あらすじ
妻と喧嘩し、あてもなく街をさまよっていた男は、風変りな帽子をかぶった見ず知らずの女に出会う。彼は気晴らしにその女を誘って食事をし、劇場でショーを観て、酒を飲んで別れた。その後、帰宅した男を待っていたのは、絞殺された妻の死体と刑事たちだった! 迫りくる死刑執行の時。彼のアリバイを証明するたった一人の目撃者“幻の女”はいったいどこにいるのか? 最新訳で贈るサスペンスの不朽の名作。
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Posted by ブクログ
素晴らしい読書体験、読後の爽快感と満足感に感動を覚えた。タイムリミットが刻々と迫る焦り、結末が気になってページを捲る手がとまらなかった。これが80年以上前に書かれたとは驚嘆に値する。
テンポの良いストーリー展開、どんでん返し、そして美しい文章から漂う幻想的な雰囲気と3拍子揃った傑作だと感じた。
次はぜひ、原書にチャレンジしたい。
Posted by ブクログ
アイリッシュは短編集を中学生の時に読んで好きになり、これもその時に読んだ。
何十年ぶりかで読んで、ニューヨークのバー、レストラン、劇場などのシーンや、服装、小物のセンスがとてもおしゃれで、アイリッシュは都会派の粋な作家だな、と改めて思った。
ちょっとサリンジャーに通じる所がある。
残酷なシーンもあるけど、昔のミステリーって温かみや倫理観がある。
刑事のバージェスが頭が切れる人で良かったな、って感じ。
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“夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。”
80年前に出版された古典ミステリーの新訳版。
無実の罪で死刑判決を受けた主人公の無実の証拠となる女を探していくのだが、章ごとに死刑までのカウントダウンになっておりハラハラしながら読んだ。
内容も面白かったのだが、詩的な文章がとくに好みだった。
お洒落な言い回しが随所にあるので、普段ミステリーを読まない方や文学好きも楽しめるのではないだろうか。
ちょうど読んだ時期が某漫画家さんの悲しい出来事があったあたりなので、作品に携わる人の原作者や名訳をした故稲葉明雄氏へのリスペクトが感じられたのも良かった。(あとがきでは新訳者の熱い思いが綴られている)
原作者の大切にしたいものをしっかりと護って送り出して欲しいと思う。
古い作品だがミステリー好きに是非おすすめの1冊。
こんな人におすすめ.ᐟ.ᐟ
・ミステリーが好きな人
・どんでん返しが好きな人
・詩的な文章が好きな人
・サスペンスが好きな人
Posted by ブクログ
捉えられそうで捉えられない幻の女。
なぜ真犯人はここまで先回りが出来るのか?と疑問を抱いたときに、突然膨れ上がる違和感がたまらない。
迫るタイムリミットと真相に気づいてる人はいるの?という焦り。
推理小説では大概無能な刑事がちゃんと優秀だったことが意外と嬉しかった(笑)
古典なのに今っぽい。
Posted by ブクログ
無実の罪を着せられたスコット。死刑執行までに彼のアリバイを証明する“幻の女”を探し出すべく、友が立つ。
夜のニューヨークをさまよい歩く男。どうやらムシャクシャと荒れているようだ。彼スコットは、妻と離婚について争っている最中だった。知らないバーに入ってゆきずりの女と酒を飲み、劇場でショーを見る。少し気が晴れて帰宅すると、刑事たちが待ち構えていた。ベッドで妻が絞殺されていたのだ。アリバイを証明するべく、ゆきずりの女を探し出さねばならない!しかし街へ戻って聞き込みをしても、誰も彼女のことを覚えていない。皆が口をそろえて、スコットが一人で酒を飲み、一人で劇場にいたと言うのだ。彼はそのまま妻の絞殺の疑いが晴れず、死刑宣告を受けてしまう。はたして“幻の女”はどこに……。
ミステリーの古典的傑作として有名な本作。タイトルだけがずっと頭に残っていて、昔一度読んだことがあると記憶していたが……あれ?この話は初見だ……!たぶん、何か他の作品と勘違いしている。なんだろう?
