吉本ばななのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
あとがきにもあるように、これは単なる小説ではない。
なんとも不思議な家族と、その家族を取り巻く世界。
それをつないでいるものは、(なかなか完成せず、常に研究し続けている)親子丼だった。それがタイトル「どんぶり」につながってくる。
妙にわかっている。えっ?と驚くと、
「アカシックレコードにアクセスできるからね」と、さらりと言ってのける。
私たちが生きているこの世で見えているものは、ほんの、ほんのかけらなのかもしれない。
ばななさんの本からは、いつも違う世界が見えてきます。
元気な野菜は、農薬なんて使わなくてもあまり虫はつかない。そういったことを自分の目で確かめる人生を生きたい(あとがきより)。
薔薇はむりだよな~、とおもいました。
(農薬ではなくニームを使っています。いいですよ~、ニームは) -
Posted by ブクログ
この本には恩義がある。
私は小学生の頃小説が読めなかった。「かいけつゾロリ」や「ダレンシャン」とかも含めてだ。
読むと文字が視界を滑っていき、全くどこを読んでいるのかが分からなくなった。
中学生の時この本と出会った。といっても国語のテストで一部が使用されていたのを(テストなので渋々)読んだのがきっかけだった。どの章が使われていたかも、何のテストだったかも忘れてしまったが、是非この本を読んでみたいと近所の本屋に行ったことはよく覚えている。名著なので当然置いてあった訳だが、見つけた時は本当に嬉しかった。
この本でやはり一番面白いのが幽霊ポストだろう。なぜ少女つぐみがまりあに対し、あの様ないたずらをしたのか。それは祖父を失ったまりあを心から慰めたいと思ったからだ。けれどつぐみのプライドがそれを許さなかった。だからあの様ないたずらを仕掛け、真意をまりあに解釈させた。(最後の手紙がその種明かしとなっている。)
文章のみでここまで人間の複雑性を表現できることに感動し、以降本を読むのが好きになった。ありがとう。 -
Posted by ブクログ
吉本ばななと宮本輝の対談集。温かい雰囲気で、素敵な時間だったのだろうと思われる。
宮本輝の温かい言葉が並べられたあとの(あとがきで本人は言葉を省略していることを反省しているけれど)、吉本ばななの鋭い一言に何度も考えさせられた。きっかけをもらって、その対談とは全然違うことを考えることも多かった。
吉本ばななが「世界中のひきこもりのような感じの人に『あなたの本を読んで救われた』と言ってもらえるんです」と述べているとおり、生きづらさを抱えながらもがんばって生きている人たち(私を含む)にとって、吉本ばななの職人のようにコツコツと救いを届けるための本を書いてくれる人がいることは、非常にありがたいと思う。 -
Posted by ブクログ
かつて 僕は 時間というものに関して貧乏性で 何かをあてどもなく待つことや 他人のために自分の時間を差し出すことができない人間だった。だから傷ついた人の傍らでその人の吐露に耳を傾けながら寄り添うとか、月日の経過によって物事が おだやかに収まっていくのを見守るとか そういう大人なスタンスで自分や他人と向き合うこともなかった。こうした生き方が安っぽく奥行きを欠いた、他人を寄せつけない不毛な人生だ、と気づいたのは ずいぶん年を重ねてからのことだ。
大切な人を失った心の傷、喪失感が ささやかなできごとや ふとした出会いの積み重ねによって癒されていく6編の物語。人それぞれ、他の人とちがうスピードで時間が流れていたってかまわないのだ。自分を取り戻すにも、他者の痛みに寄り添うにも、時間の流れに 身をゆだねる鷹揚さが必要だ。