ウィリアム ゴールディングの作品一覧
「ウィリアム ゴールディング」の「後継者たち」「蠅の王〔新訳版〕」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
- 作者をフォローする
- フォローすると、この作者の新刊が配信された際に、お知らせします。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
「ウィリアム ゴールディング」の「後継者たち」「蠅の王〔新訳版〕」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
子供の情念と性悪説
楽園のように食料に困らず外敵もいない無人島に子供だけが不時着する。最初は集会を定期的に開き家を作り火を炊き豚をかっていた。しかし小さな子から中くらいの子へと伝わり話が肥大化している"獣"の存在がみんなの恐怖心を煽る。ジャックとラルフはどちらが隊長になれるか競争している。その一環で、獣の正体を突き止めて群衆に勇気を見せつけようとする。
夜闇の中冒険に出たせいで、人間の死体が正体であるのに気が付かず、化け物だと思い込んでしまう。
そこでラルフが「獣の前では狩猟隊は槍を持った子供だ」というと、ジャックが決定的に腹を立てて決別してしまう。
ここから狩猟隊VS文明人の構図が出来上がる。
皆、踊りや狩りや上下関係による権威の乱用など情念的な楽しさにノコノコつられていき、文明人側はサイモンピギーエリックサティちびっ子だけになってしまった。それでも各々別の生活をしていたが、ある日宴会に文明人がつられていき、肉の施しを受け、踊りに参加してしまう。その興奮状態の時サイモンが暗闇の中飛び出してくる。獣と勘違いされて殴り殺されてしまった。次にピギーのメガネが盗まれる。取り返しに行くも、顔に野蛮人の化粧をして集団という記号の中に自我を沈めている皆は群衆と成り果ててしまい、ピギーの奪ったことの不当性を訴える声は届かない。あまつの果てにはピギーは明確に殺される。
ラルフが対話を試みようとその晩野蛮人サイドについたエリックサティに話しかけると、次の日ラルフ狩りが始まることがわかった。それでも草の中に隠れて眠る。あとは焼け払われた森から死に物狂いで逃げ続け、隠れ続け、刺し続けた結果海に出ると海軍の大人が助けてくれておしまい。
最初は自由に浮かれて無邪気に逆立ちをしていたラルフが後半になるにつれてに文化人としての責任を感じ相対的に大人になっていくのが不気味だった。
サイモンについてはよく分からない使われ方をしたな、と思ったら、あとがきの解説によると聖書関連なのか。
自分だったらもっと上手くやれるのにと思いながら見ていたが、それは大人の視点でだった。小学六年生の頃だったら絶対に自分はジャック側に操作されていただろうな。
群集心理や匿名性が引き出す人間の暴力的な面、人間に備わったタナトスやパトスを含んだエロス。考える余地が多くて世界に無理やり没入させられた。数日間は頭を悩まされそう。