無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
最後らへんすごくよかったなー。
冒頭は普通のクライムノベルっぽく、主人公がうっかり慈悲をみせてしまって狙われることになるのも、イイネ。
中盤では主人公の奥さんが丁寧に描かれるので、最後の無慈悲な悲劇が身に迫る。
最後らへんの保安官の独白がすごくよかった。小説の終わらせ方として大変クールでかっこいいし、職業人生を終わらせる決断に際しての心の動きとしてのリアリティーもある。夫婦で馬に乗って佇む絵図が静かで悲しくてイイネ。
アメリカ社会の非情な一面を克明に描き切っている。
悪役は自然現象のように描写されていて、それも含めて筆者はドラマとか心理とかではなく、アメリカという国家を書いたのではないかと思う。
Posted by ブクログ
〈眼は魂の窓だとよく言うだろう。すると魂のない人間の眼はなんの窓なのかおれは知らないしどちらかというと知りたくない気がする。しかしこの世には普通とは違う世界の眺め方がありそんな眺め方をする普通とは違う眼があってこの話はそういうところへ行く。〉
訳者あとがきで知ったのですが、タイトルの『ノー・カントリー・フォー・オールド・メン』はアイルランドの詩人イェイツの詩の一節で、「老人の住む国にあらず」が直訳になるそうです。理解できないものと対峙することになる非情な現実が、言葉という表現で強烈に迫ってくる、ちょっと他では代替できないような読書体験が味わえる一冊です。
メキシコの国境地帯で麻薬密売のトラブルで死んだと思わしき死体を見つけたモスは、その現場にあった大金を得て、逃亡。追うのは謎めいた殺し屋シガー。事件を捜査する保安官ベル。三者の行き着く果ては――。とにかく読んで、と自分の目での作品との対峙を強く薦めたくなる作品です。
Posted by ブクログ
コーマック・マッカーシー『ノー・カントリー・フォー・オールド・メン』ハヤカワepi文庫。
2007年に扶桑社ミステリーとして刊行された『血と暴力の国』を改題、改訂、再文庫化。再文庫化にあたり『No Country For Old Men』という原題の正式なタイトルに戻したようだ。
4年程前に仕事でタイに向かう飛行機の中で本作が原作の映画『ノーカントリー』を観たところ非常に面白く、無性に読んでみたいと思っていた。
強烈な印象を残した映画のシーンを頭の中に描きながら読んでみると、老保安官のエド・トム・ベルも、奇妙な武器を操るマッシュルームカットの太目で残忍な殺し屋のアントン・シガーも、ヴェトナム帰還兵のルウェリン・モスも小説という世界で新たな命を吹き込まれたかのように感じる。
そして、驚いたのはコーエン兄弟の映画が、かなり原作に忠実だったことだ。映画では、モスが若い女性のヒッチハイカーをピックアップ・トラックに乗せる場面は無かったし、カーラ・ジーンがモスに射殺される場面も無かったが……
渦巻く欲望と狂気の中、何故か一人だけ冷静沈着に国が悪にまみれて行くのを憂う老保安官ベルという不思議な構図。非常に面白い。映画では描き切れなかったのであろう細部の描写や登場人物の心情表現が凄い。
極めて文学的なノワール・ハードボイルドといったところだろうか。
1980年、ヴェトナム帰還兵モスは、テキサス州のメキシコ国境付近で麻薬密売人の殺戮現場に遭遇する。男たちの死体と共にブリーフケースに残された240万ドルもの大金を発見し、持ち逃げする。
妻であるカーラ・ジーンの待つトレーラーハウスに戻ったモスは夜中に大金のことが気になり、殺戮現場に向かう。遠くから現場を観察していたモスだが、麻薬密売人の仲間に見付かり、追い掛けられ、ピックアップト・ラックを捨て、命辛々、自宅に戻る。
身の危険を感じたモスは自宅に戻るや、カーラにオデッサの実家に避難するよう命じ、自らも逃亡の旅に出る。
一方、保安官補により逮捕された殺し屋のシガーは保安官補を殺害し、パトカーで逃亡する。途中、無関係の車を停め、運転手を酸素ボンベとホースで接続されたスタンガンで殺害し、車を乗り換えて、モスが目撃したあの殺戮現場に向かう。
ブリーフケースに仕掛けられた発信器の電波からモスの後を追うシガー。
保安官のベルは殺戮現場に残されたピックアップ・トラックからモスの自宅へと向かい、モスとカーラが事件に巻き込まれたことに気付く。
モスの所在を突き止めたシガーは、同じく240万ドルの入ったブリーフケースを追跡していたメキシコ人麻薬密売人らと銃撃戦を繰り広げる。麻薬密売人たちはシガーにより皆殺しとなり、シガーにより銃創を負ったモスは再び逃亡する。しかし、シガーもモスの銃撃により傷を負っていた。
追う者と追われる者、その結末と老保安官ベルの語る後悔……
本体価格1,500円
★★★★★
Posted by ブクログ
荒野に放置された弾痕の残る車輛と複数の死体、多額の現金と麻薬を見つけたら、そのまま放置して警察に連絡するに限る。現金を持ち帰り、再度現場を訪れるようなことをすると、地の果てまで追われることになる。
冒頭から物語に引き込まれ、ストーリーや登場人物の行動、セリフに引っ張られ、終盤まで連れていかれる。章立て冒頭の保安官のモノローグの印象が残っているうちに、主人公と追手が繰り広げる逃走劇が脳内に入り込んでくる。ストーリーが脳内に入ってくるのは、著者の作品『ロード』でも同じだ。その文体がそうさせるのだと思う。
主要な登場人物はすべて戦争経験者だ。オールド・メンの条件が戦争経験のように思うが、アメリカはどこかしらで戦争を継続しており、必ずしも古いタイプの男を指す条件ではないが、本書ではおおむねベトナム戦争経験者までをオールド・メンの対象にしている。2007年に本書の著者は80歳近い年齢であったことから、当然のカテゴライズだと思う。
古いこと、新しいこと、時代がかったこと、今時のこと、いろいろなことが掛け合わさって入り乱れてくるが、ストーリーが立ち整然と物語は流れていく。しびれるほど面白かった。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。