黒原敏行のレビュー一覧

  • チャイルド・オブ・ゴッド

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    正直言えば最高傑作であろうブラッドメリディアンや三部作の水準にまでは及んでいないが、それらの作品につながる圧倒的な暴力性と表現力は40年前のこの作品にして、すでにして完成されている

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    2013年11月06日
  • チャイルド・オブ・ゴッド

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    怖い人のはずなんだけど、寂しさと哀しさが伝わってくる。
    何かとても純粋で綺麗な気もする。
    グロテスクなはずなんだが。

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    2013年09月07日
  • チャイルド・オブ・ゴッド

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    コーマック・マッカーシーの作品ではいつも、この世界では失われてしまったものがまだ存在するかもしれない世界への郷愁みたいなものが描かれているように思える。
    この小説の主人公も近代化に必死に抵抗しているようにも見えるが、瞬間、殆ど天災のように人に襲いかかったりもする。

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    2013年08月27日
  • チャイルド・オブ・ゴッド

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    コーマック・マッカーシーの邦訳新作、なのだけれども実際にはマッカーシーの第三長編で、なんと40年前の作品。だが古典作品ではなく、今読んでも衝撃的な作品。つまり普遍的なんだろう。この頃から相変わらず人間の陰惨な暴力性と徹底的な孤独を描いている。これがやがて「血と暴力の国」という、一分の無駄もない透徹されたハードコアな作品に繋がっていく、という原型も見られる。

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    2013年08月24日
  • 平原の町

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    ボーダー・トリロジー最終章。時代からはみ出た荒ぶる魂たちが、ピカレスクロマンの先に己の終着点を見つけて行く。大胆な省略法を活かした冒険の描出がとにかく格好いい。

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    2012年09月16日
  • 越境

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    【ガンバとカワウソの冒険】みたいな話かと思いきや、中盤手前でえええええという展開に。黙して語らない巨大な暗黒の世界に問いを投げ続ける、ハードな哲学小説になっていく。

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    2012年09月11日
  • すべての美しい馬

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    苛烈極まる暴力と不条理渦巻く世界で、ただひたすらに己の生きる道を貫くジョン・グレイディの生き方が眩しい。人生の暗部を厳しく見つめるマッカーシーならではの文学だ。

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    2012年08月31日
  • 平原の町

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    ジョン・グレイディの恋は一途で情熱的で、だからこそ破滅のにおいしかしない。「すべての美しい馬」の時もそうだった。
    でも、それ故に悲しいほどに光り輝いて見えるのだろう。
    見守る立場のビリーは、彼にかつて亡くした弟の影を見ている。
    そんなビリーが、彷徨い続けた先に、落ち着く場所を見つけられたことに小さく安堵した。

    同じ国境三部作の、前二冊よりは会話文が多く、読みやすく感じた。
    そして二人の主人公の、それぞれの結末(それがどんな結末であれ)を確認できてよかったとも思う。

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    2010年11月03日
  • すべての美しい馬

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    自分達の理想の世界を求めて、旅に出て、恋をして、騒動に巻き込まれて、生き残って、また理想の場所を求めて旅立つ。全体的に寂しさが漂うのは、幸せになれる場所がまだ見つかる気配が無いからだろうか。

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    2010年08月25日
  • 平原の町

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    国境三部作の完結編。
    1作目『すべての美しい馬』の主人公ジョン・グレイディと2作目『越境』の主人公ビリーとが共演する。

    物語は、二人が同じ牧場に勤めているところから始まる。気のいいオーナーの元、多くのカウボーイ仲間に囲まれて、ジョン・グレイディもビリーも平穏な生活を手に入れたかと思わせる。
    しかし、彼らも仲間もどこか落ち着かない。本作でも三部作を通して描かれてきたテーマ、失われつつある西部がモチーフだからだ。彼ら自身、自分たちの生活はもう時代遅れになりつつあり長くは続かないだろうことを知っている。そこから生まれる何とも言えない悲哀が全体に漂っている。

    話の本筋は、ジョン・グレイディが惚れた

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    2010年05月11日
  • 越境

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    国境三部作の2作目。
    本作もアメリカ西部に住む少年が、メキシコへと越境し、数々の苦難の冒険を経験するという粗筋である。

    が、こちらは『すべての美しい馬』以上に強烈な喪失の物語である。
    主人公ビリーの3度にわたる越境が描かれるが、そのたびに近しいものを失っていく。失われていくものを何とか取り戻そうとしても、全ては逆効果、予めそう決まっていたかのように失っていく。

