あらすじ
吉本ばななの人生を一変させた人々の言葉や生き方を紹介する「ひきつけられる人々」。
特異な緊張感がみなぎる「海外に向けた仕事」。胸に迫ってくる「心をゆらす様々なできごと」他。大きな気持ちで人生を展開する人々を描き、また、独特の視点で生活と事物を見極める吉本ばなな初のコラム集。
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Posted by ブクログ
パイナップルヘッドよりもっと真面目なエッセー。作品に反映されている、死を巡って思うこと、亡くなる直前の人の透明感、とか、宗教への関心、とか、これだけの人をひきつける作者なりの考えと責任感というものも反映されていて、エッセーなのに、小説みたいに惹かれる本だった。
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ばななさんのすきな人のはなしがとてもよかった。
その人の音楽がききたくなったり、その人の本が読みたくなりました。
そして、本読んでます…(笑)
Posted by ブクログ
吉本ばななの【ばななブレイク】を読んだ。
2000年に刊行された著者、初のコラム集だそうだ。主に『CUT』という雑誌に連載されていた
「人々について」というコラムを中心にまとめられている一冊。
小説やエッセイとはまた一味違う「ばなな節」が楽しめた。
とても広い人脈と交流を持っている著者の、「人々について」考察し、言葉を選びながら書き出していく
文章は、「吉本ばなな」という、ひとりの作家としての視点や、「吉本ばなな」という、ひとりの人間と
しての視点、もしくはひとりの女性としての視点など、様々なアングルから構成されているようで、とて
も興味深い。
だからと言って、感じていることが作家的である、とか芸能人的である、といったことはなく、著者自身
がファン目線で対象となる人々を捉えている為、むしろこちら側、一般人サイドからの感受性に近いもの
があると思う。もちろん、ただのミーハーではなくて、対象となる(尊敬する人物)人々と友人であった
り、交流を持っていたりするわけなので、一歩踏み込んだディープな世界も覗ける。
この作品を読んで僕が感じたのは、コラムの書き方がうんぬんとか、内容がうんぬんではない。
吉本ばななという人の「人との接し方の魅力」である。
「接し方の魅力」とは、なんとも変な表現ではあるが、僕が感じたのはこの「魅力」なのだ。
人との接し方が上手いとか下手とかそういうレベルじゃない。とにかく魅力的な接し方をしているのだ。
「腹を割る」「心でぶつかる」「裏表なく」色々な表現があるとは思うが、そういう言葉で表現できない
人との接し方、つまり魅力的な接し方なのだ。
この魅力的な接し方が、感受性の幅を生み、豊かさを生み、鋭さを生むのだろう。そして、様々な相乗効
果を生むのだろう。
現代社会、人とのコミニュケーションがとれずに悩む人々が多いという。つまり、人との接し方が分から
ないということだろう。僕はその専門ではないので、上手い事アドバイスなどできないが、人との接し方
はこの本の中にヒントがたくさんある。そして、人と魅力的な接し方が出来たとき、魅力的な出来事がま
わりに起こるのだろう。
人と、もっと深く関わって、深く人生を考察してみたい。そして、魅力的な人との接し方が出来るように
なりたい。この本は、僕にとってそう思わせる一冊だった。
Posted by ブクログ
雑誌「CUT」で連載されていたものを中心として作られたコラム集。
ひきつけられる人々の話題がメイン。
畑正憲さん、村上龍さん、カートコバーン、アイルトンセナ、小沢健二さん、銀色夏生さん、藤子F不二雄さん、坂本龍一さん、などなど。
藤子F不二雄の章では、周りの男性漫画家が圧倒的にエスパー摩美が1番好きと答えてる人が多かった、という項目が面白かった。明るく元気な主人公だけど、毎回取り上げられる人物たちの人生はなかなかダーク。男子ウケが良いのは、摩美ちゃんが画家のお父さんのモデルになるためにしょっちゅう脱いじゃうからだろ、と突っ込んでるところも面白かった。
また、映画をいくつか紹介しているのだが、忖度せず、つまらないものはつまらないというばななさんが潔く感じた。
ジョニーデップの「アリゾナドリーム」は良い映画と書いてあったので、今度読んでみようと思う。
Posted by ブクログ
日本映画の意味とは、日本の町並みや光と影や雲や水や山々を撮り、私たちが味わってきたような日本のすばらしさを表すことだけなのではないかとさえ思った。
*・*・*・*・
若い。とにかく若い。
若さゆえの傲慢やつっかかりが少し読みにくかったけれど(なにえらそうに言っちゃってるんだろうね)、でも、よかった。特に最後の方。日々の儚さと大切さを、とてもよく、身を持って知っているひと。
