吉本ばななの【ばななブレイク】を読んだ。
2000年に刊行された著者、初のコラム集だそうだ。主に『CUT』という雑誌に連載されていた
「人々について」というコラムを中心にまとめられている一冊。
小説やエッセイとはまた一味違う「ばなな節」が楽しめた。
とても広い人脈と交流を持っている著者の、「
...続きを読む人々について」考察し、言葉を選びながら書き出していく
文章は、「吉本ばなな」という、ひとりの作家としての視点や、「吉本ばなな」という、ひとりの人間と
しての視点、もしくはひとりの女性としての視点など、様々なアングルから構成されているようで、とて
も興味深い。
だからと言って、感じていることが作家的である、とか芸能人的である、といったことはなく、著者自身
がファン目線で対象となる人々を捉えている為、むしろこちら側、一般人サイドからの感受性に近いもの
があると思う。もちろん、ただのミーハーではなくて、対象となる(尊敬する人物)人々と友人であった
り、交流を持っていたりするわけなので、一歩踏み込んだディープな世界も覗ける。
この作品を読んで僕が感じたのは、コラムの書き方がうんぬんとか、内容がうんぬんではない。
吉本ばななという人の「人との接し方の魅力」である。
「接し方の魅力」とは、なんとも変な表現ではあるが、僕が感じたのはこの「魅力」なのだ。
人との接し方が上手いとか下手とかそういうレベルじゃない。とにかく魅力的な接し方をしているのだ。
「腹を割る」「心でぶつかる」「裏表なく」色々な表現があるとは思うが、そういう言葉で表現できない
人との接し方、つまり魅力的な接し方なのだ。
この魅力的な接し方が、感受性の幅を生み、豊かさを生み、鋭さを生むのだろう。そして、様々な相乗効
果を生むのだろう。
現代社会、人とのコミニュケーションがとれずに悩む人々が多いという。つまり、人との接し方が分から
ないということだろう。僕はその専門ではないので、上手い事アドバイスなどできないが、人との接し方
はこの本の中にヒントがたくさんある。そして、人と魅力的な接し方が出来たとき、魅力的な出来事がま
わりに起こるのだろう。
人と、もっと深く関わって、深く人生を考察してみたい。そして、魅力的な人との接し方が出来るように
なりたい。この本は、僕にとってそう思わせる一冊だった。