【感想・ネタバレ】闇の奥のレビュー

あらすじ

船乗りマーロウはかつて、象牙交易で絶大な権力を握る人物クルツを救出するため、アフリカの奥地へ河を遡る旅に出た。募るクルツへの興味、森に潜む黒人たちとの遭遇、底知れぬ力を秘め沈黙する密林。ついに対面したクルツの最期の言葉と、そこでマーロウが発見した真実とは? 著者自身の強烈なコンゴ体験をもとにアフリカの奥地への苛烈な旅を描き、文明社会の価値観を問うた20世紀最大の問題作を、リーダブルな新訳で!

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ポーランド生まれのイギリス人作家コンラッドの作品。自身が1890年ごろコンゴ自由国を訪問した経験に基づき書かれている。当時のヨーロッパから見たアフリカがどのような印象であったかがよくわかる。

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2025年07月19日

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英国の作家ジョセフ・コンラッドによって書かれた中編小説。20世紀における英語文学の傑作として知られる。仏国の貿易会社に雇われた船乗りマーロウが、アフリカの出張所を訪れるためにコンゴ川を遡行し、やがてクルツという名の代理人を求めて大陸の奥深くへ足を踏み入れるが……というストーリー。背景には当時のベルギー国王によるコンゴ自由国に対する苛烈な植民地支配が存在し、本作にはコンラッドの船員時代の経験が反映されている。

本作では語り手マーロウの出航から帰還までが作中作の形で展開し、プロットを辿れば物語の全体像は把握できるものの、作品を包み込む重厚なーーあたかも倫敦を覆う陰鬱な闇のような雰囲気が、テクストの表面的な読みを妨げている。通常の読書体験は《読者-語り手》という伝聞形態を取るが、本作では多重構造化によって《読者-私-語り手》という「又聞き」の形態を強いられる。我々は物語から一階層引き剥がされ、それゆえ出来事の意味が不明瞭に、闇の奥へと押しやられる形で抽象化されているように感じるのではないだろうか。つまり読者は小説からイベントの配列を読み取るだけでなく、その背後に潜む物事の意味を能動的に掴み取らなければならない。マーロウ自らが注意するように「生の感覚こそが、その経験の真実であり、意味でありーー捉えがたい深い本質」だとすれば、構造外から闇を覗き込んでいるにすぎない我々がその本質を捉えるのは難しいだろう。作中作の形式で書かれた物語は無数に存在するが、文明からの乖離を描いた『闇の奥』では構造化の効果が最大限に発揮されている。本作から「生の感覚」汲み取るためには、自身を取り巻く一切のコードを捨て去らなければならない。理性を失うことなく帰還したマーロウではなく、狂気と闇の深淵で死んでいったクルツのように。

『闇の奥』を帝国主義批判の書、あるいは人種差別的視点から描かれた啓蒙小説とする見方もあるようだが(訳者の黒原氏も述べておられるように)本書はそうした意図を持って書かれた作品と思えない。スウィフトにせよオーウェルにせよ社会批判を目的とするフィクションには特定の思想基盤に依拠する「現実から象徴」への寓話化プロセスが見られるものだが、本作ではあらゆるイデオロギーの上位に実存の不可解さが置かれている印象を受けた。知性による合理主義的な解釈を拒む語りは、むしろカフカの不条理さに通じるものがある。理由もなく毒虫に変身したザムザの姿は、やはり理由もなく近代的な人間性を剥ぎ取られたクルツの姿と被って見えてしまう。あとに残されるのは思想でも知性でもない、人間本来の混沌ーー闇だけである。

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2019年09月10日

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もっと難解なものを想像していたが、物理的に近いところに住んでいるおかげか、情景を思い描くことも感情の追体験をすることも意外なほど難しくなかった。最も近いと言っても国も違うし、100年以上の月日の間にフラット化されてしまった世界、そして何よりマーロウよりはいくらか擦れてしまっている心のせいですべてが緩やかにしか感じられないが、マーロウが見たもののかすかな面影は私の日々の生活で、そこかしこに感じられる。白人(黒人目線ではアジア人含む)のコミカルでシニカルな様なんか今もほぼそのまま。別訳・原著も読みたい。

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2016年07月06日

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解説があってよかった。また、訳者の言葉もあってよかった。なぜなら、ともにこの作品について思いをめぐらすことを促してくれたから。読みながらも、読み終わっても、一筋縄ではいかない作品であると感じた。スタイルもメッセージもわかりにくいのだ。

信頼できない語り手?いや、最後に婚約者にみせた「配慮」はいたって理性的だ。

植民地主義や狂気、好奇心、利己心などが扱われているが、それがメインテーマではない。

うねうねした、理解を超えた世界に生きる経験?その強烈さ?
なのに聞き手がいるという矛盾?

