黒原敏行のレビュー一覧
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テクノ/ハウスなどの音楽で一般的なリミックスという手法は、その後、”シミュレーショニズム”の文脈で現代美術にも派生するが、文学においてはそこまで一般的な手法ではない。本書はそうしたリミックスの手法を用いて、芥川龍之介の作品を英国人作家デイヴィッド・ピースが新たな文学作品に仕立てた一冊である。
芥川本人、芥川の作品の登場人物など、主人公が章ごとに移ろいながら、明治の世相が美しく、しかしどこか仄暗さを持って描かれる。どこまでが史実の話で、どこからが芥川の作作品のリミックスなのか、その垣根は極めてぼやかされており、幻惑的な時間が流れる、不思議な書物。 -
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Posted by ブクログ
ロンドン。時計職人の祖父と、ギャングのボスの父を持つ時計職人のジョーは、奇妙な二人組の訪問を受ける。どうやら二人は、ジョーが祖父や父から大事な秘密を引き継いでいると思い込んでるらしい。しかし、自分には思い当たるものがない…
大きくは時代の異なる二つの物語が進行して、それが途中から交わって新たな展開を見せる。この作品はハヤカワポケットミステリーで700ページ越えしているので、とても長い。しかも、二つの物語の二つ目について語り始められるまでが、また長く、読むのを挫折しそうになる。でも、100ページあたりまで来れると、グッと早く読めるようになる。 -
Posted by ブクログ
長い。長すぎて疲れた。なんなんだろう、ミステリではないな多分。感覚的にはSFです。ハマる人には傑作だろう。私はそうではなかったが。
巻き込まれ型の主人公の周囲は、怪しげな機械や怪しげな人物やらで雪だるま式に膨らんでいく。場面が変わるたび、そこに絡むエピソードに費やすページが多くなかなか本筋に入らない。早々に満腹感に見舞われた。二本立てのもう一方は女性エージェントのお話。こちらの方が相性がよく、読み応えもあり面白かった。
“なんでもあり”のお話です。ジャンルも、スチーム・パンク、悪漢小説、冒険スパイと多岐にわたってるし、リアリティがないから、謎の団体が、誰が、どこで何をやってもお構いなしに進 -
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Posted by ブクログ
夏目漱石が愛読したコンラッドの代表作。
そして、オーソンウェルズ、スタンリーキューブリック、フランシスコッポラなど巨匠たちがこぞって映画化しようとしたけれども、実現には至らなかった。
という前情報〔千夜千冊1070話〕に興味をそそられて読み始めた。
しかし、読みにくかった。
けっして難しい文章ではないのだが、どうにもリズムが合わない。
読後に解説を読んでみると、色んな人が翻訳しており、今回手にしたのは新訳だとわかった。
そして、そこで、原文が読みにくいことで有名だということもわかり、それに対して、それぞれの訳者が色々試行錯誤していることもわかった。
うーむ、その結果が、こういう訳になる -