吉本ばななのレビュー一覧
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吉本ばなな氏のエッセイを読むと、自分はどういう文章を書きたいのか、というのがじわじわと見えてくる気がする。あと、どう生きたいのかも。「どう生きるか、ちゃんと考えなきゃな」と思わせてくれる、というのが正しいかも。自分の中のずれに気づかせてくれるというか。心地いいんだよな〜。本を読む気にならないときもこの本だけは読めるんだよな。
そして何ページかに一回、全身をぐわー! と駆け巡る言葉がある。言葉に助けられて生きていると実感する。
【読んだ目的・理由】前作が好きだったから
【入手経路】買った
【詳細評価】☆4.4
【一番好きな表現】自分の心音、呼吸、考え方が決めたペースを取り戻すには、手を動かすことが必要だ。(本文から引用) -
Posted by ブクログ
「あなたと恋人と食べるごはんが、いつか「家族」と食べるごはんになりますように。そしてそれの積み重ねが、かけがえのない地層となってあなたの人生を創りますように。できればそれが幸せなものでありますように。」
「キャンドルを灯して、ビールやワインなど飲みながら、暮れ行く空を眺めていつもと同じ人たちと食べる晩ごはんのメニューを考える瞬間の幸せは、人生の数々ある幸せの中でもそうとう大きいと思う。しかしそれも、食卓を囲む家族を愛していてこそだ。そんな愛があなたの世界にありますように。」
これらの文章が特に心に響いた。最近、夕ごはんのメニューを考えることをストレスに感じつつあったけど、今一度原点に戻りたいなと思った。心が温かくなるの本だと感じた。 -
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ネタバレ弥生と叔母のゆきのの2人の話。正確にいうとまったく2人だけの話ではないが、私はこの2人のための話だと思う。この2人が姉妹だとは考えも付かなかったが、分かってからもう一度読むと血縁関係があることがありありと分かった。特に、ゆきのがいなくなった家で母親が弥生に電話をかけたシーンなんか血のつながりをよく表している。母親がけろっとした声色で「早く帰ってらっしゃい。」というシーンは、あまりにもあっさりしすぎていて違和感を覚えた。
血のつながりというのは果てしないもので絶対的なものだと思った。それに早くから気づいた哲夫はすごい。
哲夫と弥生の関係はすごく好きだった。哲夫が真面目すぎる故に成り立っている恋愛。だからこそ弥生は哲夫に惹かれるのだと思った。ゆきのだってそうだ。正彦は哲夫とよく似て真面目だ。
ここにも血のつながりが現れている。 -
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「私」とゲイである日出雄は、かつて2人と恋愛関係にあった喬がエイズで死期が近いことを知り、喬の長年行きたがっていたエジプトへ旅行を決める。
やはり視覚、嗅覚に訴えてかけてくる描写が最大の魅力。今回の主人公はアクセサリーデザイナーだったので、宝石とエジプトの景色を重ね合わせてちりばめられた珠玉の表現には読んでいるだけで癒された。
共に旅する友人たちの頬が夕日に照らされて、ピンクに青に、ゆっくりと輝くシーン。ピラミッドがオレンジに染まり、その稜線が金色に縁取られるシーン。
神がまだ生活に根付いているエジプトの神秘性と、布やアクセサリーなどの単純なのに複雑な色彩、香水瓶から香るエキゾチックな花の香りが、読み手を物語の世界へ誘い込む。
喬の抱えた運命は決して容易なものではなく、それを「私」も日出雄も重々わかっている。物語の根底には暗いテーマが流れているからこそ、エジプト旅の煌めきとのコントラストが余計に切ない。いざ現実へと、日本に飛行機で帰るシーンはほんのりと希望が感じられてほっとした。
エネルギッシュでありながら心の深層に優しく触れるような描写が最高だった。旅に出たいよう。
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Posted by ブクログ
新幹線でほぼ4時間分
第一部は、多重人格を治療中の少女マリカと彼女に残された最後の人格の少年オレンジ、そして彼女(彼)を10年来支えてきた元医者ジュンコでバリを訪れる話。第二部は、第一部を綴る上で作者が仲間たちと訪れたバリの思い出が日記になっている。
バリの明るく澄んだ風景とマリカあるいはオレンジの暗い過去や鬱屈とした心とのコントラストに引き込まれる。バリでの旅を通して、だんだんと心が解れていきジュンコとマリカの関係性が医者一患者ではなく人間一人間になっていく。
その過程で自ら離れていく第二人格オレンジもまた魅力的な登場人物だ。マリカを外界の恐怖から守る姿はまさに王子様そのものだった。オレンジがマリカの第二人格として過ごす最後の夜、エメラルド色のプールで泳ぐシーンは何度も読みたくなるほど美しかった。
追記)改定後は「私」が精神科医ではなく、主婦になっているようです。
第二部では、第一部で描かれた場所やものを作者たち目線で楽しめる。風景の描写が美しく、実際にバリに行っているような気分になれる。バリの濃い森の空気、神秘に富んだ風土を私もいつか体感したいと思った。