ウィリアム・シェイクスピアのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
名作とは知っていたが、実際に読んでみて確かに面白い一冊だった。最初は「そんな復讐なんてしても何も生まれないし、狂ったフリをしてまで色んな人を傷つけるなんて……」と、物語の結末が不安だった。しかし読み進めるうちに、ハムレットがしっかりレイアーティーズを敬い、父を殺したクローディアスも巻き込んで終わることができたので、比較的良い終わり方だったのではないかと思う。
人は死を恐れる生き物でありつつ、この世の理を受け入れるのも苦難で、いっそのこと死ぬべきかもしれない。けれど、死後の世界も不透明だから、結局はこの世の理を受け入れて生きるしかない。死ぬ瞬間、何を思って死ぬべきなのか。死んだら貴族も平民も皆 -
Posted by ブクログ
フジテレビで放送中のテレビドラマ『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(三谷幸喜, 2025)にはまり、購入。
妖精の王オーベロン・女王タイテーニアの夫婦と、彼らの喧嘩に巻き込まれた人間たち——ハーミア・ライサンダー・ディミートリアス・ヘレナの4人と、ボトム——の小騒動。いたずらな魔法のせいであべこべのめちゃめちゃになり、しかし本人たちは大真面目で何も気付いていないというおかしみがいい。当人たちが真面目であればあるほどおもしろくなる、というコメディーの特徴を再認識した。
個人的にほぼ初めてのシェイクスピア作品。本作のどこがどのように文学的に/演劇的に優れているか、といった分析 -
-
Posted by ブクログ
「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ。」
〈あらすじ〉
デンマークの王子ハムレットは、2ヶ月前に亡くなった父親の死が叔父のクローディウスによる殺害だと知る。父の亡霊に諭され敵討ちをすることを決意したハムレットは、周囲に油断させるため気が狂ったフリをして作戦実行を試みる。
〈父親ちょっと影薄い〉
この作品は父親が亡くなり喪にふくすハムレットの様子から始まる。観客からすると既に亡くなっている父親の敵を息子が討つ、という形で物語が進んでいくので、出だしはやや置いて行かれている感じが否めない。前半に少しでも生前の父親とハムレットの関係性が分かるような場面があれば、観客もよりハムレットに同情 -
Posted by ブクログ
「人は泣きながら生まれる。このあほうどもの舞台に引き出されたのが悲しくてな」
〈あらすじ〉
ブリテンを治めるリア王は引退を控え、3人の娘に「父である自分を最も愛している者に領土、権力を分け与えること」を宣言する。長女ゴネリルと次女リーガンが美辞麗句を並べる中、末娘のコーデリアは「何も」と答える。怒り狂った王はコーデリアを追放し上の娘2人に財産を与えるも、その後2人に手のひらを返され酷い扱いを受け、自分の過ちに気づく。
〈不器用な末娘〉
父の要求に対し「自分の本心」よりも「相手の求めている言葉」を並べることができる長女や次女と比べ 、1番若いコーデリアが「何も。」と答えるのは、一見すると思 -
-
-
Posted by ブクログ
シェイクスピアの四大悲劇の一つ「ハムレット」
セリフの掛け合いは、日本語では理解し難いものが多かったが、印象に残ったのは主人公の苦悩である。
「to be, or not to be, that is the question.」
生きるべきか、死ぬべきかという有名な独白は復讐という重い運命を背負った彼の内面的な葛藤を象徴していると感じる。
また、登場人物たちの狂気と正気の境界線もこの物語の重要なテーマであり、それぞれの思惑や行動が悲劇の連鎖を引き起こす要因となっている。
人間の本質的な弱さや狡猾さを描き出しており、心の葛藤、道徳的な問い、そして人間の本質を深く掘り下げた作品であると思 -
Posted by ブクログ
★4。
「メタルマクベス」と「蜘蛛巣城」のおかげで筋は知ってたけど、改めて戯曲読むと新鮮に面白かったなー。後半の、マクダフ夫人と子の場面、マクダフとマルコムの場面とかは面白そうなので映像で見るの楽しみ。
レディマクベスの死にさらっとしか触れられてなかったのが意外だった。でもこれだけさらっとだと膨らませる余地あるから、かえって色んなバージョンが作りやすいのかなーとも思うね。
新潮文庫版を読んだのだけど、中村保男さんの解説が興味深かったな。その前の福田つねなりさんのもそうだけど、ハムレットとの対比について書かれててなるほどーだった。テナントさんファンは脳裏に思い描きながら読めるからこれわかりやすく -
Posted by ブクログ
翻訳者の福田恆存が書いたあとがき「シェイクスピア劇の演出」が印象に残った。
この中で、役者は、演じるキャラクターの心理を掘り下げて演技すべきではない、と述べている。演劇は劇場的効果が重要で、役者は観客の望むものを提供することに徹すべきだ、と述べている。すなわち、台本に書かれているハムレットの台詞を観客に効果的に届ける媒介者、と私は理解した。
私が映画や演劇に興味を持った時(若い時)、影響を受けたのはスタニスラフスキーの演技論だった。彼は徹底的にリアリティを求めて、観客が退屈しようと役者はリアルに佇むだけ、、、な感じだった。これがモスクワ芸術座であり、アメリカに渡り、リー・ストラスバーグのメソッ -
Posted by ブクログ
ネタバレシェイクスピアの描く人間模様は 時代を超えてドキッとさせられるところばかりですが、このお話はユダヤ人差別、白人至上主義がいやらしいほど!
ですが、そこは目をつぶってまずはお話の面白さを楽しみました
ヴェニスの商人アントーニオは、財産の全てをいくつもの商船に投資中。
そこへ親友パサーニオがベルモントのポーシャという美しく素晴らしい女性に求婚するため、金を貸してほしいとやってくる。ポーシャは父親からの遺産を相続し、あまたの権力者たちが求婚にやってくる。彼らと渡り合うには財がいるというのだ。
とにかく友情にかけて愛情深いアントーニオは、今は財産は船の上、ひとまず自分の信用のもと、ユダヤ人金貸しの