黒原敏行のレビュー一覧

  • チャイルド・オブ・ゴッド

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    コーマック・マッカーシーは国境三部作がよかったしその力量を否定するつもりは全くないけれど、最近このテの小説はしんどい。”このテ”というのは暴力や犯罪、性描写がストレートに出てくる小説のことである。
    だいたい、孤独→犯罪を引き起こす、という図式はステレオタイプ過ぎないか。

    孤独が犯罪を生むわけではないはずだと思う。

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    2013年10月12日
  • 越境

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    国境三部作の第二作目。

    オオカミを故郷へ帰そうというくだりは本当にすばらしかったが、その後が少し冗長。
    「すべての美しい馬」を先に読んでいたので、同じような展開に感じてしまい、あまり入り込めなかった。

    ただときどき入る逸話はとても興味深かったです。

    もう少し集中して読めば、この小説の神話的な真価が感じ取れるのかしら。

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    2013年04月11日
  • すべての美しい馬

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    牧場という理想郷を失った少年は新たなる土地を求め旅に出る ―

    アメリカ大陸を横断し、メキシコへと向かう中での景色はまさにアメリカ。
    荒野、草原、平原、稜線・・・著者は広大な世界を読者の我々に、まるでそれが目の前であるかのように描きます。

    それは時に暖かく、時に厳しい西部の大地。
    そして人生も同じです。

    出会い、別れ、失意、幸福、絶望、暴力。
    たくさんの経験が少年たちを喜ばせ、苛み、成長へとつながっていく。

    続編「平原の町」も楽しみだ。

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    2013年03月20日
  • すべての美しい馬

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    アメリカ人にとってメキシコはいつでも夢の場所なんだろうか。ケルアックが目指した喧騒とは異なる、忘れられた南部の夢を求めて主人公たちは国境を越える。しかし、そこにはやはり熱狂があり、喧騒があるのだ。ボロの30年型フォードよりもよっぽど頑張り屋の馬が伴侶となるが。隣人たちは、彼等をまるではるか彼方、1万光年を旅した宇宙飛行士のように崇める。しかし、そこはやはり彼等のいる場所ではないのだ。

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    2011年03月22日
  • 平原の町

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    ジョン・グレディは、「馬」のころにもまして
    厄介の種に対して熱く真っ直ぐに駆け出しすぎる
    喪失から再び彷徨いにいたるビリーは
    世界や運命や人間というものに巻き込まれる
    ジョン・グレディは、個人であり
    ビリーは、個人を取り巻く世界
    個人をつつむ運命と人間への問いかけだった。
    私は、ビリーでいたい。

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    2010年04月04日
  • すべての美しい馬

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    なんだろう、これ、この感じ。
    物語としては先に読んだ「越境」のほうが好みだが
    読み進むスピードと、惹きこまれ具合は、コチラのほうが上。

    かぎ括弧の無い会話は、表向き交わされる記号の
    やり取りにしか過ぎないのだろうか。
    何かを求めて国境を越え、何もかも失って戻る。
    失いながらも得たものを背負って次の地平へ向かう。
    若き日のココロに現れる
    理想と現実、無限の希望と挫折、荒廃と再生
    運命に抗えない人間
    「平原の町」を読み終わるまで
    全ての姿は見えないのかもしれない。

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    2010年03月04日
  • 越境

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    単に昔のアメリカ・メキシコを描いた物語に見えて
    挿話と主人公のリンクを考えると
    神、運命、世界といったものを描いている作品

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    2009年12月26日
  • すべての美しい馬

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    ジム・ジャームッシュの映画のような、
    コーマック・マッカーシーらしい作品。
    ただ西部劇という設定は、時代背景などどうしてもわかりにくく、
    「TheRoad」と比較すると、面白さが伝わりにくかった。

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    2009年10月04日
  • 黒い天使

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    愛人殺しで有罪となった夫の無実を晴らそうと若妻は

    偶然見つけた手掛かりをもとにイニシャルMの真犯人を

    探し出そうと一人探偵行に身を投じる。



    「幻の女」(W・アイリッシュ名義)は

    あまりに有名なオールタイムベスト級の作品で傑作だった。

    「暁の死線」はサスペンスフルで徹夜で読んだ。

    短編もいくつか読んでいるはず。

    けれどおおまかな粗筋しか憶えておらず、ミステリーなのに

    事件がどう解決したのか綺麗さっぱり記憶から消えている。

    心に鮮明に焼き付いて残っているのは作品のムードや文章、印象的な場面だ。

    「黒衣の花嫁」「喪服のランデヴー」等有名どころの作品は

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    2009年10月04日