黒原敏行のレビュー一覧

  • Xと云う患者 龍之介幻想

    Posted by ブクログ

    小説、久しぶりに読みました。

    購入します、面白かった、また読みたい(あっ、借りた本なので)。
    芥川龍之介作品で1番好きなのは、「白」。

    0
    2023年12月25日
  • ノー・カントリー・フォー・オールド・メン

    Posted by ブクログ

     荒野に放置された弾痕の残る車輛と複数の死体、多額の現金と麻薬を見つけたら、そのまま放置して警察に連絡するに限る。現金を持ち帰り、再度現場を訪れるようなことをすると、地の果てまで追われることになる。

     冒頭から物語に引き込まれ、ストーリーや登場人物の行動、セリフに引っ張られ、終盤まで連れていかれる。章立て冒頭の保安官のモノローグの印象が残っているうちに、主人公と追手が繰り広げる逃走劇が脳内に入り込んでくる。ストーリーが脳内に入ってくるのは、著者の作品『ロード』でも同じだ。その文体がそうさせるのだと思う。

     主要な登場人物はすべて戦争経験者だ。オールド・メンの条件が戦争経験のように思うが、アメリカはどこかしらで戦争を継続しており、必ずしも古いタイプの男を指す条件ではないが、本書ではおおむねベトナム戦争経験者までをオールド・メンの対象にしている。2007年に本書の著者は80歳近い年齢であったことから、当然のカテゴライズだと思う。

     古いこと、新しいこと、時代がかったこと、今時のこと、いろいろなことが掛け合わさって入り乱れてくるが、ストーリーが立ち整然と物語は流れていく。しびれるほど面白かった。

    0
    2023年10月31日
  • ブラッド・メリディアン あるいは西部の夕陽の赤

    Posted by ブクログ

    一言で、血なまぐさい。
    しかし、人間の本性というか、根っこというか、生物の一種としての存在としてというか、そういう部分では、もしかしたらこういう感覚や行為はあるのかもしれない。
    読み進むのに楽ではないところもあるし、この本を読んでいる間はずっと鼻の奥に血の匂いがあるような感じまでしたが、人間とはどんな生き物なのかということをマザマザと見せつけてくるような感じという点では、すごい存在感がある一作。
    読む人は選ぶのかもしれないけれど。

    0
    2023年10月28日
  • ザ・ロード

    Posted by ブクログ

    ただ歩くだけでどんだけ引っ張るんだ?という前半だけど、徐々にこの世界のありようが明らかになってきたりそれなりの物語の起伏もあってまあまあ楽しめる。

    0
    2023年10月15日
  • 越境

    Posted by ブクログ

    舞台は1940年代のアメリカ・メキシコ国境地帯。主人公の少年は、三度び国境を越え、馬に乗ってメキシコの地を延々と放浪する。
    一度目は捉えた雌狼を生まれた地に送り届けに、二度目は盗まれた馬を取り戻すために、三度目は生き別れた弟を探しに。
    主人公は孤独な旅を逞しく続けるが、その過程であらゆるものを抗いがたい暴力によって喪失していく。
    壮大で厳格な喪失の物語である。

    文庫本で600ページを超える大作だが、最初の1、2ページを読んだところで、あまりの読みにくさに挫折しそうになった。
    独特な言葉遣いと長いセンテンス、詩的な情景描写、短い言葉を交わすだけのダイアログ、場面の切り替わりのわかりづらさ。
    心理描写は極力排除され、ただひたすら事物だけが描かれていく。
    特に、主人公が放浪の過程で出会う人物によって語られる挿話が長くて哲学的・宗教的で難解で、心が折れそうになるが、そこを乗り越えたときに頭で理解するのとは異なる、深淵な何かが確かに生じるのだ。
    主人公の旅に付き合うことで、時間感覚や地理感覚が拡張されていく感じ。

    先般(2023年6月)亡くなったコーマック・マッカーシーの「国境三部作」の2作目とされる。
    1作目の『すべての美しい馬』より先に読んでしまった。
    三部作すべてを読んでみたい気はするが、相当なスタミナが要求されそうだな…

    0
    2023年09月23日
  • ザ・ロード

    Posted by ブクログ

    動植物は死に絶え、人が人を喰らう終末世界で続けられる父子の「火を運ぶ」旅。善とは何か、生きるとはどういうことか…。全く光の見えない絶望的な情況の中で「破滅後」しか知らない少年の純粋さが胸を打った。

    0
    2023年08月23日
  • ノー・カントリー・フォー・オールド・メン

    Posted by ブクログ

    血と暴力の国含めて3回目。やっぱり面白い。けど、これに関しては映画が素晴らしすぎる(映画も3回見てる)。

    0
    2023年08月09日
  • すばらしい新世界

    Posted by ブクログ

    作中では時々、詳細な科学用語・物質名が引き合いに出され科学的にかなり発展していることが伝わり、その世界で宗教、文学、歴史が禁忌、禁書となっていることで「現在の我々読者の常識は非効率的な世界である」という雰囲気が出ている。

