吉本ばななのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ惜しい本を、読み飛ばしていた。
が、単行本が出た2015年は、まだ読書生活を復活させてなかった頃だった。
しかも、2011年の新刊『三十光年の星たち』を読んで、宮本輝ともちょっと距離を置こうとしていた時期にも重なる。その『三十光年の~』のレビューの冒頭には、こう記してある。
「宮本輝も齢をとったな、と思わせる一冊だった。佐伯という老人を通して今の若者世代に説教したいことをちりばめたような何とも後味の悪い印象。」
その少し前の作品あたりから、金持ちな老人が出てきて話を引っ張りまわすような感じがあり、うすうすと感じていた説教臭さ、関西の親戚の叔父貴がいかにも言いそうな、蘊蓄や御宣託が多くて、ヤになったのだ。
その後、そろそろどうかな?と、新作を手に取ったのは2021年の『灯台からの響き』。実に10年も間が空いてしまった。
「でも、宮本輝が、ヤなジジイのままではなく、また佳き作家として戻って来てくれた印象を持てた本書は、二重丸だ。」
とレビューしたので、その後は、なるべく読んではいる。
10代、20代のころのように、新刊が出ればすぐに全部読んでいたころとはちょっと違うけど。
そして対談相手が吉本ばなな。こちらも、20代の頃、彼女がデビューした時からの初期の数冊は、単行本ですぐに読んでいた。素敵な感性と表現力を持った大好きな作者さんだ。
そんな二人の対談。ハズレるわけがない。
主に、作家論だったが、とても示唆に富んでいる。何かを創作する人の姿勢、死への心構え、なにより人生との向き合い方が多く語られている。
小説の面白さを教えてくれた人生の大先輩と、同じ時代の空気をすって育ってきた同世代。発せられる言葉が、どちらの口から出ても、スっとしみ込んで腹落ちするのは、数多たの作品を通して、自分なりに感じてきた作者のヒトトナリと合致するところがあるからだろう。
作品や、エッセイから感じ取っていた人物像から、予想通りの、人肌感が伝わるひと言ひと言に、大いに感銘をうけた。 -
Posted by ブクログ
アルゼンチンの澄み切った空気と、それと相反する重い雰囲気。
南米には行ったことがないけれど、その濃密さが読んでいるとグッと迫ってくる。
各写真も挿絵もすごく良い。
作者の吉本ばなな先生が、出版社の人たちと旅しながら肌で感じた南米。ばなな先生の生きることを柔らかく受け止め肯定していく、あの目線でさえも眩むほど、南米の自然の眩しさと壮大さがそこにはあったんだなと。
そして思ったのは、誰でも寂しさを持って生きていってること。南米の人々の、破壊され尽くした過酷な運命もまた寂しさに溢れてるんだなということ。
人の心の寂しさという影。全てを覆い尽くすジャングルの緑とそこに落ちていく夕陽や、落ちる滝の轟音。相反するものが作り出す地球という惑星の尊さ。そんなことを思った。 -
Posted by ブクログ
「恋してる相手と食べるごはんは、家族と食べるご飯とは対極にあって、いつも少し緊張している。」って書き出しにうんうんと共感しながら読み始め。さらっと読めた。
お父さんと市場に行っていた話や息子が小さかった頃の話は著者のエッセイでもよく息子書かれてるけど、スーピータンさんの挿絵もあり、ぐっと濃くなってるように感じる。
台湾で出版された本だけど、台湾の人はどんなふうに受け取るんだろうな〜。
刺さったのはこの文章。
「いつでも一緒にいてくれるだれかがほしかった。大人になったらそんな人はいないとわかっていたし、自分の人生は生きるも死ぬも結局は自分だけだから、自分でしっかり歩いて味わっていかなくてはいけないことだって、知っていた。」
一人自由気ままな今の生活も気に入ってるけど、ずっと誰かと一緒にいて、自分の都合以外で振り回される人生を少し羨ましいと思う自分もいる。 -
Posted by ブクログ
眠れない夜、本が読めない夜、もう何もできない、でもまだ布団には入りたくないという夜、この本だけは読める。ひとつひとつの話が短いからというのもあるだろうけど、辛かったときに吉本ばななさんの本がたくさん寄り添ってくれたから、今も吉本ばななさんの文章を読むと救われるような気持ちがするんだろう。
私にも誰かを救うことはできるだろうか。
【読んだ目的・理由】1、2も読んだから
【入手経路】買った
【詳細評価】☆4.3
【一番好きな表現】こ〜んなにたくさんの人がいるんだから、それぞれの個性や方法で担当する人数がうまく決まっていて、その人たちに与えるために愛を持って才能を発揮していれば、ちゃんと生きていけるだけのお金が入ってくる、それが理想です。(本文から引用) -
Posted by ブクログ
ネタバレ読みやすくて切なくて温かくて、美しい文字の羅列と優しい変人たちという、今回も吉本ばなな先生らしい作品だなと思いながら読書時間を満喫しました。カルトなのに怖くはないし、「ああ、そうなんだ」とどこか納得する不思議作品。どんぶり?何故どんぶり?と思ったら、唐突に出てきた割に、確かに第2話の重要ポジションにあるものだった。やはり食べることは生きることなんだよなあと思うし、しっかり丼物が食べたくなり、なるほど私は今強めに生きているなと実感できる。
今作では勇はあまり出てこないけど、墓守くんと恋人の美鈴さん、そしてミミちゃんのセフレ都築くんが中心となり、死について考えさせられる。
あとがきを読んだら、さくらももこさんが亡くなった頃に書かれているんだろうか…。現実で死に触れても、こんなに前向きで美しい作品を作れるの凄いな。正に天職なんだろうと思う。