吉本ばななのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
世界は広い。世界はひとつだけではない。それを本書でいう「裂け目」というのだろう。感受性が強い人はきっと日常の中で普通に経験しているのだと思う。
私は霊が視えたり、ここは前世で来たなとわかったり、そういうタイプではないけれど、どきどき言葉にできない「あっ……」となる瞬間を感じることがある。その瞬間を振り返ると、人生の分岐点になっていたり、何かから救われていたりすることがある。
本当に受け取りが強い人は、そんな穏やかな経験だけで済むわけではないのかもしれない。それでもきっと意味があることなのだろう。
どきどきこの本を読んで、自分がみえている世界だけが全てではないことを思い出したい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレタイトルの通り、これまで暮らしてきた街や、家族旅行で訪れた思い出深い場所について綴られたエッセイ。なかでも印象に残ったのは、サイキックカウンセラーの友人とのエピソードです。彼女との交流は、その後の章でもたびたび登場し、著者の心の支えになっていることが伝わってきました。
街の記憶をたどる中で、「死」というテーマも静かに浮かび上がってきます。大切な人を失ったときの喪失感と、そこに宿る温かい記憶。そんな思いに寄り添うように紹介されていたのが、ヒロトの言葉——「いなくなったことはたいしたことじゃない、いたことがすごいんだ」。この一言が、読後も深く心に残りました。
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Posted by ブクログ
まず質問の内容が、今現在だったりこれまでだったりで自分が悩んできた、しかもこれはセンシティブだろう!と思ってた系の悩みの数々で、まじで人間ってみんな同じような悩みを普遍的に抱えて生きてる生き物なんだなって思った。自分の悩みって、こうやってすでに大体同じ悩みを抱えた先人が答えを出しているから、時代が変わっていったとしても、自分が何事もなく100歳まで生きるとして、少なくともわたしが生きる残りの数十年間は、なんか凹んでも生きていけそうだなって感じた。
あとこれ、、あとがきの吉本ばななさんとご友人のエピソードがめちゃくちゃ良かったんだけど…。読んでて泣くと思わなかった…。 -
Posted by ブクログ
社会の歪みとか不条理さを実感していなかった
学生時代に、この本を読んでいたら、
「へぇ〜」で終わっていたような気がする。
でも今読むと、
自分が“正しい”と思っている価値観が
大切な人とずれてしまうことの切なさが
痛いくらいに分かる。
“悪い人じゃない、でも自分にとっては悪だ”
そんなことばっかりだよ。世の中。
だからこそ、この物語の主人公の
ひばりちゃんとつばさくんの
不器用で誠実で温かい人柄が
愛おしくて愛おしくて。
絶滅危惧種かもしれないけれど
腐らないで生きてほしいし、
私もそういう人間でありたいと思う。
なんかもう本ごと
ぎゅって抱きしめたいくらい
2人が大好きになった。 -
Posted by ブクログ
美しいはずなのに苦さのあるお話でした。
宗教=洗脳 というイメージ(事実だけれども)から
教徒以外は良い印象がないけれど、教徒からすると
そのコミュニティがファミリーで、帰る場所で、守られる空間。宗教の非常に難しいところを親子関係というこれまたセンシティブな内容でしたが上手くまとめられていました。
また、女性側の宗教のコミュニティと男性の家族コミュニティの絆がある意味対になっているのかなとおもいます。
大切にしたい、傷つけたくない。だからこそ手放さない。関係が難しいなと思いました。主人公の未来はきっと苦労が多いと思いますが、良いものになりますようにと願いたいです☆⋆* -
Posted by ブクログ
私がよしもとばななを読み始めるきっかけになった作品。初読時からずっと好きです。2.3年ほど前に読んでから、いまでもこの作者の本の世界で冒険しています。✈️
吉本ばななと言えば、儚く脆い人物像とそれに抗う強い生命力のコントラストが心地よく調和されていて、せまい一本橋を渡っている不安定な不安さを持ちながらもあたたかい人物と優しい文体からくる安心感があるように感じます。
難しい言葉をやさしく言い換えたような表現が多くて非常に読みやすいです。
TUGUMIを最初に読んでから他作品を読むと
「こんなにもじんわりと人間の底にある生きるみなもとを身近に感じるように書くことが出来るのか」
と思い