黒原敏行のレビュー一覧
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イアン・マキューアンを読んで以来、現代海外文学の面白さに気づき、いろいろ読んでみたくなった。で、コーマック・マッカーシーを手に取ってみた。
本作はメキシコが舞台の辺境3部作の一冊。
いや〜面白かった。なんだろう。久しぶりの感覚。起承転結ありの正統派小説。血生臭くてグロくてあまりにも残酷な成長物語。
馬と暮らしたい、牧場で働きたいとの漠然とした気持ちからグレイディは友達のロリンズと馬に乗り、テキサス州からメキシコへ国境を越えて行く。野宿をし銃で狩った兎をバラして食べ、川の水を飲み行く宛を探しながら旅をする。命の危険と隣合わせの旅。途中で見ず知らずの少年に会う。この少年も銃と立派な馬を持ってい -
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ポアロシリーズ。
今回の舞台は、ナイル川を遡上する豪華客船。クリスティー作品ではお馴染み(?)の裕福な美女を巡るロマンスを軸に、登場人物たちの不穏な思惑が複雑に絡み合う。
ミステリー作品なんだけど、中盤までなかなか事件は起きない。それでも著者の卓越した描写力で、普通に人間ドラマの読み物としても面白い。
本作は何と言っても、ポアロの魅力がふんだんに詰まった作品だと思った。謎を解き明かす観察眼と推理力は言うに及ばずで、一癖も二癖もある登場人物たちとの関わり方、言葉の選び方、思いやりや慈悲深さなど、ポアロの人としての魅力が印象深かった。
エジプトのナイル川での旅情や、事件発生後の犯人探しは最後 -
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再読。ユートピアとディストピアの違いは何かを考えさせられる。時代はフォードが大量生産を始めた頃を始めとするフォード紀の後の世界。その世界では瓶で子供が生殖され、人間同士が生殖行為によって子供を作るなど野蛮な原始人のような行為とみなされている。
さらに洗脳教育および階級付け、ソーマといった快楽を得る薬物の存在。かなり前の小説であるものの、ユートピアを実現するための手段を、用意周到に練って考えられていることに驚く。
上記の技術自体、倫理的な観点を考えなければ実現可能であると想定されるし、倫理など世論でいくらでも変わる。例えば、少子化がこのまま進み続けて子供を人間が持つことへの意味がなくなってき -
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ネタバレ1937年イギリスで出版
2003年発行 文庫
訳者 加島祥造
最初に 著者の前書きと
訳者からのおねがい が載っている
*ゆっくり読んで
*地図を見て参考に
*「探偵小説が[逃避行文学]だと
するなら読者はこの作品で
〜南国の陽射しとナイルの青い水の国
に逃れてもいただける訳です」アガサ
...ひととき旅するように楽しんで
ってことか...
・リネット.リッジウェイ(ドイル)
→美貌の若い資産家女性 銃で殺される
・サイモンドイル→リネットの結婚相手
・ジャクリーン.ド.ベルフォール
→リネットの親友でサイモンと婚約していた
リネットとジャクリ -
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1937年の作品。
ポアロ・シリーズ長編15作目。
あらすじ
美貌の資産家の娘、リネット・リッジウェイは世の中で手に入らないものはないと思われるほど恵まれた境遇だった。美貌、金、聡明さ…全てを兼ね備えていた彼女だったが、貧しい親友のジャクリーンの恋人、サイモン・ドイルのことが好きになり、彼女から奪い結婚してしまう。ジャクリーンは自分を裏切った2人を恨み、新婚旅行のエジプトまで追いかけてくる。
たまたま休暇中だったエルキュールポアロは、このエジプトのツアーでリネット夫妻とジャクリーンと一緒になる。一行はナイル川沿いを巡るカルナック号のツアーに参加するが、そのツアーの最中にリネットが何者かに撃た -
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現代の日本の作家のミステリーももちろん面白いが、やはりクイーンやポワロの活躍する探偵小説はいつでも面白い。比較的長い作品にも関わらず、事件の真相が明らかになるとその長さの中に無駄がなく伏線が詰まっていたのだと分かって衝撃だった。
(あらすじ)
2人の男女が愛し合っていたが、男は裕福な女性リネットと結婚してしまった。2人はそのままエジプトへとハネムーンに出かけるが、そこに男のかつての婚約者が現れた。女の出現に怯えるリネットだったが、撒くために乗り込んだ船にも女が現れ、リネットはその後死体となって発見される。果たしてこれは復讐のための殺人か!?エルキュール・ポワロが明かす意外な事件の真相とは!
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全米図書賞と全米批評家協会賞受賞。映画化されている本作は、後の『越境』と『平原の町』を合わせて〈国境三部作〉と呼ばれる一作目。過酷な運命に翻弄される少年の成長を描く、ロードムービー的冒険譚の名作だと思います。
あらすじ:
16歳のジョン・グレイディ・コールは、祖父の死とともに牧場を失うと、一つ上の親友レイシー・ロリンズを誘って旅にでます。それは、高速道路に車が走る時代に、愛馬に乗って自らの居場所を求める越境の旅でした。途中、荒涼とした大地を旅するうちに、後に彼らの運命を翻弄することになる年下の少年と出会い、連れ立って旅を続けた一向に待ち受けていたものとは……。
翻訳がいいのか、クセのある濃