それにしても冒頭から引き込まれる展開だ。いったい何が起こっているのかさっぱりわからない不気味さ。主人公自身にも顔が思い出せない無個性な“幻の女”の幻想性。「死刑執行まであと何日」といった章立てで、タイムリミットがあるスリル感。投獄されてしまったスコットに代わり、彼を救うべく、親友と愛人が探偵役として立ち上がるのがアツい。次々と判明する不可解な出来事に、最後まで目が離せず一気に読める。そして至る衝撃の結末とは。はたしてスコットは助かるのか?もはやこれ以上は言うまい。20世紀前半の小説なので、エンタメに慣れている現代人には古さや既視感は感じられるかもしれないが、いまだにミステリーの名作として愛される傑作。ぜひともこれはネタバレにぶつかる前に読んでほしい。
本作「幻の女 ウィリアム・アイリッシュ」と似た感じのタイトルか作者名で、同じようなミステリーの古典を昔読んだ記憶があるのだが、なんだったかさっぱり思い出せない……。何と勘違いしている?本作を堪能した今後は、この、自分自身にとっての“幻の作品”を探し出さねばならないようだ……(笑)。
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妻と喧嘩し家を飛び出し、その晩はじめて会った女性と、観劇し、食事をする。帰ってきたら妻が殺されていて、殺人の容疑者として逮捕されてしまう。
唯一自分のアリバイを証言してくれる女性は、誰に聞いても見ていないと言われ...。
古典ミステリーの傑作といわれるだけあって、とても面白かった。夫婦とは?友情とは?いろいろと考えさせられる。
まったく予備知識なかったので、
“夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった“
という冒頭が名訳として有名なことを知らなかった。
自分としては、新訳なのに訳し方がいきなり直訳でがっかりした(その後は読みやすい)ので、ここも新しい訳に挑戦して欲しかった。
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「幻の女」はおよそ80年前に出版されたミステリー小説だ。しかし今読んでも全く色あせていない。
冤罪をきせられたスコットの無実を証明するため、アリバイを実証してくれる見知らぬ女性を探す。しかし、バーやレストラン、タクシー、劇場・・・スコットは女性と同伴だったにもかかわらず、誰もがそんな女性は知らないと言う。
一体誰が嘘をついているのか本当のことを言っているのか。実際にその女性は存在したのか・・・。
スコットの冤罪を晴らすために親友のロンバートとスコットの恋人キャロルは奔走するが、なかなか決め手に辿り着かない。
スコットは死刑をまぬがれるのか・・・。
久しぶりに読み応えのあるミステリーに出会った。
お見事としか言いようがない。
Posted by ブクログ
間違いなくミステリーの傑作。これまだ読んでなかったんだな。びっくりする作品はだいたい二重構造とか、ひとつのことに二つの意味があって、読み終わったら、なんで気づかなかったんだろうって、ちょっと体調とか、冴えてるときだったら、分かってたのにとか思ったりするけど、これは自分がどんなコンディションでも、解ける気がせず。すごい。うまい。
冒頭のリリカルな表現はもちろんスタイリッシュでいい感じ。別れるときの女のセリフもちょっとクサイくらいあるけど、なんか好きだな。
Posted by ブクログ
主人公スコット・ヘンダースンは自宅に帰宅すると、妻の殺人容疑で逮捕されてしまい、死刑判決を受ける。彼は無実を証明するために、親友ジョン・ロンバードや恋人キャロル・リッチマンを頼りに、スコットが事件当時に会った女性の行方を、そして妻殺害の真犯人を探していく。刑事たちはスコットが当日に出会った人々や場所に赴くが、それらしき女性が一向に見当たらないうえに、話が進むにつれて彼の死刑執行が刻々と迫ることもあって、緊張感が増していく。最後の最後で、実は犯人が身近なところにいたという衝撃的な事実が判明する。
Posted by ブクログ
「夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった・・」
・・という、ポエミー且つオシャンティ(死語(^^;)な書き出しで有名なクラシックの名作を今更ながら読んでみる事に。
妻と喧嘩し、家を飛び出したスコットは、とあるバーで“パンプキン”のような帽子をかぶった女に出会います。
彼はその女性を誘って食事をし、ショーを観てから別れますが、帰宅すると妻が絞殺されていて、スコットはその場にいた警官に殺害容疑で拘束されてしまい・・。
こ、これは・・読む手が止まらんヤツ!
