黒原敏行のレビュー一覧

  • 闇の奥

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    辺鄙な場所に赴任したら、
    空き家をタダで貸してもらえるとて、
    一人暮らしには広すぎる田舎の一軒家で、
    夜は虫の声を聞いて過ごす羽目になった人が言うには、
    数日も経つと誰もいないはずの奥の部屋が
    ざわめくことに気づいた、とか……。

    もし、放り出されたのが電気も月明りもない、
    真の闇の中だったら、どんな気分になっただろう。
    そこにないはずのものが見えるような錯覚に陥ったり、
    幻聴に怯えたりしなかったろうか。

    これは19世紀末、ヨーロッパ帝国主義時代のアフリカで、
    収奪に邁進した企業の
    有能な社員が呑み込まれた暗黒についての話。

    大変有名な映画(恥ずかしながらこれも未見)の
    原案に採用された小

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    2018年01月25日
  • 闇の奥

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    ネタバレ

    本国イギリスの影響が及ばない植民地時代のコンゴにおいて独自の権力を築き上げたクルツという男がいた。マーロウは彼を救出に向かう。クルツは最後に死にかけた状態で物語に現れるのみで、それまでの周囲の人間から彼を噂を聞くのみである。それでもこのクルツという人物の特異性やカリスマをうかがい知ることができるが、それをマーロウの目を通して見ることはできない。文明社会から隔絶された未開のジャングルで独自の地位を築き上げたクルツの人生を間接的に外側から描写する。

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    2017年12月30日
  • チャイルド・オブ・ゴッド

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    国境三部作以降しか読んでなかったので、かなり驚いた。そこで主人公たちは、ひたすら謙虚に慎ましく生きるものとして描かれていたからだ。レスター・バラードは怖れ、毒付き、卑小な欲望に流され、涙を流し、生にしがみつく。ある意味、それらの主人公たちよりも人間らしいと言えるかもしれない。これはコーマック・マッカーシーが絶対悪を描き始める前に、人間の卑小な悪、それこそが本質だとでも言うように描いたものだ。ただ、やはり精緻な日々の営みや、自然の描写は詩的、神秘的で美しい。氏の作としては短く、読みやすい。っても、子どもにオススメできるような内容じゃないけど笑

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    2017年08月02日
  • アメリカン・ブラッド

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     世界は広い。そう感じさせる作家がまた一人登場。何と、ミステリにのめり込むあまり、高校生時代に習作なのだろうが長編小説を二作ほど書き上げた挙句、大学時代に、シリーズもののミステリを三作も出版させたというのがベン・サンダース。しかも聞いたことも読んだこともないけれど、この人はニュージーランドの作家だ。

     なのに『アメリカン・ブラッド』という、アメリカの小説で世界デビュー。こうして日本でも翻訳されているのだが、作者の生年月日を考えると26歳で書き上げた作品ということになる。驚きの才能としか言いようがない。

     荒削りというのが日本の二十代作家の印象なのだが、世界戦を挑む作家だけあって、むしろ緻密

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    2016年12月31日
  • エンジェルメイカー

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    世界を滅亡させる時計を動かしてしまった時計職人の冒険を描いたおすすめ本です。戦前の女性スパイの物語と現代の時計職員の人生が交錯して、クライマックスへと物語の伏線が流れるように回収されていきます。特にラストが圧巻で、今までの長い物語を頑張って読み続けて、この結末というのが非常にスカッとしました。

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    2025年12月21日
  • 闇の奥

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    難解な小説(英文学)として認識していた
    この本ですが、新訳で非常に読みやすく、わかりやすかった
    です。でも一部難解な部分が残っている感じです。
    うまく書くことができないですが、落語にもにた
    一人語りの部分で、物事のたとえが高度になっていて
    その部分がわかりずらい部分を残したのではないかと思います。
    内容的には、聖人であったと思われるやり手の英国紳士が
    アフリカの奥地で暴虐・残忍な略奪を繰り返していく様が、
    植民地支配や人種差別の奥を描き出しているような
    内容です。
    誰にでもある残虐性とそれに対して、人生の最後に
    恐怖を感じてしまう人間性がよく出ていると思います。

