黒原敏行のレビュー一覧

  • すばらしい新世界

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    再読。ユートピアとディストピアの違いは何かを考えさせられる。時代はフォードが大量生産を始めた頃を始めとするフォード紀の後の世界。その世界では瓶で子供が生殖され、人間同士が生殖行為によって子供を作るなど野蛮な原始人のような行為とみなされている。

    さらに洗脳教育および階級付け、ソーマといった快楽を得る薬物の存在。かなり前の小説であるものの、ユートピアを実現するための手段を、用意周到に練って考えられていることに驚く。

    上記の技術自体、倫理的な観点を考えなければ実現可能であると想定されるし、倫理など世論でいくらでも変わる。例えば、少子化がこのまま進み続けて子供を人間が持つことへの意味がなくなってきたら、本小説のように瓶詰めで人工生殖が普通になるかもしれない。

    それの何が悪いのか?と言われた時、悪いとは言い切れないところに面白さがある。SFの良いところは、こうした既存の善悪を取っ払い、空想の世界を考えるところにあるなと改めて感じた。

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    2025年08月18日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    無人島に漂流した少年たちが互いに協力しながらもサバイバルを続ける。その中で次第に火や道具といった理性的な物を中心にする派閥と、狩りを中心にした暴力的な派閥に分裂してゆく。それはさながら現代の左派と右派の対立を象徴するかのようだ。どちらの要素も人間には必要不可欠であり、絶対的な正義はなく、極限の環境によってそれはいくらでも暴走しうるという人間の本性があるのみである。少年たちを主人公にすることによって、少年たちが大人を理想像的に思い描いているが実はその少年達の姿こそが本来に人間の姿に最も近い点が印象的だった。

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    2025年08月06日
  • 闇の奥

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    ポーランド生まれのイギリス人作家コンラッドの作品。自身が1890年ごろコンゴ自由国を訪問した経験に基づき書かれている。当時のヨーロッパから見たアフリカがどのような印象であったかがよくわかる。

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    2025年07月19日
  • ザ・ロード

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    ハーラン・エリスンの「少年と犬」と並び、私のなかでは2大ディストピア小説。大好きだ。荒廃した世界で生きるために静かに移動し続ける父と息子。何度も読んでいるせいか時々断片的に夢に見る。

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    2025年06月13日
  • 越境

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    ネタバレ

    大まかなストーリーは背表紙に、捕まえた狼を故郷のメキシコへ越境して連れて行くと書いてありましたが、3分の1過ぎて予想外の展開に。

    前作よりストーリーのスケールは越境のほうが大きいと思いました。

    プリマ・ドンナや元老兵士そしてジプシー?や旅人が、様々な世界のあり方や捉え方を予言のごとく語ります。彼らにはビリーをどう見ていたのかどう映っていたのか。

    コーマックマッカーシーの本は時と場所を選んで静かに読みたいと思いました。

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    2025年04月19日
  • ナイルに死す〔新訳版〕

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    ネタバレ

    1937年イギリスで出版
    2003年発行 文庫
    訳者 加島祥造
    最初に 著者の前書きと
    訳者からのおねがい が載っている
    *ゆっくり読んで
    *地図を見て参考に
    *「探偵小説が[逃避行文学]だと
      するなら読者はこの作品で
      〜南国の陽射しとナイルの青い水の国
      に逃れてもいただける訳です」アガサ
    ...ひととき旅するように楽しんで
    ってことか...

    ・リネット.リッジウェイ(ドイル)
      →美貌の若い資産家女性 銃で殺される
    ・サイモンドイル→リネットの結婚相手
    ・ジャクリーン.ド.ベルフォール
     →リネットの親友でサイモンと婚約していた

    リネットとジャクリーンは
    親友なのに
    ジャクリーンの婚約者と
    リネットがいきなり
    結婚していてビックリした

    ・アンドリュー.ペニントン
     →リネットの米国の財産管理人
      リネット夫婦がエジプト旅行に
      行くと聞いて偶然を装って
      その旅に参加する
    ・ジム.ファンソープ
     →英国の法律事務所職員
      ペニントンがエジプト旅行に
      リネット夫婦と共に同行すると聞いて
      大急ぎで自分も参加する
    ・ポアロ→探偵
    ・ミセス.オッターボン→女流作家
    ・ロザリー.オッターボン→女流作家の娘
       有名なリネットに不平等という
       感情を持っている
    ・ジョアナ.サウスウッド→社交界貴婦人
    ・ミセス.アラートン→ジョアナの従兄弟
    ・ティム.アラートン→アラートンの息子

