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Posted by ブクログ
ああ!
なんて美しい文章!この本が200冊目のレビューで本当によかった
『少しも加速を許さない、大いなる力。はぐくみ、こわし、芽生えさせ、土に還す。世界を創る巨大な時計。ここではまだ神が力を持っている。』
HIVポジティブが発覚した喬と、その元彼女である主人公、そして喬の元彼であるゲイの日出雄。喬を元気づけるため奇妙な友情でつながった三人はエジプトへと旅立つ…
よしもとばななの文章を読むけとは、アムリタじゃないけど、ほんとに、美味しい水をごくごく飲むようなものだ!
形にはならないけど、その感動がたしかに人生に潤いをあたえてくれる。
現実にある彼女が見たものを本当にそのまま、しかし美しく描くから、少しも嘘っぽくないし、わたしの世界をもちょっぴり美しくしてくれる。
この表紙の絵が苦手なんだってば!と、言いたいが、きっとこのよさはわたしがもうちと成長すればわかることだろう。いまは文章やそこからくる想像の世界の美しさだけを大切にしたい時期なんだろうなあ。
とっても素晴らしい本でした。検査結果がわからないまま終わるとこなどが普段なら気になるけど、今回気にならないのは、それがどうであっても変わらないであろう心の確かさを主人公たちが持っているから。
全然関係ないのに、なぜか京都にいきたくなった。
美しい、美しい話です。
Posted by ブクログ
大きな出来事で突然に景色がかわる瞬間、見る視点が変わるような、目線がかわるような。その瞬間、当たり前の日常のありがたさとか、普通の日々の尊さを否応無しに感じてしまう。 行き着くところに行ったからこそ見えることは沢山あると思う。
この物語では、突然友人の喬がHIVポジティブだったことがわかり、それを受け入れようとする人たちの旅を描いている。その旅の物語は深刻ではあるけど絶望的ではなくて何か希望を感じさせてくれる。エジプトという、昔から続く命や愛の神の力が今も感じられるような状況で描かれる物語で、真剣に読まないと見落としてしまいそうな何かがあるような気がして、とても丁寧に読んでしまう。静かに淡々と、相当深いところに訴えかけてくることが多い。時々、本当に心臓がドキッとしてしまうほど、人の心や気持ちが鋭く書かれている文章が全体にたくさんある。こういうことを書けるのがすごいな〜って思う、よしもとばななさん。普段、自分の心や人の心とたくさん向き合わないと気づけないようなことではないだろうか。
今できること、自分の生活や当たり前の日常はとても尊く、それをもっともっと大切にしようと心から思える作品だと思う。そして、ものすごく旅に出たくなる作品でもある
Posted by ブクログ
「私」とゲイである日出雄は、かつて2人と恋愛関係にあった喬がエイズで死期が近いことを知り、喬の長年行きたがっていたエジプトへ旅行を決める。
やはり視覚、嗅覚に訴えてかけてくる描写が最大の魅力。今回の主人公はアクセサリーデザイナーだったので、宝石とエジプトの景色を重ね合わせてちりばめられた珠玉の表現には読んでいるだけで癒された。
共に旅する友人たちの頬が夕日に照らされて、ピンクに青に、ゆっくりと輝くシーン。ピラミッドがオレンジに染まり、その稜線が金色に縁取られるシーン。
神がまだ生活に根付いているエジプトの神秘性と、布やアクセサリーなどの単純なのに複雑な色彩、香水瓶から香るエキゾチックな花の香りが、読み手を物語の世界へ誘い込む。
喬の抱えた運命は決して容易なものではなく、それを「私」も日出雄も重々わかっている。物語の根底には暗いテーマが流れているからこそ、エジプト旅の煌めきとのコントラストが余計に切ない。いざ現実へと、日本に飛行機で帰るシーンはほんのりと希望が感じられてほっとした。
エネルギッシュでありながら心の深層に優しく触れるような描写が最高だった。旅に出たいよう。
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