ウィリアム・シェイクスピアのレビュー一覧
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ネタバレ『リア王』は子どもの頃、お子様向けの読み物で読んだ記憶がある。三姉妹の父であるリア王が、一番優しいはずの末娘の言葉に怒り、追い出してしまう、その悲劇の顛末。…あたりは割とよくある昔話にも似たストーリーで、微かに記憶に残ってた。だが、シェークスピアのこの原作(翻訳であることは大前提として)はさらにグロスター家の父と息子たちも登場。元になった史実はあるみたいだけど、それにも増して、シェークスピアならでは(イメージです)の皮肉や性的なジョークも散りばめてある作品だった。
自分の財産を娘二人に分け与えた後、それぞれのところに代わりばんこに寄宿し世話になろうというのは、今も(というか今なら尚更?)トラブ -
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ネタバレハムレットの孤独と悲劇が胸に苦しく残る。
とにかく、ハムレットがずっと一人ぼっちなのが気になった。父親の亡霊から復讐をとげろと命じられるのも辛いし、母親はその場の空気に流されやすくハムレットのことをあまり考えていないように見える。叔父のクローディアスはハムレットの暗殺を命じ、学友とされるローゼンクランツとギルデンスターンも、友とは名ばかりであっさり暗殺の命を実行にうつそうとする。孤独は深まり続け、最終的には唯一の友であるホレイショーの制止も振り切って悲劇の試合に身を投じていく。
「前兆なんか気にしてはいられない。雀一羽落ちるにも天の摂理が働いている。いま来るなら、あとには来ない。あとで来な -
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大昔に読んでいたが、再読。国王引退に際して国を三つに分割して娘たち(長女と次女に関しては娘婿)に渡すことを決意したリア王。渡す前に「親への愛を語れ」と娘たちに大喜利させるが、姉たちの歯が浮くようなおべんちゃらが使えない程に率直かつ純真だった末娘のコーディリアを勘当、国外追放とする。
リア王は長女ゴネリル、次女リーガンの家を行ったり来たりの余生を考えていたものの、リア王親衛隊も含めた素行の悪さ・態度の大きさもあって、2人に邪険にされ、台風の中追い出され、狂っていく。
当時どういった感覚でリア王の言動が捉えられていたのか分からないが、現代の感覚からすると親としては完全なる失格とは思う。しかし、 -
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『マクベス』はシェイクスピアが1606年頃に完成させた戯曲です。実在したスコットランド王や将軍を登場させた作品で、王であるダンカンに重用されていた野望に取り憑かれた将軍マクベスが主人公。
マクベスが王を暗殺し自ら王に即位してからマグダフ、子息マルコムに討たれるまでを描いた作品でシェイクスピアの4大悲劇のなかの最後に書かれた作品。
4大悲劇の中では一番短い作品たが、当時のスコットランド王ジェームズ一世(話し中の忠臣バンクオーの子孫)への宮中観覧用作品としたので短いと言うのが定説。劇中にもジェームズ国王に媚びたセリフが多いのが特徴と言われる。
ダンカン王を暗殺し王についたマクベスが劇中ではすぐ遺児 -
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ネタバレイギリスの教科書で採用されるほど有名な悲劇作品。ローマ皇帝ジュリアス・シーザー(カエサル)を主人公とした作品で、多数の登場人物が現れる。物語は一貫して政治闘争が繰り広げられており、ゆえに多くの人物が死んでいくが、本作は四大悲劇とは性質が異なった悲劇作品である。解題で言及されているが、本作『ジュリアス・シーザー』は、上記四作品のような息抜きや笑いの場面が一切ない。その代わり、物語が終始生真面目で緊張感が続いてる。また中村保男による解説も秀逸。主人公とその敵であるブルータスいずれかの立場の視点から本作を読んでいくと、見方が180度変わる。ブルータスの悲劇的な描写は、理想主義の敗北を象徴しているら
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幻想喜劇の『真夏の夜の夢』とシェイクスピア最後の作品『あらし』の二作品を収録。両作品ともに女性キャラが、近年の漫画、アニメにありそうな特徴を持っており、現代の作品(ジャンルとしてはファンタジー、ラブコメに近い)を読むように両作品を楽しめる。また『あらし』の解題で、本作品には元ネタと思われるものがほとんどないと指摘されている。シェイクスピア作品の多くは、複数の元ネタ作品を組み合わせて、作品を作り上げたが、最後の作品は、極限までオリジナリティを出した。ここから、偉大な文学作品を編み出したシェイクスピアは、初期ではたくさんの他作品を借用して創作するが、年齢を重ねるにつれて、徐々に独自性を磨いていく
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四大悲劇の一つで、主人公リア王とその娘たちの闘争が展開される。三人姉妹の長女ゴネリルと次女リーガンは、リア王の権力と財産を得たことで、物語は急展開する。ここから、貴族たちの血みどろの争いが繰り広げられる。物語が進むにつれて、次々と登場人物が無残に死んでいく様は、人間の業の深さをよく表している。たとえ身近な人々であったとしても、あるものを手に入れるために、自分の敵となる者を徐々に排除していくのを見ると、人間はここまで惨い存在になってしまうことがわかる。解説にあるように、本作で用いられる動詞は、苦痛を感じさせるようなものが多く、読んでいくうちに、読者側も実際にダメージを受けるような表現が散見され
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シェイクスピア作品のなかでも死者数が最も多いと言われる悲劇作品。その主人公リチャード三世は、あらゆる文学作品のなかでも最大の悪人だと言われており、実際に本作を読んでいくと、確かにそのような見方をされても無理はない。リチャード三世の一連の行動に注目すると、リチャード三世は、自身の敵となる者に対して容赦なく潰しており、そこから、マキャベリ『君主論』の内容を実践する、いわゆるマキャベリストと見なされる。権力を巧みに行使して、相手を徹底的に潰す様子は、人間がどれほど恐ろしい存在であるかがよくわかる。とくに権力者が客観的に見て悪人である場合、人間に対してどれほどひどい仕打ちを与えるのかが本作から伝わる