スコットのアリバイを証明できる“パンプキン帽子の女(以後、幻の女)”がどこの誰だかわからないどころか、街で聞き込みをしても皆口を揃えて“その女を見ていない”と言う始末。
あれよあれよという間に有罪判決を受けて、死刑執行までのカウントダウンが始まってしまうという、スコットからすれば悪い夢を見ているとしか思えない状況ですよね。
で、勾留されているスコットの代わりに、彼の友人のロンバードと、恋人(てか愛人)のキャロルが“幻の女”を捜し出すべく奔走するのですが、これがまぁ見つからないし、話を聞いた関係者達が、悉く不審死をしてしまうんですよ。
そんなこんなでスコットの死刑執行日が刻一刻と迫ってきて・・と、この緊迫感が堪りません!
そして、終盤での怒涛の展開とまさかのどんでん返し的な真相に“な、何だと・・!”となった次第です。
ということで、上質なタイムリミットサスペンスを堪能させて頂きました。
ところで、私は序盤からずーっと気になっていた事がありまして、“ま・・真相解明時にこの件も明かされるのかな・・”と、とりあえずそのモヤモヤを脇によけて読んでいたのですが・・結局、解明されず!(;´Д`)。
それで、その気になる事というのは、
「スコットの妻の死体の第一発見者&警察に通報したのは誰なのか」
って事です。
あの・・これ、書かれていませんでしたよね?え?私が見落としてる?・・と何度か確認するもやはり見つからず(;'∀')
うーむ、私の「幻の通報者」は何処に~?!
Posted by ブクログ
比喩表現がいちいち凝っていて面白い
サスペンスとしても優れているが、文章が読んでいて楽しい作品
「昔から優秀な機械のように運動能力がずばぬけていて、皮膚でくるまれているよりはレーシングカーのボンネットの下におさまっているほうがいいような男なのである」
Posted by ブクログ
1942年に発表された古典ミステリー
舞台はニューヨーク
妻と喧嘩をしたヘンダースンはあてもなく街をさまよう…
たまたま入ったバーで出会った風変わりな帽子(パンプキンみたいな…)を被った女を誘い、食事をし、劇場でショーを観て別れる
その後、深夜に帰宅するとヘンダースンを待っていたのは絞殺された妻の死体と刑事たちだった
警察は夫であるヘンダースンを疑う
彼のアリバイを証明できるのはバーで出会った女だけ…
しかし、誰も女を見ていない…
そしていよいよヘンダースンに有罪の判決が下り死刑が言い渡される
死刑執行まで87日
ヘンダースンの友人と恋人が内密に捜査に協力し「幻の女」を追って奔走するが…
刻一刻と迫る死刑執行にハラハラドキドキ…
⦿女は一体どこにいったのか?
⦿なぜ誰も女のことを覚えていないのか?
⦿妻を殺したのは誰なのか?
ヘンダースンは冤罪で死刑執行されてしまうじゃないか…
一体どうなっているんだ!
もしかしてヘンダースン自身が信用できない語り手なのか?…(笑)
ツッコミどころはあったけど…
確かに「読んでないなんてもったいなかった」
大どんでん返った…
その追い詰め方がすごかった!
