黒原敏行のレビュー一覧

  • ブラッド・メリディアン あるいは西部の夕陽の赤

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    ネタバレ

    物語の大半の舞台となっている、生きものを寄せつけず死体をすぐにからからに干からびさせてしまうアメリカ西部の岩だらけの原野のようにゴツゴツとした文体は、最初は読者を拒絶するようでもあるが、読み進めるうちになぜかペースに乗せられてしまう。何しろ長いので、読んでいるうちに慣れてしまう。むしろハマってしまう。
    当たり前のように虐殺シーンが続くが、それが当然の時代だったというわけでもなく、この時代にあっても特に荒くれ者の(実在した)頭皮剥ぎ集団に身を置くことになった少年の物語。物語の終わりには少年ではなくなるので、ある意味ではビルドゥングスロマンに相当するのかなと思った。
    感想を書くのは難しいが、何とな

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    2023年07月26日
  • ザ・ロード

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    直視できない現実の辛さを見せないように肩代わりする父親。しかし、泣くしかできなかった子供が現実をしっかり受け止め出し、ついには父親を支えるようになり、父親の遺した言葉を胸に、この終末世界の中を生き抜いていく──。

    あまりにも辛い、けれど詩的な表現の美しさに魅了されるSF小説の傑作。子育てをしている今だからこそ響く言葉が多く、最後は辛過ぎて泣きそうになってしまいました。

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    2023年07月20日
  • ザ・ロード

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    涙ちょちょぎれるぜ…親父
    俺の親父といったら俺の最低でも6倍以上金貰ってるくせに青カビ生えたレモンサワーを出すような安い焼肉屋(飲み放題60分500円)に連れていきその後俺は知り合いのとこ行くからと二軒目の代金出したくなかったのか俺を置いてどこかに行っちまいやがった

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    2023年07月18日
  • すばらしい新世界

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    明るいディストピアな未来を舞台とした小説。ファスト消費、経済性、快楽主義を第一とする全体主義世界。1930年代に書かれたにも関わらず、ある意味現代社会を描いている様にも思える。著者による新版前書、解説なども必読。

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    2023年07月02日
  • ザ・ロード

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    『信号弾はしゅーっと長く音を立てながら暗黒の中へ弧を描き海面よりも上のどこかで煙混じりの光にはじけてしばらく宙に懸かった。マグネシウムの熱い巻きひげが数条ゆっくりと闇の中をくだり渚の波が仄白く光って徐々に消えた。彼は少年のあおむいた顔を見おろした。
     あまり遠くからだと見えないよね、パパ。
     誰に?
     誰でもいいけど。
     そうだな。遠くからは無理だ。
     こっちの居場所を教えたくてもね。
     善い者の人たちにかい?
     うん。ていうかとにかく居場所を教えたい人に。
     たとえば誰?
     わかんないけど。
     神さまとか?
     うん。そういうような人かな。』

    目の前の本を読みながらどうしても他の本のことが頭

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    2023年07月01日
  • ノー・カントリー・フォー・オールド・メン

    購入済み

    ミスなの?

    おもしろいけど、改行だらけかと思えば、最後の方は、改行もなければ「、」も一切ない。読みづらいったらありゃしない。わたしだけ?

    #アツい

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    2023年06月11日
  • ザ・ロード

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    世紀末、自然災害か核戦争か、草木さえ死に絶えた希望のない世界で、生きるために南の海を目指して歩く親子。
    読み切るにはなかなかの精神力を要します。
    いま自分が住んでいる世界と真逆すぎて、ファンタジーのように見える物語ですが、もしかしたら、人はみんなあんなふうにただ生きるために生きているのかもしれません。
    生きるとはどういうことか、当たり前にあるこの世界は何と素敵なものか、色々と考えさせられる作品でした。
    散文的で静謐な文体も読みやすく、美しかったです。
    ぜひ。

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    2023年06月02日
  • ザ・ロード

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    どこまでも続く灰色の世界。
    常に死を近くに感じながらも、南は向かう。明確な目的地はなく、ただ暖かいからという理由で。
    坦々とした文体で描かれる、容赦ない自然、無惨な光景。
    希望とをもつとか未来を見るとかいった言葉がただ上滑りするだけのような状況下、短く交わされる父と子の会話が、読み進めるほどに心に染みてきた。
    純粋でまっすぐな視線をもつ少年の、存在そのものが希望か。

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    2023年05月22日
  • 幻の女〔新訳版〕

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    『夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。』

    一文目にくる文章に惹き込まれました。
    古典ミステリーの随所に見られる詩的な表現や幻の女の手掛かりに手が届きそうで届かない緊張感に一気に読み終えました。

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    2023年05月08日
  • 幻の女〔新訳版〕

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    喪服のランデヴーが面白かったので、二作目。喪服〜が犯人が初めからわかってる系の作品であるのに対して、こちらはそれとは真逆のタイプ。どちらもそれぞれ面白い。喪服〜は主人公の復讐を軸にして、一人また一人と殺されていく序盤から終盤までの流れはある意味読者には予想がつく範囲で、終わらせ方こそが要だったが、こちらは犯人は誰なのか?女は誰なのか?そもそも存在するのか??と複数の謎を同時進行で解き明かしていくスリリングな展開が面白い。

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    2023年05月04日
  • ザ・ロード

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    「森の夜の闇と寒さの中で目を覚ますと彼はいつも手を伸ばして傍らで眠る子供に触れた」最初の一行が始まる。

