ウィリアム ゴールディングのレビュー一覧

  • 蠅の王〔新訳版〕

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    現代の社会実験として十分に説得力があり、ところどころに挿入される寓話は物語としても強固である。中でも「野蛮人」へとすり替わる描写は我々の先入観を強烈に刺激する。

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    2025年11月12日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    ネタバレ

    乗っていた飛行機が無人島に不時着した少年たち。最初は大人のいない自由な生活を楽しんでいたが、次第に摩擦が生じ、殺し合いに発展していく。
    少年たちは、大人ならこんなことにならなかったのでは?と考えるが、ラストに描かれた巡洋艦がその考えの否定を示唆している。作中では科学や知性の象徴である眼鏡が殺人に使用される。現実でも科学の産物が戦争に使用されている。この島は世界の縮図ではないか。私たちの中には〈獣〉が潜んでいる。それを自覚する必要があるのだ。

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    2025年11月02日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    無人島に漂流した少年たちが互いに協力しながらもサバイバルを続ける。その中で次第に火や道具といった理性的な物を中心にする派閥と、狩りを中心にした暴力的な派閥に分裂してゆく。それはさながら現代の左派と右派の対立を象徴するかのようだ。どちらの要素も人間には必要不可欠であり、絶対的な正義はなく、極限の環境によってそれはいくらでも暴走しうるという人間の本性があるのみである。少年たちを主人公にすることによって、少年たちが大人を理想像的に思い描いているが実はその少年達の姿こそが本来に人間の姿に最も近い点が印象的だった。

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    2025年08月06日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    ネタバレ

    ラスト、少年たちが大人に救助され、野蛮人やリーダーから少年に戻ったけど、この子たちはこの先どうなるんだろう……と感じる
    島での経験は傷跡となって一生残りそう、絶対忘れられない
    続きが読みたくなる良い作品
    最後、ラルフがピギーのことを友だちだと認めて泣いていたのが良かった……切ない

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    2025年07月13日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    ネタバレ

    紙から溢れる少年達の生命力がすごい! 飛行機が墜落し、無人島に取り残される少年たち。最初は冒険気分でも「食べる・寝る・排泄・助けを求める」という現実からは逃れられない。義務を説くリーダーは嫌われる、遊と勇を説くリーダーは好かれるのは人間世界そのもの。自分を心得ていたピギーとサイモン。思考停止せず自分に従う二人が悲しみと共に心に残る。デスゲームの様相と残り少ないページ数にハラハラしながら一気読みした。作者が教師をしながら書いたこの小説。経験を生かすとはこういうことなのかと。いい作品に出会えてとてもうれしい。

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    2025年03月22日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    ネタバレ

    最初に読んだ時衝撃を受けた。自分の大好きな小説ランキングTOP10に入る

    漂流文学で1番的を得ていて現実的で、生々しくて、うまく説明出来ないけどゾクゾクして、意味わからんくらい面白い(語彙力)

    「豚殺せ。喉を切れ。ぶちのめせ!」がずっと心に残ってる

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    2025年02月07日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    「『蝿の王』のようだった」というレビューを何度か見たことがあって、『蝿の王』のような感じってどんなの?とわからず(@_@;)
    気になって小説を読んでみたくなった。

    少年たちを乗せた飛行機が無人島に不時着した。少年たちはリーダーを決め、大人のいない島での暮らしは、当初は気ままで楽しく感じられたが…。

    作者のゴールディングのコメント。
    「大事なことはただひとつ、まずは物事の中に入って、そこで動きまわるという体験をすることだ。そのあとで、自分の好きな解釈、正しいと思う解釈をすればいい。」

    私も物語に入り込んで少年たちと一緒になってすごい体験をしてしまった…。
    服も髪も顔もボロボロになり、森や山

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    2024年10月30日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    序盤から不穏な空気が漂っていて、ページをめくる手がとまりませんでした・・・!どうすればこうならなかったんだろう・・・と読後もああでもないこうでもないと考えを巡らせてしまう。モヤモヤするけど読めて良かった名作です!