まだこの作品が未読という人がうらやましい…(笑)
Posted by ブクログ
2025.02.09
新訳版というが、私は初めて読んだ。
良作。
昔の作品でもスリリングさが最後まで保たれていることが良かった。
終章の謎解きが今のものと違って丁寧に細かくされているのが印象的。
また、訳者あとがきも楽しめた。
Posted by ブクログ
ハヤカワの『海外ミステリ・ハンドブック』から。
こーれは面白かったです!オススメ。
【あらすじ】
妻と喧嘩して家を飛び出し、あてもなく街をさまよっていたヘンダースンは、”パンプキンのような”帽子をかぶった見ず知らずの女と出会う。食事をし、劇場でショーを観て、酒を飲んで別れて家に帰ると、待っていたのは絞殺された妻と警察だった――。
第一章から「死刑執行日の百五十日前」と始まり、続く章もすべてその形式でタイムリミットが近づいていきます。
死刑執行を待つのみのヘンダースンに代わり、親友であるロンバードが”幻の女”を探すのですが、なかなか一筋縄ではいかず。あらゆる疑念が浮かぶ中で、すっかりロンバード視点の物語に夢中になっていただけに、真相には度肝を抜かれたといってもいいでしょう。私はてっきり”幻の女”はその筋の奥方で、だから出てこないのだと思っていましたが……。
自分の無実を証明してくれるはずの女が見つからない、というストーリーは横溝正史の短編にもありましたが、オチも同じでは、というのは全くの杞憂でした。
本書は、プロットの鮮やかさだけでなく、詩的な文章表現も特徴的です。
ミステリーでありながら、登場人物の内面を豊かに表す文学的な表現が多く、一般小説としても読み応えがあると思います。
ただ、あれだけ印象的な振る舞いをした同伴者を忘れるか?!と思わなくもないのですが、これは偏見かもですが男性だったらありがちなのかな。。
そして今回なにより感じたのが、予備知識のない状態で読むミステリーの面白さ!
私はこれまで、”王道ミステリー”だとか”外せない名作”だとか、どうしても期待値の上がってしまう作品を手に取ることが多くありました。
本書も、広く愛され評価の高い一冊ではあるのですが、どんな探偵だとか評価ポイントだとか、そういった事前情報はほぼゼロの状態で読み進めたので、「この先どうなってしまうのだろう」と新鮮にワクワクすることができました。
詩的な表現に触れながら、緊張感のあるミステリーに触れたい方に、ぜひオススメの一冊です!
Posted by ブクログ
妻と喧嘩して家を飛び出したスコットは、バーで特徴的なオレンジ色の帽子を被った女と出会う。食事とショーをともにした後スコットが帰宅すると、家には警察がおり妻が殺されていた。妻の首にはスコットのネクタイが巻き付いていて、彼は殺人の容疑で逮捕されてしまう。スコットはバーで出会った女が自分の無実を証明してくれると思い彼女のことを思い出そうとするが、記憶にあるのは特徴的な帽子だけ。刑事とともにバーやレストラン、劇場をまわりスコットと一緒にいたオレンジの帽子の女を見ていないか尋ねるも、みな口を揃えたように一人でいるスコットしか目撃していないと証言する。そんな中、ついにスコットに死刑判決が下る。
スコットは死刑執行までの日々をただひたすら過ごすだけだったが、彼を逮捕した刑事バージェスは、もしかすると本当にスコットは無実なのではないかと考えるようになる。そこでバージェスは、スコットの親友ロンバードに、スコットの無実を証明するため幻の女を探すように依頼する。スコットの浮気相手だったキャロルの協力も得ながら、少しずつ幻の女へと近付いていくが、行く先々で、幻の女のことを目撃していた人々が何者かに消されていく。
犯人がオレンジ色の帽子の女を「幻の女」に仕立て上げた方法についてはやや強引だが、犯人にとってもその女が幻となってしまったところは皮肉が効いていて面白い。
「死刑執行日の◯◯日前」という章題が焦燥感を駆り立てる。どれだけ訴えても自分にとって不利な状況を打開できないもどかしさと恐怖が上手く表現されている。読みやすい訳でテンポもいいので、あっという間に読み終わる。
Posted by ブクログ
妻と喧嘩した男は、街で風変わりな帽子をかぶった女と出会う。気晴らしにその女と劇場などで過ごして帰宅すると…。
どうやら私は海外ミステリー沼に足を踏み入れてしまったみたいだ。
誰も自分のことを信じてくれない。
自分は幻を見ていたのか?
