黒原敏行のレビュー一覧

  • チャイルド・オブ・ゴッド

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    『チャイルド・オブ・ゴッド』。素晴らしかったわ。貧困層キチガイの日常。暴力、屍姦、女装、連続殺人…生まれ育った「土地」(自然)が己の世界そのもので、私たちが生きる「社会」という概念が端から無い。動物だけど、もっと心が(欲望に)弱い動物。

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    2013年07月12日
  • すべての美しい馬

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    「…世界の美しさに秘密が隠されていると思った。世界の心臓は恐ろしい犠牲を払って脈打っているのであり世界の苦悩と美は互いにさまざまな形で平衡を保ちながら関連し合っているのであって、このようなすさまじい欠陥のなかでさまざまな生き物の血が究極的には一輪の花の幻影を得るために流されるのかもしれなかった。」(459頁)


    マッカーシーの名を知ったのは映画『ノーカントリー(No Country for Old men)』を観てから。マシーンのように冷徹に人を殺していくシガー(ハビエル・バルデム)が印象的な映画だった。
    これ、原題をちゃんと見ないとタイトルの意味するところが全然伝わらない。原題は「古い

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    2012年07月26日
  • 越境

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    コーマック・マッカーシー著作初読。

    感情をほとんど排除した、乾いた、粛々と綴られる文体は、
    アメリカ南部、メキシコの荒涼とした風景の写像そのものだ。
    文体が光景を生み、光景が文体を生み出す。

    そこには広大で荒涼とした光景がある。
    馬の蹄の音、風、雨等の自然音のみが反響する。
    17歳の青年は馬に跨り、冷然と過酷な旅路を行く。
    大人への階段、運命の旅。

    まるでアッバス・キアロスタミの映画を観ているようだ。
    素晴らしい作品。

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    2012年07月05日
  • すべての美しい馬

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    野生馬を乗りこなしていく調教シーンの臨場感といったらもう。。メキシコの話でトルティーヤがやたらと出てくるのでこないだ食べてきました。

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    2011年06月16日
  • 越境

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    読後しばらくしてから、じわじわと話が心に沁みてきた。
    細部を咀嚼し切れていないので、あくまで感覚的なものだけれど、無性に胸が詰まる。
    この作品(「すべての美しい馬」もそうだけれど)における「メキシコ」とは、“どこか別の場所”ってことなんだろう。自分が生まれ育った世界(=アメリカ)ではない、異世界。
    希望も絶望も、夢も血も暴力も、何もかもが混沌とした場所。
    ビリーは運命に流されて三回の越境をしているように見えるけど、ただ流されているのではなくて、そこには彼の意思があっての選択だったのだと思う。

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    2011年01月04日
  • すべての美しい馬

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    少年二人が馬にのってメキシコへ行く、その旅の小説。

    俺の勝手な先入観もあると思うが、いかにも「アメリカ」な小説だと思った。解説にもあったがウエスタンの雰囲気を色濃く漂わせているのと、少年たちの旅が、旅を通しての成長が「スタンドバイミー」を思い出させたからかもしれない。
    この小説に盛り込まれている要素に、あまり目新しいものはないかもしれない。旅、旅の途上でのトラブル、新天地での生活、恋、挫折、急転直下の苦難、そして故郷への帰還。どれをとっても意外な展開などない。
    にもかかわらず、この小説が与えてくれる感動は一体何なのか。これほど多くのシーンが目に心に焼きついた小説も珍しい。

    現在の生活から飛

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    2010年04月28日
  • 黒い天使

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    ウールリッチ作品(ウィリアム・アイリッシュ名義含む)の中で、一番好きかも!!『幻の女』もいいですが・・・
    ひとつひとつのエピソードが、短編色を帯びていて、おもしろかったです。




    !!注!!以下ネタバレ

    最後はショッキングでした。
    ラッドとのやりとりがすごく好きだったので・・・

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    2009年10月04日
  • すべての美しい馬

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    1949年。祖父が死に、愛する牧場が人手に渡ることを知った16歳のジョン・グレイディ・コールは、自分の人生を選びとるために親友ロリンズと愛馬とともにメキシコへ越境した。この荒々しい土地でなら、牧場で馬とともに生きていくことができると考えたのだ。途中で年下の少年を一人、道連れに加え、三人は予想だにしない運命の渦中へと踏みこんでいく。至高の恋と苛烈な暴力を鮮烈に描き出す永遠のアメリカ青春小説の傑作。

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    2010年04月24日
  • 幻の女〔新訳版〕

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     私独自の人間分類器にかけると、この作品で嫌疑をかけられるスコット・ヘンダーソンって人も、『罪と罰』のラスコと同じタイプに入る。ほかには、『書写人バートルビー』の語り手「私」や、手塚治虫『ブッダ』のシッダールタもこの仲間。ヘンダーソンに関しては、善良さだけが取り柄で何の力もない人というか。囚われのお姫様のように、己の心の真実だけを握りしめて救出を待つのです。
     それはともかく、有名ミステリーをまたひとつ読めたので嬉しい。種明かしその一には素直にびっくりした。その二はどう受け止めていいのか考え中。

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    2026年05月30日
  • ナイルに死す〔新訳版〕

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    やはり著者の人間の感情を手に取るような文章は鮮やかです。
    ストーリーも当然ながら、ミステリーの結末も「らしさ」が出てて面白かったです。

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    2026年05月28日
  • すばらしい新世界

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    ⚫︎感想
    快適、娯楽、薬、不満がなく設計された世界は、人間が生きる上で本当に幸福といえるのか。

    簡単に「快」が得られ、「不快」が回避される世界は、
    苦しみ、愛、嫉妬、孤独がない

    「不幸になる自由」は本当に不要なのか?
    人が生きる上で、「揺れ」は必須である。
    享受している幸福に気づくのは、
    対極の不幸の存在を知っているからだ。

    人間から “揺れ” を消し、
    幸福だけ残って、
    それは本当に人間なのか?