    しかし、性については野蛮人そのもので、誰とでも性交をするのが良しとされ、1人の人を愛する感覚がない彼らは果たして文明人と言えるのだろうか。

    また、異様なまでにシェイクスピアが引用されており、SFを描くにしては過剰な著者の文学的趣向が滲み出てしまっているように思えた。

    0
    2023年07月27日
  • ブラッド・メリディアン あるいは西部の夕陽の赤

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    物語の大半の舞台となっている、生きものを寄せつけず死体をすぐにからからに干からびさせてしまうアメリカ西部の岩だらけの原野のようにゴツゴツとした文体は、最初は読者を拒絶するようでもあるが、読み進めるうちになぜかペースに乗せられてしまう。何しろ長いので、読んでいるうちに慣れてしまう。むしろハマってしまう。
    当たり前のように虐殺シーンが続くが、それが当然の時代だったというわけでもなく、この時代にあっても特に荒くれ者の(実在した)頭皮剥ぎ集団に身を置くことになった少年の物語。物語の終わりには少年ではなくなるので、ある意味ではビルドゥングスロマンに相当するのかなと思った。
    感想を書くのは難しいが、何となく分かったような気がする部分と、こりゃ分からんお手上げだという部分があって、そのぐらいの歯ごたえのある文章を読むのは単純に楽しい。
    特に強烈だったのがホールデン判事というキャラクター。いつの間にか存在に気付いたが読み返してみたらもう冒頭ぐらいから登場していた。何しろ風貌が怪異で、この風貌を描写するマッカーシーの文章が冴えに冴えている。何度も描写されるが毎回異なった表現がつけられていて、この部分だけをまとめた引用文集を作ってみたいぐらい。またこの判事の発言が実に哲学的で含蓄に富んでいて、理解できない部分が多いのだが、これもまたまとめてみたい。

    0
    2023年07月26日
  • ザ・ロード

    Posted by ブクログ

    直視できない現実の辛さを見せないように肩代わりする父親。しかし、泣くしかできなかった子供が現実をしっかり受け止め出し、ついには父親を支えるようになり、父親の遺した言葉を胸に、この終末世界の中を生き抜いていく──。

    あまりにも辛い、けれど詩的な表現の美しさに魅了されるSF小説の傑作。子育てをしている今だからこそ響く言葉が多く、最後は辛過ぎて泣きそうになってしまいました。

    0
    2023年07月20日
  • ザ・ロード

    Posted by ブクログ

    涙ちょちょぎれるぜ…親父
    俺の親父といったら俺の最低でも6倍以上金貰ってるくせに青カビ生えたレモンサワーを出すような安い焼肉屋(飲み放題60分500円)に連れていきその後俺は知り合いのとこ行くからと二軒目の代金出したくなかったのか俺を置いてどこかに行っちまいやがった

    0
    2023年07月18日
  • すばらしい新世界

    Posted by ブクログ

    明るいディストピアな未来を舞台とした小説。ファスト消費、経済性、快楽主義を第一とする全体主義世界。1930年代に書かれたにも関わらず、ある意味現代社会を描いている様にも思える。著者による新版前書、解説なども必読。

    0
    2023年07月02日
  • ノー・カントリー・フォー・オールド・メン

    購入済み

    ミスなの?

    おもしろいけど、改行だらけかと思えば、最後の方は、改行もなければ「、」も一切ない。読みづらいったらありゃしない。わたしだけ?

    #アツい

    0
    2023年06月11日
  • ノー・カントリー・フォー・オールド・メン

    Posted by ブクログ

    個人的に現代アメリカを代表する最も重要な作家の1人と考えているコーマック・マッカーシーの長編第9作。既に単行本時として翻訳されていたが、当時の『血と暴力の国』から改題され、原題と同じ『ノー・カントリー・フォー・オールド・メン』として今回、文庫化で復刊されたのが喜ばしい。

    コーマック・マッカーシーという作家の魅力を説明しようとしたとき、「血と暴力の国」というワードは極めてシンプルにその魅力を表している。単行本時にこのタイトルが選ばれたのもよくわかる。本作を10ページほど読むだけで、5名が無惨な暴力で殺され、血に塗れることになるのだから。

    マッカーシーの作品は一般的には犯罪小説などの意味合いを持つノワール(暗黒)小説、と括られることがある。しかし、個人的にはその括りには違和感がある。ノワール小説の多くは単に犯罪、血と暴力などの意匠によって記号的に成立するのに対して、マッカーシーの作品においては世界がいかに存在するかを描こうとしてときに不可欠な意匠として犯罪、血と暴力などが存在しているからである。

    本作、”NCFOM”では、メキシコの麻薬密売人の金を持ち逃げした男と、彼を追う謎のサイコパス的なシリアルキラーの男、そしてその暴力を食い止めようともがく保安官の男、という3名を主軸に物語が描かれていく。血と暴力はますますとエスカレートしていくなかで、物語のキーマンである保安官の男が見せる内省にこそ、本作の隠れた主題が込められている。

