アガサ・クリスティーのレビュー一覧
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傑出した出来の作品はなく、すべて平均点程度の出来で、一番良かったのは「クリスマス・プディングの冒険」。
「クリスマス・プディングの冒険」
ある国の王子の高価なルビー盗難事件を秘密裏に解決してほしいとの依頼を受けるポアロ。推理物ではなく、ポアロが巧みな策略で事件を解決する話。奇妙な手紙が置かれていたり、子供たちが殺人事件の芝居でポアロをかつごうとしたリと、楽しめる筋書き。
「スペイン櫃の秘密」
スペイン櫃の中で殺された男の妻が容疑者の無実を信じ、その無実の証明をポアロに依頼する話。偽装された手紙の謎や衝立が動かされた謎など、シェークスピアの「オセロ」になぞらえて、ポアロは意外な真相を暴き出すが、証拠は不十分。
「負け犬」
殺人事件の容疑者の無実を直観で信じた女性より、無実の証明を依頼されるポアロ。アフリカでの鉱山の出来事、医者による催眠術の聞き取り調査など、色々と話を膨らませてはいるが、真相は腰砕け。推理ではなく、ポアロの策略によって、解決する話。
「二十四羽の黒つぐみ」
料理店に毎週火曜日と木曜日に現れる男が一度月曜日に現れ、その2週間後から姿を見せなくなった謎にポアロが興味を持ち、解決する。
「夢」
3時28分にピストル自殺するという、同じ夢をずっと見続ける男から相談を受け、事件に関わるようになるポアロ。実際に、その男が3時28分にピストルで死ぬ。ポアロが間違えて渡した手紙が事件解決に結びつくところが面白い。
「グリーンショウ氏の阿房宮」
奇妙な建築物「阿房宮」の所有者、ミス・グリーンショウが弓矢で撃たれて殺される事件。容疑者3人には鉄壁のアリバイがあるが、事件の背景にあるカラクリをミスマープルが暴く話。既視感ありありのトリックだし、このように巧く騙せるのか、疑問に感じる。 -
Posted by ブクログ
本格物ではなく、冒険的要素を兼ね備えたサスペンス小説という感じだ。カトリック神父殺人の背後にある大きな謎を、主人公の学者と友人女性が調査して暴く物語。クリスティーの作品でおなじみのオリヴァ夫人が登場するが、ポアロは登場しない。ポアロが登場しないのは、推理よりも調査過程がメインの話であり、素人探偵の視点で物語を描きたかったためであろうか。
殺された神父が残したメモの謎、3人の魔女による呪法の儀式と遠隔殺人の謎、「車椅子の男」が歩いて牧師を尾行していたという目撃者の証言の謎、主人公たちによる偽装潜伏調査など、ミステリーとしての読みどころは十分。事件の背景にある謎は、ドイルの「赤毛組合」を彷彿させる。
オリヴァ夫人は、主人公に対して、「青ざめた馬」という事件につながる符号を与えたり、真相につながる重要な手掛かりを示すなど、脇役として、存在感を示している。
最後にひねりがあるのだが、このひねりはあまり効果的ではないと感じた。その人物が黒幕である必然性に乏しいし、面白味がない。私は、別の人物を黒幕だと思っていた。 -
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ネタバレ旧知のミステリ作家アリアドニ・オリヴァ夫人から、相変らず一方的に呼び出されたポアロ。
聞けば田舎屋敷グリーンショアのお祭りの催し「殺人ミステリ推理大会」の優秀者の表彰をして欲しいとのこと。
オリヴァ夫人はこの催しのプロデュースを任されていたのです。
満更でもない気持ちで引き受けたポアロだが、読者の予想どおり“本当の殺人事件”が起きてしまう。
中編作品のため、一冊分の枚数を稼ぐためか、関係者による序文が2つ、解説が2つあった。
本文124頁に対し、これらが37頁。
多少うんざりしたものの、解説にあった、クリスティ本人のプロットメモには興味をそそられた。
クリスティがどういうポイントでミステリを組み立てていたのか、に多少触れることができ、大変興味深かった。
誰が何をする、どこに行った、誰と会う、使用人達は誰もみていない、誰が姿を消す・・・。
という具合に、ミステリなのに心理描写やトリックより先に、
人物の行動でストーリーを紡いでいる点が特徴かなと思う。
確かに クリスティ作品は、発想の秀逸さもさることながら、人間ドラマで魅せることが多い。
クリスティ作品の特徴だろう。
この物語は、知恵遅れでおとなしく、愛情深く、人の言うままになる
魅力的な女性ハティ・スタッブスを中心に回ります。
屋敷の主人であるハティの夫、若くハンサムな建築士、屋敷の秘書などの思惑が渦巻きながら祭りを迎えます。
そして起きた殺人事件。気付けばハティが失踪していました。
そのまま迷宮入りしたかに見えた事件は、2か月後、意外な事実を知ったポアロによって解決されます。
「実に素晴らしいお屋敷ですな。 ただひとつ邪悪なのが・・・お屋敷のご主人です・・・。」
「でも、実の息子なのです・・・。悲劇は どこで終わるのでしょうか。」
「殺人者にとって 終わりはないのです。」
由緒ある勇敢な家系の老婦人はまっすぐ顔を上げた。
「ありがとうございます、ムッシュ・ポアロ。
そろそろ一人にしていただけますか?一人きりで立ち向かわなくてはならないことがありますので・・・」
クリスティ中編作品の佳作。 -
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退屈な日常に飽きて、刺激を求めるタペンス。トミーの上司のカーターの依頼を受けて、二人は探偵業を引き受けることに。
二人の軽妙なやり取りと架空の名探偵気取りで物語は進展してゆき、二人が時には相手を騙したり、協力しながら事件を解決していく。
14の事件からなる短編集だが、際立った出来ばえの作品はなく、何の変哲もないオチだったり、ノックスの十戒に反していたりと、拍子抜けする作品が多い。敢えて挙げると、「怪しい来訪者事件」、「婦人失踪事件」、「大使の靴」が面白い。
ハードボイルド的な場面も多く、とぼけたイメージのトミーが窮地に追い込まれても泰然自若としているのが印象的。
「お茶でも一杯」
失踪した女性を探してほしいという依頼に対して、24時間以内に解決すると大見得を切るタペンス。
「桃色の真珠事件」
真珠の意外な隠し場所。ある事柄に不信感を持ち、犯人に気づいたトミー。読者が推理するのは難しい。
「怪しい来訪者事件」
冒頭のシガレットケースに関するエピソードがうまく活かされている。トミーの機知、タペンスの気づきによって、窮地を逃れる。
「キングに気をつけること」
冒頭の新聞紙に関するエピソードがうまく活かされている。同じ○○を作るよりも、そのまま入れ替えた方が簡単では?
