黒原敏行のレビュー一覧

  • チャイルド・オブ・ゴッド

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    怖い人のはずなんだけど、寂しさと哀しさが伝わってくる。
    何かとても純粋で綺麗な気もする。
    グロテスクなはずなんだが。

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    2013年09月07日
  • チャイルド・オブ・ゴッド

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    コーマック・マッカーシーの作品ではいつも、この世界では失われてしまったものがまだ存在するかもしれない世界への郷愁みたいなものが描かれているように思える。
    この小説の主人公も近代化に必死に抵抗しているようにも見えるが、瞬間、殆ど天災のように人に襲いかかったりもする。

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    2013年08月27日
  • チャイルド・オブ・ゴッド

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    コーマック・マッカーシーの邦訳新作、なのだけれども実際にはマッカーシーの第三長編で、なんと40年前の作品。だが古典作品ではなく、今読んでも衝撃的な作品。つまり普遍的なんだろう。この頃から相変わらず人間の陰惨な暴力性と徹底的な孤独を描いている。これがやがて「血と暴力の国」という、一分の無駄もない透徹されたハードコアな作品に繋がっていく、という原型も見られる。

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    2013年08月24日
  • 平原の町

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    ボーダー・トリロジー最終章。時代からはみ出た荒ぶる魂たちが、ピカレスクロマンの先に己の終着点を見つけて行く。大胆な省略法を活かした冒険の描出がとにかく格好いい。

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    2012年09月16日
  • 越境

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    【ガンバとカワウソの冒険】みたいな話かと思いきや、中盤手前でえええええという展開に。黙して語らない巨大な暗黒の世界に問いを投げ続ける、ハードな哲学小説になっていく。

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    2012年09月11日
  • すべての美しい馬

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    苛烈極まる暴力と不条理渦巻く世界で、ただひたすらに己の生きる道を貫くジョン・グレイディの生き方が眩しい。人生の暗部を厳しく見つめるマッカーシーならではの文学だ。

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    2012年08月31日
  • 平原の町

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    ジョン・グレイディの恋は一途で情熱的で、だからこそ破滅のにおいしかしない。「すべての美しい馬」の時もそうだった。
    でも、それ故に悲しいほどに光り輝いて見えるのだろう。
    見守る立場のビリーは、彼にかつて亡くした弟の影を見ている。
    そんなビリーが、彷徨い続けた先に、落ち着く場所を見つけられたことに小さく安堵した。

    同じ国境三部作の、前二冊よりは会話文が多く、読みやすく感じた。
    そして二人の主人公の、それぞれの結末(それがどんな結末であれ)を確認できてよかったとも思う。

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    2010年11月03日
  • 平原の町

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    国境三部作の完結編。
    1作目『すべての美しい馬』の主人公ジョン・グレイディと2作目『越境』の主人公ビリーとが共演する。

    物語は、二人が同じ牧場に勤めているところから始まる。気のいいオーナーの元、多くのカウボーイ仲間に囲まれて、ジョン・グレイディもビリーも平穏な生活を手に入れたかと思わせる。
    しかし、彼らも仲間もどこか落ち着かない。本作でも三部作を通して描かれてきたテーマ、失われつつある西部がモチーフだからだ。彼ら自身、自分たちの生活はもう時代遅れになりつつあり長くは続かないだろうことを知っている。そこから生まれる何とも言えない悲哀が全体に漂っている。

    話の本筋は、ジョン・グレイディが惚れた

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    2010年05月11日
  • 越境

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    国境三部作の2作目。
    本作もアメリカ西部に住む少年が、メキシコへと越境し、数々の苦難の冒険を経験するという粗筋である。

    が、こちらは『すべての美しい馬』以上に強烈な喪失の物語である。
    主人公ビリーの3度にわたる越境が描かれるが、そのたびに近しいものを失っていく。失われていくものを何とか取り戻そうとしても、全ては逆効果、予めそう決まっていたかのように失っていく。

    主人公の喪失の物語の合間に3つの挿話があるが、それも全て主人公の運命を示唆し、主人公の孤独を強調するかために配置されているのは明白である。

    しかし、何故か陰鬱な雰囲気、悲しげな雰囲気はない。全ては淡々と進んでいく。

    西部のカウボ

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    2010年05月06日
  • 黒い天使

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    まるでヒチコックを見ているかのよう。プロットに弱点はいくつかあれど、そんなことはまるで気にならない「作り話」の面白さを見せてくれる。時代設定がだいぶ昔なので、現実味など感じようと思ってこの本を選んだわけでなし。少し前のミステリを久々に読んだ。とてもよかった。

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    2010年01月26日
  • ノー・カントリー・フォー・オールド・メン

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    ベトナム帰還兵のモスは男たちの殺戮現場から大金を見つけてしまう
    モスに対して殺し屋が迫る
    保安官ベルは日々凄惨な事件が増えることに嘆き今回の事件の捜査を進めていく
    血と暴力の国では一寸先は闇であり、勧善懲悪や因果応報は機能せず、善良な人間が望むようには出来ていないまさに「老人の住む国にあらず」

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    2026年09月05日
  • すばらしい新世界

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    面白かったかどうかと言われれば微妙な気がしますが、興味深く、羨ましい社会だなと思いながら読んでいました。無駄なしがらみに縛られない、要らぬ煩いを忘れられるなんて、なんと羨ましい。これのどこがディストピアなんでしょう、ユートピアの間違いでは?