    なお、『テスカトリポカ』で度肝を抜く文学世界を見せてくれた作家、佐藤究が本作では解説を寄せている。彼が本作に解説を書くということを知ったときに、個人的には強い納得感を覚えた。現代日本において、コーマック・マッカーシーと極めて近い場所にいる作家こそ、彼である、という両者のつながりを感じたからである。

    0
    2023年04月16日
  • 幻の女〔新訳版〕

    購入済み

    幻の女

    最後までどうなるのか想像がつかない作品でした。
    大抵この手の作品はなんとなくオチが想像できてしまうのですが、これは私には想像外でした。
    後半は飽きない展開で読み進めたくなりました。

    「冤罪」という’もし自分だったら‥’という、なんとも心落ち開かない気持ちが同居していました。
    絶体絶命な状況からどう展開されるのか…先が気になり止まらなかったです。

    この作品を読んで、作家とは四六時中構想で頭がいっぱいなんだろう、やはり特殊な職業だと再確認した作品でした。

    #深い #怖い #ドキドキハラハラ

    0
    2023年05月17日
  • 闇の奥

    Posted by ブクログ

    素晴らしい翻訳で熱帯のジャングルの人を寄せ付けない世界の出来事とそんな世界が生み出した人物の難解な物語を一気に読ませる。物語は夜更けのテムズ川に浮かぶ船の上で船乗り仲間にコンゴ川での経験を振り返って語るという語りの形式で、マーロウの語りを聞いている人物が小説の中にも存在していて、語りを聞いている人物が主体となっている入れ子的な構造。ほとんどの部分はマーロウが主人公の視点となっているが、あえてそれを客観的に聞く人物を設けることでアフリカでの出来事が幻のように遠い世界の話に聞こえる効果もある。
    クルツがどのような存在なのか。これはほとんど暗示的に示されるばかりで善か悪かも判然とはしない。かつて優秀で優れた人格を持っていた人物のように見え、アフリカの奥地での生活が彼を変えたというのではあまりにも単純に感じる。クルツには人間の本来持っている可能性の極端さが表れているのかもしれない。「怖しい、怖しい」というのはそんな人間の本質への怖れなのか。というのも浅薄か。

    0
    2023年03月04日
  • 八月の光

    Posted by ブクログ

    戦間期のアメリカ南部。黒人や女性を抑圧する社会の空気に縛られつつ抗う。そのあり様は登場人物によって様々で、彼らが織りなす物語に福音書のイメージが重ねられもする。訳者は後書きで読者に再読を勧めているが、確かにそうすることによって汲み出すことができるものは多いように思う。ただ結構長い作品なので、実際再読するかと言われると考えてしまう。

    0
    2023年01月01日
  • シャギー・ベイン

    Posted by ブクログ

    イギリス・グラスゴー。日本人の私からしたら、全く知らない土地なのに、読み進めるうちに懐かしいような気がしてくる。家の中のことが近所に筒抜けで、格好なんてつけない。ただ自分のままで生きている。必死で生にしがみついている。そういう階層の人間たちが集まっている。裸で人生を進んでいる人たち。
    貧しいということの、泣きたくなるような悲しさ。お金がないということが心を貧しくし、しかしそれと反比例するように生が色濃くなっていく。

    作者の自伝的小説というのは、ある種の性格を持ち合わせている。強烈なメッセージを主張したいがために書いたわけではないのに溢れ出てしまう感情の大波。こういうものは、津波のあとの町のように、読者の心を塗り替えてしまう。訳者あとがきで書かれていたが、作者は"どうしてもこの物語を自分の中から取り出す必要があった"と語っている。この物語を体から取り出さなければ、一人の人間として形を保っていられなかったのだろうと思う。

    600p超えの大作の、一文一文に薄く暮らしが編み込まれているような文章で、読みにくくはないのに進むごとに物語が染み込んでいくのを感じた。
    訳者あとがきを読むことで一層物語が愛おしく思えると思う。最後のページまでぜひ読んでほしい。

    0
    2022年10月02日
  • 八月の光

    Posted by ブクログ

    「普通」の人生などないと改めて感じさせる。なかでもクリスマスのアイデンティティの拠ってたつもののなさに一滴混じった悪意の果たすものの大きさ、それがもたらした複雑な生き様、そして悲劇には深く考えさせられるものがあった。人生において繰り返し読むに値する一冊。それにしても米国南部の歴史が抱える深い深い業よ。

    0
    2022年09月23日
  • アメリカン・ブラッド

    Posted by ブクログ

    元ニューヨーク市警のマーシャルは、犯罪組織への潜入捜査を終えた後、政府の保護下で暮らしていた。だが失踪した地元の若い女性の行方を調べ始めたばかりに、凶悪な麻薬の売人たちと対峙することに。さらには、かつて潜入していた組織が差し向けた殺し屋〈ダラスの男〉の魔手が迫るのだった。

    ニュージーランドの作家の作品。シリーズ化されているらしいが、翻訳が途絶えているのが惜しい。

    0
    2022年09月21日