あらすじ
病弱で生意気な美少女つぐみ。
彼女と姉妹のように育った海辺の小さな町に帰省した私は、
まだ淡い夜の始まりに、つぐみとともにふるさとの
最後のひと夏を過ごす少年に出会った――。
少女から大人へと移りゆく季節の、二度とかえらない
きらめきを描く、切なく透明な物語。
〈第二回山本周五郎賞受賞作〉
*著者のエッセイを増補した新版。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
夏を感じられる小説って聞いて、読んだ。つぐみの性格が気持ちが良い。あと切ない描写がとても上手だなぁと読んでて思った。旅行と並行して読んでいたので、尚更不思議な感覚と、目の前にありありと情景が浮かぶ書き方だった。キラキラ輝く海水浴の様子とか、浴衣を着る様子、花火を見に駆けていく様子とか鮮明だった。
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海x夏x夕陽
主人公がある夏、最後の帰省で過ごした海辺の町での出来事が描かれている。
相変わらず描写が美しい。脳内がうっとりする。
起きていることは些細なことなのに、情景がこうも心に残るのは、さすがばななさん。
痛快なつぐみ。
自分の中の「悪い自分」を解放したいときに読むのも◎
毎年夏になったら読もうと思う。
Posted by ブクログ
小学生の頃に読んだことは覚えていたものの、肝心の内容はすっかり忘れていた。
それでも読み始めたら海辺の町の夏の空気感を思い出してとても懐かしく感じた。
海辺の町で過ごしたことなんてないのに。
作中から受けた印象と、幼かった私自身が経験したもう戻ることの出来ない親族と過ごした夏の思い出が混ざり合ってできた、捏造された懐かしさ。
かつては私もつぐみだったし、まりあだったし、陽子ちゃんだったのに、今はもう彼女たちの母親と同じくらいの年齢の母親になってしまった。
変わっていくことの、儚さ、寂しさ、悲しさ、そして強さを思った。
Posted by ブクログ
めっちゃキレイな表現が多くて良かった!
あの特別な日とかじゃない突然来るドキドキする夜私も好きだからその気持ちめっちゃ分かるーってなった!!!つぐみに会いたいなーってなった!
電車の時間を間違って1分乗り遅れて特急乗ったんだけどちょーど夕方で空もキレイでめっちゃいい時間で乗り遅れてラッキーーー!
Posted by ブクログ
初吉本ばななさん!女性作家好きとしてずーっと読みたいと思っていたのです。
嫋やかで優しくて、なんだか朗読したくなるような文章でした。
だけどその心地良さの中に、抜きん出た周囲の人や物事、気持ちに対する観察眼が詰まっていて、なんていうかもっと周り見て過ごそうとしみじみ感じました。
『確かにつぐみは、いやな女の子だった』
書き口からつぐみは亡くなったものとばかり思っていましたが、気丈に生き抜いてくれていたんですね。
ひと夏の出来事が、本当にまりあの思い出の中で輝いている一幕だったんだと思えました。
つぐみにとっては、この先超えなければならない山の一つかもしれませんが…
まりあより長生きして、「お前が先に逝くなよ」
って憎まれ口叩きながら泣いて欲しい〜(妄想と願望)
それにしてもつぐみの口の悪さが想像の斜め上すぎて笑
意地悪な女口調かと思いきや、余裕で田舎のヤンキーばりの口の悪さでした笑
つぐみに限らずセリフは昔の口調ですが、地の文は現代に近くて、それがいいバランス感で心地よかったです。
時代背景も相まって、浮気相手側で幸せな家庭を築く母親と娘(まりあ)もなかなか珍しいなぁと思いました。
●とくに朗読したい文書たち ──────
『母は決してつよい人ではないが、無意識につよさを心がけているようなところがあった』
『海とは不思議なもので、2人で海に向かっていると黙っていても、しゃべっても、なぜかどっちでもかまわなくなってしまう』
『都会では人はいったい何に向かって「平衡」をおもうのだろう』
『私はふいにつぐみにピントが合ってしまったような、妙に切ない気持ちになった』
『しかし、そのときどんなに楽しいつもりでいても、後からおもいでを振り返ってみると、その夜の闇や電柱やゴミ箱のかげばかりがじんと暗くよみがえってくることがある。今思うと、その夜は本当にそうだった』
『人生は演技だ、と私は思った』
『ひとりの人間はあらゆる段階の心を、あらゆる良きものや汚いものの混沌を抱えて、じぶんひとりでその重みを支えて生きてゆくのだ。まわりにいる好きな人達になるべく親切にしたいと願いながら、ひとりで。』
