吉本ばななのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
言葉に出来ない興奮を感じ、それをどうしても言葉にしたいのに自分ひとりでは持て余してしまう、そんなときに手にとった本。
大好きな南米の魅力、パワーを、胸に沁みる言葉、絵、写真で綴られた小説。
南米は、行き場のないエネルギーに詰まっていると感じていて、それが溢れる形はこれらの国で生まれる音楽や文学や、政治や人々の生活そのものから感じられるのだけれど、この小説で果たされた「不倫」と「南米」の組み合わせによって発せられるエネルギーは、この2つの色がすごく似ているのか、それとも今この本を読む私の心と同調しているのか、よく分からないけどひたすら圧倒される。
もやもやして、逃げ出したくなって、この本を手 -
Posted by ブクログ
これは、あくまで個人的に、だけど、
あたしの思考やものごとの感じ方と非常に良く似た視点から書かれていて、
ちょっとしたフレーズやセリフの全てに共感できた。
「生きる」ということの本質を、大袈裟にではなく、
優しく掴んでいるヒロインの、大事なものや大事な生活が、
タヒチの光景といい具合に溶けていて、とても良かった。
ファンタジスタに突っ走るわけでも、
リアリストに徹するわけでもない、絶妙なブレンド。
吉本ばななの凄いところは、超!有名な作家になっても、
こういった感覚を忘れずに一貫して表現し続けているところだと思う。
お金も名誉も会社の事情もご時世もいろーんなものが絡んでくる世界にいて、
大 -
Posted by ブクログ
ネタバレ久々に吉本ばななさん。
しかも南米・アルゼンチンが舞台だなんて!
合間に写真も結構載ってていいかんじ♪
Mr.Bookmanで見つけて購入ー満足02♪
旅行記としても、小説としても楽しめる!
実際に足を運んで経験したことが書かれてると、
吉本ばななさんがこんな体験したんやなーとか
こういうふうに見て感じてきたんやーとか思って読めて面白い☆
南米(ペルーやけど)行ったことあるから、
何となく分かったふうに想像して読んだw
でもほんと写真もあるし、その風景が頭に描ける。
小説としても好き。
心地良い瞬間の中で、あー今死んでもいい、って思える。
・・・なんとなく分かる。そりゃあ死にたくはない -
Posted by ブクログ
50向いていないことは、してみないとわからないとよくいうが、本当にそうだった。
94「ここって山梨みたい。懐かしいんだよね。」メンドーサ
117これでいい、今はこれでいいのだ。・・・時間をかせぐのだ、それしかできないのだから。野生動物がじっと傷をなめて、熱をもった体中を癒すために暗がりでただ待っているように、精神がじょじょに回復して、うまく空気が吸えて、まともなことを考えられるようになるまでこうしているのがいちばんいい。そう思った。
121悲しみは決して癒えることはない。薄まっていくかのような印象を与えて慰められるだけだ。
135わかっていた。今悲しいのなら、今。そこにいなくては意味 -
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大きな出来事で突然に景色がかわる瞬間、見る視点が変わるような、目線がかわるような。その瞬間、当たり前の日常のありがたさとか、普通の日々の尊さを否応無しに感じてしまう。 行き着くところに行ったからこそ見えることは沢山あると思う。
この物語では、突然友人の喬がHIVポジティブだったことがわかり、それを受け入れようとする人たちの旅を描いている。その旅の物語は深刻ではあるけど絶望的ではなくて何か希望を感じさせてくれる。エジプトという、昔から続く命や愛の神の力が今も感じられるような状況で描かれる物語で、真剣に読まないと見落としてしまいそうな何かがあるような気がして、とても丁寧に読んでしまう。静かに淡 -
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現実的な夢や、あり得ないことばかりが起こる夢。予知夢を見たり、他人と同じ夢を見たり。たくさんの“夢”にまつわるエッセイ。
友人達と、夢の話をするのは楽しい。私が聞いた中で、最も興味深かったのが“夢の中での自分の家”の話。現実の自分の家じゃないし、見た事もないのに、いつも夢の中の自分はその家に住んでいるんですって。
吉本ばななの宗教に対する考え方が好き。“宗教”と聞くと、オカルトや危ない集団というイメージが強いけど、だれもが一度は考える「なぜ生きるのか?」を真剣に探求する人達の、一つの結果が宗教なんだと思います。だから、哲学者や自己表現活動をする人々と共通する点が多いのでしょう。
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