黒原敏行のレビュー一覧

  • 平原の町

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    ジョン・グレイディの恋は一途で情熱的で、だからこそ破滅のにおいしかしない。「すべての美しい馬」の時もそうだった。
    でも、それ故に悲しいほどに光り輝いて見えるのだろう。
    見守る立場のビリーは、彼にかつて亡くした弟の影を見ている。
    そんなビリーが、彷徨い続けた先に、落ち着く場所を見つけられたことに小さく安堵した。

    同じ国境三部作の、前二冊よりは会話文が多く、読みやすく感じた。
    そして二人の主人公の、それぞれの結末(それがどんな結末であれ)を確認できてよかったとも思う。

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    2010年11月03日
  • すべての美しい馬

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    自分達の理想の世界を求めて、旅に出て、恋をして、騒動に巻き込まれて、生き残って、また理想の場所を求めて旅立つ。全体的に寂しさが漂うのは、幸せになれる場所がまだ見つかる気配が無いからだろうか。

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    2010年08月25日
  • 平原の町

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    国境三部作の完結編。
    1作目『すべての美しい馬』の主人公ジョン・グレイディと2作目『越境』の主人公ビリーとが共演する。

    物語は、二人が同じ牧場に勤めているところから始まる。気のいいオーナーの元、多くのカウボーイ仲間に囲まれて、ジョン・グレイディもビリーも平穏な生活を手に入れたかと思わせる。
    しかし、彼らも仲間もどこか落ち着かない。本作でも三部作を通して描かれてきたテーマ、失われつつある西部がモチーフだからだ。彼ら自身、自分たちの生活はもう時代遅れになりつつあり長くは続かないだろうことを知っている。そこから生まれる何とも言えない悲哀が全体に漂っている。

    話の本筋は、ジョン・グレイディが惚れた

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    2010年05月11日
  • 越境

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    国境三部作の2作目。
    本作もアメリカ西部に住む少年が、メキシコへと越境し、数々の苦難の冒険を経験するという粗筋である。

    が、こちらは『すべての美しい馬』以上に強烈な喪失の物語である。
    主人公ビリーの3度にわたる越境が描かれるが、そのたびに近しいものを失っていく。失われていくものを何とか取り戻そうとしても、全ては逆効果、予めそう決まっていたかのように失っていく。

    主人公の喪失の物語の合間に3つの挿話があるが、それも全て主人公の運命を示唆し、主人公の孤独を強調するかために配置されているのは明白である。

    しかし、何故か陰鬱な雰囲気、悲しげな雰囲気はない。全ては淡々と進んでいく。

    西部のカウボ

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    2010年05月06日
  • 黒い天使

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    まるでヒチコックを見ているかのよう。プロットに弱点はいくつかあれど、そんなことはまるで気にならない「作り話」の面白さを見せてくれる。時代設定がだいぶ昔なので、現実味など感じようと思ってこの本を選んだわけでなし。少し前のミステリを久々に読んだ。とてもよかった。

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    2010年01月26日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    ⭐️3.0

    翻訳がうーん。物凄く読みづらかった笑
    でもラストが気になり過ぎて
    飛ばし飛ばしで一気に読み終えた。
    ホラ貝、煙、豚。
    それぞれ執着し過ぎだし
    どんどん理性を失っていく様が怖かった。
    よく分からないところは解説を読んで
    分かったような。
    狭い場所で集団で生活するって
    どうしても派閥が生まれるんだろうな。
    学校や社会でもそうだし。

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    2026年05月20日
  • 抱擁

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    200ページで文字も詰まっていないが、倍くらいの文量を読んだ感じ。普段、文学っぽい文章を読んでいおらず、ついて行けなかった。結局、写真に写る現象は何だったのか…。とか言ってる時点で読めてないのだろうと思う。

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    2026年05月18日
  • 平原の町

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    ネタバレ

    「すべての美しい馬」のジョン・グレイディ・コール、「越境」のビリーが「平原の町」では同じ牧場で働いている。

    「越境」でのビリーは世捨て人のような、世界に背を向けようが何をしようが、お構いなし、という感じだったが、ここではジョンの兄貴分として、大人になっている。

    「すべての美しい馬」のジョンはどう生きるべきなのか、世界にもまだ淡い期待を持っていたように見えた。ここでもそれは変わらない。
    そしてジョンは娼婦に恋をする。意味を持つ世界を信じるジョンは娼婦に入れ込み、結婚を申し込む。

    ビリーをはじめ、誰もが諦めるようにジョンを説得するが、ジョンは聞かない。
    ジョンにはなんとかなる、という淡い期待

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    2026年04月29日
  • 抱擁

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    表紙は雪の中2人の男女が歩いている。よく見えない霧のなかをあてどなく歩くような本だった。命は簡単に失われ、同時にまた新しい命が生まれる。命は個人の意思で生まれず、与えられ、去っていく寂しさがある。抱擁は1人ではできない。寂しさを埋めるために抱きしめ、暖かさを確認するためにきつく抱き合う。昔、小猿の代理母の実験があった。針金の代理母とタオルの代理母が用意された。すると小猿はミルクが出るかどうかに関わらずタオルの代理母にしがみついたという。小猿が求めていたのは、単なるミルクだけではなく、触れられる温かさなのだろう。人間もただ生きるだけではなく、誰かの温かさを感じなければ、生きている実感を持てないの

