯びさせるにいたっている。

    (04)
    地の文にも面白味があって、普通の文体であれば、主人公が、云々と思った、何々と考えた、という構文なるところを、本書の場合、鉤括弧を付けない地の文で、科白のように言いかけて、やっぱり止めた、みたいな寸止め口調として現れている。科白にもなっていない、地の文にした主人公の思いでもない、宙吊りともいえるような、言いかけでやっぱり思いとどまってしまうこの寸止めな言葉については、近代私小説を解く鍵のひとつとなるだろう。
    ちなみにこの寸止め感が主人公夫婦の寸止めな営みに通じることは言うまでもない。

    (05)
    植生を含む地勢という歴史地理の問題も含まれている。坂を呈示する標題からして地形地勢的であるが、橋、水路、山林、くぬぎの雑木を植栽した屋敷の趣味なども興味深い。エピローグとみなされる章で主人公はこれまで認識の外にあった緩い勾配に衝撃される。この一点をもってしても衝撃的な小説である。

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    2017年01月07日
  • つゆのひぬま

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    武家草鞋
    つゆのひぬまが好きでした。ハッと気付きのある物語です。短編で展開がはやいのでどれも読みやすいです。

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    2016年11月11日
  • 樅ノ木は残った(下)

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    ワークライフバランスの間逆。己れや家族、友人、親族よりも藩の存続に身を粉にする主人公、原田甲斐。今読んでも充分面白いが、戦後の経済成長期に読んだ世代はより感情移入したのかも。

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    2019年12月18日
  • 樅ノ木は残った(上)

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    伊達家お家騒動。組織、人事、事業継承が複雑に入り組んだケーススタディのようで、大作なのに紙面量を意識することなく没頭できる。

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    2016年11月05日
  • 樅ノ木は残った(下)

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    秀作。
    江戸時代、初期はまだ戦国時代を引きずって、幕府は大きな大名を潰そうとしていたと言う事か。
    史実は知らないが、原田甲斐は、藩を救うため、家族を含めた命をかけた。最後の衝撃的なシーン。大河ドラマになるわけだ。

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    2016年10月29日