黒原敏行のレビュー一覧

  • ナイルに死す〔新訳版〕

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    クリスティーの本で一番ページ数が多く、その厚さに二の足を踏んでいましたが、読んで良かったです。名作ですね。

    構成は、第一部「登場人物の紹介」と第二部「エジプト」の二部構成。第一部の丁寧な人物造形による前振りが、第二部での愛憎入り乱れたロマンスあり旅情ありの紀行ミステリとして、次第に人物像が明らかになっていくにつれて引き込まれました。

    取り立てて巧妙なトリックがある訳でもなく、犯人の見当も付きやすいですが、「あの件とあの件は、どうしたのかな?」と疑問に思っていたことが、最後にポアロの言葉での解説と犯人の語る動機を読んで、うなってしまいました。

    また、丁寧に描写された人間関係も相まって、エン

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    2025年02月09日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    ネタバレ

    最初に読んだ時衝撃を受けた。自分の大好きな小説ランキングTOP10に入る

    漂流文学で1番的を得ていて現実的で、生々しくて、うまく説明出来ないけどゾクゾクして、意味わからんくらい面白い(語彙力)

    「豚殺せ。喉を切れ。ぶちのめせ!」がずっと心に残ってる

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    2025年02月07日
  • ナイルに死す〔新訳版〕

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    長編の小説でしたが、後半になると展開が早いのはアガサクリスティーの素晴らしさであると感じました。
    まさかポアロが睡眠薬を飲まされていたとは思わなかったです。犯人は最後自死を選びましたが、愛が2人を狂わせたと思いました。

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    2025年01月31日
  • 八月の光

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    ネタバレ

    ディープサウスの田舎町を舞台に繰り広げられる、壮絶な物語。一つの事件を様々な登場人物の視点から語ることで、当時のアメリカ南部の宗教的価値観や人種問題を克明に描き出している。
    内的独白や葛藤が究極の密度で描写されるため、多少読みにくい部分はあるものの、翻訳がとてもよかった。
    この物語のテーマをあえて一言で表すならば、「孤独」。登場人物の誰しもが何らかの孤独・内面的葛藤を抱えており、それら「社会のはぐれ者」の視点から当時の南部の因習を語ることで、作品の深度を高めている。
    リーナとバイロンがテネシー州に一緒に行くラストは、希望的に描かれていると感じた。バイロンの内的独白『人間ってたいていのことには耐

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    2025年01月16日
  • すばらしい新世界

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    ネタバレ

    この物語のなかで起きていることに困惑したり嫌悪したりするのは、わたしはわたしで現実世界で条件づけ教育を受けているからだろうかと悩まされた。こうするのが正しくて道徳的だと信じ込まされているだけであって、違った理想が掲げられていればそちらを不思議に思ったりはしないはずだ。
    終盤のムスタファ・モンドとジョンの会話が面白くて素晴らしかった。ジョンはジョンでいくらか偏った考えを持っていて、それ故にふたりのどちらにも共感できないのだけれど、どんな意図での言動なのかがわかりスッキリした。
    麻薬がなければ新世界でもやっていけないのならまったく安定していないし、生まれる前から遺伝子を捜査されて階級が決められてい

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    2025年01月08日
  • ナイルに死す〔新訳版〕

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    11月に、エジプト旅行に行きました。
    帰国してから、夫が「ナイル殺人事件」という映画があるよ、見る?と。2020年の映画を見ました。ついでに「オリエント急行殺人事件」も。

    映画では、最初の方に出てきた「アブシンベル神殿」が、もう、正に見てきたので、懐かしい〜!
    それを見ただけで、この映画を見た価値がありました。エジプト旅行をする前に、見ても良かったかな。実物を見る感動が!

    昔、ローマに行く前に、「ローマの休日」を見て行ったので、色々楽しかったですよ。


    映画「ナイル殺人事件」を見ると、ポワロがかなり、登場人物を厳しく詰問する形をとっていました。全ての人を殺人犯として疑っているような…。

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    2024年12月06日
  • ナイルに死す〔新訳版〕

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    個人的ポアロシリーズ最高傑作です!