Posted by ブクログ
◆吉本ばななの人生を一変させた人々の言葉や生き方を紹介する「ひきつけられる人々」。特異な緊張感がみなぎる「海外に向けた仕事」。胸に迫ってくる「心をゆらす様々なできごと」他。大きな気持ちで人生を展開する人々を描き、また、独特の視点で生活と事物を見極める吉本ばなな初のコラム集。◆
『何かを創る人間にとって最も大切なことは昔から変わりない。自分が時代の空気を自由に呼吸し、得た感動を消化して作品にして、世間に還元しているという実感だ。』
『その人が徹底してその人であり続けて全うする人生ほどすばらしいものはない。そこには善悪はない。ただその魂の色と力が残像のように残るだけだ。』
『「(略)回復率の低い重病患者を二組に分けて、一組は通常の治療だけ、もう一組は治療のほかに彼らの知らないところで面識のない人々が陰ながら回復を祈る、というのがあって、結果は祈られたグループの回復率がぐんと高かったのです。(略)」』
『「(略)気分が落ち込んでいる時に、気持ちのいい見知らぬ人とやさしい話をすると元気になる時がある。(略)こういう時に、『人の力』を感じる。」』
『「あーぼうは、日いちにちとおしゃべりになり、あれこれうるさくなってきている(略)このあいだまでは何もかも、私の言うことを聞いて、うんうんうなずいていたのに、今ではちがうちがうばっかり。たぶんこれを人は反抗期というのかも。でも、NOということを知ったのは、大きな意識の広がりだったろう。」』
『人が自分を自分よりも大きく見せようとしたり、人に何かをこう思わせよう、としないでつづった文章というのは、このように気持ちのいいものだ(略)』
『その人が本当にその人の言うべきことを言い、するべきことをしていれば、世の中に不可能はほぼないのだろう。』
『人生は人のことをどうこういうよりも、自分のできることを苦しく楽しく一生懸命やり、泣き、笑い、他者に貢献し、周囲の人々を愛し、毎日を生ききっているうちにあっというまに終わってしまう。それでいいような気がする。』
『自分で飼っていて、だから忙しくてもきれいにしなくてはいけない汚れた亀……なのではなくて、違う速度で生きている地上の仲間と、同じ時間を偶然にも共有しているのだと思えてきた。亀に合わせてゆっくりと眺めると、植物も、犬たちも、置き物たちも、同じ時間を共有して、静かに息づいていた。光の入る角度で変わっていく一日というものは思いのほか長く、同じ光は二度となく、世界はいつもみずみずしく思えてきた。』
『この世の誰もがみんな、自分の魔法を持っている。』
『そしてそれは「あっても別に損はしないし、便利かもしれないし」と自分の中で無理に納得しているということだが、そこで汚されるのは、もっと大きなもの、例えていえば魂のようなものなのだとなぜわからないのだろう?自分の人生の選択はどんなに小さなものでも自分でするというのがどんなに大切なことかなぜわからないのだろう。』
『ど、どうして日本人は何でも「身内」でこぢんまりとまとまり、「仲間と」マスターベーション的なことを小さい世界でやり続けるのが好きなんだろう。』
『あそこには私が小さい頃にちょうど日本人がだいじにしていたものがみんなあったような気がする。そんなに面白おかしいことがなくてもこつこつと生活し、ちょっとくらいしんどくても人がくればもてなし、自分のこだわることには決して手を抜かず、きちんと身ぎれいに暮らし、あまりぐちもこぼさず、素朴でおいしいものをきちんと食べて、自然に親しみ、熱い風呂を愛し、動物を飼って、夜になれば眠り、朝早く起きる、そういう暮らしの匂いがした。』
『子供の頃は、家族と学校と家の近所だけが全世界だ。それじゃあさぞかしせまかろうよ……と思うのは大人の考えで、その小さな世界の中にはこの世のすべての出来事がいちばん基本の形でぎゅうっとつまっていて、足元のアリンコから、やってない宿題から、おばけから、友達とケンカしたことまで何もかもが極彩色の激しい色で日々展開しているのだから豊かすぎるくらいだ。(略)大人になって結婚したって、あの頃あの子といたようにはワクワクしないだろう。全宇宙はあの頃よりも秘密に満ちてはいないだろう。(略)そのぬくもりにあんまり気づいていなくて、でもその贅沢さこそが子供の生命の力そのものだからいいのだ。(略)そして子供は命があふれているから、いちいちそんなことで感動したりしないけど、大人は時間に対していくぶんびんぼうになっているので、ハッとしたり、する。』
『きちんと生きるということは、きれいごとではなくて自分を知っているということだ』
自分が影響を受ける文を書く人が影響を受けたもの って、興味深い。
すなわち、名も知らぬ人の「感動体験談」よりずっと響く。
「私が感じた感動を伝えたい」と思ったら、私自身をもってして心を動かし良い変化をもたらす人間になること。そうすれば、その伝わり方は格段に上がるのね。