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    2026年03月16日
  • 抱擁

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    アン・マイクルズは「儚い光」でオレンジ賞(女性小説賞)受賞、BBCの〈世界を作った100冊〉にも選出されたカナダの詩人・小説家。
    ブッカー賞候補になった「抱擁」は、なんだか詩を読んでいるような清らかな作品だった。翻訳者曰く、彫心鏤骨(チョウシンルコツ)の作であると。
    『もし今いっしょにすわってくれたなら、自分はこの人と一生涯テーブルをともにするだろうと感じたことを。』

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    2026年03月15日
  • 抱擁

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    詩のような断片が積もり、コラージュのように語られる世界。

    抱える傷や痛みごと他者は抱きしめていく。

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    2026年03月11日
  • チャイルド・オブ・ゴッド

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    なんとも恐ろしい小説を書くものです。凄惨な事件の内容ではありません。タイトルが示すように主人公が神の子であれば私もまた神の子だということ。高みから見れば個々の差など無いに等しく、それを納得させられてしまうことが恐ろしい。

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    2026年02月22日
  • すべての美しい馬

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    白黒映画のようだ。
    荒涼たる砂漠。
    理不尽や不公平が覆う世界。
    血は赤では生々し過ぎる。
    黒がいい。
    太陽の光と、ドス黒い血。
    強烈なコントラストの中で、馬だけが美しい。

    マッカーシーのカギ括弧が無い文体が、心の叫びのように聞こえてくる。
    救いがない、理不尽の世界でも、大地は変わらない。
    人はここで生きていくしかない。
    必要なのは勇気なのか。
    いや、そんなことを考えるのは人だけで、大地は今日も日に照らされ、生き物を育み、死をのみ込む。

    それでも生きることには意味がある。
    と、マッカーシーは言っている、と思いたい。

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    2026年02月17日
  • すばらしい新世界

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    ネタバレ

    前半では社会のあり方やそこに生きる人の価値観を描き、後半ではその社会を外部から観察した際の違和感を野蛮人ジョンの視点から分かりやすく描いている。
    苦悩や障害を超えることで得られる達成感が重要である、というジョンの主張のもとにディストピア社会を批判しているが、自分は社会に馴染めるタイプだろうなあと思いながら読んだ。苦労せず短絡的な快楽を得たいという思想と、何かを乗り越える過程にこそ意味があるという思想は優劣のつくものではなく、この作品でいうところの条件づけ次第で好むものが変わるという話なんだろう。
    1984年は寡頭政治のトップが権力を握り続けること(権力は権力のために存在し続ける)を目的に社会を

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    2025年12月27日
  • ノー・カントリー・フォー・オールド・メン

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    人は選択のミスにより、取り返しがつかない境地に陥ることがある。ただ、その選択は運なんかではない。選択は本人の責任であり、その結果、導かれたものが運なのかもしれない。まさに運命。命を運びし選択。乾き荒れた地に吹きすさぶ無情の死神者、シガー。

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    2025年12月20日
  • ザ・ロード

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    荒廃した世界を旅する父と子の物語。
    多くの人々が倫理観を忘れた世界で道半ば出会った人々を助けようとしたり、善きものであろうとする子供の純粋さが美しい。

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    2025年10月09日
  • ザ・ロード

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    ネタバレ

    大厄災の後、ほとんどの動植物種・文明は絶滅し、灰色の厚い雲に覆われ、生き残る人類の大部分は人食い部族として存続している地獄の世界。
    そんな地獄の中を、主人公の親子は、飢餓や凍死の危機をはじめとする様々な恐怖を経験しながら、倫理や理想を捨てずに進み続けようとする。
    極限状態に追い込まれていく描写がとてもリアルで、読みながら何度も何度も「頑張れ!まだ死ぬな!」と応援してしまった。食糧にありつくたびに、自分がとても安堵した。
    信仰を捨てず、こどもに無償の愛を注ぎ続ける父親が死んでしまうシーンはとても悲しかった。
    少年が新たな夫婦に出会う、救いのあるラストでまだよかったが…いや、この世界には救いなどな

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    2025年09月25日
  • シャギー・ベイン

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    サッチャー時代の炭鉱の町グラスゴーの貧困家庭の話。アルコール中毒の母親の面倒を見る小学生のシャギーが主人公。
    ちょうどアメリカのラストベルトの話のようだが、人種や移民の話はまだなく、カトリックとプロテスタントの対立が底層に流れる。
    筆者の自伝らしいが、ちょっと冗長。

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    2025年08月27日
  • すべての美しい馬

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    やはり特徴的なのはこの一文が長い文章だろう。しかもほぼ句読点もなし。あえてのこの書き方なのはわかるが、それでも読みずらい。平易な文章で書かれているが、この書かれ方にする必要性を感じなかった。

    ストーリーはサクサクと進むが、これといって起承転結に感情が揺さぶられることはなかった。

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    2025年08月23日
  • シャギー・ベイン

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    複雑な歴史背景などがあるんだろうけど、結局、母親は子供に甘えてただけなんじゃないかってモヤモヤして終わった。
    でも、読みやすかったので読んで良かった。

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    2025年08月18日