黒原敏行のレビュー一覧

  • 闇の奥

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    映画「地獄の黙示録」の原作だったので読んでみた。輪郭がはっきりしない曖昧な不安感が読後も続く。警察も肉屋もいない原初の大地に向き合い続けるうちに、普通の感覚が失われて物事の意味が希薄になっていき、綻びのように発生した狂気を押し留めることができなくなる…。マーロウがクルツを冷静に批判している一方でクルツの虜になっているのは何故なのか?これがマーロウ自身が引きずり込まれた闇、なのだろうか。

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    2020年11月23日
  • チェリー

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    最初に「著者告知」として、
    「これはフィクションです。
    ほんとに起きたことは一つもないです。
    人物は一人もほんとにはいないです。」
    とある。
    別に特別なことを書いてあるわけじゃないのに、なんだかそこはかとなくおかしみがある文章。人柄がにじみ出ている感じ? 原文を読んでないけど、きっと名訳!
    で、本文に入るわけだけど、新兵(=チェリー)としてイラクに派遣された部分を読んで、告知は真逆で、「きっと大部分が本当のことなんだろうな」と思った。

    読んでいて、虚しさが伝わってきた。
    「何か意味のあることをしに来てるんじゃなくて、爆弾で怪我するか殺されるかするのが目的で、毎日時間をむだにするのが目的で、こ

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    2020年11月07日
  • 闇の奥

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    解説を読むと、この光文社古典新訳版で、なんと四人目の訳者になるらしい。それだけ、魅力のある作品だということなのでしょうが、読者それぞれに想像させる描写が多く、物語の筋は分かるけど、そこから何を問いかけているのかが、難しく感じた。

    初読で私が感じたことは、単純だけど、改めて植民地の概念って何だろう? ということです。

    いきなり、知らない国の人たちがやって来て、特産品をいただくので、ただ働きしてくださいみたいな、現地の人にしてみたら、何言ってんの、ってなるであろうこの感覚は、私の理解の範疇を超えている。それなのに、見た感じでは、当然に受け入れたかのように働いている現地人の姿の描写が痛々しく感じ

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    2020年10月20日
  • キル・リスト 下

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    フォーサイスの作品で、良く登場するイスラムと欧米国家との争い。海外の作品にありがちな長々しい描写は好みが分かれるのでは。テンポという点では弾まない気がするものの、イスラムと欧米キリスト教国家との対立を少なからず、今回の作品からも学べた。(上下巻通しての感想)

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    2020年04月14日
  • チェリー

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    銀行で「アッティカ!アッティカ!アッティカ!」と言う場面。つい最近観たアルパチーノの「狼たちの午後」を思い出した。

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    2020年04月08日
  • 闇の奥

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    1ページ読んで、3ページ戻る。
    どうなってんのか分からず、戻って読み直す、を繰り返し。気づけば、結局何がなんだかわからないまま読破。
    コッポラ監督の『地獄の黙示録』の原作ということですが、映画よりも淡々と静けさが目立ち、かつ難解です。
    しばらく本棚に寝かせて、5年後くらいにまた読んでみようかな。

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    2019年09月18日
  • Xと云う患者 龍之介幻想

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    テクノ/ハウスなどの音楽で一般的なリミックスという手法は、その後、”シミュレーショニズム”の文脈で現代美術にも派生するが、文学においてはそこまで一般的な手法ではない。本書はそうしたリミックスの手法を用いて、芥川龍之介の作品を英国人作家デイヴィッド・ピースが新たな文学作品に仕立てた一冊である。

    芥川本人、芥川の作品の登場人物など、主人公が章ごとに移ろいながら、明治の世相が美しく、しかしどこか仄暗さを持って描かれる。どこまでが史実の話で、どこからが芥川の作作品のリミックスなのか、その垣根は極めてぼやかされており、幻惑的な時間が流れる、不思議な書物。

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    2019年06月01日
  • Xと云う患者 龍之介幻想

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    芥川龍之介の作品にインスパイアされた短編集。
    著者は英国生まれだが、日本文学に精通し現在は日本在住、東大で教鞭もとる。

    ああ、もう一度芥川作品を読まなくては…。

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    2019年05月24日
  • すべての美しい馬

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    情景描写やキャラクター描写からアメリカとメキシコの対比が見られた。
    保守的なロリンズと自分の感情の赴くままに行動するジョン・グレイディの2人の性格も対比的に描写され、先進的なアメリカへの批判という、コーマック・マッカーシーの脱中心主義に基づいているのではないかと思われる。
    目を背けたくなるような暴力的なシーンが多かったため、読み進めるのに時間がかかった。