    リネット.サイモン夫婦の後を
    ジャクリーンがつけ回し
    エジプトの船の旅に参加する

    リネットがジャクリーンの付きまといを
    ポアロに相談 依頼 するが断られる

    ポアロは
    リネット サイモン ジャクリーン
    3人に直接話を聞き
    人物分析する

    ・ギド.リケティ→考古学者
      〜エジプト旅行中に
       ミセス.アラートンが現地の子供達が
       土産を買ってくれと付きまとうのを
       嫌がるところが出てくるけれど…
    今のYouTube動画(エジプト等の旅)
    にも似た場面出てきて…こういうの
       伝統なのか‥遺伝的性格なのか‥
    今も昔も同じにみえる〜
    ・ヴァン.スカイラー→金持ち老婦人
    ・コーネリア.ロブス→スカイラー従兄弟
    ・バウァーズ→スカイラーの看護婦

    ナイル川を船で旅して
    観光地により 遺跡見たり
    土産見たり そのうち
    船の人と言葉交わすようになり
    なんとなく性格もわかってくる
    この本読んでいる時
    [どうぶつの森]やっていて
    本読んでゲームして…繰り返して
    いたのでゲームの中で
    ナイル川観光‥探検‥している
    ような気分になった
    その中で リネット サイモン ジャクリーン
    と知り合いになり
    殺人事件が起きた…

    リネットが殺された後

    ・レイス大佐→英国特務機関員
           ポアロ時共に事件の捜査をする
    ・ファーガスン→社会主義的な男
    ・カール.ベルナール→中年の医者
     〜ポアロ 「美貌の大金持ちのリネットの
         周りには色んなものがある
         矛盾した 憎悪 嫉妬 羨望
         意地悪 まで 蝿の群れみたいに
         ブンブン…ブンブン…」
    船(カルナク号)に乗っていた人達は皆
    一筋縄ではいかない捻くれ者‥蝿の群れ

    犯人が見つかりそうになると殺されたり‥

    疑わしい人物の名前
    言おうとすると銃で撃たれたり‥

    コーネリア(ポアロからみると際立った性格)
    にいきなりの結婚の申し込み..
    ..社会主義思想の汚い身なりの男..
    と思いきや伯爵...
    コーネリアは中年医者を選ぶ

    真珠泥棒のティムと
    庇おうとしたロザリーが恋仲に..

    最後に犯人は
    サイモンとジャクリーンとわかる
    ...銃で命を絶つ
    犯人が自ら死を選び
    悲しく 潔い キレイな終わり方

    この小説より後に
    書かれた小説が
    アガサの小説に影響されて
    いるんだろうな..
    と思えてくる
    ただの殺人事件の
    犯人探しだけじゃなく
    幸せエピソードや
    悲しい愛情の話出てきたりする

    前半の船旅も楽しかったし
    後半の3女性の殺害事件の
    犯人探しも
    二転三転し
    目がはなせなかった
    出てくる登場人物全員
    曲者だけれど
    全部が善でも悪でもなくて
    (ハリポタの登場人物みたい)
    人との相性によっては
    幸せそうだったり
    不幸せそうだったりで
    面白かった
    訳者のアドバイス通り
    ゆっくり ちょっとづつ
    (1クラスの人数位 人出てくるので)
    読んだ方が楽しめる
    楽しい読書だった





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    2025年04月13日
  • ナイルに死す〔新訳版〕

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    1937年の作品。
    ポアロ・シリーズ長編15作目。

    あらすじ
    美貌の資産家の娘、リネット・リッジウェイは世の中で手に入らないものはないと思われるほど恵まれた境遇だった。美貌、金、聡明さ…全てを兼ね備えていた彼女だったが、貧しい親友のジャクリーンの恋人、サイモン・ドイルのことが好きになり、彼女から奪い結婚してしまう。ジャクリーンは自分を裏切った2人を恨み、新婚旅行のエジプトまで追いかけてくる。
    たまたま休暇中だったエルキュールポアロは、このエジプトのツアーでリネット夫妻とジャクリーンと一緒になる。一行はナイル川沿いを巡るカルナック号のツアーに参加するが、そのツアーの最中にリネットが何者かに撃たれて殺害される。ポアロと情報局員のレイス大佐は、このツアーの参加者の中に犯人がいると見て捜査を始めるが…


