黒原敏行のレビュー一覧

  • すべての美しい馬

    Posted by ブクログ

    野生馬を乗りこなしていく調教シーンの臨場感といったらもう。。メキシコの話でトルティーヤがやたらと出てくるのでこないだ食べてきました。

    0
    2011年06月16日
  • 越境

    Posted by ブクログ

    読後しばらくしてから、じわじわと話が心に沁みてきた。
    細部を咀嚼し切れていないので、あくまで感覚的なものだけれど、無性に胸が詰まる。
    この作品(「すべての美しい馬」もそうだけれど)における「メキシコ」とは、“どこか別の場所”ってことなんだろう。自分が生まれ育った世界(=アメリカ)ではない、異世界。
    希望も絶望も、夢も血も暴力も、何もかもが混沌とした場所。
    ビリーは運命に流されて三回の越境をしているように見えるけど、ただ流されているのではなくて、そこには彼の意思があっての選択だったのだと思う。

    0
    2011年01月04日
  • すべての美しい馬

    Posted by ブクログ

    少年二人が馬にのってメキシコへ行く、その旅の小説。

    俺の勝手な先入観もあると思うが、いかにも「アメリカ」な小説だと思った。解説にもあったがウエスタンの雰囲気を色濃く漂わせているのと、少年たちの旅が、旅を通しての成長が「スタンドバイミー」を思い出させたからかもしれない。
    この小説に盛り込まれている要素に、あまり目新しいものはないかもしれない。旅、旅の途上でのトラブル、新天地での生活、恋、挫折、急転直下の苦難、そして故郷への帰還。どれをとっても意外な展開などない。
    にもかかわらず、この小説が与えてくれる感動は一体何なのか。これほど多くのシーンが目に心に焼きついた小説も珍しい。

    現在の生活から飛

    0
    2010年04月28日
  • 黒い天使

    Posted by ブクログ

    ウールリッチ作品(ウィリアム・アイリッシュ名義含む)の中で、一番好きかも!!『幻の女』もいいですが・・・
    ひとつひとつのエピソードが、短編色を帯びていて、おもしろかったです。




    !!注!!以下ネタバレ

    最後はショッキングでした。
    ラッドとのやりとりがすごく好きだったので・・・

    0
    2009年10月04日
  • すべての美しい馬

    Posted by ブクログ

    1949年。祖父が死に、愛する牧場が人手に渡ることを知った16歳のジョン・グレイディ・コールは、自分の人生を選びとるために親友ロリンズと愛馬とともにメキシコへ越境した。この荒々しい土地でなら、牧場で馬とともに生きていくことができると考えたのだ。途中で年下の少年を一人、道連れに加え、三人は予想だにしない運命の渦中へと踏みこんでいく。至高の恋と苛烈な暴力を鮮烈に描き出す永遠のアメリカ青春小説の傑作。

    0
    2010年04月24日
  • ザ・ロード

    Posted by ブクログ

    なんだろう。
    物語としての抑揚は全くなく、ずっと1本の線をみているかのようで一気読み。
    特別な事も起こらないけど、ただ1日1日の生活を美しい言葉で表現していたり。
    何故か読み進めていた。
    家で読書をする時は、いつもYouTubeで雨と雷の音を流しながら読書をしていて、この本にはそれもぴったり。少年の名前も知らないけど、物語が続くならどうか、その考える力・想像力を無くさないで、無事に平穏な暮らしができていますように。他の作品の3部作と血と暴力も積読してあるので、読むのが楽しみ。

    0
    2025年11月29日
  • 幻の女〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    主人公スコット・ヘンダースンは自宅に帰宅すると、妻の殺人容疑で逮捕されてしまい、死刑判決を受ける。彼は無実を証明するために、親友ジョン・ロンバードや恋人キャロル・リッチマンを頼りに、スコットが事件当時に会った女性の行方を、そして妻殺害の真犯人を探していく。刑事たちはスコットが当日に出会った人々や場所に赴くが、それらしき女性が一向に見当たらないうえに、話が進むにつれて彼の死刑執行が刻々と迫ることもあって、緊張感が増していく。最後の最後で、実は犯人が身近なところにいたという衝撃的な事実が判明する。

    0
    2025年11月29日
  • ナイルに死す〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    クリスティの名作として名高い本作、人物描写の面白さと前半の人物紹介かなぁ〜と思わせながら伏線が張り巡らされていた感じ、とても良かった。途中、誰が誰だか追い付かなくなることもあったが、後半の方がそれぞれキャラが立って分かりやすくなった感もある。

    もしや?と思って裏切られて…の繰り返し、とても楽しめました

    0
    2025年11月25日
  • すばらしい新世界

    Posted by ブクログ

    すべてが「良い」とされ、誰もが「幸福」である状態を維持するために社会全体が作り込まれた世界の異常さを描いた小説。人々は階級ごとに分けられ、生まれた瞬間からその階級を幸福だと感じるよう教育される。家族という概念は下品なものとされ、人は人工的に生み出される。どの階級になるかも操作され、人口比率は厳密に保たれる。死はあっても老いはなく、性行為は恥じらいなく行う習慣とされる。悩みがあれば「ソーマ」という錠剤を飲めばよく、それで精神は安定する。だから表面的には誰も悩まず、社会は安定している。

    悩みや不安が排除された世界では、宗教や神話、芸術は必要ないものと扱われる。科学も統制の範囲から外れないよう制限

    0
    2025年11月25日
  • 通り過ぎゆく者

    Posted by ブクログ

    マッカーシーの遺作となった2作。翻訳作はほとんど読んだけれど、私は良い読者ではなかった。全ての現実は喪失の運命にあり、世界は非常さに満ちている。今のところ、これがマッカーシー作品を通じて私が得た理解の全てです。理解が及ばないながら、マッカーシーと同時代に生きてその作品を読むことができたのは幸運だった。

    0
    2025年11月23日
  • TOKYO REDUX 下山迷宮

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    下山事件,および,それに翻弄される人々を描く.
    下山事件をリアルタイムで描く第一部,その約20年後を描く第二部,そして昭和天皇の崩御が近い1988年を描く第三部.全く関係のない出来事を描くようで,実は少しずつ登場人物が共通しており,ドロドロとしたTokyoの暗部が40年の時を超えてつながる.

