吉本ばななのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本当に文章が美しいと思う。
何か特別な背景や、大きな事件があるわけでもないけれど、癒されて心が軽くなる。すごく好き。
言葉の選び方が素敵すぎる。
「そんなふうにお互いが今どんなに遠いところにいるか、自分たちの関係がどれだけ親しみのない、取り返しのつかないものかということをしみじみと確認しあって、それでも深いところで嫌いあっていないことにすがりつくような気持ちを持ち寄って」
「どんなに他人と親しくなり、その人のことをわかったつもりになっても、結局その他人とは自分の中に生きているその人にすぎない。」
「SINSIN AND THE MOUSE」の母と娘の関係やお互いを想う気持ちがとても好きだ -
Posted by ブクログ
ネタバレあっという間ではなかったかもしれないが、あっという間に読んでしまった感…!
つばさとひばりの物語。
10代の2人がピュアで眩しい!
「みかんの会」というコミュニティの中に放り込まれてしまったひばりを、つばさが助けに行く…というお話。
こうやって簡単にあらすじにしてしまうと、何だか少女漫画的なロマンスめいたものを感じるかもしれない。
でも、この物語はちょっと違う。
…色々あっさりしている!
そう思うのはこのさっぱりとした読みやすい文章だからなんだろう…が、冷静に考えると(いや、全然冷静に考えなくても)この物語にはメチャクチャ残酷なことがたくさん起こっている。
つばさの父の死と、父の死によってマス -
Posted by ブクログ
大切な親や親友、伴侶を失ってしまった人たちが人生を取り戻していく6編からなる短編集。
表題の「ミトンとふびん」を含む最初3編はあまり私の気分とは合わなかったけど、後半3編はとてもよかった。
特に「珊瑚のリング」と「情け鳩」が好きだった。
前者はひとりっ子の娘(明示されてはいないけど多分そう)が母の遺品を整理することを習慣にすることで、少しずつ時間をかけて現実と折り合いをつけていく話。主人公は母の持ち物の一部を普段使いできるものに再利用・リメイクする。思い出と記憶が物に宿って受け継がれていくという豊な営みと、現実世界からはいなくなってしまった母の存在が日常に溶け込んでいく感じがとても感動的だっ