吉本ばななのレビュー一覧
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これは夢の話。でも描写が本当の記憶のようで、読んでいたらいつの間にか夢ではない話だと錯覚していたのは不思議な感覚だった。私自身、毎日夢をたくさんみるのにすぐに忘れてしまうので、元々好きな吉本ばななさんの言葉で綴られる夢の話は、大変興味深かった。また、毎話 最後のページに原マスミさんの青い素敵なイラストが描かれていることにより、あぁそうか、これは夢の話なんだよな、と現実に引き戻されるような感じが読んでいてとても好きだった。白、青、白、青。考えてみたら、夢って青のイメージかもしれない。
余談:かなり前に出版された本だったので本屋さんに置いておらず、フリマアプリで購入したら、本を開くたびに知らない誰かの家のお香の匂いがしたのも印象的だった。 -
Posted by ブクログ
6つの短編集
どの物語も旅先という非日常の場所で
自分の心の痛みや喪失感に向き合う瞬間があって
その時に向いていた心の行く先が
過去から現在
現在から未来
そして 未来から現在
を行きつ戻りつしていくような印象を持ちました
別れた経験は忘れることはないし
新たな喪失と向き合う不安もたくさんあるけれど
思いのたどり着く先は
自分自身がいなくなってしまうその時
その事に気がついて
物語の主人公たちと同じように
今のこの時が奇跡に近い尊さだと悟った
これから
年を重ねていって
人を見送ることが増えて
痛みや喪失感は澱のように溜まり続けていくから
しんどくてやり過ごせなくなったら
私も旅に出かけてみよう -
Posted by ブクログ
星100個くらいつけたい。このあとたくさんマーカーを引くだろうし文庫が出たら買うだろうしもしかしたら困っている知人にプレゼントしたりもするかもしれない。
そのくらい名言だらけだったし、1章がまず心身の健康の話からはじまるところもさすがばななさんな秀逸なセンスだと感じた。けれど、あとがきでばななさんがライターさんにチクっと一言おっしゃっているところが私は胸がキュッとなった。著者とライターさんが、そんな一言で悲しくなったりなられたりする関係じゃないことを祈るばかり。(あと、これはもしやアサギストさんかしら?ハッピーちゃん界隈かしら?的なある人の例についてピシッと書いていたところも、少し攻撃的な言い方に感じた。)
でもそのウッとなったことを加味しても余りあるくらい響いた1冊。読んでよかったです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「人間っていうものは本当に、いれものなんだ、と思うんだ」という言葉が好きだった。中身はどうにでもなる。生きているとそう感じることが多いので、特に共感した部分だった。
アムリタを読むと、人が生きていくには本当に何でもない日常みたいなものが必要不可欠なんだなと感じる。おいしい水をごくごく飲むようなもの、と表現されているように。それくらい必ずあったほうがいいものなんだなあと思った。
また弟が何気なく言った言葉が好きだった。
「好きなひとといて、今みたいな楽しい気分の時に見たら、星もUFOも関係なくてただきれいに感じてびっくりするものなんだね」 -
Posted by ブクログ
ネタバレ好きな情景描写や言葉が多くあった。「何もかもに触ってから確かめたい」という言葉が好きだった。
とにかく触って確かめる。そういう心の持ちようみたいなものがいいなあと思った。
また朔美が弟にたいして、何かしてやりたいと思ってしまう感情に共感した。なにもしてやれないのに。何もできないことを知った上でも、してやりたいという感情に。
特に印象深い情景は、「夜は油のように重く、静かに町並みを満たしていた。あらゆる路地、街角が意味を持って暗く黙っているようだった。」街そのものが二人の行末、二人自身を見守っているような描写。
物語の間に挟まれる情景描写がとてもよくて、空気感を味わえるのが好きだった。 -
Posted by ブクログ
1. 「役割」から「自我」への認識の変容
子供の頃は周囲を「理想の姿(役割)」としてしか見られなかったけれど、大人になった今、一人ひとりが持つ**「割り切れない自我」**を認められるようになった。その変化が、物語への深い共鳴を生んでいます。
• 「灯台」としてのお母さん: 彼女は単なる「母」という役割に収まらず、周囲を混乱させるほど強烈に発光する一人の女性(個)として存在している。
• 「役割」への抵抗: 人生や役割を、データや限定された情報に還元してはいけないという倫理観。それは、アプリ開発やAIに関わる今のあなたの「論理的側面」と「感性的側面」を繋ぐ重要な視点になっています。
2. 登場人物に映し出す「今の自分」
主要なキャラクターたちの立ち振る舞いに、自身の現在地や理想を見出しました。
• 弟・ヨシズミへの共感: 年齢は違えど、冷静に周囲を観察し、自立した内面世界を持つ彼の姿に自分を重ねた。
• 姉・佐久美への好感: 記憶を失い「透明な器」となった彼女が、今この瞬間の感覚(皮膚感覚や味覚)を大切に生きる姿勢に惹かれた。
• 自立した家族像: 血縁や「つらさ」でベタベタと繋がるのではなく、個々が自立した上で共鳴し合う、風通しの良い関係性への肯定。
3. 日常を乗りこなすための哲学
この物語を「人生の授業」と捉えたあなたの心に残った、具体的な指針です。
• 孤独の全肯定: 孤独を排除すべき病理ではなく、自分という「宇宙」を構成する不可欠な要素(仕様)として受け入れること。
• 「今」への定着: 「Be in a moment and enjoy it」。過去の記憶や未来の不安に振り回されず、今目の前にある日常を丁寧に味わうこと。
• 日常の深み: 大きな喪失があっても、淡々と続く生活の中にこそ真実があるという、吉本ばなな作品特有の「明るい諦念」への理解。