    現代の生活に浸透している
    ショート動画、快適アルゴリズム、消費、即時快楽…
    それらは「すばらしい新世界」の1ページになり得る。

    ⚫︎本概要より

    『一九八四年』と並ぶ、ディストピア小説の歴

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    2026年05月26日
  • ザ・ロード

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    ネタバレ

    こんなに全編を通して暗くて徹底的に一切の希望がない小説は初めて。ただ暗いという訳ではない。暗いけどジメジメとはしてなくて、同情を誘うような湿り気もない。
    父と子が荒廃した地球を歩いている、それだけなのにグッと引き込まれた。
    お父さん、息子に対して絶対に怒らず、何か問題が起きても必ず自分のせいだ自分の落ち度だと言い、息子のせいでも息子のせいにはせず、声を荒げてしまえばすぐに謝る。めちゃくちゃ大変な状況なのに、凄すぎる。息子がたとえ大切な銃をうっかり置いて来てしまっても、絶対に責めない。本当にすごい。

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    2026年05月24日
  • ナイルに死す〔新訳版〕

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    長編だが、先が気になってすぐに読んでしまった。

    最後まで読んでから第一部を読み直すと、いろいろ興味深い。

    いかにもという人が犯人ではないとは思っていたが、こういう結末とは。

    映画も見てみたい。

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    2026年05月15日
  • ナイルに死す〔新訳版〕

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    ポワロシリーズはスーシェの映画やドラマを映像で見たことはありますが、本で読むのは初めてでした!とても読みやすくて直ぐに読んでしまいました。
    私は今エジプト旅行中です。
    ナイル川をクルーズして過ごす最中に読む本はどれがいいだろうと考え、ナイルに死すを選びました。
    訪れる場所や船内、クルーズを共にする仲間は物語の中とはもちろん違うけれど、
    船内の揺れやナイル川を流れる川の音、朝と夜の涼しい風、真昼の天高い太陽、全てを感じながらの読書でした。
    とても良い読書であり、経験になりました。
    お話自体は最後がすこし、悲しくはありますが、無事に物語が完結したこと、幸せになれた人たちがいることに安心を覚えて、私

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    2026年05月07日
  • 蠅の王〔新訳版〕

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    旧来の理念と秩序が暴力によって崩壊してゆく様が恐ろしい。まるで国際法が大国の軍事力で蹂躙されている現代のようだ。

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    2026年04月21日
  • ザ・ロード

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    「ぼくが死んだらどうする?
    パパも死にたくなるだろうな。
    一緒にいられるように?
    そう、一緒にいられるように。
    わかった。」
    心にズシンと響いた。
    読んでいると心に染み入るような感じを受けた。

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    2026年04月22日
  • 抱擁

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    書評記事をきっかけに読む。
    四世代にわたる物語が詩的な文章で描かれてる。
    はっきりとしたストーリーラインがあるわけではないが、読ませる文章。

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    2026年04月10日
  • 抱擁

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    神秘的な何かが立ち現れる稀有な瞬間、言葉にできないような福音を表現した詩的な文章。戦争などを背景にして4代に渡って続いていく物語。

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    2026年04月08日
  • 闇の奥

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    難解だという評判もあり、実際読みやすい小説ではない。
    しかし、未開のコンゴヘ出航する主人公を「闇の入り口を護」る「黒い毛糸を編む女たち」や、「警告の仕草で人差し指を立て」、「熱帯ではとにかく心を穏やかに保つこと」と言ってくる医者が見送る頃にはもう、「密林の闇」、「心臓の鼓動のように規則的でこもった響きの太鼓の音」、「頭に角をつけた男たち」に囲まれた魔境のジャングルクルーズに引き込まれてしまっている。
    これから何が起こるのか、ぞくぞくしながら読み進めるも、肝心のクルツと何があり、何を聞かされたかははっきりしない。解説を読むに、あえて「満たされることに慣れきった感性に冷水を浴びせ」る構成の作品のよ

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    2026年03月28日
  • 越境

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    ネタバレ

    原題はThe Crossing。
    横切ること。交わること。交差点。

    これを「越境」としたことで、イメージが果てしなく広がる。

    マッカーシーの描く世界はとても冷徹だ。
    神の視点に近いかもしれない。
    この世に物語はない。陽は昇り、大地を照らし、沈む。または陽は昇る。
    その中をビリーは生きる。
    なぜ、生きているのかはわからない。
    でも生きる。

    ビリーは3度、メキシコへ渡る。
    1度目は狼を送り届けるため。
    2度目は親を殺され盗まれた馬を取り戻すために。
    3度目は唯一の肉親である弟を救うために。

    1度目は心の赴くままに、
    2度目は自ら課した義務のために、
    3度目は孤独に押し出されて旅をする。

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    2026年03月21日