黒原敏行のレビュー一覧

  • シャギー・ベイン

    Posted by ブクログ

    イギリス・グラスゴー。日本人の私からしたら、全く知らない土地なのに、読み進めるうちに懐かしいような気がしてくる。家の中のことが近所に筒抜けで、格好なんてつけない。ただ自分のままで生きている。必死で生にしがみついている。そういう階層の人間たちが集まっている。裸で人生を進んでいる人たち。
    貧しいということの、泣きたくなるような悲しさ。お金がないということが心を貧しくし、しかしそれと反比例するように生が色濃くなっていく。

    作者の自伝的小説というのは、ある種の性格を持ち合わせている。強烈なメッセージを主張したいがために書いたわけではないのに溢れ出てしまう感情の大波。こういうものは、津波のあとの町のよ

    0
    2022年10月02日
  • 八月の光

    Posted by ブクログ

    「普通」の人生などないと改めて感じさせる。なかでもクリスマスのアイデンティティの拠ってたつもののなさに一滴混じった悪意の果たすものの大きさ、それがもたらした複雑な生き様、そして悲劇には深く考えさせられるものがあった。人生において繰り返し読むに値する一冊。それにしても米国南部の歴史が抱える深い深い業よ。

    0
    2022年09月23日
  • アメリカン・ブラッド

    Posted by ブクログ

    元ニューヨーク市警のマーシャルは、犯罪組織への潜入捜査を終えた後、政府の保護下で暮らしていた。だが失踪した地元の若い女性の行方を調べ始めたばかりに、凶悪な麻薬の売人たちと対峙することに。さらには、かつて潜入していた組織が差し向けた殺し屋〈ダラスの男〉の魔手が迫るのだった。

    ニュージーランドの作家の作品。シリーズ化されているらしいが、翻訳が途絶えているのが惜しい。

    0
    2022年09月21日
  • ザ・フォックス

    Posted by ブクログ

    久々のフォーサイス作品を堪能。一時、脱筆宣言してから復活…80歳を過ぎてもなお、精力的に執筆活動をして読者を楽しませてくれてます。最新作の本書は実在事件を基に現代のサイバー戦争を背景に英米露…各国の緊迫した攻防戦が繰り広げられていきます。流石、稀代の作家フォーサイス…楽しく一気読みできました。

    0
    2022年09月07日
  • シャギー・ベイン

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    サンサーラが頭の中でなる小説。
    ザ・ノンフィクションを観てるみたい。

    読んでいて辛くなる時間が多かった。
    一方でアグネスがシャギーを取り返しにシャグのもとに訪れ、ゴミ箱を投げつけるシーンは痛快ですらあった。

    アグネスが亡くなるシーンがとても印象的。 
    絶望の果ては静寂と愛が残った。
    自分はこんな人生送りたくないし、自分の娘にもこんな目には合わせたくないが、小説の中では絶望の人生も必死に命の輝きを放っていたように思う。

    0
    2022年08月23日
  • ザ・フォックス

    Posted by ブクログ

    暗号名フォックス。スターリンやら金正恩やら文在寅やら、、、いろいろ出てきたが、ロシアの頭領の名前は出てこない、、、ラスト衝撃。あり得るかなあ?

    0
    2022年08月08日
  • シャギー・ベイン

    Posted by ブクログ

    タイトルはシャギー・ベインだけど、本当の主人公はシャギーの母アグネス。
    貧しい肉体労働者の一人娘として生まれたアグネスは、歯並びは悪かったが、エリザベス・テーラー似の美人でスタイルも良く、言葉遣いもきれいで、ファッションセンスもあった。ハンサムではないが誠実で真面目な男と結婚。二児をもうける。
    ここまでなら、まあ普通の良い人生。
    だけど人間は愚か。そんな平凡で退屈な毎日に嫌気が差し、性的な匂いをプンプンさせるタクシー運転手シャグと子連れで駆け落ちしてしまう。
    が、こいつが浮気、DVをするろくでなし。ここから彼女の転落が始まってしまう。この運転手との間に生まれたのがシャギー。
    シャグに捨てられア

    0
    2022年08月05日
  • すばらしい新世界

    Posted by ブクログ

    ディストピアを題材にした小説は初めて読んだ。未来の描写を読むのは単純にわくわくする。こんな未来は確かに来そうだとか、嫌だなとか、中途半端に機械化されてないな、みたいな考えが去来する。
    ところでこの小説の社会では、安定や幸福が何より優先されている。そのために人間を生産する技術が高められ、健康的害の少ない薬物が生活必需品となり、フリーセックスが奨励されている。社会は階級分けされ、低層階級の者は単純な肉体労働をこなしている。
    こんな未来がやってきそうかというと、やってこないだろう。この本が書かれた当時には想像もできなかったであろうインターネットの進化は、別のディストピアを用意していると思う。

    0
    2022年07月31日
  • 闇の奥

    Posted by ブクログ

    未だにわからない
    「The horror! The horror!」だけが入ってくる

    この作品を理解できるだけの人生はまだ自分は経験してないなぁ

    余談だが解説が長すぎる!