面白くてどんどんはまっていく。
章立てが「死刑施行日の○○日前」となっているので、迫ってくる執行日に男と同じ気持ちで焦る。ネタバレを見ずに読めて良かった。さすが名作。最後まで面白かった。
訳者さんのおかげで、海外ミステリ初心者の私でも楽しめた。
「夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。」
冒頭の1文。クリスティーとはまた違う魅力に惹き込まれた。
『幻の女』は江戸川乱歩が選んだ海外ミステリー作品の中に入っていると後から知った。
乱歩が大好きなので、好きな作家が好きな作品は、やっぱり自分も好きだった。
クリスティーに行き着いたのも綾辻行人さんと三谷幸喜さんからだった。
乱歩が選ぶ作品の中にクリスティーの『アクロイド殺し』が入っていた。私の好みと同じで嬉しい。
次に読むAudibleは、乱歩が選んだ作品にも入っているエドガー・アラン・ポー『モルグ街の殺人』に決めた。
史上初の推理小説で、1841年とクリスティーよりだいぶ前の時代なので、楽しめるかわからないけど、乱歩のペンネームの由来にもなってる作家を読んでみたい。
Audibleにて。
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『夜は若く、彼も若かったが、夜の空気は甘いのに、彼の気分は苦かった。』
一文目にくる文章に惹き込まれました。
古典ミステリーの随所に見られる詩的な表現や幻の女の手掛かりに手が届きそうで届かない緊張感に一気に読み終えました。
Posted by ブクログ
喪服のランデヴーが面白かったので、二作目。喪服〜が犯人が初めからわかってる系の作品であるのに対して、こちらはそれとは真逆のタイプ。どちらもそれぞれ面白い。喪服〜は主人公の復讐を軸にして、一人また一人と殺されていく序盤から終盤までの流れはある意味読者には予想がつく範囲で、終わらせ方こそが要だったが、こちらは犯人は誰なのか?女は誰なのか?そもそも存在するのか??と複数の謎を同時進行で解き明かしていくスリリングな展開が面白い。
Posted by ブクログ
だいぶ前に電子書籍で購入。良い意味での昔のミステリー色が強く、でも話の展開も飽きさせないし面白かった。原文がかっこ良いんだろうな、という言い回しがいろいろある。
幻の女
最後までどうなるのか想像がつかない作品でした。
大抵この手の作品はなんとなくオチが想像できてしまうのですが、これは私には想像外でした。
後半は飽きない展開で読み進めたくなりました。
「冤罪」という’もし自分だったら‥’という、なんとも心落ち開かない気持ちが同居していました。
絶体絶命な状況からどう展開されるのか…先が気になり止まらなかったです。
この作品を読んで、作家とは四六時中構想で頭がいっぱいなんだろう、やはり特殊な職業だと再確認した作品でした。
Posted by ブクログ
臨場感たっぷりの物語で読んでいてドキドキしました。ただ、わたし的にはちょっと読みにくく、読み進むのに時間がかかりました。
でも最後は色々ななぞも無事に解決し、全てスッキリ!ウィリアム・アイリッシュさんすごいです。
Posted by ブクログ
面白かった。
男が記憶を保管して幻を見ている、みたいなありがちな展開かと思ったがそうではなく、しっかりとミステリーだった。
所々おしゃれでとても良かった。死刑執行までの日にちが章立てになっていて、何も動きがない日はそのまま次の章に行くところも、最後の刑事の一言も。
また、登場人物がどれも印象深いのも良い作品と感じた理由の一つで、物乞い、歌姫、妻、どれをとっても一癖あって一キャラクターとして見ることができた。またそれを下手にミステリー仕立てにせず、キャラクターとして描いているのも良い、、、。
Posted by ブクログ
ミステリーの古典でどんでん返しの結末、それだけでも興味津々ですが、 J・ディーヴァーのリンカーン・ライムシリーズの面白さを知った私が本作を手にするのはもはや必然だったように思います。
エドガー・アラン・ポーのモルグ街の殺人から始まった推理小説の歴史。
本作も不朽の名作であることは読めばわかります。
主人公は株式ブローカーのスコット(職業は本作では全く重要ではありません)。
妻となんとか離婚をしようとしていたスコット、それまでとは手法を変え食事と劇場に妻を誘う。
直前になって行かないと言い出す妻と激しい言い合いの末に家を飛び出したスコットは何気に立ち寄ったバーで不思議な帽子をかぶった女性と出会い、妻と訪れるはずだった食事と劇場にその女性を誘う。
出会ったバーで再度酒を飲み、何事もなく女性と別れ、家に帰り着くと警官が。
スコットが外出している間に妻が絞殺されており、スコットは殺人容疑で勾留されてしまう。
妻の死亡時刻にはバーにいたと言うスコット。
彼がその時間にバーにいたことが証明できればスコットの無実は証明される。
しかし、バー、レストラン、タクシー、劇場の関係者はスコットは1人だったと証言し、彼は電気椅子による死刑を宣告される。
スコットに残された時間はわずか。
彼の無実を証明できる唯一の存在、"幻の女“はどこに消えたのか?