    感想
    ハヤカワ書房の新訳版。
    まず、クリスティのまえがきと、クリスティの孫、マシュープリチャードのまえがきから最高です。
    クリスティ本人が2番目の夫、考古学者のマックスアローワンとともに行ったエジプト旅行が元になっており、ナイル川を眺めているときこの話が思い浮かんだのだとか。クリスティ自身も大のお気に入りの作品だと自賛している。
    マシュープリチャードによるとクリスティとマックスは本当に仲良くこのエジプト旅行を楽しんでおり、キリスト教徒であったクリスティは宗教に関係なく中近東の文化を愛していた。中東をめぐる現在の政治情勢をクリスティ達が知ったら悲しむことだろう…と。


    さて、本編についてですが、ヘイスティングス語りの軽めのものが好きな私もこの作品はダントツに好きです!ドラマチックで、本流の殺人事件以外にもいろんな要素が絡み合って、群像劇のような趣きがあります。そしていつも鼻持ちならない自信満々のポアロが、この作品では本当に優しく思いやりがあって胸を打たれます。一緒に捜査をするポアロの友人、レイス大佐も渋めのイケオジでステキ(他の作品にも登場してますね)
    しかし、とにかく登場人物がめちゃくちゃ多いので名前を覚えるまでが大変かもしれません笑。

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    2025年04月07日
  • ナイルに死す〔新訳版〕

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    現代の日本の作家のミステリーももちろん面白いが、やはりクイーンやポワロの活躍する探偵小説はいつでも面白い。比較的長い作品にも関わらず、事件の真相が明らかになるとその長さの中に無駄がなく伏線が詰まっていたのだと分かって衝撃だった。

    (あらすじ)
    2人の男女が愛し合っていたが、男は裕福な女性リネットと結婚してしまった。2人はそのままエジプトへとハネムーンに出かけるが、そこに男のかつての婚約者が現れた。女の出現に怯えるリネットだったが、撒くために乗り込んだ船にも女が現れ、リネットはその後死体となって発見される。果たしてこれは復讐のための殺人か!?エルキュール・ポワロが明かす意外な事件の真相とは!

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    2025年04月07日
  • すべての美しい馬

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    全米図書賞と全米批評家協会賞受賞。映画化されている本作は、後の『越境』と『平原の町』を合わせて〈国境三部作〉と呼ばれる一作目。過酷な運命に翻弄される少年の成長を描く、ロードムービー的冒険譚の名作だと思います。

    あらすじ:
    16歳のジョン・グレイディ・コールは、祖父の死とともに牧場を失うと、一つ上の親友レイシー・ロリンズを誘って旅にでます。それは、高速道路に車が走る時代に、愛馬に乗って自らの居場所を求める越境の旅でした。途中、荒涼とした大地を旅するうちに、後に彼らの運命を翻弄することになる年下の少年と出会い、連れ立って旅を続けた一向に待ち受けていたものとは……。

    翻訳がいいのか、クセのある濃厚な文体ですがスグに慣れます。そんなことより、目に浮かぶような風景描写の妙味や、友情ありロマンスありヴァイオレンスありと、少年たちに突きつけられる理不尽で過酷な運命や、所々に表される箴言めいた哲学的な言葉の数々、そしてなにより読み進むほど先が気になる展開に夢中になってしまいました。また、ヴァイオレンスと言っても同著者の『ブラッド・メリディアン』のような残酷な描写はないし、同じくSF要素のあるロードムービー的な『ザ・ロード』にも引けを取らない名作だと思います(本作は『ザ・ロード』とともに、刑務所内での読書会を描いたアン・ウォームズリー『プリズン・ブック・クラブ』の作中で褒められていましたね)。また、馬に関する描写がたくさんあるので、馬を愛して止まない人にはおすすめです。

    あと余談ですが、やたら”煙草”のワードが出てくるので気になって数えたら154回……。ただし、情景描写や動作の一環や道具立てとして書かれている場面が多く、アルカジイ&ボリス・ストルガツキー兄弟のSF小説『ストーカー』(こちらは60回)のように、必ずしも喫煙者なら”ここで火をつける”だろうなという場面ばかりではないです。そのため、登場人物たちの内面があまり垣間見えないどことなくドライなタッチの文章が、より強調されてる気がしましたね。

    正誤(5刷)
    P497の12行目
    全米書評家協会賞→全米批評家協会賞

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    2025年04月01日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    ネタバレ

