吉本ばななのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ河合隼雄と吉本ばななの対談集「なるほどの対話」を読んで、読みたくなった本のうちのひとつ。
どの短編も好きだったけど、特に好きだったのは、というか、グッとくる表現があったのは、「最後の日」だった。
私がこわいのは、いつも人間の心の働きであり、運命とか自然の脅威のほうではなかった。(P44)
もう一度あの気持ちがやってくるなら、嬉しいと思う。(P51)
その光景に、胸がしめつけられた。(P56)
それぞれとても短くて、詳しいことは書かれてない文章なんだけど…なんでだろう。
その場面でそんなこと感じちゃうの?という意外性もあるんだけど、妙に共感できてしまう感じもするのが不思議。
あと、最 -
Posted by ブクログ
はじめにいくつか読んで、直感的に「これは素敵過ぎて一気に味わうのはもったいない」と思った。金平糖のように、一粒ずつ、少しずつ味わって読んだ。
あとがきに作者が書いていたように、「人生にはいつでも、たとえどん底にあっても、ふといい場面に出会う可能性があること、それが誰にでも平等にあること」を感じられるエッセイだった。とても素敵な、きらきらした日常が続いている。そして、それは我々にも感じられるものだと思う。
自分は日々「幸せだなあ」と思うアンテナを高くもって生きていきたいと思っている。だけれども実際は、なんとなくぼうっとしてしまったりとか、悲しみの波にのまれてしまうような日もある。
そういう日 -
Posted by ブクログ
おそらく初めて、吉本ばななさんの本を読んだ。その名前からなぜかポップな印象で(さくらももこ的な)敬遠してきたが、それが本当に勝手な思い込みだったことに気づけて良かった。
まず、描写がとても丁寧で優しくてあたたかい。文中の言葉を借りれば、はっとする表現や視点がたくさんあった。登場するまなかも浩志も、素直で純粋で、こんな風に物事を考えたり言葉にしたりできたらと思った。二人はずっと共に育ってきたのに、何度も相手の必要性を感じたり、愛情を受けたり、そういったことに一度きりはないのだと感じた。それはすごく幸せなことで、置き換えられることがたくさんある気がして、つまりは自分はいま幸せなのだと思った。こんな