スコットは"幻の女“探しを親友であるジョンに依頼する。
友の為、ジョンは"幻の女“を探し始め、手がかりを掴むごとに情報源となった人々が次々に不審な死をとげます。
スコットが処刑されるまさに当日、ジョンはついに"幻の女“に辿り着く。
ジョンと時を同じく、スコットの無実を証明しようと走り回っていたのが、彼の若い恋人(愛人)キャロル。
裁判でのスコットの発言からもしかしたら彼は真実を語っているのかもと疑念を持ち始めた刑事バージェス。
三者三様で追い詰めた"幻の女“。
そこで明かされた驚愕の真実。
もはや古典とも言われる本作ですが、全く古さを感じることなく読み終えました。
説明
内容紹介
創立70周年記念作品 不朽の名作、ついに新訳版で登場!
けんか別れした妻が殺された。そのとき、夫は街で出会った奇妙な帽子の女と過ごしていた。唯一の証人は彼女だけ……今はどこに?(解説:池上冬樹)
内容(「BOOK」データベースより)
妻と喧嘩し、あてもなく街をさまよっていた男は、風変りな帽子をかぶった見ず知らずの女に出会う。彼は気晴らしにその女を誘って食事をし、劇場でショーを観て、酒を飲んで別れた。その後、帰宅した男を待っていたのは、絞殺された妻の死体と刑事たちだった!迫りくる死刑執行の時。彼のアリバイを証明するたった一人の目撃者“幻の女”はいったいどこにいるのか?最新訳で贈るサスペンスの不朽の名作。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
アイリッシュ,ウイリアム
1903年12月4日ニューヨークに生まれ、1968年9月25日ニューヨークのホテルに死す。コーネル・ウールリッチやジョージ・ハプリィ名義でも作品を発表
黒原/敏行
1957年生、東京大学法学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
Posted by ブクログ
妻殺しの罪で死刑執行が迫る男と彼の潔白を証明すべく奔走する親友の姿を描いた時限サスペンスの古典。事件の鍵を握る幻の女の造形に些か物足りなさを感じるが冒頭の有名な一節を含む洗練された表現及び巧みなプロットは読者を愉します
Posted by ブクログ
海外作品は私にとって読みづらさがあるが、
この作品はスラスラ読めました。
順に追って真相に近づいていく緊張感が良かったです。
ただし、「幻の女」と言う設定は少し物足りなかったです。
ラストがちょっとね!
Posted by ブクログ
知らなかったがミステリーの古典らしい。
ストーリーは今から見れば強引な展開が多いものの、バーや観劇といったニューヨークの都会的な雰囲気、幻想的な描写、唯一のアリバイ証言者となる消えた幻の女を探すという仕立てが上手く嵌っていると思えた。
ネタバレしてしまうから映像化は難しいと思ったけど、何度も映画やテレビドラマになっているらしい。
Posted by ブクログ
・あらすじ
妻殺しで捕まった男。アリバイを唯一証明できる消えてしまった幻の女を捜索する関係者。
・感想
解説読むまでこの本がそんなに有名だったとは知らなかった。
サスペンスの詩人と言われてるようで確かに詩的な表現が多かった。
その詩的な表現と曖昧模糊とした状況、暗中模索な捜索が噛み合ってた気がする。
初めて読んだけど面白かった。
幻の女の正体と殺人犯の正体を探っていくけど殺人犯の方は予想つけやすいからすぐわかった。
Posted by ブクログ
洋書は登場人物の名前が中々覚えられなくて苦手なのだが、この本は登場人物も限られており、すんなり読む事ができた。
80年位前の本だが古臭さは感じず、真相も予想できず驚いた。
ただ刑事が犯人を泳がせていた事であれだけ一般人に危険が及んだり亡くなった人もいるのに、ドヤ顔で真相を語るシーンは少し違和感があったかな。