なるほど。強烈な経験をしたからこそ、本当は言えない。そこにフィクションという真実、真実はフィクションというメッセージが導かれるのでは?真実は誰かが誰かに配慮して語ることで、構成されていく。

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2016年04月30日

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ネタバレ

いろいろな解釈を取れる作品は
どうしても評価が明確に分かれてしまいます。
それは、この作品のラストです。

この作品の鍵の人物となるクルツは
結局のところ熱病(?)で命を落とすことと
なってしまいます。

そしてその後に、婚約者にあうこととなるのですが…
これ、すべてを打ち明けられないでしょ。
もしもそれを打ち明ければマーロウにも
危険が及んだかもしれませんしね。

どこか見えぬ霧が漂っていたり
黒いものがあったりする感覚が
気持ち悪くもありました。

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2015年12月31日

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《コンラッド著「闇の奥」を読む》
 (光文社古典新訳文庫で)

 「英語で読む村上春樹」の題材『かえるくん、東京を救う』に登場するコンラッドという作家読んでみたくて選択したのがこの作品。「ロードジム」を読んでみたかったが入手が面倒だったのでこちらの「闇の奥」にした。

 コンラッドは難しいとか堅苦しいとかいうイメージがあって取っ付きにくいと言われているそうだ。しかし私は出だしこそ確かに難しそうな気がしたが、間もなく主人公マーロンの語り口に引き込まれ、一気に読むことができた。これは新しい翻訳のせいかもしれないし、実はコンラッドはとても魅力的な文章を書いているのではないだろうか。

 英文学の古典とされているが、発表された当時は「文学史上最も痛烈な帝国主義糾弾の書」と讃えるものから「骨の髄まで人種差別主義者」の「腹立たしく嘆かわしい書物」と評価が両極端に分かれ、それは今日まで傑作か駄作か読む人の数だけ解釈が生まれるという。

 これでもかと言うほどの難しい表現を用いた自然描写は確かにくどいような気もするが、慣れてくるとどんどん引き込まれていく。そして気がつくと最後のページまで読んでいるのだった。これもコンラッド独特の語り口によるものなのだろう。

 解説によると映画『地獄の黙示録』は、この「闇の奥」をベトナムに舞台を移したものだそうだ。まだ見ていないので、ぜひ一度鑑賞したいと思う。

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2014年01月22日

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素晴らしい翻訳で熱帯のジャングルの人を寄せ付けない世界の出来事とそんな世界が生み出した人物の難解な物語を一気に読ませる。物語は夜更けのテムズ川に浮かぶ船の上で船乗り仲間にコンゴ川での経験を振り返って語るという語りの形式で、マーロウの語りを聞いている人物が小説の中にも存在していて、語りを聞いている人物が主体となっている入れ子的な構造。ほとんどの部分はマーロウが主人公の視点となっているが、あえてそれを客観的に聞く人物を設けることでアフリカでの出来事が幻のように遠い世界の話に聞こえる効果もある。
クルツがどのような存在なのか。これはほとんど暗示的に示されるばかりで善か悪かも判然とはしない。かつて優秀で優れた人格を持っていた人物のように見え、アフリカの奥地での生活が彼を変えたというのではあまりにも単純に感じる。クルツには人間の本来持っている可能性の極端さが表れているのかもしれない。「怖しい、怖しい」というのはそんな人間の本質への怖れなのか。というのも浅薄か。

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2023年03月04日

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未だにわからない
「The horror! The horror!」だけが入ってくる

この作品を理解できるだけの人生はまだ自分は経験してないなぁ

余談だが解説が長すぎる!

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2022年07月19日

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濃密な文章で読みやすくはないが、そのおかげでアフリカの奥地の猥雑な雰囲気が伝わってくる。
文明からかけ離れた未開の地に足を踏み入れることは、想像を絶するような体験なのだろう。正気を保てず狂ってしまうほど。怖しい!

