黒原敏行のレビュー一覧
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辺鄙な場所に赴任したら、
空き家をタダで貸してもらえるとて、
一人暮らしには広すぎる田舎の一軒家で、
夜は虫の声を聞いて過ごす羽目になった人が言うには、
数日も経つと誰もいないはずの奥の部屋が
ざわめくことに気づいた、とか……。
もし、放り出されたのが電気も月明りもない、
真の闇の中だったら、どんな気分になっただろう。
そこにないはずのものが見えるような錯覚に陥ったり、
幻聴に怯えたりしなかったろうか。
これは19世紀末、ヨーロッパ帝国主義時代のアフリカで、
収奪に邁進した企業の
有能な社員が呑み込まれた暗黒についての話。
大変有名な映画(恥ずかしながらこれも未見)の
原案に採用された小 -
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国境三部作以降しか読んでなかったので、かなり驚いた。そこで主人公たちは、ひたすら謙虚に慎ましく生きるものとして描かれていたからだ。レスター・バラードは怖れ、毒付き、卑小な欲望に流され、涙を流し、生にしがみつく。ある意味、それらの主人公たちよりも人間らしいと言えるかもしれない。これはコーマック・マッカーシーが絶対悪を描き始める前に、人間の卑小な悪、それこそが本質だとでも言うように描いたものだ。ただ、やはり精緻な日々の営みや、自然の描写は詩的、神秘的で美しい。氏の作としては短く、読みやすい。っても、子どもにオススメできるような内容じゃないけど笑
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世界は広い。そう感じさせる作家がまた一人登場。何と、ミステリにのめり込むあまり、高校生時代に習作なのだろうが長編小説を二作ほど書き上げた挙句、大学時代に、シリーズもののミステリを三作も出版させたというのがベン・サンダース。しかも聞いたことも読んだこともないけれど、この人はニュージーランドの作家だ。
なのに『アメリカン・ブラッド』という、アメリカの小説で世界デビュー。こうして日本でも翻訳されているのだが、作者の生年月日を考えると26歳で書き上げた作品ということになる。驚きの才能としか言いようがない。
荒削りというのが日本の二十代作家の印象なのだが、世界戦を挑む作家だけあって、むしろ緻密 -
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難解な小説(英文学)として認識していた
この本ですが、新訳で非常に読みやすく、わかりやすかった
です。でも一部難解な部分が残っている感じです。
うまく書くことができないですが、落語にもにた
一人語りの部分で、物事のたとえが高度になっていて
その部分がわかりずらい部分を残したのではないかと思います。
内容的には、聖人であったと思われるやり手の英国紳士が
アフリカの奥地で暴虐・残忍な略奪を繰り返していく様が、
植民地支配や人種差別の奥を描き出しているような
内容です。
誰にでもある残虐性とそれに対して、人生の最後に
恐怖を感じてしまう人間性がよく出ていると思います。 -
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時計職人が修理した機械は、世界を破壊しかねない物だった!
国際的陰謀に巻き込まれた青年の、波乱の冒険物語☆
時計が専門の機械職人ジョーは、祖父の店をついで地道に暮らしていました。
父親は、じつは名の知れたギャング。
ある日ジョーは、何だかわからない機械を修理したことから、謎の男達に追われる羽目に。
機械を持ち込んだ奇妙な老婦人イーディは、じつは往年のスパイ。
彼女の回想がやたら濃厚で、インドの藩王や、陰謀をたくらむ秘密組織が入り乱れます。
ジョーの祖母に当たる美女フランキーも深く絡んできます。
前半は方向性がわからない状態で細かい描写が繰り広げられ、主人公は危機に陥るばかり。
後半は俄然 -
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主人公のジョーに対し、最初はなんだこのしみったれたおっさん、と思うけれども、最後にはきゃー格好いい! 抱いて!ってなる。あ、ネタバレしてるじゃないか。でも、しみったれたおっさんのままでも嫌いじゃない。
しかしこの本の魅力的なキャラクターはジョーだけじゃない。イーディーやポリーの素敵さもたまらない。
しみったれたおっさんの話から、多分予想しない方向に物語が展開するのだけれども、序盤の冗長さが若干辛い。どういう話なのかよく分からないまま読み進むしか無い。
1/3読めば勢いがついて後は終わりまで一気に読み進むことが出来るのだが(それでも2段組700P超えの大ボリュームである)、そこまで読め -
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今月の猫町課題図書。恥ずかしながら、これが映画「地獄の黙示録」の原作とは知らず、途中から「なんかイメージが重なるなぁ」と思いながら読んでいた。
風景、人物、感情から小道具の一つ一つに至るまですべてのものが、未開(当時)のアフリカ奥地の魔境的なイメージを構成しており、一人称話者のマーロウとともに圧倒的な迫力とおどろおどろしい恐怖感を存分に堪能できる。社会派小説としての観点からは、人種差別、収奪に関する批判が徹底していないという評価もあるそうだが、これは純粋に小説として読んで、その凄さを味わいたい。
翻訳は光文社古典新訳の精神にのっとって、非常に読み易く、違和感のある箇所も少ない。しかし、訳者