黒原敏行のレビュー一覧
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〈眼は魂の窓だとよく言うだろう。すると魂のない人間の眼はなんの窓なのかおれは知らないしどちらかというと知りたくない気がする。しかしこの世には普通とは違う世界の眺め方がありそんな眺め方をする普通とは違う眼があってこの話はそういうところへ行く。〉
訳者あとがきで知ったのですが、タイトルの『ノー・カントリー・フォー・オールド・メン』はアイルランドの詩人イェイツの詩の一節で、「老人の住む国にあらず」が直訳になるそうです。理解できないものと対峙することになる非情な現実が、言葉という表現で強烈に迫ってくる、ちょっと他では代替できないような読書体験が味わえる一冊です。
メキシコの国境地帯で麻薬密売の -
Posted by ブクログ
「『蝿の王』のようだった」というレビューを何度か見たことがあって、『蝿の王』のような感じってどんなの?とわからず(@_@;)
気になって小説を読んでみたくなった。
少年たちを乗せた飛行機が無人島に不時着した。少年たちはリーダーを決め、大人のいない島での暮らしは、当初は気ままで楽しく感じられたが…。
作者のゴールディングのコメント。
「大事なことはただひとつ、まずは物事の中に入って、そこで動きまわるという体験をすることだ。そのあとで、自分の好きな解釈、正しいと思う解釈をすればいい。」
私も物語に入り込んで少年たちと一緒になってすごい体験をしてしまった…。
服も髪も顔もボロボロになり、森や山 -
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Posted by ブクログ
ネタバレずっとドキドキしながら読んでいる
読むのを止められない、少年が生きているか?死なないでと思いながら読む
子持ちは読むのが辛い、ハッピーエンドを期待して読む
ハッピーエンドなんてありえるのか?全く想像もできないけど少年が死ぬのだけは耐えられない
今後存在しないものは今まで一度も存在しなかったものとどう違うのか
男に刺されそうになる少年をなんとか守り抜いた彼、大事にしているのは少年の生なのか、それとも自分の希望なのかどちらだろうかと思った
しかし最後まで読んでみて、そんなエゴの存在はわからなくなってしまった、自分より先にこどもが死ぬ、それが何よりも耐え難いのは分かりきったことだったなと思う
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Posted by ブクログ
ネタバレ初コーマック・マッカーシーは、世界的なベストセラー小説でピューリッツァ賞も受賞しているこの本から。
おそらく核戦争があった後のアメリカ大陸を歩いて旅する父と息子の物語。塵によって太陽光が遮られ気温が下がり、人間以外の生物もほぼ死に絶え、生き残った人々は、奪い合い殺し合い、死人を食らうようなことまでしつつ生きているディストピア。
父子も、体臭と汚れにまみれたボロボロの服を着て毛布や防水シートをまとい、ショッピングカートに生活品を乗せて移動しつつ、廃墟を漁り日々を凌ぐ。読んでいるだけで寒いし飢えるし喉が渇く。だが決して人の命や財産を奪うことはしない、生きていくために廃墟を漁ることはしても、人の -
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“夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。”
80年前に出版された古典ミステリーの新訳版。
無実の罪で死刑判決を受けた主人公の無実の証拠となる女を探していくのだが、章ごとに死刑までのカウントダウンになっておりハラハラしながら読んだ。
内容も面白かったのだが、詩的な文章がとくに好みだった。
お洒落な言い回しが随所にあるので、普段ミステリーを読まない方や文学好きも楽しめるのではないだろうか。
ちょうど読んだ時期が某漫画家さんの悲しい出来事があったあたりなので、作品に携わる人の原作者や名訳をした故稲葉明雄氏へのリスペクトが感じられたのも良かった。(あとがきでは新訳者 -
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無実の罪を着せられたスコット。死刑執行までに彼のアリバイを証明する“幻の女”を探し出すべく、友が立つ。
夜のニューヨークをさまよい歩く男。どうやらムシャクシャと荒れているようだ。彼スコットは、妻と離婚について争っている最中だった。知らないバーに入ってゆきずりの女と酒を飲み、劇場でショーを見る。少し気が晴れて帰宅すると、刑事たちが待ち構えていた。ベッドで妻が絞殺されていたのだ。アリバイを証明するべく、ゆきずりの女を探し出さねばならない!しかし街へ戻って聞き込みをしても、誰も彼女のことを覚えていない。皆が口をそろえて、スコットが一人で酒を飲み、一人で劇場にいたと言うのだ。彼はそのまま妻の絞殺の疑 -
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ネタバレベトナム戦争の退役軍人で今は溶接工をしてるとかのモス、冷徹に人を殺しまくるシガー、老保安官のベルの3人が主な主人公。プロットとは別に、ベルの独白というかインタビュー?が挟まれ、話のテーマ的にもベルが中心に据えられていると考えられる。麻薬取引のトラブルをきっかけに、それぞれの人生が大きく動いていく。
昔とは変わってしまったアメリカに対するベルの悲しさや虚しさが全体を貫いている。ただ、ある観点では昔は平和だったとはいえ、ベルの祖父世代、親世代そしてベル自身とそれぞれ戦争に行っているので、単純に昔が良かったとは言えなそう。
今まで読んだマッカーシーの作品の中では一番分かりやすく、読みやすかった。
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Posted by ブクログ
妻と喧嘩し家を飛び出し、その晩はじめて会った女性と、観劇し、食事をする。帰ってきたら妻が殺されていて、殺人の容疑者として逮捕されてしまう。
唯一自分のアリバイを証言してくれる女性は、誰に聞いても見ていないと言われ...。
古典ミステリーの傑作といわれるだけあって、とても面白かった。夫婦とは?友情とは?いろいろと考えさせられる。
まったく予備知識なかったので、
“夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった“
という冒頭が名訳として有名なことを知らなかった。
自分としては、新訳なのに訳し方がいきなり直訳でがっかりした(その後は読みやすい)ので、ここも新しい訳に挑戦