    紙から溢れる少年達の生命力がすごい! 飛行機が墜落し、無人島に取り残される少年たち。最初は冒険気分でも「食べる・寝る・排泄・助けを求める」という現実からは逃れられない。義務を説くリーダーは嫌われる、遊と勇を説くリーダーは好かれるのは人間世界そのもの。自分を心得ていたピギーとサイモン。思考停止せず自分に従う二人が悲しみと共に心に残る。デスゲームの様相と残り少ないページ数にハラハラしながら一気読みした。作者が教師をしながら書いたこの小説。経験を生かすとはこういうことなのかと。いい作品に出会えてとてもうれしい。

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    2025年03月22日
  • 越境

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    著者の作品は、映画の脚本としては触れてきたが、小説は初めて読んだ。
    暗喩や挿話が多く、読み進めるのに体力が必要な文章。
    3度にわたる越境がビリーに大きな喪失をもたらすことになるが、成長や教訓のようなポジティブな要素を安易に提供してはくれない。
    アメリカと異なり、野生的な世界を感じさせるビリーから見たメキシコは観念的で、神話の世界のようでもある。

    3部作の1作目を読まずに本作を手に取ったが、全く問題なし。ただ、3作目は1作目の主人公とビリーが共演するようなので、1作目から読んでみたくなった。

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    2025年03月16日
  • ナイルに死す〔新訳版〕

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    クリスティーの本で一番ページ数が多く、その厚さに二の足を踏んでいましたが、読んで良かったです。名作ですね。

    構成は、第一部「登場人物の紹介」と第二部「エジプト」の二部構成。第一部の丁寧な人物造形による前振りが、第二部での愛憎入り乱れたロマンスあり旅情ありの紀行ミステリとして、次第に人物像が明らかになっていくにつれて引き込まれました。

    取り立てて巧妙なトリックがある訳でもなく、犯人の見当も付きやすいですが、「あの件とあの件は、どうしたのかな?」と疑問に思っていたことが、最後にポアロの言葉での解説と犯人の語る動機を読んで、うなってしまいました。

    また、丁寧に描写された人間関係も相まって、エンディングに向かうほど読ませる力量は流石ですね。なお、犯人の最後は、なるべくしてなった結末ですが、その分を他の幸せで埋め合わせている対比が心憎い。やはり、二度映画化されているだけのことはあるなと感心してしまいました。

    あらすじ:
    相続により莫大な財産を有する、若くて美しい女性資産家のリネット・リッジウェイ。彼女は、友人のジャクリーヌ・ド・ベルフォールから、婚約者のサイモン・ドイルを奪って結婚してしまいます。二人はハネムーン先にエジプトを選び旅立ちましたが、旅先の同行者には、リネットに関係する様々な人たちがいました。中でも驚いたことに、行く先々でジャクリーヌがストーカーよろしくつきまとってきます。そして、彼らは同じ観光船に乗り込みましたが、その中にはポアロの姿もありました。そんな折、船上という密室で事件が起きてしまいます……。

    と、これ以上はネタバレになるので控えます。人物は多めですが、P253のカルナック号の船室見取り図が役立ちました。

    ところで、作中に『オリエント急行の殺人』で描かれた印象的なシーンの回想があり、ニンマリしてしまいましたが、登場人物のレイス大佐って誰だろうと、積読本の山(早く読め自分w)から表紙カバー裏の登場人物欄を見ていたら、『ひらいたトランプ』に諜報局員とありました。なるべく背表紙の番号順に読んだ方が楽しめるのかなと改めて思いました。

    ちなみに、会話の中で25章でヘイスティングズ、26章でジャップ主任警部のことがでてきますが、ヘイスティングズに関しては、ポアロの会話のネタとして、そのイジられキャラぶりが面白かったです。

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    2025年02月09日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    ネタバレ

    最初に読んだ時衝撃を受けた。自分の大好きな小説ランキングTOP10に入る

    漂流文学で1番的を得ていて現実的で、生々しくて、うまく説明出来ないけどゾクゾクして、意味わからんくらい面白い(語彙力)