『いつでも実のないことをぐにゃぐにゃ考えているだろう。気弱なくせにお高くとまっている〜〜〜』
『処女の情にほだされてうっかり結婚しちまった女殺のような気分』
『君は気骨があるから、ずっとここにいても、世界中を旅している奴よりたくさんのものを見ることができるよ』
『それは秋も冬もそうだったのに、振りかえるといつも夏だったような気がする』
『ものごとがおさまるべきところでその効力を発揮していることは、こうして見ているととても神聖で良いことに思えた』
『いろいろな種類の別れに満ちたこの世の中を、ひとつも忘れたくないと思った』
『誰に言うともなくつぶやいたその言葉は、それでもこのところ私が漠然と考えていたことをきちんと紡いでいたので、私は「うん」と言った』
『私は10年もの間、いろいろなものがひとつにあみこまれた大きなベールのようなものに守られていた。だれもがそこから出てみないとそのぬくもりには絶対に気がつかない。2度と戻れなくなってからでないと、自分がその中にいることすらわからないくらいに、ちょうどいい温度のベール。それは海であり、町全体であり、山本さん御一家であり、母であり、遠くに住む父であった。そんなすべてがあの頃は私をそっと包んでいた。私はいつでも楽しいし幸せだけれど、ときおりあの頃がたまらなく、悲しいくらいになつかしくなることがある。そんな時いつも、いちばんによみがえってくるのは、浜で犬と遊ぶつぐみと、にこにと自転車を引いて夜道を歩く陽子ちゃんの場面だった。』
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はじめて読んだのは中学生の頃。
「病弱ってかっこいい」なんて、まるちゃんみある思考を抱えていた私は、つぐみに対して羨ましい気持ちでいっぱいだった。身体が弱くてみんなからちやほやされて、自分の意思もはっきり言える。
それからうん十年経ち、新版で再読。
つぐみがつぐみたるゆえんって、傍若無人に振る舞えるゆえんって、きっと「全力で生きている」いわゆる刹那的なものに突き動かされているんだなって、新たな発見があった。
でも、今も昔も、つぐみの生き方は素敵だと思う。
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権五郎のことを思うと、本当にやるせない。
多感な年頃の登場人物たち。
30歳近い立場の私から見ると、なんとか権五郎が犠牲にならないように、もう少し後先考えて冷静な振る舞いもできたのではないかと、その登場人物たちの若さゆえの拙さに落胆してしまった。
それ以外はとても美しい話。
そこだけがどうしても、私の道徳に触れる感覚があった。
罪なき動物が、声も上げられず、人間の争いの犠牲になったと思うと悔やまれてならない。
吉本ばななの本は、まだあまり読んだことがない。これから少しずつ読んでいこうと思う。
この本を読んで感じたのは、吉本ばななの比喩表現が私の感覚と少しズレているのかなということ。
「〜のような」というような部分。8割わかるんだけれど、後の2割が理屈を働かせないと理解できない。直感的に、知っている感覚としてスッと馴染んでこない感じ。ちょっとつっかえる。
結構、抽象的の中でもさらに抽象的な表現を描く人なのかもしれない。
まあほかの本も読んでみよう。
Posted by ブクログ
夏は特別。キラキラしていて空も海も青くて、みんな自分の世界を生きてる感じ。
p.31「何かを得る時は、何かを失うように決まってるだろ。」
p.133「恋って言うのは、気がついた時にはしちゃっているものなんだよ、いくつになってもね。しかし、終わりが見えるものと、見えないものにきっぱりと分かれている、それは自分がいちばんよくわかっているはずのことだ。見えない場合は、大がかりになるしるしだね。うちの今の妻と知り合った時、突如未来が無限に感じられるようになった。だから別にいっしょにならなくてもよかったのかもしれないね」
p.151「…っていうかさ、人間ってどうしても次々に新しいものと出会って、ちょっとずつ変わっていくだろう。いろんなことを忘れたり、切り捨てたり、どうしてもしちゃうしね。やることがいっぱいあるからだろうけど」
Posted by ブクログ
いつかの夏休みを思い出してセンチメンタルな気持ちになるが、自分にそんな思い出はないことに気付いて苦笑い
なんなんだろうかあの懐かしさを感じさせる描写は
昼寝しながら窓開けて洗い立てのシーツの上で読むのが良い