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2022年01月08日

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一度読んだだけではどう解釈して良いのか、私には結論を出せなかったので、再読は必須。ただ、この主人公が人種差別反対主義者であるとは感じなかった。とにかくグレー味が凄い。
終始、もやっとする。恥ずかしながらコンゴの大虐殺の件も知らなかった。これを機に関連書を読んでみたい。

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2021年09月12日

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アフリカの奥地に象牙を狩猟するために送り込まれた男を追って「闇」の奥に足を踏み入れる男。
そこに口を開けていたのは、想像を超える深々とした「闇」だった。
人間の心の禍々しさに触れる。

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2020年10月25日

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"「地獄の黙示録」という映画を見たことがあるだろうか?何度も見ている映画の一つ。より、その深淵を理解するにはこの本を読むべきだという使命感?から購入したもののなかなか読み始められなかった。コンゴ河をさかのぼっていく物語。読み応えのある一冊。モラル、価値、人間そのものを見つめ直す。岩波文庫の翻訳も読んでみたい。
この本も上記の映画同様、何度も読み返したくなる魅力がある。"

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2018年10月20日

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辺鄙な場所に赴任したら、
空き家をタダで貸してもらえるとて、
一人暮らしには広すぎる田舎の一軒家で、
夜は虫の声を聞いて過ごす羽目になった人が言うには、
数日も経つと誰もいないはずの奥の部屋が
ざわめくことに気づいた、とか……。

もし、放り出されたのが電気も月明りもない、
真の闇の中だったら、どんな気分になっただろう。
そこにないはずのものが見えるような錯覚に陥ったり、
幻聴に怯えたりしなかったろうか。

これは19世紀末、ヨーロッパ帝国主義時代のアフリカで、
収奪に邁進した企業の
有能な社員が呑み込まれた暗黒についての話。

大変有名な映画(恥ずかしながらこれも未見)の
原案に採用された小説なので、
ストーリーは人口に膾炙しているが、
さて、実際はどんなものかと、
読みやすくて気に入っている古典新訳文庫版を
手に取ってみた。

船員マーロウは気心の知れた仲間たちと共に
遊覧ヨットに招かれ、一同に思い出を語った。
マーロウは、かつてベルギーの貿易会社に入って、
植民地であったコンゴ自由国へ向かい、
象牙の輸出に活躍する
クルツという名の責任者の噂を耳にして、
彼に強い関心を持ったという。
接触する者を激しく魅了するか、
または逆に――
仕事のやり方で意見が対立するためだが――
ひどい嫌悪感を抱かせるか、
両極端な反応を引き起こすクルツは、
得体の知れない深い闇に捕まり、
その色に染まってしまったらしい。

作者の経歴を反映したと思しきマーロウの、
育ちはいいが諸般の事情で荒くれ者に交じって働き、
時には喧嘩腰で事態を解決していく様が小気味よく、
彼のキャラクターに惹きつけられて
グイグイ読み進んでしまった。
マーロウはクルツが魅入られた深淵の正体を
恐れながら理解し、
囚われるも逃げ帰るも判断は紙一重だと考えた様子。
これは過去の忌まわしき時代の遠い地での物語だが、
彼らが覗いた闇の奥に潜む魔物は、
現代の我々の傍らにも蠢いているのかもしれない。

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2018年01月25日

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ネタバレ

本国イギリスの影響が及ばない植民地時代のコンゴにおいて独自の権力を築き上げたクルツという男がいた。マーロウは彼を救出に向かう。クルツは最後に死にかけた状態で物語に現れるのみで、それまでの周囲の人間から彼を噂を聞くのみである。それでもこのクルツという人物の特異性やカリスマをうかがい知ることができるが、それをマーロウの目を通して見ることはできない。文明社会から隔絶された未開のジャングルで独自の地位を築き上げたクルツの人生を間接的に外側から描写する。

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2017年12月30日

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難解な小説(英文学)として認識していた
この本ですが、新訳で非常に読みやすく、わかりやすかった
です。でも一部難解な部分が残っている感じです。
うまく書くことができないですが、落語にもにた
一人語りの部分で、物事のたとえが高度になっていて
その部分がわかりずらい部分を残したのではないかと思います。
内容的には、聖人であったと思われるやり手の英国紳士が
アフリカの奥地で暴虐・残忍な略奪を繰り返していく様が、
植民地支配や人種差別の奥を描き出しているような
内容です。
誰にでもある残虐性とそれに対して、人生の最後に
恐怖を感じてしまう人間性がよく出ていると思います。

