吉本ばななのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
くるしくなったりさみしくなったりすることを、なんともない普通のこととして書いていてうれしかった。だめになることを特別なこととしてじゃなくて、生活を送っていくなかで当たり前に生じる心の作用として扱っていて、うれしかった。だめって思わなくてもいいし、たとえだめになってもだいじょうぶって、心の底から思っているのが伝わってきた。
文章に独特のリズムや呼吸みたいなものがある。たとえば、ミュージカルはお話が進行する途中で感情が高まった場面で突然歌ったり踊ったりするけれど、そんな感じ。場面がきちんと進んでいくなかで、きゅっと鮮やかな情景描写が入る。それは、風景だったり人の様子だったり心の動きだったりを、すご -
Posted by ブクログ
以前から気になっていたので、読むことができて嬉しかったです。
心が救われる言葉があって良かったです。ダメな時の自分だからこそ分かることや学べることがある、という文章を読んだ時は、なんだか心がホッとしました。
もう一つ良かったと思うのは、
言葉の意味を定義してくれて、自分が抱いていたイメージと照らし合わせて読めたことです。例えば、自分を愛するとは、安定とは、人が生きる意味とは、芸術の意味とは、など。
一番思ったことは、
自分自身のセンサーに敏感になって、もっと自分の好き嫌いを打ち出してもいいのではないかということです。
それが自己表現になるし、生きている意味の根源であると思うからです。
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Posted by ブクログ
父親が若い娘と同棲して自殺未遂したとか、そんな環境かで中学生のキヨカはやけに人生を達観できる人に育って行く物語。
生きづらい世の中なりに邪気を祓いながら存在を確認しあい生きている。友おじさんや国人くんの生態も、変わっていて凄くいい。仕事に縛られずに生きていく術を身につけた人たちの自由な振舞いに憧れてしまう。かつかつの不労所得で慎ましく生きていくって多分そんな感じで、金や色に目が眩むことなく内面を探ることができそうで、でも時間だけは過ぎていく。変わらないものなんてない。
その場に留まっているのは確かにそこに存在してたとゆう淡い記憶で、感じることができる人は稀の様子。
あくせく忙しく仕事に追われて