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    2016年11月25日
  • エンジェルメイカー

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    時計職人が修理した機械は、世界を破壊しかねない物だった!
    国際的陰謀に巻き込まれた青年の、波乱の冒険物語☆

    時計が専門の機械職人ジョーは、祖父の店をついで地道に暮らしていました。
    父親は、じつは名の知れたギャング。
    ある日ジョーは、何だかわからない機械を修理したことから、謎の男達に追われる羽目に。

    機械を持ち込んだ奇妙な老婦人イーディは、じつは往年のスパイ。
    彼女の回想がやたら濃厚で、インドの藩王や、陰謀をたくらむ秘密組織が入り乱れます。
    ジョーの祖母に当たる美女フランキーも深く絡んできます。

    前半は方向性がわからない状態で細かい描写が繰り広げられ、主人公は危機に陥るばかり。
    後半は俄然

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    2016年10月21日
  • エンジェルメイカー

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    時計職人の孫,ギャングの孫のジョーの成長譚.祖父母の時代からの因縁の「エンジェルメイカー」をめぐっての攻防.神になろうとするシェム・シェム・ツィエンの半端でない存在感,「夜の市場」「ラスキン主義者連盟」機関車,潜水艦,象部隊などシッチャカメッチャカなんでもありの面白さ.
    前半は⭐︎3,だけど後半は⭐︎4,後半への説明的展開で,前半が少しモタつくのは仕方ないかな.ちょっと盛り込みすぎで,長かったけど,まあ良しとしよう.

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    2016年03月13日
  • エンジェルメイカー

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    ネタバレ

    最初は読みづらかった。場面転換について行けんとこもあって。あと翻訳に?っていう部分も...
    けど、中盤以降、ぐいぐいと引き込まれてく。おもしろかったね。急激に主人公が強くなりすぎる気もするけど。
    3代にわたる家族の物語はジョジョっぽいとこもあって、主人公を助けてくれるのはお父さんの知合いやったりする。
    そのあたりに、じーんとしたりも。
    中盤以降は長さも苦にならんかったけど、分厚くてポケミスのサイズでは読みにくい。上下にして欲しいかな。

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    2016年02月28日
  • 平原の町

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    コーマックマッカーシーの小説に出演することは不幸である。不幸困難にに痛めつけられる運命はあらかじめ定められていると語られる。それは小説の中の彼らの運命であり、小説そのものでもあり、また現実である。ため息が出るほど悪い方向へ進む顚末のかろうじての救いとなるのは、老人たちの哲学である。

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    2015年10月01日
  • 平原の町

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    マッカーシーの国境三部作の最後を飾る…とは知らず、
    越境を抜かしてこっちを先に読んでしまったことを後悔。

    ジョン・グレイディが前作に増して、
    悲しいほどまっすぐである。

    彼の作品はどうも序盤からとっつきにくいのだが、
    読みだすと止まらない。

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    2015年09月29日
  • すべての美しい馬

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    てっきり競馬か何かの話かと思ったが全く違った。

    国境を足で超えるって一つのロマンだなぁと思う。
    恋愛、暴力、生死の不条理さの描かれ方は上手い。
    なぜマッカーシはメキシコ、テキサスそして国境をこれだけ描写できるのだろうか。

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    2015年09月24日
  • エンジェルメイカー

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     主人公のジョーに対し、最初はなんだこのしみったれたおっさん、と思うけれども、最後にはきゃー格好いい! 抱いて!ってなる。あ、ネタバレしてるじゃないか。でも、しみったれたおっさんのままでも嫌いじゃない。
     しかしこの本の魅力的なキャラクターはジョーだけじゃない。イーディーやポリーの素敵さもたまらない。

