この本を手に取ったきっかけは、お友達からのメールでした。
この本の中に、よしもとばななさん的『青森の人』が書かれている一節があって、そこに書かれていることが私のイメージにぴったり当てはまる、とそのお友達が言っていて、気になって手に取りました。
よしもとさんの小説はよく読んでいたけれど、エッセイ集を手
...続きを読むに取るのはたぶん初めて。
件の『青森の人』の節は「そうか~」と嬉しくなりながら読み(そのイメージが嬉しかった)、そして読み進め…。
特に感動させようとかという雰囲気もないし、悲しい話は一切書いていない。だけど特に最終章では、『生きるということ』について考えながら読んだりしていて、無意識にほろっと涙が出るような感覚に陥った。
感動でも悲しくて、でもなく泣く。切なくて温かい感じ?
そういう気持ちにさせる本、恐るべし、と思いました。
この本の中のある一節が物議を醸したらしい。
よしもとさんが知人と都内で食事会をしたときの話を書いた節。持ち込みが禁止されているそのお店に、その日は本当に特別な日で、特別なワインを持ち込んだ。だけどどれだけ頼んでも(周りにお客は誰もいないのに)店主は受け入れてくれなかった。そのことに対して、「人間の幅の狭さ」と苦言を呈している節です。
こういう問題は受け取り方如何だなぁ…と。
ルールは確かにあって、そのルールの中で楽しんで欲しい、と思い融通を利かせない店主の行動はけして間違いではない。1人だけ許してしまうと、その先どんどんルールを崩さなきゃいけない結果にもなりうるし。
私は1人の飲食店経営者として、その店主の気持ちもすごーくよく解ります。
だけどやっぱり気持ちも大事。対象に合わせて臨機応変に対応するのも必要なことだ、とも思う。
そこでの行動如何で、相手の気持ちって如何様にもなると思うから。不快な気持ちで帰らせるよりは、気持ちよく、また次も来たいねって思いながら帰ってもらいたい。
よしもとさんの言いたいことはそういうことなんじゃないかな、と思った。
ほんとに難しいことですけど。私も痛い経験してるから解る(笑)
人間の心の豊かさ。幅の持たせ方。思いやり。
それを意識するかしないかで、人の人生は大きく変わってゆく。
だから意識して生きよう…この本を読んで、そんなことを思いました。