    主人公の喪失の物語の合間に3つの挿話があるが、それも全て主人公の運命を示唆し、主人公の孤独を強調するかために配置されているのは明白である。

    しかし、何故か陰鬱な雰囲気、悲しげな雰囲気はない。全ては淡々と進んでいく。

    西部のカウボ

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    2010年05月06日
  • 黒い天使

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    まるでヒチコックを見ているかのよう。プロットに弱点はいくつかあれど、そんなことはまるで気にならない「作り話」の面白さを見せてくれる。時代設定がだいぶ昔なので、現実味など感じようと思ってこの本を選んだわけでなし。少し前のミステリを久々に読んだ。とてもよかった。

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    2010年01月26日
  • すべての美しい馬

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    独特の文体がいくらか読みづらくあるけれど、それが非常に心地よくもある。
    ときどき湧き立つ詩情、痛みを感じさせる描写などが非常に印象的。
    プロットもおもしろく、最後まで楽しく読むことができる。

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    2009年10月29日
  • すべての美しい馬

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    冒頭、主人公ジョン・グレイディ・コールの見る、馬に乗るインディアンたちの幻影の美しさに、まず心をつかまれた。とにかく全篇の自然描写が鋭く、美しい。ことに馬に関しては、なまめかしいくらい。ハイウェイを走るトラックの描写で、ああ、これは現代の物語であったと思い出す程、主人公の立ち位置が西部開拓時代を思わせる。いっさいの心理描写を廃しているせいか、16歳という年齢を感じさせないジョンの独立不羈ぶりが際立つが、時折挿まれるメキシコの子どもたちとのやりとりからは、彼のナイーブさが感じられる。特に、物語後半、牧場主の娘に会いに行く時に出会った貧しい子どもたちの一団に、メキシコに来てから自分の身に起こったこ

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    2010年02月24日
  • ザ・ロード

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    荒廃した世界を旅する父と子の物語。
    多くの人々が倫理観を忘れた世界で道半ば出会った人々を助けようとしたり、善きものであろうとする子供の純粋さが美しい。

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    2025年10月09日
  • ザ・ロード

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    ネタバレ

    大厄災の後、ほとんどの動植物種・文明は絶滅し、灰色の厚い雲に覆われ、生き残る人類の大部分は人食い部族として存続している地獄の世界。
    そんな地獄の中を、主人公の親子は、飢餓や凍死の危機をはじめとする様々な恐怖を経験しながら、倫理や理想を捨てずに進み続けようとする。
    極限状態に追い込まれていく描写がとてもリアルで、読みながら何度も何度も「頑張れ!まだ死ぬな!」と応援してしまった。食糧にありつくたびに、自分がとても安堵した。
    信仰を捨てず、こどもに無償の愛を注ぎ続ける父親が死んでしまうシーンはとても悲しかった。
    少年が新たな夫婦に出会う、救いのあるラストでまだよかったが…いや、この世界には救いなどな

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    2025年09月25日
  • シャギー・ベイン

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    サッチャー時代の炭鉱の町グラスゴーの貧困家庭の話。アルコール中毒の母親の面倒を見る小学生のシャギーが主人公。
    ちょうどアメリカのラストベルトの話のようだが、人種や移民の話はまだなく、カトリックとプロテスタントの対立が底層に流れる。
    筆者の自伝らしいが、ちょっと冗長。

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    2025年08月27日
  • すべての美しい馬

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    やはり特徴的なのはこの一文が長い文章だろう。しかもほぼ句読点もなし。あえてのこの書き方なのはわかるが、それでも読みずらい。平易な文章で書かれているが、この書かれ方にする必要性を感じなかった。

    ストーリーはサクサクと進むが、これといって起承転結に感情が揺さぶられることはなかった。

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    2025年08月23日
  • シャギー・ベイン

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    複雑な歴史背景などがあるんだろうけど、結局、母親は子供に甘えてただけなんじゃないかってモヤモヤして終わった。
    でも、読みやすかったので読んで良かった。

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    2025年08月18日
  • ザ・ロード

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    あとがきの表現を借りると、北斗の拳の世界の子連れ狼。ありえるかも知れない死と灰の世界で、人間はどのように行動し思考するかという視点ではリアリティを感じられましたが、物語は割と単調に感じました。

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    2025年08月14日