吉本ばななのレビュー一覧
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よしものばななの短編集。個人的には最後から2番目の短編が好きだった。本書を読んで1番に考えさせられたのは恋愛やSEXについての価値観。よしもとはこのように二者を並列に語っていることからも2つを独立して存在する概念として捉えている。恋愛の中にSEXが包含されるのではなく恋愛と肉体関係を別物として割り切っているのだ。平たく言えば性愛に関して開放的で不倫や一晩の情事などの行為を恋愛に縛られることはない自由なことだと謳っている。これは価値観の相違であり是非が問題ではないので1つの考え方としてインプットしておこうと思う。また気づいたこととして挙げられるのは今まで読んできたよしもとばななの小説には必ずと -
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詩集のような美しい言葉が詰まった小説。
序盤の方で、君は説明が多すぎる、といわれた主人公は「どこまでも、どこまでも説明をしたら私の血管を流れる血のことさえわかってもらえるかもしれないという甘えは、歳よりも老けた私が淋しい私の肉体から全宇宙に発信していた唯一の子供の心だった」と考える。
序盤のこの「説明が多すぎる」という投げかけは、作者の意気込み、この小説の挑戦にも感じた。
わかってほしくて言葉で説明しようとするとき、その言葉に載せきれないものこそ、ほんとうに伝えたいものだったりする。言葉の器でそれを映し出したい時は、どうやったらよいだろうと読後もしばらく考えている -
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なにかの折に読む、吉本ばなな本。並行して生きてるんだけど、たまにちょっと引きつけられるように寄っていく感じである。今回、有名人が亡くなったり長寿番組の出演者が交代したり、友達に嫌われて断舎離されたり、娘たちが大きくなって手がかからなくなってきたり、と、寂しさを感じることが多かったところに、この本!!タイムリーでした。ばななさんは言っています。「『もう少し人生のことを考えたい、だれか他に私のような人はいないのかな?』という人がいられる場所がここです。」p.277 そういう場所、ほしかったんだよ、私。
宇宙マッサージとかはできないけど、開放されるっていうか、ばななさんが言う「宇宙を信じて、この -
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3.5に近い4
相変わらずのばななさんの優しい言葉と、挿絵Soupyさんのあたたかい絵が寄り添う、すてきな本だった。(mujiブックスで発見)
愛する人とご飯を食べることって、人生の中で最も尊くて幸せなことと言えるんだろうなあ、
そして愛する人に食べさせてあげたいと思うこともとても尊いことなんだなあ、、、
としみじみと思う。
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すてきなことも悲しいことも、あるときまるで災害みたいに強い力でやってきて、人生の流れを変えてしまうことがあるかもしれない。
強すぎる「すてきさ」は、ほとんど悲しいことと同じくらいにたいへんなのかもしれない。
人生は一度しかなく、なるべく幸せでいたほうがいい。
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Posted by ブクログ
中学生のときに初めて吉本ばななさんの小説を読んだときに深い衝撃を受けて、それから大人になって今まで、全作品ではないものの折に触れて読んでいる。
そして読むと、どんな内容であっても「あぁ、吉本ばななさんの作品だな」と思う。スタイルが一貫している、と感じるから。
この作品は「哲学ホラー」と銘打っているらしい。主人公は、双子のミミとこだち。幼い頃に事故で父親を亡くし母親が寝たきりになってしまって以来、2人で支え合いながら生きてきた。しかしある日、こだちが突然失踪してしまう。それは、寝たきりの母を眠りの世界から救うためだった。
交通事故の原因、異世界人、屍人、夢見の才能、そしてこだちの行方。故郷の吹