吉本ばななのレビュー一覧
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短編集です。身近な人を亡くして傷ついた人たちの魂を癒す旅を描いた物語でした。
タイトルが素敵かつとても示唆的だなぁ、と。人生は人から貰った愛情(ミトン)と消えない傷(ふびん)を両方持った旅みたいなものなのかもしれない…と思いました。
『カロンテ』という作品の中で、身近な人が死んだときに自分の一部もいっしょに死ぬ、という文章があって、本当にそうだよなぁと思いました。一部が死んでも他の部分は生き続けて、いつしか死の痛みも小さくなる…そうやって人は生きていくのだなぁと。
死というものの痛みと同時に死を悼む時間の大切さも描かれた優しい物語たちでした。
吉本ばななさんの表現が好きです。
「綿菓子を食 -
Posted by ブクログ
ネタバレ吉本ばななさんの作品は『キッチン』しか読んだことがなくて、キッチンはとても面白く読めたのですが、こちらの作品はなんたが説明のような文章がクドく感じてしまうところがあり、ある作品では物語自体はもう盛り上がりを迎えたのになかなか収束しない感じが少しもどかしく感じました。
また、登場人物たちが素直ないい子が多くて、途中嫌悪してしまいましたが、読み終わってみて、吉本ばななさん自体がきっと育ちが良くて親兄弟に愛されて育ち、自分も家族が大好きで、周囲にも思いやりが持てるいい人なんだと思いました。そしてそれがばななさんの持ち味なのだと、受け入れられました。
印象的なお話はばななさんの実体験の「光」です。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ過去のあの時に一瞬戻ることはできるし、
戻ることはやっぱり悪いことではないよな、って思えた。
いつかこの日々が終わってしまうことを、誕生日や、楽しかった時間の後に、ふとひとりで思い出して泣いてしまうことがある。それは多分、これからも悲しいことだけど、そう思えるくらい、きっと今の私は幸せで、こんな過去があるなら未来の私もきっと幸せだ。
*強すぎる「すてきさ」は、ほとんど悲しいことと同じくらいにたいへんなのかもしれない。
*あなたが恋人と食べるごはんが、いつか「家族」と食べるごはんになりますように。
そしてそれの積み重ねが、かけがえのない地層となってあなたの人生を創りますように。
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Posted by ブクログ
ネタバレ役に立ちたい、認められたい、特別だと思われたい。社会人になってから、今まで感じてこなかった感情や欲望と出会って、うまく付き合えずに戸惑っていたけれど、なかったことにしなくていいんだと思ったら、ちょっと楽になった。
・大人になんかならなくっていい、ただ自分になっていってください
・(病院の検査についてきてくれた父と祖母に対して)私だけではない、このついてきてくれたふたりにとっても、今日は自分のしたいことができる一日だった
・大人になるということは、子どもの自分をないことにせず、ちゃんと抱えながら、大人を生きるということ
・私は人間はそんなに器用だったりたくさんことができる存在ではないよう -
Posted by ブクログ
死者は、やさしい面影だけを心に広げる。
でもそれは本人じゃないから、昔のこととはいえもっと遠くなる。もう見えないくらいはるかに遠い。手を振っている。笑っている。でもよく見えない。
その人がその人であることは、壊れて行く自由も含めてこんなにも美しい、人に決めてもらえることなんて何一つ本当じゃないんだな、としみじみ光るように生きる彼女を見ていて私はよく思った。
各家庭に、はたからみると考えられないような問題があって、それでも食事したり、そうじしたりするのには何の支障もなくて毎日がすぎて行って、どんなに異常な状態にも慣れてしまったり、他人にはわからないその家だけの約束事があって、どろどろになって