吉本ばななのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレちょっと心が弱っていたのでこの本の世界に持っていかれそうになった。
でも一言一言大事に言葉を発したり考えたりする登場人物ばかりでその人たちの紡ぎ出す言葉が私は好きだった。
『その時は死ぬかと思うくらい退屈なのに、後で思うと狂おしいくらい愛しいものだ。』p86
『その人がその人であることは、壊れていく自由も含めてこんなにも美しい、ひとにきめてもらえることなんて何一つ本当じゃないんだな、としみじみひかるように生きる彼女を見ていて私はよく思った。』p113
『何でもかんでも自分で潜って取ってくるのが一番生々しい獲物なのだから。』p208
「食べ物美味しい?食べ物の味をちゃんと感じてる?朝起きると楽しい?1日が楽しみ?夜寝るとき、気持ちいい?」
「友達が前から歩いてきます。楽しみ?面倒?目に映る景色がちゃんと心に入っていますか?音楽は?外国のこと考えてみて。行きたい?ワクワクする?それとも面倒?」
「明日が楽しみですか?三日後は?未来は?わくわくする?憂鬱?今は?今をうまくやってる?自分のこと気に入ってる?」p238〜239 -
Posted by ブクログ
ネタバレ1995年紫式部文学賞受賞作品。
「吉本」ばななさん時代の本。
文庫化して初版平成9年のもの。
久しぶりに押入れから出した。
夏になるとよしもとばななさんの本が読みたくなる。しっとりした空気、キラキラ輝く太陽…夏特有のこの雰囲気を的確な言葉で表してくれるのは、ばななさんだけという気がして。
『アムリタ』を初めて読んだのは大学生のころ。23年も前なんだ…
この物語を読みながら友達との楽しい遊びや旅行、一日が終わる夕日の物悲しさと最大級の美しさ、二度と訪れない儚さや切ない感覚にキューンと胸が締め付けられたり。
読みながら忘れていた感覚が蘇った。
今は夕日が沈む頃バタバタと食事の用意している。日常生活を刻むことに必死でキューンとする時間はない。
でもね、子供が独り立ちするまで期間限定。後で振り返ればこれも貴重な懐かしい甘い時だったとなるのだろう。
主人公朔美は、今まで何気に過ごしてきたことも妹の死や強く頭を打った事故によってそれらを機に思考が変わり出す。
当たり前のことなんてなくて、様々な出来事も人との出会いも縁や何か力が働いている。
人生辛いこともある。でも時々人生の中で出会う幸福感を得られるもの=甘露、アムリタなのかな…と。
ハッと気付かされたのは何気に飲んでいる水も命を繋げるものだということ。ほんとうに何気に自分自身を大切にしているんだ、私は私が愛おしいんだって気付いた。
ばななさんの物語を読むと日常生活の一つ一つのことに意味があって美しさを感じられる。丁寧に生きたいと思う。
『アムリタ』を初めて読んだときの日記はもう捨ててしまったけれど、どんなことを書いていたんだろう。当時の恋人とも別れ、親や妹とも離れ、全く違う生活を営んでいる。
ただもう今は、摂食障害に悩んでいた自分自身が大嫌いな私ではない。
次読み返すとき、私は何を思うだろう。
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Posted by ブクログ
吉本ばななさんをこれまでもいくつか読んできたが、長編(?)作品はこれが初めて。これまで吉本さんから感じ考へてきたことのすべてがこの中にちりばめられてゐる。
もう魂はかうでしかないと知つてしまつた時、時間の水平線から垂直に立ち上がつてしまつた時、それでも、生ある限り、再び流れに身を任せるしかできない。忘れては思ひ出し、別れては出会ふ。しかし、ひとは後戻りできない。生まれたからには、死に向かふばかり。
誰かと共に生きていく。そこに見えない何かがまるであるかのやうだ。記憶、時間、目に見えないものが確かに生まれ、積み重なつていく。
だからこそ、水を飲み干すやうに生命を飲み干すのだ。アムリタは、一度飲んだら終りの不老不死の妙薬などではなく、この過ぎゆく時間の中で、いつも飲み干し続ける、生命そのものではないか。
沈む夕陽も、揺れる木々も、大切なひとの声も、突き刺す風の冷たさも。妹真由はさうした淵にたつて、いつも震えてゐた。失くしてしまふのが怖かつたのではない、再び出会つてしまふのがたまらなく、苦しかつたのだ。
朔美と彼女を取り巻くひとたちとの時間は、変化しない事実と、変化していく現象によつて紡がれていく。ただ生命が生命であるやうに紡がれる。あとがきで筆者本人は稚拙だと自嘲するが、それは、小説とは言へこれがあるがままの端的な事実だからに他ならない。 -
Posted by ブクログ
大好きな本です。
若い頃に読んだ時は、ヒリヒリした乾いた気持ちになりました。
ふたりが離れるしかないなんて信じ難く、悲しくてやるせなくて、先が見えなくて。たくさん泣きました。
多分、その頃好きだった人のことを重ねてたんだと思います。
一生会えないのは苦しいけど、どこかで生きてくれてるならいいなぁ、とか。
30も半ばになって読んだら、「若さだなぁ〜」となんだか羨ましく思い、ふたりがとても愛おしかった。。。
そして、若い頃のわたしはまおちゃんと全然違って、相手に依存したり、自分の思いを優先させたり、身勝手な恋愛してたなぁと恥ずかしく思ったりしたのでした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ吉本ばななさんの思いや伝えたいことが表れている一冊なのだろうか。
イルカの壮大な景色を人間に写しているところがすごいと思った。なんだか心にぐっとくる表現があって、ああやっぱり吉本ばななが好きなんだなと思った。
彼女にしかない言い回しだったり喩えが本当に好きだ。
世界を高いところから自分が神様になったかのような視点で見る経験をこの本の終盤にわたし自身、した。
壮大なスケールで物事を、この世界を見れた気がする。
こういう気持ちを、こういう本を読んだ時にすごいとしか表現できないのが悔しい。
自分の、自分だけの言葉で表現できるようになろう、
涙が流れました。
終盤のオリーブのところで、。
「たった一匹の小さな犬なのに、今になってこの人生にオリーブが、人生の中でとても大きい存在に驚く。」
「そんなに長くは生きない小さな犬に生きる力をもらったものもいる」
「あんまりにも心がひまだったので」という表現がすき。
心がひまー心が忙しい
新しい言葉。
心がいっぱいで、胸がいっぱいです。