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    2024年03月15日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    展開がテンポ良くだがじわじわと状況が変わるのが伝わり、書き方がシンプルで良い。
    人間の獣性をよくかけてる

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    2023年11月02日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    「この少年たちは人間であるという恐ろしい病気にかかっている」
    訳者後書きの一文がこの小説を端的に物語っている。性悪説の視点で描かれたというより、人間とはそもそも獣だという考え方なのだ。
    まさに「人間は蜜蜂が密を作るように悪をなす」のだ。

    粗筋としてはこんな感じ。
    「飛行機の墜落で無人島に漂着した少年たちが、大人のいない世界で自らの獣性に目覚め、共同体から除外された仲間の殺戮を始める。」

    閉ざされた世界で2つのグループに分かれて行き、それぞれ独自のルールが作られる。文明のルールを守りたいラルフと、サバイバルを楽しみたいジャック。多くの少年はジャック側につき、ラルフ側の仲間は追い詰められていく

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    2022年12月08日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    序盤は抽象的で冗長な印象を受けるが、ラストは文字通り、駆け抜けるスピード感がすごい。性悪説という言葉から生まれたイメージが全速で追いかけてきているような感覚になった。

    「ぼくはあいつが怖い」「だからあいつのことがよくわかる。ある人間が怖いと、その人間が憎くなるけど、その人間のことを考えるのをやめられなくなるんだ。」
    という一文が印象的。
    聖書的な意味があると知れる訳者あとがきが大変ためになり、思った以上に様々な見方のできる本だった。

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    2025年10月13日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    ネタバレ

    楽しい話ではないが、物語を楽しむことはできた。
    人間は食べなければ生きていけない。食を餌にすれば、どうしたって寝返ることになってしまうのはわかるが、それでは秩序を守った生活が長く続けられないと思う。
    追い込まれて気が狂ったようになるのは、読んでいても辛かった。

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    2025年09月07日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    後半のは文章にスピード感・緊迫感があり、風景描写が巧だった。
    SNSなどネットを覗けば、匿名の皮をかぶった野蛮人になる者が垣間見られるように思う。
    あとがきにあるように具体的な背景が省かれたことで普遍性をもち、今でも色褪せない内容である。ただ、人間関係に疲れている時に読むものではないな。

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    2025年08月27日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    遭難が唐突に始まるところからして、かなり寓話性の意味合いを感じられる。ストーリー的にはむずかしくはないのだが、解説を読んでその深みを知った。ネタバレではないので、解説から読んでもいいと思う。

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    2025年03月26日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    長く積読のままにしていたが、この機会に読み通せて良かった。
    当初は秩序を重んじていた少年たちが、恐怖とコミュニケーション不全から敵対していくまでの描写に、強いリアリティを感じた。どのような意思決定の仕組みであれば、彼らは憎しみ合わずに済んだのだろうか。

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    2024年11月16日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    すごく好きだった。何回も読めば鮮明に状況を想像できる様になると思う。最後の展開が急転直下で興奮したまま読み終えた。

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    2024年07月16日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    1950年代に書かれた人間の根源的、性質的部分を自身の体験をもとに宗教的要素を絡めながら物語として描かれた作品。
    時代背景などを考えながら、なぜ「蠅の王」なのか、自分がもしこの一員だとした、などと考えながら読んでいくとこの物語の恐ろしさを体感、実感できる。

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    2024年05月16日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    ネタバレ

    子供だけの楽園だと思っていたが・・・最後には・・・。
    最近日本でもイノセンツという映画が公開されていましたが、それと同じで子供って実は残酷なんですよね。
    子供だけではなく本来人間の内にはこういう残酷な1面がみんなにあって、それを理性で抑えてるだけなんですよね。
    第十二章の最後の展開には今までのゆったりとした展開からのギャップが凄く食い入るように読んでしまいました。

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    2024年03月27日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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     無人島に不時着した飛行機、そこで生き残った子供達による生活を描いたものであるが、新訳版ということもあり、非常に読みやすくはあったものの、西洋の文化的な下地などをあまり理解できていなくても考えさせられるのは名作たる所以なのであろう。
     果たしてこの作品の主人公ラルフは何歳の設定で、一体どの程度の人数が不時着し、何日ほど島で過ごしていたのであろうか。これらをあまり絞りすぎていないからこそ想像に頼らざるを得ない。
     そもそも子供たちによる自治について、この作品では失敗に陥っているのであるが、何故にそうなったのかを考察することは、必要不可欠であろう。その要因たるものとして、集団心理より人の残虐性や人

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    2024年03月03日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    ネタバレ

    私はこの作品における「ほら貝」は組織や社会といったシステムのメタファーであると考えた。強いカリスマ性を持つものが作り上げた組織ではそのリーダーが強い発言権を持つ。しかし、それはリーダーであるもののカリスマによって成り立っているものであり、民主的な行動(組織全体に発言権を持たせたり平等に接し合うこと)を行うのは有効ではない。また、物語終盤でほら貝が破壊されたのはシステムの崩壊を暗喩している。カオス状態の環境でシステムを維持するのは難しく、これまでのリーダーの行動に異議や不満を抱いていたものがそのシステムを崩壊させる行為はまさしく世界の縮図であると感じた。
    非常に面白く色々と考えさせられる作品だっ

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    2023年12月28日