あらすじ
妻と喧嘩し、あてもなく街をさまよっていた男は、風変りな帽子をかぶった見ず知らずの女に出会う。彼は気晴らしにその女を誘って食事をし、劇場でショーを観て、酒を飲んで別れた。その後、帰宅した男を待っていたのは、絞殺された妻の死体と刑事たちだった! 迫りくる死刑執行の時。彼のアリバイを証明するたった一人の目撃者“幻の女”はいったいどこにいるのか? 最新訳で贈るサスペンスの不朽の名作。
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Posted by ブクログ
捉えられそうで捉えられない幻の女。
なぜ真犯人はここまで先回りが出来るのか?と疑問を抱いたときに、突然膨れ上がる違和感がたまらない。
迫るタイムリミットと真相に気づいてる人はいるの?という焦り。
推理小説では大概無能な刑事がちゃんと優秀だったことが意外と嬉しかった(笑)
古典なのに今っぽい。
Posted by ブクログ
間違いなくミステリーの傑作。これまだ読んでなかったんだな。びっくりする作品はだいたい二重構造とか、ひとつのことに二つの意味があって、読み終わったら、なんで気づかなかったんだろうって、ちょっと体調とか、冴えてるときだったら、分かってたのにとか思ったりするけど、これは自分がどんなコンディションでも、解ける気がせず。すごい。うまい。
冒頭のリリカルな表現はもちろんスタイリッシュでいい感じ。別れるときの女のセリフもちょっとクサイくらいあるけど、なんか好きだな。
Posted by ブクログ
主人公スコット・ヘンダースンは自宅に帰宅すると、妻の殺人容疑で逮捕されてしまい、死刑判決を受ける。彼は無実を証明するために、親友ジョン・ロンバードや恋人キャロル・リッチマンを頼りに、スコットが事件当時に会った女性の行方を、そして妻殺害の真犯人を探していく。刑事たちはスコットが当日に出会った人々や場所に赴くが、それらしき女性が一向に見当たらないうえに、話が進むにつれて彼の死刑執行が刻々と迫ることもあって、緊張感が増していく。最後の最後で、実は犯人が身近なところにいたという衝撃的な事実が判明する。
Posted by ブクログ
ハヤカワの『海外ミステリ・ハンドブック』から。
こーれは面白かったです!オススメ。
【あらすじ】
妻と喧嘩して家を飛び出し、あてもなく街をさまよっていたヘンダースンは、”パンプキンのような”帽子をかぶった見ず知らずの女と出会う。食事をし、劇場でショーを観て、酒を飲んで別れて家に帰ると、待っていたのは絞殺された妻と警察だった――。
第一章から「死刑執行日の百五十日前」と始まり、続く章もすべてその形式でタイムリミットが近づいていきます。
死刑執行を待つのみのヘンダースンに代わり、親友であるロンバードが”幻の女”を探すのですが、なかなか一筋縄ではいかず。あらゆる疑念が浮かぶ中で、すっかりロンバード視点の物語に夢中になっていただけに、真相には度肝を抜かれたといってもいいでしょう。私はてっきり”幻の女”はその筋の奥方で、だから出てこないのだと思っていましたが……。
自分の無実を証明してくれるはずの女が見つからない、というストーリーは横溝正史の短編にもありましたが、オチも同じでは、というのは全くの杞憂でした。
本書は、プロットの鮮やかさだけでなく、詩的な文章表現も特徴的です。
ミステリーでありながら、登場人物の内面を豊かに表す文学的な表現が多く、一般小説としても読み応えがあると思います。
ただ、あれだけ印象的な振る舞いをした同伴者を忘れるか?!と思わなくもないのですが、これは偏見かもですが男性だったらありがちなのかな。。
そして今回なにより感じたのが、予備知識のない状態で読むミステリーの面白さ!
私はこれまで、”王道ミステリー”だとか”外せない名作”だとか、どうしても期待値の上がってしまう作品を手に取ることが多くありました。
本書も、広く愛され評価の高い一冊ではあるのですが、どんな探偵だとか評価ポイントだとか、そういった事前情報はほぼゼロの状態で読み進めたので、「この先どうなってしまうのだろう」と新鮮にワクワクすることができました。
詩的な表現に触れながら、緊張感のあるミステリーに触れたい方に、ぜひオススメの一冊です!