「婦人失踪事件」
探検家から夫人が行方不明になったので、探してほしいとの依頼を受ける二人。失踪の意外な理由が面白い。
「眼隠し遊び」
盲人探偵を気取り、危機一髪の状況に。ちょっとした細工のおかげで命拾いする。暗号は意味不明。
「霧の中の男」
『証拠とは、感覚によって頭に伝えられた印象にすぎない』
トミーは3つの勘違いに気づき、犯人を突きとめる。
「ぱしぱし屋」
警視庁のマリオット警部の要請を受けて、にせ札製造の潜伏調査をすることに。ギャングとの駆け引きの話だが、何の変哲もないオチ。
「サニングデールの謎の事件」
事件を取り巻く状況はなかなか魅力的だが、真相は予測の範囲内。真相通りに推理できない理由は、警察がエヴァンズに被害者の写真を見せていないなんて、ありえないことだと思うからだ。
「死のひそむ家」
タペンスの昔の経験が活きる。推理には、専門的知識が必要。
「鉄壁のアリバイ」
同時に2つの違った場所に居たという女性の謎。そのアリバイを崩す話だが、ひょっとしたら、アレかなと思っていたら、その通りだった。
「牧師の娘」
幽霊騒ぎの調査依頼から、文字謎遊びの問題を解いて、事件解決。日本人読者には推理不可能。
「大使の靴」
税関で間違えて持っていかれて、すぐに戻ってきたカバンの謎。すり替えの理由は予想通りだった。
「16号だった男」
本作品の締め括りの話で、カーター主任から探偵業依頼の際に話のあった、16号の男との対決。ホテルに入ったタペンスと16号の男が消えてしまうが、意外な二人の居場所をトミーは突きとめる。 -
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田舎屋敷の園遊会で、おなじみの女性作家オリヴァが企画した犯人探しゲームで実際に起きる殺人事件。冒頭の事件のエピソードから興味深く、いかにも怪しげな人物配置、捜査の課程で判明していく様々な謎や人物間の心理的な関係など、とても引き込まれる内容の作品。
ポアロが事件を防止することができず、真相もなかなか見通せずに、ジグソーパズルに興じながら、焦燥に駆られる場面が印象的だ。
複雑でひねりのある真相。オリヴァの企画した犯人探しゲームの中に真相が暗示されているのが何とも面白い。数々の「なぜ?」に答える真相だが、素直には納得しがたい。真相説明で過去のある出来事が明らかになるのだが、そんなことが実際に起こりうるのかと疑問に感じてしまう。また、ハティの失踪に関する真相だが、読者のための演出にすぎず、こんな面倒くさいことをわざわざする必要があるとは到底思えない。
物語としては4点、真相は2点というところか。 -
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「検察側の証人」、「ラジオ」、「青い壺の謎」以外は、超常現象を扱った話。
超常現象を扱った話は、ストーリー自体に面白みがなく、すぐに忘れてしまいそうな作品ばかり(実際、既にほとんどの作品が思い出せない)。
唯一、「翼の呼ぶ声」は、お金持ちが持つ悲哀をうまく描けていると感じた。
「死の猟犬」は、意味不明な作品。"第六のみしるしの秘密"とは何だろうか。"円を閉ざさないように気をつけて"とは、どういう意味なのだろうか。なぜ、こんな意味不明の作品が表題作なのだろうか。
「ジプシー」と「S.O.S」は、ややこしい話で、一読では理解できずに読み返したが、たいした話ではなかった。
「検察側の証人」は、結末で読者をあっと言わせる短編小説の傑作。以前に戯曲版を読んだことがあるが、戯曲版では続きがあって、さらに驚くべき内容になっている。
「ラジオ」は、皮肉な結末が面白い。
「青い壺の謎」は、意外な真相ではあるが、こんな、確率が低くて、面倒くさいことをわざわざするとは思えない。 -
Posted by ブクログ
本作品では、マープルと犯人が直接対決する危機一髪の場面があり、興味深い(しかし、あの場面で登場する二人も真相に気づいていたのではないだろうか)。
マープルの推理は、ロジックではなく、人間観察と直観に基づくものであり、本格的な妙味は薄い。
人間の持つ複雑な感情に根差した犯行動機や、殺人偽装とそれを行った理由は面白い。
しかし、なぜ、依頼者のラフィール氏は、マープルに依頼目的を具体的に示さなかったのだろうか。バス旅行に参加し、旧領主邸に宿泊するように指示したのはなぜか。ラフィール氏は真相がどこまでわかっていたのだろうか。最後まで読んでもわからなかった。