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2016年11月25日

Posted by ブクログ

古典としてかなり好きな方。けど人によって評価は分かれるようだ。

闇という1つの概念を、豊富な表現で魅力的に映し出してくる。

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2015年03月25日

Posted by ブクログ

今月の猫町課題図書。恥ずかしながら、これが映画「地獄の黙示録」の原作とは知らず、途中から「なんかイメージが重なるなぁ」と思いながら読んでいた。

風景、人物、感情から小道具の一つ一つに至るまですべてのものが、未開(当時)のアフリカ奥地の魔境的なイメージを構成しており、一人称話者のマーロウとともに圧倒的な迫力とおどろおどろしい恐怖感を存分に堪能できる。社会派小説としての観点からは、人種差別、収奪に関する批判が徹底していないという評価もあるそうだが、これは純粋に小説として読んで、その凄さを味わいたい。

翻訳は光文社古典新訳の精神にのっとって、非常に読み易く、違和感のある箇所も少ない。しかし、訳者あとがきの自訳解説は、手品師が失敗した手品の種明かしをしているような印象で興醒め。こういうのは訳文を持って語らしめるべしとしたものだろう。

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2015年11月23日

Posted by ブクログ

闇について書くというのは「書かない」ことと同義である。それはぽっかりとした真空地帯を作り出すことで、誰もが語らずにはいられない求心力のことを指すのだから。歴史はそんな闇の巣窟だ。「みんなが知らない真実」という媚薬は心の闇を誑かし、惑わし、盲目さへ導くことで一層闇のなかへと溶けていく。アフリカの奥地でクルツが観たもの、という深淵さをまとう空虚は小説全体を覆う闇を包み隠し、彼の狂気はそれ以外の者を正気のように惑わせる。ぼくたち、みんなちょっとずつくるってる。どこか少しずつまちがってる。これからも、きっとそう。

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2015年03月19日

Posted by ブクログ

 1902年発表、ジョゼフ コンラッド著。船乗りマーロウが語る、アフリカ奥地への旅の記憶。象牙交易によって権力を得た人物クルツを救出するという目的の元、マーロウは遂にクルツに対面するが、彼は息絶えようとしていた。
 まさに闇のようにぼんやりとした小説だった。
 中盤あたりからマーロウの語りが崩れ始め、物語の確信にあえて触れずに、外側から怪しげに焙っていく印象を受ける。特に、普通であればスポットライトを当てるべきであろうクルツに関して、それを顕著に感じた。そもそもマーロウが到着した時には既にクルツは相当弱っているのだ。これでは全くお話にならない。
 だが、それこそが本小説の中心主題なのだろう。西洋の植民地主義の闇、アフリカの大自然の闇、人間心理の闇、などのよく挙げられるテーマについて共通しているのは、闇が不可知であることと、その不可知とはある種のくだらない勘違い(例えば「伝聞」や「会話」などの情報伝達が曖昧にならざるを得ない状況における)によって成り立っている、ということだ。
 そしておそらく、勘違いを剥ぎ取った挙句の闇には本質的に何もなく、徒労に満ちているだけであり、だが例えばクルツのような徒労の果てに狂気にいたった誰かの巻き起こす渦のようなものが、永久に人を惹きつけ続ける。マーロウはそういった一連の流れを目撃してしまったのだろう。ラストシーンで彼がクルツの死を偽った理由も、その目撃を彼自身が忘れるためだった、という気がするのだ。

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2014年09月20日

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時代という制約を超えて読者に「黒い声」で語りかけてくる作品。
読者それぞれの解釈を許す寛容さとその覚悟を同時に問い質してくる。
当方は人間の原始性の探求だと思う。
でなければ『地獄の黙示録』みたいな怪物作の起源にはなり得ないと思います。

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2014年01月09日

Posted by ブクログ

解説を読むと、どうやら著者はそのように仕向けているのだろうが、読者の受け取り方で評価が分かれる作品となっている。
読後、モヤモヤが残る。

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2025年03月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

想像してたより読みやすかった。
200ページもないしこざっぱりしているけれど、突き詰めて考えると色々と考えられる話。

クルツが話す場面はそんなにないもののひとつひとつの台詞のインパクトが強かった。
『正しく生きて、死ぬ、死ぬ……』
『私は闇の中に横たわって死を待っている』
『怖ろしい!怖ろしい!』
など。