    未来記が読者の興味を引くのは予言が成就する可能性を感じる時のみ、との記述が1931年時点及び15年後の作者の前書きにあります。2026年現在、すばらしい新世界の技術は(こういったディストピア物語に珍しく)あまり現実にはなっていません。せいぜい文化大革命とカンボジア政権くらいでしょうか。残念なことに未だに子供は母親の胎内から生まれてくるし、家族愛は据え置き

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    2026年07月26日
  • すべての美しい馬

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    存在場所を求めてテキサス州からメキシコへと、友人とともに愛馬で旅する馬を愛する少年の物語。ハックフィンの冒険のようにアメリカで愛される王道の青春ストーリーだが日本人の自分としてはそこまでのめり込めず、ザロードのほうが内容は面白かったものの、切れ目ない独特の文体は楽しめました。越境もいつか読んでみたい。

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    2026年07月11日
  • 幻の女〔新訳版〕

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    「夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。」
    この詩的な書き出しから始まる、古典的なミステリーの傑作。

    妻殺しの嫌疑をかけられた主人公の死刑執行前に無実を信じる友人が捜査に奮闘する。
    アリバイ成立のため、事件当日主人公とバーに同席していた女性を探すが、なかなか見つからない...

    80年ほど前の作品であるからか、警察の捜査がざるすぎるだろとツッコミたい部分もあったが、そんな時代背景を越えて、引き込む魅力がある。

    ハードボイルドでありながら、随所に情感豊かな描写が光り、ニューヨークの夜の湿った空気感や、死刑執行までのタイムリミットまでの焦燥感、絶望感の描写が秀逸だっ

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    2026年06月14日
  • 抱擁

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    一昨年のブッカー賞最終候補が今年邦訳刊行?アン・マイクルズ/抱擁
    戦場から生還した写真家の撮る肖像に死者が写る。見えない記憶や愛が百年・四世代にわたり紡がれる物語。
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    時系列があちこちジャンプする。
    話の流れがつかみにくいかもしれないけれど、そもそも人の記憶自体が時系列通りに整理されているわけじゃないのだ、と気づきます。

    思い出の品や匂いなど、ふとしたきっかけで断片的に、そして唐突に蘇ってくるもの。そうした不規則な動きを表現しているのかもしれない。
    詩人の著者らしく静謐なイメージ描写で、死を断絶ではなく「生者に寄り添う気配」として描く優しさ・美しさを感じました。

    タイトルの「抱擁(H

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    2026年06月12日
  • ザ・ロード

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    NYタイムズ紙が選ぶ「21世紀のベスト100冊」よりコーマック・マッカーシー/ザ・ロード
    運命の日からしばらく、灰に覆われ日が差さなくなった世界を行く主人公と幼い息子。「善き者」であろうとお互いを鼓舞しつつ、南を目指し荒野を歩き続ける。

    世界崩壊の当日やXX年後の物語は多くあるけれど、数年後の死にゆくさまを描いているのは稀有かもしれない。
    描写が悲しくも細やか。冷えきった世界で漠然と南を目指すのは、まだ生きたいと願う動物としての本能かな。徹底して削ぎ落とされた冷徹な文体で、終末世界の残酷さを容赦なく突きつけます。

    そんな絶望の底にいるからこそ、父と子の間に通い合う無償の愛がいっそう尊い。「

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    2026年06月10日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    ⭐️3.0

    翻訳がうーん。物凄く読みづらかった笑
    でもラストが気になり過ぎて
    飛ばし飛ばしで一気に読み終えた。
    ホラ貝、煙、豚。
    それぞれ執着し過ぎだし
    どんどん理性を失っていく様が怖かった。
    よく分からないところは解説を読んで
    分かったような。
    狭い場所で集団で生活するって
    どうしても派閥が生まれるんだろうな。
    学校や社会でもそうだし。

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    2026年05月20日
  • 抱擁

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    200ページで文字も詰まっていないが、倍くらいの文量を読んだ感じ。普段、文学っぽい文章を読んでいおらず、ついて行けなかった。結局、写真に写る現象は何だったのか…。とか言ってる時点で読めてないのだろうと思う。

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    2026年05月18日
  • 平原の町

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    ネタバレ

    「すべての美しい馬」のジョン・グレイディ・コール、「越境」のビリーが「平原の町」では同じ牧場で働いている。

    「越境」でのビリーは世捨て人のような、世界に背を向けようが何をしようが、お構いなし、という感じだったが、ここではジョンの兄貴分として、大人になっている。

    「すべての美しい馬」のジョンはどう生きるべきなのか、世界にもまだ淡い期待を持っていたように見えた。ここでもそれは変わらない。
    そしてジョンは娼婦に恋をする。意味を持つ世界を信じるジョンは娼婦に入れ込み、結婚を申し込む。

    ビリーをはじめ、誰もが諦めるようにジョンを説得するが、ジョンは聞かない。
    ジョンにはなんとかなる、という淡い期待

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    2026年04月29日
  • 抱擁

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    表紙は雪の中2人の男女が歩いている。よく見えない霧のなかをあてどなく歩くような本だった。命は簡単に失われ、同時にまた新しい命が生まれる。命は個人の意思で生まれず、与えられ、去っていく寂しさがある。抱擁は1人ではできない。寂しさを埋めるために抱きしめ、暖かさを確認するためにきつく抱き合う。昔、小猿の代理母の実験があった。針金の代理母とタオルの代理母が用意された。すると小猿はミルクが出るかどうかに関わらずタオルの代理母にしがみついたという。小猿が求めていたのは、単なるミルクだけではなく、触れられる温かさなのだろう。人間もただ生きるだけではなく、誰かの温かさを感じなければ、生きている実感を持てないの

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    2026年03月16日