    人物が多く、関係も複雑でページ数も多い、と慣れないと読むのに苦労するかもしれませんね。
    物語はナイル川を遡る豪華客船で悲劇が...と言うもので舞台はエジプトになるのですが、物語が緩やかで、エジプトの描写で旅行している気分になりワクワクします。
    ミステリにおいても、様々な事件に様々な証言。嘘をついているのは誰だ?矛盾しているのは誰だ?と読み進めていてとても楽しいです。(意外と犯人とか動機は自然とわかるかも?)
    ヒューマンドラマとしても完成度が高く、1本の壮大な映画を見終えたような満足感がありました(映画化されてますが)。

    物語のバランスに優れた傑作なので、

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    2024年11月30日
  • ノー・カントリー・フォー・オールド・メン

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    〈眼は魂の窓だとよく言うだろう。すると魂のない人間の眼はなんの窓なのかおれは知らないしどちらかというと知りたくない気がする。しかしこの世には普通とは違う世界の眺め方がありそんな眺め方をする普通とは違う眼があってこの話はそういうところへ行く。〉

     訳者あとがきで知ったのですが、タイトルの『ノー・カントリー・フォー・オールド・メン』はアイルランドの詩人イェイツの詩の一節で、「老人の住む国にあらず」が直訳になるそうです。理解できないものと対峙することになる非情な現実が、言葉という表現で強烈に迫ってくる、ちょっと他では代替できないような読書体験が味わえる一冊です。

     メキシコの国境地帯で麻薬密売の

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    2024年11月14日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    「『蝿の王』のようだった」というレビューを何度か見たことがあって、『蝿の王』のような感じってどんなの?とわからず(@_@;)
    気になって小説を読んでみたくなった。

    少年たちを乗せた飛行機が無人島に不時着した。少年たちはリーダーを決め、大人のいない島での暮らしは、当初は気ままで楽しく感じられたが…。

    作者のゴールディングのコメント。
    「大事なことはただひとつ、まずは物事の中に入って、そこで動きまわるという体験をすることだ。そのあとで、自分の好きな解釈、正しいと思う解釈をすればいい。」

    私も物語に入り込んで少年たちと一緒になってすごい体験をしてしまった…。
    服も髪も顔もボロボロになり、森や山

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    2024年10月30日
  • 幻の女〔新訳版〕

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    アイリッシュは短編集を中学生の時に読んで好きになり、これもその時に読んだ。
    何十年ぶりかで読んで、ニューヨークのバー、レストラン、劇場などのシーンや、服装、小物のセンスがとてもおしゃれで、アイリッシュは都会派の粋な作家だな、と改めて思った。
    ちょっとサリンジャーに通じる所がある。
    残酷なシーンもあるけど、昔のミステリーって温かみや倫理観がある。
    刑事のバージェスが頭が切れる人で良かったな、って感じ。

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    2024年10月17日
  • ザ・ロード

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    ネタバレ

    ずっとドキドキしながら読んでいる
    読むのを止められない、少年が生きているか?死なないでと思いながら読む
    子持ちは読むのが辛い、ハッピーエンドを期待して読む
    ハッピーエンドなんてありえるのか?全く想像もできないけど少年が死ぬのだけは耐えられない

    今後存在しないものは今まで一度も存在しなかったものとどう違うのか

    男に刺されそうになる少年をなんとか守り抜いた彼、大事にしているのは少年の生なのか、それとも自分の希望なのかどちらだろうかと思った
    しかし最後まで読んでみて、そんなエゴの存在はわからなくなってしまった、自分より先にこどもが死ぬ、それが何よりも耐え難いのは分かりきったことだったなと思う

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    2024年06月13日
  • ザ・ロード

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    ネタバレ

    初コーマック・マッカーシーは、世界的なベストセラー小説でピューリッツァ賞も受賞しているこの本から。

    おそらく核戦争があった後のアメリカ大陸を歩いて旅する父と息子の物語。塵によって太陽光が遮られ気温が下がり、人間以外の生物もほぼ死に絶え、生き残った人々は、奪い合い殺し合い、死人を食らうようなことまでしつつ生きているディストピア。