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    2018年06月16日
  • エンジェルメイカー

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    ロンドン。時計職人の祖父と、ギャングのボスの父を持つ時計職人のジョーは、奇妙な二人組の訪問を受ける。どうやら二人は、ジョーが祖父や父から大事な秘密を引き継いでいると思い込んでるらしい。しかし、自分には思い当たるものがない…
    大きくは時代の異なる二つの物語が進行して、それが途中から交わって新たな展開を見せる。この作品はハヤカワポケットミステリーで700ページ越えしているので、とても長い。しかも、二つの物語の二つ目について語り始められるまでが、また長く、読むのを挫折しそうになる。でも、100ページあたりまで来れると、グッと早く読めるようになる。

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    2017年10月23日
  • 闇の奥

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    マーロウという老船乗りが若いときに体験したコンゴでのできごとを語る。
    すごくオブラートに包んだ語り口で、そこに意味があるようなのだが、やはりよくわからなかった。
    肝心のクルツが何をしてどのように変化したのか分かりにくい。
    魔境の不気味さや迫力は感じられる。

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    2018年10月19日
  • 悪の法則

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    ネタバレ

    陰惨。
    ハードボイルドで詩的なマッカーシー節もあるけれど、むしろ主人公を憐れんだり、展開に恐怖したりすることに忙しかった。
    映画脚本で、会話が主であるため読みやすかったけれど、その読みやすさがむしろ、物語の暗さを後押ししているのかもしれない。
    主人公に対しても読者に対しても、憎むべき相手や怖がるべき対象がほとんど姿を見せないまま物語が進む。それもまたリアルで、その分読んでいて辛かった。

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    2017年04月05日
  • エンジェルメイカー

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    まー詰め込みすぎやわな、面白いけどのめり込めない。この世界観で半分かせめて2/3の長さやと印象も違うと思う。

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    2016年09月26日
  • エンジェルメイカー

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    長い。長すぎて疲れた。なんなんだろう、ミステリではないな多分。感覚的にはSFです。ハマる人には傑作だろう。私はそうではなかったが。

    巻き込まれ型の主人公の周囲は、怪しげな機械や怪しげな人物やらで雪だるま式に膨らんでいく。場面が変わるたび、そこに絡むエピソードに費やすページが多くなかなか本筋に入らない。早々に満腹感に見舞われた。二本立てのもう一方は女性エージェントのお話。こちらの方が相性がよく、読み応えもあり面白かった。

    “なんでもあり”のお話です。ジャンルも、スチーム・パンク、悪漢小説、冒険スパイと多岐にわたってるし、リアリティがないから、謎の団体が、誰が、どこで何をやってもお構いなしに進

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    2016年03月06日
  • 闇の奥

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    マッカーシーのブラッド・メリディアンで
    名前が出ていたので読んでみる。
    当時の大陸にいた先人にとって、
    海外から襲いかかってきた侵略者は
    一種の神秘という表現はおもしろいなーと。

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    2015年10月31日
  • 越境

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    オオカミを失い、
    家族を失い最後は弟を失う。
    越境するたびに何かを失う話。

    陰鬱なはずの描写もあるが、
    他作品と同じくまるで風景のよう。

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    2015年10月15日
  • チャイルド・オブ・ゴッド

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    どちらかといえば初期のころの作品だが、
    独特の文体、表現はすでにこの時点で固まっていたのだと思う。
    猟奇殺人ではなく、
    それを取り巻く世界を描いたという訳者の解説はなるほどと思った。

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    2015年09月30日
  • 越境

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    物語は一気に読むものという認識を強くさせられた。読むのに時間をかけすぎた。タイミングが悪かったことにして、いつか再読の必要があるだろう。

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    2015年09月15日
  • 悪の法則

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    映画脚本の日本語訳である。

    選択した気がなくてもいつの間にか選択している。
    そしてその結果に従うしかないってこと。
    他の作品でも見られるマッカーシー哲学を簡潔にした感じ。

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    2015年08月22日
  • 世界が終わってしまったあとの世界で(上)

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     めくるめく世界である。
     あれ? SFだっけ。現代のようだけれども……現代にしては、いろいろとできすぎる、そうか、SFだからか、となる。

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    2015年07月12日