宮台真司のレビュー一覧
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・人々に規範や価値観を共有しましょうとただ呼びかけただけでは、その通りになることはまずありませんが、ある体験を共有していただくことで「いいなあ」と感じてもらうことができれば、そこから先、人々の規範や価値観に変化が生じる可能性があります。
・社会の変化が急激に起きる際、人々は自分たちにとって大切なものはなにか、自分たちがどんな社会を望むのか、といったことを考えるよりも、新たな仕組みや枠組みに対応するのに精一杯です。具体的には、自分だけ取り残されるのではないかという不安や恐怖が広がり、市場や行政がそうした感情を利用して近代化を推進していったのです
・共同体には必ず維持コストがかかります。人々がその -
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宮台ワールドが迸っていて、諸々自分も勉強してキャッチアップ・アップデートしていかなくてはいけない部分も多かったが、
繰り返し述べられている『「社会の外=言外、法外、損得外の時空」を開示して力を回復させる体験デザイン』によって、「失われた身体性・感受性を取り戻す」ことが急務であることには深く共感した。
たまたま併読していた本にも、日本の政策立案がいったいどういう戦略や意図があってなされているのかが見えなくなっている、という話が出ていたが、本書で日本社会の課題と指摘されていた
・「ヒラメ(上へへつらう)」「キョロメ(周囲に合わせる」で空気感に縛られる
・「価値的貫徹より学習的適応が優位(やりた -
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稀代の社会学者 宮台真司氏とフリーの教育ジャーナリスト おおたとしまさ氏の対談を中心に、実践者たる教育者の方々も交えた貴重な記録。
大学生の頃からずっと知る大家 宮台氏の、20年30年におよぶ学者としての研究・実践に基づく、ときについていけないハイペースでの学問的・体得的見解の出力の嵐を、おおた氏が噛み砕いて紹介・補足するといった展開。
当時宮台氏については色眼鏡で見ていたのもあったが、この本ではご自身の両親との経緯と共に、如何に考え行動してきたのかも触れられていて、あれはそのような狙いや背景があったのか、と気付くことも多数あり、勝手に伏線回収ができた印象もあった。
先ずは私自身の家族・ -
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タイトルからちょっと勘違いしてた。
スピリッチュアルとか霊界とか、そんな世界を教えてくれる本かと思ってた。
しかし考えてみたら宮台真司氏が執筆。そんなわけはなかった。
松代大本営、アブチラガマ、新宿ゴールデン街、飛田新地、福島第一原発、
香川・豊島、軍艦島、成田空港、東京・山谷、釜ヶ崎、長島愛生園
日常ではない土地、場所のことだった。
ワクワクする場所だったり、子供が足を踏み込んではいけない遊郭だったり、、
ハンセン病の隔離病棟のような、時の政府の負の遺産の場所もある。
楽しい。
いまそういう場所がどんどん減っている。
下北沢の駅前の市場も消滅しつつある。自由が丘もしかり。
吉祥寺には -
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(2010/2/3)
このミヤダイって人はどうしてこうまぁ知的好奇心をくすぐることが言えるんだろ。
TBSラジオで聞いてても、文章を読んでも(といってもこの本は対談集なので、ある意味話し言葉ではあるが)痛快なんだろうか。
難解なんだけど、全くお手上げというわけではないんで、読み進められる。
この福山という方、民主党代議士で外務副大臣。
偉くなっても腰の低い方で、宮台さんとは数年来の仲のようです。
そんな二人が日本を語る。自民政権を切る。斬る。
宮台論理は
・政策を官僚任せにし、結果官僚が官僚をコントロールする形にしたのが自民の最大の問題
官僚は政策を通じて政治家がコントロールしなくてはい -
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(2012/7/10)
神保 哲生, 宮台 真司, 神野 直彦, 高橋 洋一, 野口 悠紀雄, 波頭 亮, 大野 更紗, 武田 徹
「日本の財政再建のためには消費税増税はやむを得ない」という輩が増えている。
お叱りを受けるかもしれないが、私はこれは官報複合体のなせる業だと思っている。
記者クラブメディアはいつの間にか増税やむなしを連発しており、
その記事の、放送時間の量に従って、増税やむなしが増えている。
物わかりがいいというかなんというか。
本当に国を憂いているのか、生活にゆとりがあるのか、増税デメリットがある立場にいるのか、、、
その真意はわからないが、そういう方々にはまずこの本を読んで -
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リーダーシップの旅を読んでファンになっていた野田さんと宮台さんの対談本。好きなお二人の本だけにとても楽しみに読んだら、まさに自分が今悩んでいる部分に対しての処方箋となるようなコメントが数多く散りばめられていた。
とはいえ、簡単に世の中を変えられるわけでもないけれど、少し方向性が見えたような気がした。
分断を生まないようにしながら、一人一人が傍観者にならず当事者意識を持って参加する共同体を作ることが大事。それをできるファシリテーターが必要なのだと。
ファシリテーターと表現されているが、個人的にはリーダー的な人なのかなと理解している。それも偉そうなニュアンスではなく、コミュニティ意識をもってその -
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ネタバレ冒頭で語られる「日本は社会の底が抜けた状態」というのが、本書を読むことでよく理解できる。また講義形式のせいか、難解な社会システム論が理解しやすく語られているのと、受講生による質問で議論が更に深まっている。
本書では、市場・行政を”システム世界”と呼び、その拡大により、人々の感情劣化(利他性が損なわれ、損得勘定が主な価値判断となる)と孤立化が進んでいると言う。それが仲間意識の希薄化・分断となり、民主政の機能不全に繋がっている。
民主政は、それを営む人間の”善意”や”倫理”が前提となっており、いかに維持が難しいかということと、自分自身も損得勘定の価値判断にすっかり染まっていることに気付かされた。 -
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若者論や教育、安全保障、政治など様々な分野を横断して論じていて面白かった。他者に承認して欲しいけど自分は承認できない問題や、周りを感染させるようなレベルの高い人はどの人も利己的で公共に関心があるというのは、自分に自信があって周りのために頑張りたいとか思える人なのかなと思った。
そういう人になるには様々な経験値を積んだり、ガリ勉じゃなくて豊かな感情を学ぶことが大切というのも共感できた。
環境問題についても、温暖化懐疑論を、本当に温暖化が起こっているかは問題ではもうなくて、世界の流れが変わらないなら、それにのって先行者利益を取るべきというのは新しい学びだった。
また社会が変わるになる合理性を越える -
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システム世界の全域化と共同体の空洞化、その結果として孤独死や人間関係の希薄化といった問題が出てきた
合理的な判断と行動の積み重ねが、人間同士の関係性を根本的に変化させ、僕らの精神的安定性を失わせている
短期的な便益を享受するために意図的にシステムに依存する行為(自律的依存)が気がつけばシステムなしには生きられない他律的依存に頽落(たいらく)する
生活世界は維持にコストがかかる
システム世界の全域化が始まると、社会の変容は基本的に不可逆となる
生活世界の維持をみんなで図ろうとしても、必ず誰かが抜け駆けしてシステム世界の便益を享受しようとしてしまう
その誰かは、他の人々と違って生活世界にタダ