    0
    2025年11月20日
  • 蠅の王〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    序盤は抽象的で冗長な印象を受けるが、ラストは文字通り、駆け抜けるスピード感がすごい。性悪説という言葉から生まれたイメージが全速で追いかけてきているような感覚になった。

    「ぼくはあいつが怖い」「だからあいつのことがよくわかる。ある人間が怖いと、その人間が憎くなるけど、その人間のことを考えるのをやめられなくなるんだ。」
    という一文が印象的。
    聖書的な意味があると知れる訳者あとがきが大変ためになり、思った以上に様々な見方のできる本だった。

    0
    2025年10月13日
  • すばらしい新世界

    Posted by ブクログ

    常識や価値観にギャップがある者同士の関わりを俯瞰して見ると、ここまで狂気的に映るのだなと思った。その上で、バーナードやレーニナたちの住む世界は全てが非常に効率化されている一方、心のつながりがかなり希薄になっているのが興味深かった。読者である僕たちの住む世界もどんどん効率化されていっていて、その行く末を見ているかのようだった。どちらが正しいのか僕にはわからないけれど、心のつながりを無くした世界は少し寂しい気もする。

    0
    2025年09月29日
  • 幻の女〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    「夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった・・」
    ・・という、ポエミー且つオシャンティ(死語(^^;)な書き出しで有名なクラシックの名作を今更ながら読んでみる事に。

    妻と喧嘩し、家を飛び出したスコットは、とあるバーで“パンプキン”のような帽子をかぶった女に出会います。
    彼はその女性を誘って食事をし、ショーを観てから別れますが、帰宅すると妻が絞殺されていて、スコットはその場にいた警官に殺害容疑で拘束されてしまい・・。

    こ、これは・・読む手が止まらんヤツ!

    スコットのアリバイを証明できる“パンプキン帽子の女(以後、幻の女)”がどこの誰だかわからないどころか、街で聞き込

    0
    2025年09月22日
  • ナイルに死す〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    オリエント急行でも思ったことだけど、人物描写がすごく上手くて、登場人物が多いけど映像で頭の中に浮かぶ。シチュエーションも王道密室ミステリーで、次々人が死んでいく。好きです。
    物語が始まった時からジャクリーヌが犯人と思わせつつ、違うんだろうな〜と思う。各登場人物が色々掻き乱してきて面白い。そこが逆に取ってつけた感を感じてしまったけど。(お金持ちおばあちゃんの盗み癖の話とか必要だった?とか)
    なんか最後がバタバタして終わったのもオリエント急行みがありました。犯人分かってからはなんか進行が雑じゃないか?ミステリー小説であってヒューマンドラマではないからなのか、、最後のジャクリーヌとサイモンの件はあ

    0
    2025年09月16日
  • TOKYO REDUX 下山迷宮

    Posted by ブクログ

    Tokyo Redux
    David Peace, 2021
    下山迷宮

    英国人の描く戦後ゴタゴタの東京で実際に起きた未解決殺人事件が土台のアメリカンなハードボイルド。あなたも下山事件に取り憑かれます

    全文はブログで
    www.akapannotes.com

    0
    2025年09月08日
  • 蠅の王〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    楽しい話ではないが、物語を楽しむことはできた。
    人間は食べなければ生きていけない。食を餌にすれば、どうしたって寝返ることになってしまうのはわかるが、それでは秩序を守った生活が長く続けられないと思う。
    追い込まれて気が狂ったようになるのは、読んでいても辛かった。

    0
    2025年09月07日
  • すべての美しい馬

    Posted by ブクログ

    米国文学の巨匠コーマック・マッカーシーの国境三部作の第一作目。テキサス州からメキシコに至る道はさながら青春ロードムービーのようであり、美しい情景が目に浮かぶような自然描写。牧歌的な叙事のあとに訪れる理不尽で強烈な暴力の数々。原初的な人々が織り成す激情の衝突は、近代アメリカが封殺した善悪を増幅したような沸騰する生命力を感じさせる。一番の驚きは物語終盤に完璧なタフガイに成長した主人公が16歳ということか。荒野に佇む余韻の味わえる良質な小説。

    0
    2025年08月27日
  • 蠅の王〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    後半のは文章にスピード感・緊迫感があり、風景描写が巧だった。
    SNSなどネットを覗けば、匿名の皮をかぶった野蛮人になる者が垣間見られるように思う。
    あとがきにあるように具体的な背景が省かれたことで普遍性をもち、今でも色褪せない内容である。ただ、人間関係に疲れている時に読むものではないな。

    0
    2025年08月27日
  • 幻の女〔新訳版〕

    Posted by ブクログ

    比喩表現がいちいち凝っていて面白い
    サスペンスとしても優れているが、文章が読んでいて楽しい作品

    「昔から優秀な機械のように運動能力がずばぬけていて、皮膚でくるまれているよりはレーシングカーのボンネットの下におさまっているほうがいいような男なのである」

    0
    2025年08月17日