    「豚殺せ。喉を切れ。ぶちのめせ!」がずっと心に残ってる

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    2025年02月07日
  • 八月の光

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    ネタバレ

    ディープサウスの田舎町を舞台に繰り広げられる、壮絶な物語。一つの事件を様々な登場人物の視点から語ることで、当時のアメリカ南部の宗教的価値観や人種問題を克明に描き出している。
    内的独白や葛藤が究極の密度で描写されるため、多少読みにくい部分はあるものの、翻訳がとてもよかった。
    この物語のテーマをあえて一言で表すならば、「孤独」。登場人物の誰しもが何らかの孤独・内面的葛藤を抱えており、それら「社会のはぐれ者」の視点から当時の南部の因習を語ることで、作品の深度を高めている。
    リーナとバイロンがテネシー州に一緒に行くラストは、希望的に描かれていると感じた。バイロンの内的独白『人間ってたいていのことには耐えられる』(p.606)は、おそらく作中唯一の前向きなメッセージ。ふたりがその後どうなったかは語られないものの、結ばれてほしいなと切に願う。

    以下、メモ書きおよび人物像
    ⚪︎ジョー・クリスマス
    黒人との混血であることを原因に、自己認識に苦しむ姿を描き、読者に対してアイデンティティの倒錯を追体験させる役割を担っている。
    ⚪︎ジョアナ・バーデン
    先祖から伝わる奴隷制度廃止論を、田舎町で静かに貫いている中年女性。善人として描かれると思いきや、クリスマスと情交に堕ちていく様はとても人間臭く、この女性の人物像をよりリアルなものとしている。
    ⚪︎ゲイル・ハイタワー
    南北戦争で活躍した先祖に囚われすぎていることが原因で迫害にあってしまった元聖職者。孤独を抱えながらも、人には親切。
    ⚪︎リーナ・グローヴ
    作者曰く、本作品の主人公。身重だが、まっすぐに未来に向かって進もうとする。暗い本作品において、唯一希望的に描かれている。
    ⚪︎バイロン・バンチ
    最も普通の人物として描かれている。この人物の内面的葛藤は恋愛から来るものであり、他の人物より一回り軽いように感じる。50キロ離れた町で聖歌隊を指揮する一面も。リーナのことが好きすぎて、リーナの子供の父親と決闘するも惨敗。

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    2025年01月16日
  • すばらしい新世界

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    ネタバレ

    この物語のなかで起きていることに困惑したり嫌悪したりするのは、わたしはわたしで現実世界で条件づけ教育を受けているからだろうかと悩まされた。こうするのが正しくて道徳的だと信じ込まされているだけであって、違った理想が掲げられていればそちらを不思議に思ったりはしないはずだ。
    終盤のムスタファ・モンドとジョンの会話が面白くて素晴らしかった。ジョンはジョンでいくらか偏った考えを持っていて、それ故にふたりのどちらにも共感できないのだけれど、どんな意図での言動なのかがわかりスッキリした。
    麻薬がなければ新世界でもやっていけないのならまったく安定していないし、生まれる前から遺伝子を捜査されて階級が決められていることや、生まれたあとも洗脳を繰り返し、ひとりと深い関係にならないような仕組みになっていることや、発展のためにとにかく消費が求められることなど、受け入れがたい点が多い。
    でも過去の戦争によって人々の意識が変わり、幸福な世界を望んだというならもうそれには反対できないと思った。現実に起きている戦争が頭にチラついてくるし、ジョンの攻撃性の高さを見ていると、これくらい管理されないと人間は争いをやめないような気がしてくるのだ。ジョンのラストは悲劇だった。

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    2025年01月08日
  • ノー・カントリー・フォー・オールド・メン

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    〈眼は魂の窓だとよく言うだろう。すると魂のない人間の眼はなんの窓なのかおれは知らないしどちらかというと知りたくない気がする。しかしこの世には普通とは違う世界の眺め方がありそんな眺め方をする普通とは違う眼があってこの話はそういうところへ行く。〉

     訳者あとがきで知ったのですが、タイトルの『ノー・カントリー・フォー・オールド・メン』はアイルランドの詩人イェイツの詩の一節で、「老人の住む国にあらず」が直訳になるそうです。理解できないものと対峙することになる非情な現実が、言葉という表現で強烈に迫ってくる、ちょっと他では代替できないような読書体験が味わえる一冊です。

     メキシコの国境地帯で麻薬密売のトラブルで死んだと思わしき死体を見つけたモスは、その現場にあった大金を得て、逃亡。追うのは謎めいた殺し屋シガー。事件を捜査する保安官ベル。三者の行き着く果ては――。とにかく読んで、と自分の目での作品との対峙を強く薦めたくなる作品です。

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    2024年11月14日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    「『蝿の王』のようだった」というレビューを何度か見たことがあって、『蝿の王』のような感じってどんなの?とわからず(@_@;)
    気になって小説を読んでみたくなった。