     しみったれたおっさんの話から、多分予想しない方向に物語が展開するのだけれども、序盤の冗長さが若干辛い。どういう話なのかよく分からないまま読み進むしか無い。
     1/3読めば勢いがついて後は終わりまで一気に読み進むことが出来るのだが(それでも2段組700P超えの大ボリュームである)、そこまで読め

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    2015年09月17日
  • 世界が終わってしまったあとの世界で(下)

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     上巻で若干冗長じゃない?と思っていたお話が突然極彩色になる感覚。
     タイトルの世界が終わってしまったあとからが、どうしようもない位に面白い。
     だんだんと、ゴンゾーがかわいらしく見えてくるから不思議だ。
     ああ、面白かった。SFが好きならオススメ。

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    2015年07月12日
  • ザ・ロード

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    廃墟を親子で彷徨い、父親が死に、また子どもが彷徨うという話である。映画化されたとあるが、日本で上映されたであろうか?
     再度読んだが前に読んだことを全く覚えていなかったのはそれだけ印象が薄かったからなのだろうか。
    6月にマッカーシーが死亡して、その追悼文が新聞に掲載されたので、再度読んだ。
     本棚の検索ではザ・ロードやロードの検索ではヒットせずに、マッカーシーでヒットした。カタカナの本の名前では検索できないというアルゴリズムのバグがあるのかもしれないし、・が入る検索はできないのなのかもしれない。

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    2023年07月18日
  • すべての美しい馬

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    一度読んだだけでは著者の文章の魅力には気づけないだろう。はじめは退屈に感じたが牧場に到着してからが面白い。物語の展開よりも、節々に出てくる、登場人物の長々とした一人語りに最も引き込まれた。

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    2015年05月28日
  • 闇の奥

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    古典としてかなり好きな方。けど人によって評価は分かれるようだ。

    闇という1つの概念を、豊富な表現で魅力的に映し出してくる。

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    2015年03月25日
  • 闇の奥

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    今月の猫町課題図書。恥ずかしながら、これが映画「地獄の黙示録」の原作とは知らず、途中から「なんかイメージが重なるなぁ」と思いながら読んでいた。

    風景、人物、感情から小道具の一つ一つに至るまですべてのものが、未開(当時)のアフリカ奥地の魔境的なイメージを構成しており、一人称話者のマーロウとともに圧倒的な迫力とおどろおどろしい恐怖感を存分に堪能できる。社会派小説としての観点からは、人種差別、収奪に関する批判が徹底していないという評価もあるそうだが、これは純粋に小説として読んで、その凄さを味わいたい。

    翻訳は光文社古典新訳の精神にのっとって、非常に読み易く、違和感のある箇所も少ない。しかし、訳者

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    2015年11月23日
  • 闇の奥

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    闇について書くというのは「書かない」ことと同義である。それはぽっかりとした真空地帯を作り出すことで、誰もが語らずにはいられない求心力のことを指すのだから。歴史はそんな闇の巣窟だ。「みんなが知らない真実」という媚薬は心の闇を誑かし、惑わし、盲目さへ導くことで一層闇のなかへと溶けていく。アフリカの奥地でクルツが観たもの、という深淵さをまとう空虚は小説全体を覆う闇を包み隠し、彼の狂気はそれ以外の者を正気のように惑わせる。ぼくたち、みんなちょっとずつくるってる。どこか少しずつまちがってる。これからも、きっとそう。

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    2015年03月19日
  • 黒い天使

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    「幻の女」のコーネル・ウールリッチです。
    この著者、女嫌いだったはず…でも、かわいいキャラのヒロインに好感持てました。
    Mの頭文字を持つ男性に次々挑んで行く~
    かなり古い内容なのに、「幻の女」同様読みにくくは無かったでした。
    読み終えて初めて気が付いたけれど、なんて素敵な表紙!
    (カバー付きのままのお借りしました)
    本屋さんで見つけたらジャケ買いのレベルですね。

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    2015年01月21日