婚約者に『彼が最期に口にした言葉は──あなたのお名前でした』と嘘をつく場面も胸にくるものがあった。

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2023年11月18日

Posted by ブクログ

すごい話だなあとは感じるのだ。
がしかしそれを面白く思えるかどうかは別物。
私にはこの小説のユーモアは一切感じとることはできなかった。
ただ、そこにあるのは人の愚かさと欲望と死と汚れで、それらをエサにして、完全に包み込む圧倒的な闇。
光は欠片もない、つまりはそこに神はいない。
映画、地獄の黙示録の原作らしい、さもあらん。

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2022年12月03日

Posted by ブクログ

映画「地獄の黙示録」の元ネタとなった小説です。映画はあのカーツ大佐が水の中からヌーっと顔を出すシーンが印象的でしたが、よくわからなくて退屈だった思い出があり原作を読んでみました。こちらは普通に楽しめましたので、映画もまた見てみようかなと思います。?

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2021年11月18日

Posted by ブクログ

映画「地獄の黙示録」の原作だったので読んでみた。輪郭がはっきりしない曖昧な不安感が読後も続く。警察も肉屋もいない原初の大地に向き合い続けるうちに、普通の感覚が失われて物事の意味が希薄になっていき、綻びのように発生した狂気を押し留めることができなくなる…。マーロウがクルツを冷静に批判している一方でクルツの虜になっているのは何故なのか?これがマーロウ自身が引きずり込まれた闇、なのだろうか。

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2020年11月23日

Posted by ブクログ

解説を読むと、この光文社古典新訳版で、なんと四人目の訳者になるらしい。それだけ、魅力のある作品だということなのでしょうが、読者それぞれに想像させる描写が多く、物語の筋は分かるけど、そこから何を問いかけているのかが、難しく感じた。

初読で私が感じたことは、単純だけど、改めて植民地の概念って何だろう? ということです。

いきなり、知らない国の人たちがやって来て、特産品をいただくので、ただ働きしてくださいみたいな、現地の人にしてみたら、何言ってんの、ってなるであろうこの感覚は、私の理解の範疇を超えている。それなのに、見た感じでは、当然に受け入れたかのように働いている現地人の姿の描写が痛々しく感じた。

物語でクルツが、最後に何を見たのかは今でも分からないが、マーロウが感じた畏怖めいたものは、原初の自然の奥深くの見えない部分に、これまで経験したことのない常軌を逸したものを知覚したのだろうと思っています。改めて日にちをおいて、再読したい。

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2020年10月20日

Posted by ブクログ

1ページ読んで、3ページ戻る。
どうなってんのか分からず、戻って読み直す、を繰り返し。気づけば、結局何がなんだかわからないまま読破。
コッポラ監督の『地獄の黙示録』の原作ということですが、映画よりも淡々と静けさが目立ち、かつ難解です。
しばらく本棚に寝かせて、5年後くらいにまた読んでみようかな。

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2019年09月18日

Posted by ブクログ

マーロウという老船乗りが若いときに体験したコンゴでのできごとを語る。
すごくオブラートに包んだ語り口で、そこに意味があるようなのだが、やはりよくわからなかった。
肝心のクルツが何をしてどのように変化したのか分かりにくい。
魔境の不気味さや迫力は感じられる。

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2018年10月19日

Posted by ブクログ

マッカーシーのブラッド・メリディアンで
名前が出ていたので読んでみる。
当時の大陸にいた先人にとって、
海外から襲いかかってきた侵略者は
一種の神秘という表現はおもしろいなーと。

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2015年10月31日

Posted by ブクログ

夏目漱石が愛読したコンラッドの代表作。
そして、オーソンウェルズ、スタンリーキューブリック、フランシスコッポラなど巨匠たちがこぞって映画化しようとしたけれども、実現には至らなかった。

という前情報〔千夜千冊1070話〕に興味をそそられて読み始めた。

しかし、読みにくかった。
けっして難しい文章ではないのだが、どうにもリズムが合わない。

読後に解説を読んでみると、色んな人が翻訳しており、今回手にしたのは新訳だとわかった。
そして、そこで、原文が読みにくいことで有名だということもわかり、それに対して、それぞれの訳者が色々試行錯誤していることもわかった。

うーむ、その結果が、こういう訳になるのか。

正直、なんだか直訳的なリズムで、肌に合わなかった。

機会があれば別の訳書も読んでみたい。

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2014年09月28日

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