山本周五郎のレビュー一覧

  • 赤ひげ診療譚

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    医療問題以前に、人間の心や貧困の改革がなければ、その問題は解決しない。そう思った。
    所詮、人間の生命力次第で医療はなんの力もない(そんな感じだったかな)という言葉は正しいと思ったが、同時に、死にゆく病というのは生命力ではどうしようも出来ないとも思った。

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    2017年01月25日
  • ながい坂(上)

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    (01)
    普通には時代小説として読まれるだろう。また、文庫版の奥野健男の解説にあるようにビルドゥングスとして、また現代的にはサクセスのコツを含むビジネス小説として読まれるのかもしれない。
    しかし、本書は文体論としても問題的なあり方をしており、驚きをもって読まれる。例えば、時系列あるいは空間系列に従うシークエンシャルな文脈の流れにあって、文脈から離れた回想や記憶の手がかりが、けっこう生々しい(*02)タイミングで突然に、普通のコンテクストからゆうとありえない角度からぶっこまれてる。こうした違和感のある文体、いってみればアバンギャルドな文体について、現代文学史の中では、川端康成の意想と比較しても面

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    2017年01月07日
  • ながい坂(下)

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    (01)
    普通には時代小説として読まれるだろう。また、文庫版の奥野健男の解説にあるようにビルドゥングスとして、また現代的にはサクセスのコツを含むビジネス小説として読まれるのかもしれない。
    しかし、本書は文体論としても問題的なあり方をしており、驚きをもって読まれる。例えば、時系列あるいは空間系列に従うシークエンシャルな文脈の流れにあって、文脈から離れた回想や記憶の手がかりが、けっこう生々しい(*02)タイミングで突然に、普通のコンテクストからゆうとありえない角度からぶっこまれてる。こうした違和感のある文体、いってみればアバンギャルドな文体について、現代文学史の中では、川端康成の意想と比較しても面

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    2017年01月07日
  • つゆのひぬま

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    武家草鞋
    つゆのひぬまが好きでした。ハッと気付きのある物語です。短編で展開がはやいのでどれも読みやすいです。

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    2016年11月11日
  • 樅ノ木は残った(下)

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    ワークライフバランスの間逆。己れや家族、友人、親族よりも藩の存続に身を粉にする主人公、原田甲斐。今読んでも充分面白いが、戦後の経済成長期に読んだ世代はより感情移入したのかも。

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    2019年12月18日
  • 樅ノ木は残った(上)

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    伊達家お家騒動。組織、人事、事業継承が複雑に入り組んだケーススタディのようで、大作なのに紙面量を意識することなく没頭できる。

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    2016年11月05日
  • 樅ノ木は残った(下)

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    秀作。
    江戸時代、初期はまだ戦国時代を引きずって、幕府は大きな大名を潰そうとしていたと言う事か。
    史実は知らないが、原田甲斐は、藩を救うため、家族を含めた命をかけた。最後の衝撃的なシーン。大河ドラマになるわけだ。

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    2016年10月29日
  • ちいさこべ

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    望月峯太郎の「ちいさこべ」を読もうと思って、その前に読んでおいた方が楽しめるかと思い、原作である本書を購入。

    江戸の風俗、昔の日本人の感覚みたいなものをとてもうまく書いている。表題作のちいさこべは落語の人情話を聞いているような心地よい、古の波に体ごとゆっくりと漂いながら流されるように山本周五郎が書き連ねた言葉に包まれていく。表題作以外の短編、特に花筵は三歩下がる昔の女性を表現しているのではなく、女性の真から人を愛する美しさを怒濤のような出来事のなかでよく書いている。災害の描写のうまさに引き込まれたが、巻末の解説を読むと、作者の実体験が色濃く反映されているのだなと納得。あれはそういう出来事を感

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    2016年10月24日
  • 五辯の椿

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    親子の愛憎劇というと、とかく父親が悪者になるイメージがあるが、こちらは母親。そもそも山本作品で「性」の問題をテーマにした作品も珍しい(と感じるのは自分だけ?)。復讐の背景にある様々な人間模様。加害者を許せないのは当然。しかし主人公のすごいところは、被害者は助けてもまた被害者になるという被害者たる人間性を見抜いている点(たとえば、借金棒引きで救済してもそれに味をしめてまた借金する人とか)。18歳にして悟りの境地か?と思わせときながら、自分の思いだけは果たしていく姿が生娘らしく且つ物悲しい。

