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信仰と自由、初恋と友情、訣別と回復。 淡々と歌うように生きるさまが誰かを救う、完全書き下ろし小説。
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Posted by ブクログ
信仰と家族と愛と自由の話。 吉本ばななさんの本は何冊か読んだけど、この本を読んで吉本ばななさんの良さがわかった気がします。伊豆行きたいな。
ひとことで言ってしまうと、家族で新興宗教に入信した幼馴染を助ける話。閉じられた集団の持つ無意識的な圧力は本当に強力で、なかなか抗うのは難しい。自分の信念や価値観を、自分以外の何か(宗教やインフルエンサーとか)に譲るのではなく、(そっちの方が楽なんだけど)、 大変だけれども、地に自分の足をしっかりつけ...続きを読むて探してみよう、もがいてみよう、自分の足で立つんだよ、っていうメッセージが、よしもとばななさんの作品には共通してると思っている。
宗教の本は今まで避けていたけれど、読んでよかった。ひばりちゃんの言葉に何度も、あるある!ってなった。思想は違ってもいい人が多い。だんだん自分の方が不適合者なんじゃないかと揺らぐ辛さ。同じ時間の迷路の中にいる感じ。いけるかなと思っても、急に教えが顔を出してくるやりとり。 私の抱える宗教に対する違和感の...続きを読む悩みを言語化してくださっていた。
描かれている風景が美しくて、その美しさが苦しかった。いっそ悪者はめちゃくちゃ悪者であってほしいのに実際そうはいかない、みたいな。愛ってなんだろうな。 【読んだ目的・理由】吉本ばなな作品が好きだから 【入手経路】買った 【詳細評価】☆4.2 【一番好きな表現】生きるのは今の連続があるだけで、理屈をつ...続きを読むけてそこに生活を合わせてついていけるようなものじゃないよ。(本文から引用)
一晩で一気読みしてしまった。 宗教二世と被害者家族という重い設定だけれど、自分ではどうしようもない困難や状況に対して、どういう気持ちで立ち向かうか。 家族の中心となる人(つばさの母)はどういう振る舞いと信念でいれば、まわりがグラグラしないか。 日常のなかで、自分の周りの人たちに対して利他的であること...続きを読む。 そういう自分の生活と密接して、グッとくるシーンがいくつもあった。 つばさの飾らない真摯な姿がとても清々しい。 辛い状況の時に読んだら、灯台の光が見えるような本だと思った。
本屋さんで見かけてあとがきのページを開いたとき、最後の一文があまりにも好きでわくわくしちゃった本! あとがきにあった「不器用でいい人たち」、私がなんとなく好きなよしもとばななの登場人物たちを括るとすればこれなんだ、と本当にしっくりきて、作者ってすごいな〜なんて当たり前すぎることを思ったりした。 ...続きを読む消化にはもうちょっと時間がかかりそう
吉本ばななさんの、近年の集大成のような物語だと思った。かといって、スピリチュアルすぎるわけでもなく…。 いつも思うけど、ばななさんの作品に出てくる大人の存在ってとても大きい。(親だったり、おばあちゃんであったり) そして何より、タイトルがとても良かった。 わたしにも港のあたたかな光が見えた気がした。
悪人らしい悪人が出てこないのに、とても苦しくなる物語。望まない善意や、善い閉鎖的な空間がもたらす厄介さが生々しく伝わってくる。それでも、終わりには希望が見える。決して楽しい物語ではないが、色んな人に読んでほしい。 人間、誰しも自由に生きてよい。善意や、面倒見の良さは、それで救われる人もいる尊いもの...続きを読む。しかし同時に、他者の自由を尊重することを、忘れてはならないのだと感じさせられた。他者の自由を尊重する善意を「親切」といい、尊重しない善意を「お節介」と呼ぶのではないか。 主人公のスタンスからは、寛容さは言い替えれば、他人事を他人事と認識することではないかと感じた。海外の暮らしが心地良いという日本人は、他人事として放ってくれる距離感が心地良いのかな。 殊、自分の子供となると「他者」と認識することは難しくなるし、2世の問題をより複雑にするのだろうなと感じた。 人生の重みから逃げて隠遁した生活を送りたい、という願望は誰しも多少はあるのてはないか。それが自給自足の共同体生活を指すのか、リゾートでの施しを受ける生活なのかは人によると思うが。 この本では幼少期の温かな記憶だと描かれていたように思ったが、重みから逃げないために必要なことは何なのだろうかと、考えさせられる。
風を感じても、星空を見ても、木々が揺れても、私にはみんなあなたの面影に見えた。あなたは私の全てだった。 助けてくれたらもう、一生感謝します。すでにしているけれど、いっそう。 私の一生の感謝は、きっとすごく効くよ。 誰かの痛みを無視すれば、必ずそれは自分になんらかの形で返ってくる 私だって人間だ...続きを読むし、疲れるときもあるし、ベストをつくしているし、しょうがないもんね。 生きるのは今の連続があるだけで、理屈をつけてそこに生活を送って合わせてついていけるようなものじゃないのよ。 周りに人がいてもたったひとりで考えるときだけ、人って強くなるじゃない?ひとりで考えるのを放棄して、そのぶん体を動かすって、本末転倒っていうか。 私はどうしようもなく私だよ。これを奪えるのもは、この世にないんだ。神様さえも奪えない。 何も奪わないのが、神様ってもんなんじゃないのか。 人が人を信じるということは、なんと、曖昧なものなのだろう。 思想が合わないところにいるということの本質の洗礼を、僕はその日全身で受けたのだった。 洗っても落ちない汚れみたいに、僕の精神にしみができた。それがくりかえされるのが大人になるということだ。決して落ちないしみだ。 しかし落ちなくても、ていねいに泡立てた石鹸で洗う行為を日々時間をかけて同じようにくりかえすしかない。もし自分が生きたいように生きるのなら。ただ淡々と、歌うように。 過ぎ去ったものって決してもう帰ってこないよね。でも、あったことと、なかったことになったことってやっぱり違うじゃない。 一見つまんなく見えることが多分愛なんだと思う。いつもしているネックレスとか、道端の猫を撫でたら家までついてきたとか、脱ぎっぱなしの服から自分の匂いがしてくるとか、好きな人たちそれぞれの足音とか。 もう二度とあんなふうに痩せてほしくない。あんなふうに包帯を巻いてほしくない。誰かに襲われる心配をしたり襲われたり、そのことを自分の中で暗い形で意気込んで消化したりしてほしくない。最後まで無事に安心して髪の毛を乾かしてほしいだけだった。
ひさびさばなな。 スピリチュアルな感じでなんだかなぁと思って最近はあまり手に取ることはなかったばなな作品だけど,これはすんなり読めた。なんでだろう。 若い時は、どっぷりはまってほとんどの作品はよんでいたんだけどな。 なんといってもこの小説の肝はつばさのお母さん。とてもとてもカッコいい。理想の母...続きを読むだな。 ダイヤモンドみたいな言葉がたくさん散りばめられた小説だった。こうありたいと思うあまり、今の自分の矮小さに嫌気がさしてしまう。 この歳になっても、いや、この歳になってからこそ、人として成長したいもんだとつくづく思う。
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