吉本ばななのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
高校時代に、小説にハマるきっかけとなった作品。
物語の根底にある物悲しい雰囲気が好き。
忘れていた子供の頃の記憶を呼び起こすため、弥生は家を出る。叔母の家で過ごす日々や血の繋がらない弟哲夫との旅…。真実を知ってしまうと、もう元に戻れないかもしれない、という「悲しい予感」がある。
しかし、最後にお母さんから『いつまで遊んでるの。早く帰って来なさいよ。』と電話がかかってきたとき、弥生とともに私も涙が出そうになった。温かい家族の愛で、哀しい予感を包み込み、ほんのり幸せな気持ちが芽生えるから。
弥生の気持ちの変化がとても繊細に描かれていて、美しい物語だなと思う。 -
Posted by ブクログ
「マリカを守りたい。僕等はそのためだけにきたんだ。そのためだけにいるんだ。」
幼い頃から両親に虐待され、心を閉ざし多重人格という心を持ってしまったマリカ。
マリカの面倒をみているジュンコは、彼女の希望に添い、医者の反対を押し切って、マリカをバリ旅行に連れていくことに決めた。
マリカの人格の1つである少年オレンジ。
ジュンコはオレンジと会話するうち、彼の存在の確かさや、彼の想いに触れていく。
『そう、あなたを故郷の国につれていってあげる。
あなたが望む世界じゅうのどんな国にでもつれていってあげる。
髪にきらきら光る髪飾りをつけてあげる。
大きなお城をたてて、死ぬまで一緒に住 -
Posted by ブクログ
ああ!
なんて美しい文章!この本が200冊目のレビューで本当によかった
『少しも加速を許さない、大いなる力。はぐくみ、こわし、芽生えさせ、土に還す。世界を創る巨大な時計。ここではまだ神が力を持っている。』
HIVポジティブが発覚した喬と、その元彼女である主人公、そして喬の元彼であるゲイの日出雄。喬を元気づけるため奇妙な友情でつながった三人はエジプトへと旅立つ…
よしもとばななの文章を読むけとは、アムリタじゃないけど、ほんとに、美味しい水をごくごく飲むようなものだ!
形にはならないけど、その感動がたしかに人生に潤いをあたえてくれる。
現実にある彼女が見たものを本当にそのまま、しかし美しく描 -
Posted by ブクログ
『私は泣けなかった。
今も、ちゃんと泣けていない。後悔を、何度もした。今もする。でも、何回も思い直す。
きっと私たちには、あれ以上何もできなかった。
最後まで、楽しかった。呪文のように、そうくり返す。』
ハードボイルドは、同性愛の話。
そしてその恋は終わっていて、相手はもう死んでしまった。
その恋人の命日の不思議な一夜。
涙が出てくるのになんだか爽やかでありがとうって、
恋してよかったって思える話。
ハードラックは若くして
植物状態になってしまった姉の死と生の微妙な狭間で
生死と愛を考える人々の物語。
『世界はなんていいところなんだろうね!』
悲しみで前が見えなくても、やっぱり世界は美し -
Posted by ブクログ
言葉に出来ない興奮を感じ、それをどうしても言葉にしたいのに自分ひとりでは持て余してしまう、そんなときに手にとった本。
大好きな南米の魅力、パワーを、胸に沁みる言葉、絵、写真で綴られた小説。
南米は、行き場のないエネルギーに詰まっていると感じていて、それが溢れる形はこれらの国で生まれる音楽や文学や、政治や人々の生活そのものから感じられるのだけれど、この小説で果たされた「不倫」と「南米」の組み合わせによって発せられるエネルギーは、この2つの色がすごく似ているのか、それとも今この本を読む私の心と同調しているのか、よく分からないけどひたすら圧倒される。
もやもやして、逃げ出したくなって、この本を手 -
Posted by ブクログ
これは、あくまで個人的に、だけど、
あたしの思考やものごとの感じ方と非常に良く似た視点から書かれていて、
ちょっとしたフレーズやセリフの全てに共感できた。
「生きる」ということの本質を、大袈裟にではなく、
優しく掴んでいるヒロインの、大事なものや大事な生活が、
タヒチの光景といい具合に溶けていて、とても良かった。
ファンタジスタに突っ走るわけでも、
リアリストに徹するわけでもない、絶妙なブレンド。
吉本ばななの凄いところは、超!有名な作家になっても、
こういった感覚を忘れずに一貫して表現し続けているところだと思う。
お金も名誉も会社の事情もご時世もいろーんなものが絡んでくる世界にいて、
大