奈良美智さんとのコラボ
表紙と挿し絵がとても可愛らしく、
絵本と小説が合体したような本。
文章を読みながら今この描写の絵かな?と
見比べながら読むのもとても面白かった。
表紙の「夜の笛-ダリアを呼ぶひな菊」
無心でたて笛を吹くひな菊の純粋無垢な姿と、ばななさんの不思議な世界観が表現されていて一番好き。
最後の「宇宙に浮かぶ小箱」の絵も好き。
だって、いろいろな人の思い出が詰まった箱が
いっぱいあちこちに浮いてるの想像すると夢があって面白い。(箱に顔の絵が描いてある。)
どの絵も可愛いらしくて家に飾りたくなっちゃう。
幼い頃に母を亡くしたひな菊は、親友のダリアに支えられ十数年後ダリアから1通の手紙が届く。
母の死、ダリアとの出会いと別れを通してどのように考え人生を生きようとするか描かれている。
特に印象に残ったのは、ひな菊の夢。
ひな菊の見る夢の意味が最初よく分からなかったけど、夢のパズルが解けた瞬間は
トリハダかたった。
ちょっとファンタジーぽいけど虫の知らせみたいで実際にありそうで怖い。
『キッチン』の夢のシンクロとは違い、夢の不思議な交流が物語のキーワードになっていてミステリアスで面白い。
二人の名前がダリアとひな菊と花の名前になっているのも気になった。
ダリアの花言葉は「友情」と「感謝」
ひな菊の花言葉は「希望」「あなたと同じ気持ち」、二人の似た境遇、気持ち表していてるようで物語にフィットしているように思える。
ひな菊は「死」は平等で誰にでも訪れる、稀ではないと言っていた。
でも私にとって「死」は特別で平等ではない。
自分の死は受け入れられるけど、大切な人の死は特別。自分の心の支えだったり、何で?悪いことなんかしてないのに?早世と長寿、死にかたでもまた違ってくる。
ただ、そう思わないと前には進めないのも事実。
なので大切な人と互いに生涯心の支えになるような思い出をいっぱい作って、私、大切な人の箱に入りきれないほどの思い出を詰め込めるように生きていきたいと思う。
吉本ばななさんの本を読むと
フワフワするような不思議な気持ちになる。
悲しいような?せつないような?
それでいて優しくてあたたかい。
こう感じるのは自分だけなのか?
ばななさんの世界観によるものなのか?