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    2016年09月28日
  • 樅ノ木は残った(上)

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    秀作。
    長いけど、面白い作品は、苦にならない。
    少し読みにくいが、格式のある文章。綿密な人間描写。
    まだ、序章でこれから波乱を感じさせる。甲斐の人間性と関係する人との伏線。
    江戸時代初期は、まだ混乱の様相があったと言うことか。仙台藩にこのような出来事があったことは知らなかった。

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    2016年10月08日
  • やぶからし

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    ネタバレ

    表題作は,非常に山本周五郎らしい作品だが,痛快なのは1話目の「入婿十万両」かな.「蕗問答」「山だち問答」のような,ややおかしみを感じさせる話も良い,と書いたところで気がついたのだが,全部,奥さんあるいは旦那さんが伴侶に惚れ直す話だな.

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    2016年08月10日
  • 日本残酷物語 4

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    ほんの少し前の日本の姿。
    気が滅入るような記述が続くが、一昔前、恵まれた環境にあった人もいただろうが、保証なき社会の中で貧困にあえぎ、死んでいった人も膨大な数に上るのでしょう。
    搾取するものもいれば、されるものもあり。いじめるものもあれば、いじめられるものもあり。そして誰もが等しく貧しくて、生きて行くのがようやくの土地もあったわけです。
    もっと学ぼうと思いました。

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    2016年07月03日
  • 青べか物語

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    「さぶ」に続いて読みました。庶民の生活が、垣間見れて面白く読めました。私自身が、大阪の漁師町育ち故、なんだかこんな人がいたような気がすると思わせる部分が多々ありました。

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    2016年06月21日
  • 樅ノ木は残った(下)

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    スッキリといった結末ではない。人の一生のはかなさを感じさせられた。身は滅んでも、何らかの形で残るものだ。

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    2016年06月15日
  • ながい坂(下)

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    江戸時代の小藩の下級武士に生まれた主人公が、子供の時に遭遇した事件に憤慨し、長くつらい道を生きる決断をして成長するが、その後苦労する場面が続く。下巻では、上巻で登場した人物が、歳を重ねて登場するが、いろいろな生き方や価値観があるものだと改めて思い知らされる。この小説はとにかく重い。

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    2016年05月29日
  • ながい坂(上)

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    江戸時代の小藩の下級武士に生まれた主人公が、子供の時に遭遇した事件に憤慨し、長くつらい道を生きる決断をして成長していく様を描いている。お家騒動の権力争いの中で繰り広げらる人間模様などは、現代でも不変の営みのように思われる。自分に厳しい主人公の成長がこまやかに描かれており、著者の小説の重さが心地よくもある。

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    2016年05月29日
  • あんちゃん

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    鉄板でおもしろい山本周五郎.どれも人情味溢れる話だが,やっぱり藩政改革の「いさましい話」と「思い違い物語」かな,まったくトーンは違うのだけれども.

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    2016年05月18日
  • 樅ノ木は残った(下)

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    “意地や面目を立てとおすことはいさましい、人の眼にも壮烈にみえるだろう、しかし、侍の本分というものは堪忍や辛抱の中にある… これは侍に限らない、およそ人間の生きかたとはそういうものだ ” 物語そのものは勿論、山本周五郎ならではの、染み込んで来る言葉の濃度。下巻は特に高し。 人としての強さ、その在り方を深く考えさせられる作品でした。

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    2016年04月30日
  • 樅ノ木は残った(中)

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    中盤は、本筋と絡みながら、登場する婦女それぞれの業を俯瞰した描写も印象深い。この辺りも山本周五郎のひとつの真骨頂か。 “人は壮烈であろうとするよりも、弱さを恥じないときのほうが強いものだ” “いちど思いきめて、少しも迷わずに、それをやりとげることのできる人間は、仕合せだ。” 留めて置きたい語録を胸に、下巻へいざ。

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    2016年03月27日
  • 日本残酷物語 3

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    漂流して無人島にたどり着き、20年もの年月をそこで過ごした人々の話には驚嘆。
    キリシタン弾圧、身分制度、勤王と朝敵。どこを読んでも、表題にある「残酷」が重くのしかかってくる内容でした。

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    2016年03月19日