黒原敏行のレビュー一覧
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ネタバレ行き過ぎた福祉政策で赤字国家に陥ったイギリスは、強い大英帝国復活のため、鉄の宰相マーガレットサッチャー擁する国家陣営で、対外的にはフォークランド紛争に勝利し、国内ではエネルギー政策転換の阻害要因となっていた炭鉱閉鎖を進める。炭鉱の労働者組合は当然反発し、30週間にも及ぶストを敢行するが、国家の弾圧は激しく資産凍結や警察部隊の大量導入、スト潰し労働者の投入などで、次第にそのストと無効化していく。
国家が強いことが国民の幸せに直結するのか?政府のやり口が正義で歯向かうことが悪なのか?
時あたかも、複数の軍事大国家の無謀な行動でいつ世界大戦が起こってもおかしくないような様相を呈しており、わが国でも -
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ネタバレおすすめされた一冊。あまりにも文章がおしゃれすぎてびっくりした。もともとの文章もおしゃれだったんだろうか。内容は妻殺しの罪を被せられた男と、その親友たちが死刑執行までに、アリバイを証明してくれる唯一の女性を探し出すこと。まさか真犯人が親友で、しかも証明してくれるはずの女性が入院してたというオチが凄かった。証言はできないから自白に持って行かせようとした刑事さんの頭の良さも素晴らしい。ネタばらしした状態で読み返すと、確かに女を見つけた、の意味が大きく変わってくるのも上手いなあと思った。ただラストまでの溜めが結構長いので、ちょっと中盤を読み進めるのが大変だった。
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国境三部作の完結編。『すべての美しい馬』のジョン・グレイディがふたたび登場し、『越境』のビリー・パーハムとともに物語を織り成す。前二作と比べると前半部分は退屈な感が否めないが、後半からぐっと物語は面白みを増す。
本作品は純愛物語であり、マグダレーナに対するジョンの破滅的な愛の物語であり、エドゥアルドの歪んだ愛の物語でもある。理不尽かつ原初的な情感が漂うメキシコで過酷ながらも美しい情景を紡ぐ。エピローグのビリーの物語はやや意外(唐突感?)なものだが、アウトローの終わりを告げる物語として相応しいものかもしれない。荒々しくもロマンティックな時代の終焉に浸れる傑作の三部作であった。 -
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コーマック・マッカーシー氏の国境三部作の第二作目。
アメリカ南西部とメキシコを舞台に大自然と人々との関係を描く。雄大な自然と過酷な運命。出来事全てを等価に扱い、残酷さも慈愛も綯い交ぜにしてある意味で無関心かつ突き放す文体はとても哲学的。
主人公である16歳のビリー・パーハムは内的な衝動で行動し、ビリーを襲う不条理な運命はまるで聖書のヨブのよう。それなのにビリーの心理描写や感情変化はほぼ描かれる、メキシコで出会う人々の剥き出しの人間性との繋がりのなかで読者に伝えられる。
16歳にしてハードボイルドでタフガイ。しかし美しい情景が目に浮かぶ文章は詩的。魅力的な作品。 -
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ネタバレとても美しい小説だと聞いて、手に取った。
ここのところ、アメリカ文学を読んでいる。
「ジェームズ」「ハックルベリー・フィンの冒険」は南西部ミシシッピ河流域の小説、「エデンの東」は、カルフォルニアの小説、そしてこの小説はテキサスから国境を超えてメキシコへ渡る小説だった。アメリカは広いなあ。小説によって舞台になる土地の雰囲気が全然違うから脳内旅行が楽しい。
テキサスでカウボーイをしていた十六歳の少年ジョン・グレイディがお祖父さんの遺産の牧場が売られてしまうことを知り、アメリカに自分の居場所がないと思い、愛馬に乗って、親友ロリンズと途中で出会った十四才くらいの少年プレヴィンスと共に国境を超え、メキシ -
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20世紀初頭のアメリカ南部を舞台にした小説。
黒人奴隷などの社会的慣習と、キリスト教中心主義の否定など、強制的な近代化の波の中で翻弄されながら、価値観の転換と喪失感が漂う作品でした。
正直いきなり物語から入ってしまったので、解説を先に読めば良かったと後悔。
たぶん6割くらいしか理解出来ていないと思う。
そもそも独特な独り言のような、イマジネーションが言語化されたような不思議な文章で、感覚的に読むような小説だったので、より舞台背景を先に頭に入れておく事をおすすめします。
解説や訳者あとがきか素晴らしく、ネタバレが少しあるが、先に読んでも良かったかなと思いました。
でもやっぱりドストエフ -
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アメリカ教科書において『ごんぎつね』的定番教材ポジションと聞いて読み始めました。子供が凄惨な目にあうので、苦手な人は注意!
・これで…何を学べと!?
・海外文学故か、よく理解できない描写が頻出した
・年下の子達の存在がぞんざいになっていくのが驚き
・子ども特有の楽観性や考えのブレが良い
・後半の息つく暇もないスピード感、緊迫感が凄まじい
主人公は喜んだり昂ぶったりすると逆立ちしたり前転したり殴る真似したりする変な癖があるんだけど、後半は特にやらなくなった。子どもらしさを失ったというコトなのかな…?
最初は幼い子達の人数や名前を把握しようとするも、中盤は「おチビたち」とひとまとめに、後半はほ -
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無人島に不時着した少年たちが、始めはそこでの開放的かつ楽園的な生活を楽しむが、次第に理性を失っていき、平和な暮らしが崩壊していくという物語。本書の最も興味深い点はやはり、子供の内なる悪が徐々に現れてくる中でのリアルな人間描写にある。少年たちは最初こそ文明的な生活を営もうとするが、与えられた仕事の不履行や、のろしグループと狩りグループの間の意見の相違により、島内に分断と対立が生まれる。未熟な子供たちによる無人島での社会運営の、残酷ながらも現実味のある表現に加え、ガキ大将的なジャックやいじめられっ子的なピギーをはじめとした、現実世界にいそうな登場人物の造形は、読者に深い納得と共感を与えるように思わ
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すべてが「良い」とされ、誰もが「幸福」である状態を維持するために社会全体が作り込まれた世界の異常さを描いた小説。人々は階級ごとに分けられ、生まれた瞬間からその階級を幸福だと感じるよう教育される。家族という概念は下品なものとされ、人は人工的に生み出される。どの階級になるかも操作され、人口比率は厳密に保たれる。死はあっても老いはなく、性行為は恥じらいなく行う習慣とされる。悩みがあれば「ソーマ」という錠剤を飲めばよく、それで精神は安定する。だから表面的には誰も悩まず、社会は安定している。
悩みや不安が排除された世界では、宗教や神話、芸術は必要ないものと扱われる。科学も統制の範囲から外れないよう制限 -