黒原敏行のレビュー一覧
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ネタバレ大厄災の後、ほとんどの動植物種・文明は絶滅し、灰色の厚い雲に覆われ、生き残る人類の大部分は人食い部族として存続している地獄の世界。
そんな地獄の中を、主人公の親子は、飢餓や凍死の危機をはじめとする様々な恐怖を経験しながら、倫理や理想を捨てずに進み続けようとする。
極限状態に追い込まれていく描写がとてもリアルで、読みながら何度も何度も「頑張れ!まだ死ぬな!」と応援してしまった。食糧にありつくたびに、自分がとても安堵した。
信仰を捨てず、こどもに無償の愛を注ぎ続ける父親が死んでしまうシーンはとても悲しかった。
少年が新たな夫婦に出会う、救いのあるラストでまだよかったが…いや、この世界には救いなどな -
Posted by ブクログ
環境が人を作ると思ってるから、この本の洗脳教育を実際にやっても功を奏しそうで怖い。
多分階級社会を受け入れさせて、階級を明確にすることが1番効率的なのかもしれない。差別はきっと無くならないし、それをモチベーションに仕事をする、っていうのもリアルだなと思った。きっとこの物語は人がめちゃくちゃ単純になったら一番効率的(経済面)で、みんな幸せ(不幸だと思えない)なモデルな気がする。
この本の洗脳教育をされている登場人物は盲信的に自分たちの価値観が正しく、優れていると思っているけど、実際の人間には少しは疑う心があって欲しい。
けど、その考えもいろんなことを考えましょう、という教育の影響かもしれないから -
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Posted by ブクログ
ネタバレ40~60年前の小説の訳者あとがきで幾度も出会い、読んでみる気になった。
中盤の終わりくらいまではかなり良かったのだが、以降徐々に怪しくなってゆき、クライマックスはハリウッド映画のようになってしまっていてがっかり。いわゆるハリウッド映画的とされるものが醸成される以前の作品であるはずだが、不思議なことだ。
本作品から見えた幻覚は『無限のリヴァイアス』、『癒しの葉』、『地獄の黙示録』。
『癒しの葉』は、エレメンタルのありようのモチーフになったのではないかと思ったり思わなかったり。
『地獄の黙示録』は、狂ってく様と後半に覚えた「オイオイ、いーのかよそれで」なガッカリ感。
『無限のリヴァイアス』は -
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Posted by ブクログ
言わずと知れたアガサ・クリスティーの名作。
中学生の頃、やたらアガサ・クリスティーを読む友人がいた。ある日、彼がこの本を読んでいたことを思い出し(といっても40年以上も前の思い出だが)、読もうと思い立ち手に取る。
1937年に書かれたものだが、僕の思い出とは異なり、色あせることはない。
まず「ナイルに死す」というタイトルが、何とも異国情緒に溢れた響きがあり、いいではないか。
物語は、アフリカの大地をゆったり流れるナイル川のように、さまざまな人々の背景、船上での新たな人間関係、密かな思惑など全てをゆっくり飲み込むかのように流れていく。
太古の文明を築いたエジプトとはそういう場所なのだろうか。
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