    父子も、体臭と汚れにまみれたボロボロの服を着て毛布や防水シートをまとい、ショッピングカートに生活品を乗せて移動しつつ、廃墟を漁り日々を凌ぐ。読んでいるだけで寒いし飢えるし喉が渇く。だが決して人の命や財産を奪うことはしない、生きていくために廃墟を漁ることはしても、人の

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    2024年05月30日
  • Xと云う患者 龍之介幻想

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    北村薫の『六の宮の姫君』を連想。芥川の周りの人物に興味を持った。微妙に芥川の作品が選ばれている。そういう意味ではピース好みの芥川になっている。

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    2024年05月12日
  • ザ・ロード

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    ゾンビやターミネーターのいない未来社会と思われる世界を父と子が歩いていく。途中の出来事に徐々に吸い込まれる涙なくして読めない傑作。

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    2024年04月05日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    序盤から不穏な空気が漂っていて、ページをめくる手がとまりませんでした・・・!どうすればこうならなかったんだろう・・・と読後もああでもないこうでもないと考えを巡らせてしまう。モヤモヤするけど読めて良かった名作です!

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    2024年03月15日
  • 幻の女〔新訳版〕

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    “夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。”


    80年前に出版された古典ミステリーの新訳版。
    無実の罪で死刑判決を受けた主人公の無実の証拠となる女を探していくのだが、章ごとに死刑までのカウントダウンになっておりハラハラしながら読んだ。

    内容も面白かったのだが、詩的な文章がとくに好みだった。
    お洒落な言い回しが随所にあるので、普段ミステリーを読まない方や文学好きも楽しめるのではないだろうか。

    ちょうど読んだ時期が某漫画家さんの悲しい出来事があったあたりなので、作品に携わる人の原作者や名訳をした故稲葉明雄氏へのリスペクトが感じられたのも良かった。(あとがきでは新訳者

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    2024年03月06日
  • すべての美しい馬

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    ブラッド・メリディアンでコーマック・マッカーシーのこと大好きになったけど今作もやっぱり面白かった。
    よく感動した作品などに心に刺さるって表現をするが本作は精神に沈み込んでくるような感覚を覚える。ゆっくりと読み進めてじわじわと精神に作用してくるような。
    にしてもボーリングのピンを立てる仕事ってなんなんだ

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    2024年01月30日
  • 幻の女〔新訳版〕

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    ネタバレ

    捉えられそうで捉えられない幻の女。

    なぜ真犯人はここまで先回りが出来るのか?と疑問を抱いたときに、突然膨れ上がる違和感がたまらない。

    迫るタイムリミットと真相に気づいてる人はいるの?という焦り。

    推理小説では大概無能な刑事がちゃんと優秀だったことが意外と嬉しかった(笑)

    古典なのに今っぽい。

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    2024年01月10日
  • 幻の女〔新訳版〕

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    無実の罪を着せられたスコット。死刑執行までに彼のアリバイを証明する“幻の女”を探し出すべく、友が立つ。

    夜のニューヨークをさまよい歩く男。どうやらムシャクシャと荒れているようだ。彼スコットは、妻と離婚について争っている最中だった。知らないバーに入ってゆきずりの女と酒を飲み、劇場でショーを見る。少し気が晴れて帰宅すると、刑事たちが待ち構えていた。ベッドで妻が絞殺されていたのだ。アリバイを証明するべく、ゆきずりの女を探し出さねばならない!しかし街へ戻って聞き込みをしても、誰も彼女のことを覚えていない。皆が口をそろえて、スコットが一人で酒を飲み、一人で劇場にいたと言うのだ。彼はそのまま妻の絞殺の疑

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    2023年12月17日
  • ノー・カントリー・フォー・オールド・メン

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    もともと『血と暴力の国』というタイトルで翻訳されていたものが改題、改訂、文庫化されたもの。

    解説にもあるが、確かに改題後、つまり原題のほうが保安官ベルの独白が物語の間に挟まれることにより意図されることが明らかな感じがする。
    犯罪者、というか、シュガーが特異過ぎてちょっと笑える。そして、事件が解決するとかはほんとにどうでもいいもころがマッカーシーぽくて、好きだとわたしは思ったのだ。

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    2023年12月15日