    おはよう、パパ
    パパはここにいるぞ。
    うん。

    繰り返し描写される周りの情景、それは「寒さ」と「飢え」と「怯え」。
    理由の見えない状況のなか、南へ向かう父と子の会話は、まるで詩の一遍のような響き。

    本当であれば「暖かい家と家族」に囲まれながら将来を夢見るはずの子供が、人を食らう人に怯え、生きるために人を殺めることを恐れ、死を身近に感じたまま、父と話す。

    もう死ぬと思っているだろう
    わかんない
    死にはしないよ
    わかった
    なぜもう死ぬと思うんだ?
    わかんない
    そのわかんないというのはよせ

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    2023年04月26日
  • すばらしい新世界

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    瓶詰めの科学的に調整を施す人間培養、その調整によって格付けされた人間社会、あらゆる快楽を叶えることで欲望や不満、絶望を排除したユートピア。人間の最大の欲求は信頼関係のある人付き合い、と定義する人がいるが、それさえ叶えることのできるユートピアは果たしてディストピアなのか。かなり極端な世界ではあるが、今自分が置かれている自由はとても幸福なことであると実感する。もし自分に苦難が降り掛かったとき、本当に「ソーマ」を拒絶出来るかは怪しいとは思います。16章、17章のジョンと世界統制官との論戦は興味深いが、個人的にはやや宗教的思想に偏るジョンにも賛同できないところがある。
    そして衝撃のラスト。自分への鞭打

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    2023年04月22日
  • ザ・ロード

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    ネタバレ

    死んでいく世界の中、必死にお互いを支え合う父と子。読み終わり、涙が溢れてきた。二人の会話から伝わる状況や心境の変化。虚しさも痛みもひしひしと伝わってくる。生きる上でどこかで割り切らないといけないという父が下す正しさと、本当にそれで良かったのかと疑問を抱く少年の優しさ。お互いがそれぞれの学びとなり支えになる。父と同じように読んでいる自分も少年に暖かさを感じた。彼から優しさを分けてもらった気がした。

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    2023年04月16日
  • ノー・カントリー・フォー・オールド・メン

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    個人的に現代アメリカを代表する最も重要な作家の1人と考えているコーマック・マッカーシーの長編第9作。既に単行本時として翻訳されていたが、当時の『血と暴力の国』から改題され、原題と同じ『ノー・カントリー・フォー・オールド・メン』として今回、文庫化で復刊されたのが喜ばしい。

    コーマック・マッカーシーという作家の魅力を説明しようとしたとき、「血と暴力の国」というワードは極めてシンプルにその魅力を表している。単行本時にこのタイトルが選ばれたのもよくわかる。本作を10ページほど読むだけで、5名が無惨な暴力で殺され、血に塗れることになるのだから。

    マッカーシーの作品は一般的には犯罪小説などの意味合いを

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    2023年04月16日
  • 幻の女〔新訳版〕

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    だいぶ前に電子書籍で購入。良い意味での昔のミステリー色が強く、でも話の展開も飽きさせないし面白かった。原文がかっこ良いんだろうな、という言い回しがいろいろある。

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    2023年04月03日
  • 幻の女〔新訳版〕

    購入済み

    幻の女

    最後までどうなるのか想像がつかない作品でした。
    大抵この手の作品はなんとなくオチが想像できてしまうのですが、これは私には想像外でした。
    後半は飽きない展開で読み進めたくなりました。

    「冤罪」という’もし自分だったら‥’という、なんとも心落ち開かない気持ちが同居していました。
    絶体絶命な状況からどう展開されるのか…先が気になり止まらなかったです。

    この作品を読んで、作家とは四六時中構想で頭がいっぱいなんだろう、やはり特殊な職業だと再確認した作品でした。

    #深い #怖い #ドキドキハラハラ

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    2023年05月17日
  • 闇の奥

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    素晴らしい翻訳で熱帯のジャングルの人を寄せ付けない世界の出来事とそんな世界が生み出した人物の難解な物語を一気に読ませる。物語は夜更けのテムズ川に浮かぶ船の上で船乗り仲間にコンゴ川での経験を振り返って語るという語りの形式で、マーロウの語りを聞いている人物が小説の中にも存在していて、語りを聞いている人物が主体となっている入れ子的な構造。ほとんどの部分はマーロウが主人公の視点となっているが、あえてそれを客観的に聞く人物を設けることでアフリカでの出来事が幻のように遠い世界の話に聞こえる効果もある。
    クルツがどのような存在なのか。これはほとんど暗示的に示されるばかりで善か悪かも判然とはしない。かつて優秀

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    2023年03月04日
  • 八月の光

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    戦間期のアメリカ南部。黒人や女性を抑圧する社会の空気に縛られつつ抗う。そのあり様は登場人物によって様々で、彼らが織りなす物語に福音書のイメージが重ねられもする。訳者は後書きで読者に再読を勧めているが、確かにそうすることによって汲み出すことができるものは多いように思う。ただ結構長い作品なので、実際再読するかと言われると考えてしまう。

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    2023年01月01日
  • ザ・ロード

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    たぶん近未来のアメリカ。たぶん核戦争後の世界。数多くの動植物が滅んだ終末の世界。僅かな食糧を奪いあう残された人類

    ただひたすらに南を目指して歩き続ける、ひと組の父子の物語。暴力が支配する世界で、人は善き存在であり続けることは出来るのか

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    2022年12月31日
  • すばらしい新世界

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    近未来ディストピア小説
    人間は工場生産されるようになり、家族という概念はなくなり、フリーセックスと快楽薬で不快や欲求不満を解消した、非常に安定した世界が描かれている。

    ディストピアだけど、きっとこの世界が本当にあったらここに生きる人は、結構幸せじゃないかと思う。
    徹底的に管理された階級社会、でもそれぞれの階級はその階級を不満に思うことのないように小さい頃から睡眠教育を受けている。なので、上の階級にも下の階級にも行きたいと思わない。
    動物園のライオンとサバンナのライオン、どちらがより幸せかがわからないのと同じ。

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    2022年11月03日