    少年たちを乗せた飛行機が無人島に不時着した。少年たちはリーダーを決め、大人のいない島での暮らしは、当初は気ままで楽しく感じられたが…。

    作者のゴールディングのコメント。
    「大事なことはただひとつ、まずは物事の中に入って、そこで動きまわるという体験をすることだ。そのあとで、自分の好きな解釈、正しいと思う解釈をすればいい。」

    私も物語に入り込んで少年たちと一緒になってすごい体験をしてしまった…。
    服も髪も顔もボロボロになり、森や山を走り回り、どっちのリーダーについていくか考えたり、どうしたらこの辛い状況を解決できるか悩んだし、悲しんだり…。
    こういう生々しい体験ができるから読書ってやっぱり大切だし素晴らしい、と思わせてくれる本だった。

    ゴールディングの言うように、それぞれ読む人によって解釈は違うと思う。
    私は純粋でわかりやすい「子ども」で例えた、ユートピアからディストピアへの寓話として読んだ。
    『動物農場』と違うのは、理性を失った時の人間の本質が描かれているところ。

    はじめは選挙でリーダーを選び、ラルフがそれぞれの役割を決めてうまくいっていた。
    次第に力の強いジャックが権力を握っていき、独裁者へと変わっていく。
    暴力的な支配者に洗脳され、集団は怖ろしい方向へ流されていく。

    当たり前のことが伝わらない恐怖、集団心理の恐ろしさ、人間が誰でも持っている暴力性。

    「この少年たちは人間であるという怖ろしい病気にかかっている」ともゴールディングはコメントしている。

    誰もが持っている人間の本質って。。。
    読んだ後もずっと考えてしまう。
    こういう考えさせられる本が大好きだ。
    ★10

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    2024年10月30日
  • 幻の女〔新訳版〕

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    アイリッシュは短編集を中学生の時に読んで好きになり、これもその時に読んだ。
    何十年ぶりかで読んで、ニューヨークのバー、レストラン、劇場などのシーンや、服装、小物のセンスがとてもおしゃれで、アイリッシュは都会派の粋な作家だな、と改めて思った。
    ちょっとサリンジャーに通じる所がある。
    残酷なシーンもあるけど、昔のミステリーって温かみや倫理観がある。
    刑事のバージェスが頭が切れる人で良かったな、って感じ。

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    2024年10月17日
  • 幻の女〔新訳版〕

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    「夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。」

    冒頭のお洒落な一文から一気に物語へ引き込まれた。

    妻と喧嘩した男は、街で出会った謎めいた女と過ごして帰宅する。そこで待っていたのは、変わり果てた妻の姿だった…。

    誰も自分のことを信じてくれない。
    彼の唯一の目撃者である女は幻だったのか?
    真相が気になって夢中でページをめくった。

    章立てが「死刑施行日の○○日前」となっているので、執行日が迫るたびに自分まで焦ってくる。
    ネタバレを見ずに読めて本当に良かったと思える作品だった。
    事件の面白さだけでなく、劇場へ向かう夜の街など、海外作品ならではの都会的な雰囲気にも惹かれた。

    この作品をきっかけに海外ミステリーの魅力を知り、ここから私の本棚は海外ミステリーだらけになっていった。

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    2024年07月28日
  • ザ・ロード

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    ネタバレ

    ずっとドキドキしながら読んでいる
    読むのを止められない、少年が生きているか?死なないでと思いながら読む
    子持ちは読むのが辛い、ハッピーエンドを期待して読む
    ハッピーエンドなんてありえるのか?全く想像もできないけど少年が死ぬのだけは耐えられない

    今後存在しないものは今まで一度も存在しなかったものとどう違うのか

    男に刺されそうになる少年をなんとか守り抜いた彼、大事にしているのは少年の生なのか、それとも自分の希望なのかどちらだろうかと思った
    しかし最後まで読んでみて、そんなエゴの存在はわからなくなってしまった、自分より先にこどもが死ぬ、それが何よりも耐え難いのは分かりきったことだったなと思う

    少年は何歳なのだろうか?
    読んでいて自分たちを重ねて辛い、読むのをやめればよいのだがここまで読んでしまったのならハッピーエンドまで知りたいとの一心で読む、ピンチのとき彼らが死んでしまうことが受け入れなさすぎるので数ページ先で生きているのを一瞬確認してから読み進める、生きてくれと思う

    誰に対してもオススメできる本。
    ただ、私にとっては恐ろしい世界の描写が多すぎてもう一度読むぞという元気は今時点ではない。

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    2024年06月13日