黒原敏行のレビュー一覧
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解説があってよかった。また、訳者の言葉もあってよかった。なぜなら、ともにこの作品について思いをめぐらすことを促してくれたから。読みながらも、読み終わっても、一筋縄ではいかない作品であると感じた。スタイルもメッセージもわかりにくいのだ。
信頼できない語り手?いや、最後に婚約者にみせた「配慮」はいたって理性的だ。
植民地主義や狂気、好奇心、利己心などが扱われているが、それがメインテーマではない。
うねうねした、理解を超えた世界に生きる経験?その強烈さ?
なのに聞き手がいるという矛盾?
なるほど。強烈な経験をしたからこそ、本当は言えない。そこにフィクションという真実、真実はフィクションという -
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「…世界の美しさに秘密が隠されていると思った。世界の心臓は恐ろしい犠牲を払って脈打っているのであり世界の苦悩と美は互いにさまざまな形で平衡を保ちながら関連し合っているのであって、このようなすさまじい欠陥のなかでさまざまな生き物の血が究極的には一輪の花の幻影を得るために流されるのかもしれなかった。」(459頁)
マッカーシーの名を知ったのは映画『ノーカントリー(No Country for Old men)』を観てから。マシーンのように冷徹に人を殺していくシガー(ハビエル・バルデム)が印象的な映画だった。
これ、原題をちゃんと見ないとタイトルの意味するところが全然伝わらない。原題は「古い -
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ネタバレXと云う患者 龍之介幻想
膨大な芥川龍之介の作品を読み込み、交友関係を調べて書かれたのが本書です。
龍之介を主人公にして、その作品を織り込みながら人間関係を物語るというちょっと離れ業的な本です。
尚、驚くのが作者が英国人であること。
翻訳も原著にあたったりしながらで大変だったろうなと思います。
幻想譚としての出来は完ぺきではありませんが、龍之介が徐々に自殺という結末に近づいていく様子が良く描かれていると思います。
大正と言う時代の雰囲気、関東大震災、文壇と今まで漠然としか知らなかったことを改めて知ることになりました。
さて、デビット・ピース氏は次はどこにいくのでしょうか?ちょっと気になりま -
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コーマック・マッカーシー氏のピュリッツァー賞受賞作品。まさにマッドマックスの世界。
おそらく核兵器が用いられたであろう終末戦争後の世界で、背景説明や情景描写のほぼない中、ただただ不条理な状況に置かれた父親と息子の旅路を描く。その道の先には絶望しかなく、しかし歩き続けるしかない矛盾。暗澹たる気持ちになる作品ではある。圧倒的暴力が描かれ、暴力や略奪や食人が暗に語られ、性悪説に基づくある種の残酷なリアリズムに達した描写はマッカーシー氏らしい。そうした過酷な環境下だからこそ父親が息子を守ろうとする気持ちや男として育てようとする生き様が際立つ。ラストは光明か暗闇かは定かではないが、少年から男にある巣立ち