吉本ばななのレビュー一覧
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ヨシモトオノ=吉本版遠野物語という意味らしいが、ばななさんによると、現代版遠野物語というような大層なものではなくて、藤子・F・不二雄の「SF・すこしふしぎ」みたいなものらしい。
山中で道案内してくれた男の子、友だちの空間移転引き出し、亡くなった従姉妹のノート、死んだはずの海外の元カノからのメール、ホントは死んでいるボク、自死した知り合いの女子のこと、水子からの警告、失踪した彼のお下がりベッドの夢見、夢見で許された話、現代のわらし童子、母親の死産だった兄を庭に埋めたという話、安下宿に出てくる優しい幽霊、旅の宿の天井に浮かぶ顔の思い出‥‥。
まぁ、そうだよね。
少し不思議な譚(はなし)なら
多分ぼくだって持っている。
妹はもう50代オッサンの私に
法事のときに初めてぼくに言った
小さい頃発達障害的な所あって
よくふらりと居なくなった、て
そう言えば詳しい事は忘れたけど
そう言えば庭とか近所の道とか
たくさん面白いものがあった
ような気がする。
わらし童子と仲良くしていた男も
今回出てきたけれども
私も右手と左手で
ありんとこりんという異能者の
長い長い戦いを毎晩紡いでた
時には火星まで行き
時には何億年も時を跨いだ
昔のベッドの暗がりの中で
空間移転引き出しのこと。
⸺その後、中学生くらいのとき、別の学校に行ったたつみちゃんにばったり会った。
「まだ、私あのどんぐり大事に持ってるよ」
と私は言った。彼女は悲しそうに言った。
「ある朝、引き出しを開けたら、真っ黒い紙が入ってた。海苔みたいな。それで、おじいちゃん死んだんだな、と思ったの。そのあと親に知らせがきた。もうあのシステムがどういう仕組みだったのか一生わからない」
いや、いずれにしても一生わからないでしょ、そのシステム。
と思ったけれど、言わなかった。(24p)
まぁ、そんなこと、時々あるよね。
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Posted by ブクログ
ネタバレあっという間ではなかったかもしれないが、あっという間に読んでしまった感…!
つばさとひばりの物語。
10代の2人がピュアで眩しい!
「みかんの会」というコミュニティの中に放り込まれてしまったひばりを、つばさが助けに行く…というお話。
こうやって簡単にあらすじにしてしまうと、何だか少女漫画的なロマンスめいたものを感じるかもしれない。
でも、この物語はちょっと違う。
…色々あっさりしている!
そう思うのはこのさっぱりとした読みやすい文章だからなんだろう…が、冷静に考えると(いや、全然冷静に考えなくても)この物語にはメチャクチャ残酷なことがたくさん起こっている。
つばさの父の死と、父の死によってマスコミに追い回されるつばさ達、両親によってみかんの会に入れられてしまうひばり、班長に指の骨を折られるひばり、フジ(もう1人の班長)にレイプされるひばり…等。
ひ、ひばりぃ〜〜〜!!!!!
彼女はあまりに可哀想な役回りだった…。
なのに、強かった。
酷い目に遭ったばかりで興奮状態になっていても、後できっとガクッと落ち込む時が来るんだろうな…その時やっと、本当に辛い気持ちになるんだろうか……
…とか、色々考えさせられた。
本を読み終わって物語が終わってしまっても、この子達の葛藤はまだまだ続いていくんだろうなと思った。
物語に触れてそういう風に思ったのは何だか久しぶりだった。
ちなみに「みかんの会」からひばりを助け出すとなったとき、つばさは1人で行動を起こさず、母親を従えていた。
何だかそこだけリアルに感じた。
つばさ1人だけでひばりを助けに行く!
…だと本当にロマンス全開だったかもしれないが、そうするとあまりに物語物語し過ぎるよな…。
そうしなかったその絶妙な塩梅がこの著者っぽい!
ひばりの言葉
「雑味こそが人生かもしれないのに」 -
Posted by ブクログ
2000年前後、
災害やテロ、理不尽な事件が続いたこの時期は、
「癒し」ブームだった(と、どこかで聞いた)。
ちょうど私の生まれた1996年に執筆された
この本は
「時間と癒し」「運命と宿命」を
共通テーマに作成された短編集らしい。
登場してくる全ての女性に共感ポイントがあった。
当たり前ながら、
作者は彼女たちの繊細な内面世界をよく捉えている。
自分が自分であること、自分なりの感性や選択、
自分を形作る重要な性質やこだわりについて、
彼女たちが、
ただありのままに受け入れる様が心地よかった。
自分の選択(運命)や自分が自分であること(宿命)を、ストーリーの中で(時間)受け入れていく(癒し)ことをテーマにした一冊であると理解した。
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Posted by ブクログ
ばななさんの文章は、私の潜在意識に触れる文章。エッセイの中でご自身でも意識されて書いているとあったので、私はまんまと引っかかってる読者の一人だなと思った。
気づかないとスルーしてしまうから、おこがましいけれど、私は気づきやすいタイプなんだろう。たぶん。それでも、腑に落ちない箇所もあって、それはこれから先の人生の中で気づくのか、そこはばななさんと感覚が違うのか。
分からないけれど、読後は、自分の感覚を信じよう、大事にしようと思える。
私の琴線に触れた言葉たち。
「プロは迅速に合理的にてきぱきと、という考え方もあるだろう。
でも、違う考えもある。
どういうプロかを互いにわかりあって、信頼して仕事を頼むというやり方も。」
「このSNS時代において、「大切なことは書かない、言わない、見せない」ということの線引きをやっと人類が学ぶ予兆なのだなと思いました。」
「思い込みが多ければ多いほど、自由の幅が狭まる。」