    0
    2022年07月19日
  • シャギー・ベイン

    Posted by ブクログ

    これはとめどもなく続くアルコール中毒者であるアグネスの生態記録、アグネスを見放せない一途に健気に寄り添う子供のシャギー、このノベルは諦めずアグネスを見守り更生させたいが出来ないもどかしいシャギーの気持ちに沿って根気よく読み続けないといけない。徒労感が残り消化不良のまま読み終える。

    0
    2022年07月12日
  • 世界が終わってしまったあとの世界で(下)

    Posted by ブクログ

    「豊崎由美の本棚」から購入。
    多数の折り目と赤ペンと共に読める機会をいただきました。


    冒頭のいかにもSFな出だしから、時系列がかわり、
    おや?
    っとなってから脳内がかなり混乱。
    後半にいろいろ繋がって理解しました

    が読み切れたか怪しいので再読します。
    2回読もうと思うくらいには面白い作品だと思います推奨

    0
    2025年07月05日
  • シャギー・ベイン

    Posted by ブクログ

    シャギーの生きるイギリスの時代背景が、沈みゆく日本の姿と重なって見えた。

    母を必要とする年齢のシャギー。少し歳上の兄弟たちと母の関係性が時間と共に変化していく様子から、シャギーと母との関係の未来を予感させ、読んでいて終始切なかった。

    0
    2022年06月28日
  • シャギー・ベイン

    Posted by ブクログ

    1980年代の英国グラスゴー。
    アグネスは新しく生まれ変わるため
    家族と共に炭鉱町へ移り住む。
    しかし、元夫に見捨てられアルコールが手放せなくなる。
    息子・シャギーには愛情を注ぐが生活は困窮していく。
    (あー、アグネス、また失敗をしちゃうのかな?
    どうか、アルコールではなく子供たちに目を向けて)
    そう思わずにはいられない。
    読んでいて辛いことばかりなのに
    なぜか、この親子を応援したくなる。

    訳者・黒原敏行さんあとがきより
    P607
    〈作者のスチュアートは、この作品は労働者階級の声、スコットランド人の声、女性と子供の声、同性愛者の声という、少数派の人々の”多様な声”を響かせることができているの

    0
    2022年06月22日
  • ナイルに死す〔新訳版〕

    A

    購入済み

    面白かった

    クリスティこそ人間心理のプロフェッショナルだな、
    というのが感想です。
    フィクションのはずなのに
    登場人物がみな現実に存在する人物のように感じます。
    人間は怖い。

    1
    2022年06月19日
  • 幻の女〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ミステリーの古典でどんでん返しの結末、それだけでも興味津々ですが、 J・ディーヴァーのリンカーン・ライムシリーズの面白さを知った私が本作を手にするのはもはや必然だったように思います。

    エドガー・アラン・ポーのモルグ街の殺人から始まった推理小説の歴史。

    本作も不朽の名作であることは読めばわかります。

    主人公は株式ブローカーのスコット(職業は本作では全く重要ではありません)。

    妻となんとか離婚をしようとしていたスコット、それまでとは手法を変え食事と劇場に妻を誘う。

    直前になって行かないと言い出す妻と激しい言い合いの末に家を飛び出したスコットは何気に立ち寄ったバーで不思議な帽子をかぶった女

    0
    2024年07月26日
  • 八月の光

    Posted by ブクログ

    出だしの美しさにピンと来たら、読んで見るべきだ。
    映画業界に参入する事で、小説家としての立ち位置が
    微妙になった感のある、フォークナー。

    だが、月の光がどこへ導くのか。

    村上春樹の、ねじまき鳥クロニクルのような、
    ある種行き着く先の知れない感じを楽しみたい人にお勧め。

    あまり難しく考えないで読んで、時が来たら意味を調べるのが良いと思う。

    0
    2022年04月13日
  • TOKYO REDUX 下山迷宮

    Posted by ブクログ

    下山事件は中学生の時、松本清張の「日本の黒い霧」になぜかハマってしまい、戦後日本のドロドロの原形質に触れた気がして、ずっと心の底に沈殿している謎でした。時々、この事件、出版物として目の前に現れるのですが、なぜか積読のままに放置してしまっています。例えば柴田哲孝「下山事件」もその一冊。「日本の黒い霧」のインパクトが凄かったからかな…そんな中、あるTV番組でで直木賞を取った佐藤究が超おススメしていたので、「テスカポリトカ」よりも先に読んでしまいました。たぶん、真相解明の本ではなく、フィクションだったので気易かったのかもしれません。でも、1949年、1964年、1989年、つまり事件発生、一回目の東

    0
    2022年02月11日
  • 闇の奥

    Posted by ブクログ


    濃密な文章で読みやすくはないが、そのおかげでアフリカの奥地の猥雑な雰囲気が伝わってくる。
    文明からかけ離れた未開の地に足を踏み入れることは、想像を絶するような体験なのだろう。正気を保てず狂ってしまうほど。怖しい!

    0
    2022年01月08日
  • TOKYO REDUX 下山迷宮

    Posted by ブクログ

     国鉄三大事件のひとつ、初代国鉄総裁の下山定則の轢断死体が発見されたが他殺説、自殺説まみえて解決に至らなかった下山事件を扱った小説。
     なのだが、昭和の東京で起きた事件を扱った三部作の最後ということは知らず、最後から読むことになってしまった。

     三章構成になっている。
     第一章の語り手はGHQの情報将校により、事件前、事件発生、そして事件後が語られる。
     そして第二章の語り手は元刑事の探偵、下山事件を追っていた作家の行方を追い、事件から20年後の東京が語られる。
     第三章は下山事件発生当時に対日工作のため来日し、現在は翻訳家のアメリカ人が、昭和天皇崩御の昭和の終わりとともに下山事件の真相にた

    0
    2021年11月19日
  • 八月の光

    Posted by ブクログ

    このタイトルをつけてくれてよかった(とんでもなく暗い内容とかけ離れた爽やかさ+8月になると読んでみようかなというきっかけになった)。あらすじの予備知識でもあったら手に取っていないかもしれない。でも読み応えのある南部ゴシックで、充実の読後感。最初と最後が本作の中ではごく少数派の楽観的でおっとりとした人物達の話なのも救われた。

    0
    2021年09月25日