Posted by ブクログ
妻と喧嘩して家を飛び出したスコットは、バーで特徴的なオレンジ色の帽子を被った女と出会う。食事とショーをともにした後スコットが帰宅すると、家には警察がおり妻が殺されていた。妻の首にはスコットのネクタイが巻き付いていて、彼は殺人の容疑で逮捕されてしまう。スコットはバーで出会った女が自分の無実を証明してくれると思い彼女のことを思い出そうとするが、記憶にあるのは特徴的な帽子だけ。刑事とともにバーやレストラン、劇場をまわりスコットと一緒にいたオレンジの帽子の女を見ていないか尋ねるも、みな口を揃えたように一人でいるスコットしか目撃していないと証言する。そんな中、ついにスコットに死刑判決が下る。
スコットは死刑執行までの日々をただひたすら過ごすだけだったが、彼を逮捕した刑事バージェスは、もしかすると本当にスコットは無実なのではないかと考えるようになる。そこでバージェスは、スコットの親友ロンバードに、スコットの無実を証明するため幻の女を探すように依頼する。スコットの浮気相手だったキャロルの協力も得ながら、少しずつ幻の女へと近付いていくが、行く先々で、幻の女のことを目撃していた人々が何者かに消されていく。
犯人がオレンジ色の帽子の女を「幻の女」に仕立て上げた方法についてはやや強引だが、犯人にとってもその女が幻となってしまったところは皮肉が効いていて面白い。
「死刑執行日の◯◯日前」という章題が焦燥感を駆り立てる。どれだけ訴えても自分にとって不利な状況を打開できないもどかしさと恐怖が上手く表現されている。読みやすい訳でテンポもいいので、あっという間に読み終わる。
Posted by ブクログ
ミステリーの古典でどんでん返しの結末、それだけでも興味津々ですが、 J・ディーヴァーのリンカーン・ライムシリーズの面白さを知った私が本作を手にするのはもはや必然だったように思います。
エドガー・アラン・ポーのモルグ街の殺人から始まった推理小説の歴史。
本作も不朽の名作であることは読めばわかります。
主人公は株式ブローカーのスコット(職業は本作では全く重要ではありません)。
妻となんとか離婚をしようとしていたスコット、それまでとは手法を変え食事と劇場に妻を誘う。
直前になって行かないと言い出す妻と激しい言い合いの末に家を飛び出したスコットは何気に立ち寄ったバーで不思議な帽子をかぶった女性と出会い、妻と訪れるはずだった食事と劇場にその女性を誘う。
出会ったバーで再度酒を飲み、何事もなく女性と別れ、家に帰り着くと警官が。
スコットが外出している間に妻が絞殺されており、スコットは殺人容疑で勾留されてしまう。
妻の死亡時刻にはバーにいたと言うスコット。
彼がその時間にバーにいたことが証明できればスコットの無実は証明される。
しかし、バー、レストラン、タクシー、劇場の関係者はスコットは1人だったと証言し、彼は電気椅子による死刑を宣告される。
スコットに残された時間はわずか。
彼の無実を証明できる唯一の存在、"幻の女“はどこに消えたのか?
スコットは"幻の女“探しを親友であるジョンに依頼する。
友の為、ジョンは"幻の女“を探し始め、手がかりを掴むごとに情報源となった人々が次々に不審な死をとげます。
スコットが処刑されるまさに当日、ジョンはついに"幻の女“に辿り着く。
ジョンと時を同じく、スコットの無実を証明しようと走り回っていたのが、彼の若い恋人(愛人)キャロル。
裁判でのスコットの発言からもしかしたら彼は真実を語っているのかもと疑念を持ち始めた刑事バージェス。
三者三様で追い詰めた"幻の女“。
そこで明かされた驚愕の真実。
もはや古典とも言われる本作ですが、全く古さを感じることなく読み終えました。
説明
内容紹介
創立70周年記念作品 不朽の名作、ついに新訳版で登場!
けんか別れした妻が殺された。そのとき、夫は街で出会った奇妙な帽子の女と過ごしていた。唯一の証人は彼女だけ……今はどこに?(解説:池上冬樹)
内容(「BOOK」データベースより)
妻と喧嘩し、あてもなく街をさまよっていた男は、風変りな帽子をかぶった見ず知らずの女に出会う。彼は気晴らしにその女を誘って食事をし、劇場でショーを観て、酒を飲んで別れた。その後、帰宅した男を待っていたのは、絞殺された妻の死体と刑事たちだった!迫りくる死刑執行の時。彼のアリバイを証明するたった一人の目撃者“幻の女”はいったいどこにいるのか?最新訳で贈るサスペンスの不朽の名作。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
アイリッシュ,ウイリアム
1903年12月4日ニューヨークに生まれ、1968年9月25日ニューヨークのホテルに死す。コーネル・ウールリッチやジョージ・ハプリィ名義でも作品を発表
黒原/敏行
1957年生、東京大学法学部卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
Posted by ブクログ
・あらすじ
妻殺しで捕まった男。アリバイを唯一証明できる消えてしまった幻の女を捜索する関係者。
・感想
解説読むまでこの本がそんなに有名だったとは知らなかった。
サスペンスの詩人と言われてるようで確かに詩的な表現が多かった。
その詩的な表現と曖昧模糊とした状況、暗中模索な捜索が噛み合ってた気がする。
初めて読んだけど面白かった。
幻の女の正体と殺人犯の正体を探っていくけど殺人犯の方は予想つけやすいからすぐわかった。