宮台真司のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ難しいが、宮台氏の著作は正鵠を射ている。いくつか氏の著作は読んだけれども、読むたびにその意を強くする。
本作においては、モダンからポストモダンへの移ろいの中で、主に日本というドメスティックな社会がどのように変化したかが論ぜられ、またそうした社会への対応策としての処方箋も示される。時には欧米諸国などとの対比も交えながら論を進めるので、難解ではあるが、自身の経験や感覚に照らして首肯できる内容が多い。
宮台氏は本著の中で、「空洞化」というキーワードを繰り返し述べている。特に「システム」を利用して生きていると思っていた「我々(生活世界)」は、いつしかシステムの一部となり、その結果いつしか「我々(生活世界)」は、「システム」の生成物に過ぎない、との主張は鋭い。となると、氏の言に従えば、「スマート化社会」も素直に手放しでは喜べない。「スマート化テクノロジー」がもたらす便益は確かにあろうが、一方で我々はそれによって「選択」権を取り上げられてしまった。つまり、「我々(生活世界)」が「システム」に完全依存する形でしか生きられないことを意味している。よくよく考えると恐ろしい。
ポストモダン状況では、我々は「空洞化」し、全面的にシステムに依拠することとなる。そして、それをもたらしたのは、グローバル化、すなわち「資本の自由移動化」であると指摘する。
これは井沢氏が『日本史真髄』の中でも同様のことを述べていたが、日本人は「みんなで決めたことは正しい」という認識を持っている。本来多くの意見を集めれば、それは相対的に「間違っているはず」である確率は上がるはず(そして、その「間違う」前提を受け入れつつも、社会の多数意見を受け入れるのが民主主義の本義のはず)だが、多くの日本人はそうは考えない。そもそも「誰が優れた人間か」を判別することも難しいが、少なくとも現在日本の中枢にいる者たちの多くが「馬鹿丸出し」ばかりであることは自明であろう。宮台氏は、この日本の全体主義的民主制について、「デタラメな民主制」と称している。民主党政権への交代の期待、歓喜、そして絶望を経て、劣化した55年体制に逆戻りしたような今を見れば、そう言いたくもなる宮台氏の考えは、単なる理解を超えて心に響いてくる。
これまでの東浩紀氏の著作にあった「大きな物語」から「小さな物語」へ、といった主張と合わせて考えてみると、(とりわけ日本では)自立した共同体がなく、さらにはその共同体さえ空洞化し、社会を牽引するのは「我々」ではなく、ましてや「対米自立の道を完全放棄し、もはやその素振りさえ見せない」安倍政権などではあろうはずもなく、「システム」がその役割を担う。しかし、「自立性」を持たない日本人は、それでもなお国家やあるいはそれに準ずる巨大企業(例えば東電)に「依存」するしかない。
宮台氏が本著で語った内容には、いちいち首肯するしかないけれども、その日本で生きている「私」は、そのたびに同時に背筋が寒くなる思いにかられてしまう。宮台氏が示した「処方箋」は、デタラメな日本を正すことのできるベクトルを提示していると思うが、それは社会学的手法であるがゆえに、「私」個人ではどうにもならない諦観をともなってしまう。 -
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ネタバレ昭和・平成の流れは社会学的にどう捉えてられているのかを知ることのできる良い本だった。
特に自分たちの世代が客観的に指摘されることで、何が他の世代と違うのかという点について理解でき、また他の世代の方の考え方を知る指針ともなった。
また本の内容を踏まえ今のマネジメントのトレンドも社会学的な背景もあるんだろうと感じた。
法の奴隷とならざるを得なく、偽りの自分を演じるようになったときに、偽らなくても良い「1人の時間」が大切となる。
そのため「会社の飲み会にいきたくない」というようなことが起こり得るんだろう。
本当の自分を出せる場が必要であり、その場を構築するための手法として1on1がトレンドになっている。
逆説的にいえば1on1でも「偽りの自分」を演じる必要があるのであれば意味がなく、弱みもさらけ出せるような場にする必要があるのだろう。 -
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一冊の本に、こんなに傍線を引いたのは何年ぶりだろう、ほとんど緑線なのも。
主張は要するに「野良男と賢し女構造の」野良男、つまりバイオレーターになるしか、人生を、仲間を、社会豊かにする方法はないぞ。という、何千年も続く神話の繰り返しだったが、耳通りの良い言葉で、なんというかリフレッシュされる。
ぼくは、丙午のへそ世代だけど、工学部大学時代マン研の先輩の何割かは性経験があり、僕らは片思いの経験があり、後輩はそれすらゼロだったのを思い出す。そこに断層があった。恋愛至上主義世代の最後の尻尾だ。
よく考えると、恋愛至上主義の解体はバブルの終焉よりも速かったように思う。
今より昔の方が、昔の女のほうが開放されていた。こんな事実も忘れてしまっていたことにショックを受ける。多分2006年のハルヒのころには気づいてたんだが。
少し前なら「全ての若者が読むべき」と言ってたと思うが。もう望みがない。
この本は「恋愛工学」偏差値が80を超える人のもので、残りの99%の人には困難すぎるとしか思えない。むしろ炎上的な感情反射の棒で叩かれるだけだろうと思う。社会の閉塞にしか寄与しないだろう。すでに持ってる人にだけ届くだけだ。格差拡大。
sexというものが「病院でスポイトで種付けされるのが標準で、チンポをマンコに入れるのは異常!」
という社会まで、あと10年もかからないという印象しかモテなかった。生命の始まりも終わりも病院でないのは銀行が許さない社会。
「LGBTのみがリーガルな社会になりつつある」とは、よく言ってくれたの感 -
Posted by ブクログ
中国はすぐ隣にあり、歴史的にも深いつながりがあるのに、実の姿をほとんど知らないし、謎に思う側面が多い。でもこの本を読んで、おぼろげながらも全体が見えた気になった。
そもそも中国とは国家なのか。二千年以上前に統一され、トップが変わってもあれだけ広い土地と国民が、漢字の表記は一緒でも発音は様々というのに、長く国家という認識をもっているのは外からは不思議なことに見える。だがこれが中国の人々には不思議ではないことを理解しないと、中国がわからない。政治的統一を第一に考えること、中華思想や幇、儒教の考え方を知らなければいけない。
そうして少しずつ歴史と考え方を紐解くと、なぜ歴史問題でこれだけすれ違いが生じてきたのかが薄っすら見えてくる。
中国と日本との間にあった文脈、日本が伝統的にどう見られていたのか、日本が大東亜戦争と言いながら矛盾した態度をとっていたことがどう見られていたのか、暗黙の了解的なものにより、本来戦争や靖国神社、尖閣諸島をどうすり合わせしていたのかが分断されてしまい、現在のようになってしまったのではないか。
色々な困難も感じるが、中国の人びとの考え方などへのスケールの大きさも感動する。とても面白い国だ。尊敬する。こんなに合理的な選択をする人たちには日本はそうそう勝てない。共産党一党独裁は続くのか、というセコイ話では、きっと理解が及ばないのだろう。
日本は中国を嫌うムードになってしまっているが、それよりもまずは中国をもっと知ることが必要ではないかと思った。 -
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自分用キーワード
タブラ・ラサ タルコット・パーソンズ ハーバート・サイモン ニクラス・ルーマン 進化の袋小路 就活における「適応力」 フォード主義 ジョン・デューイ ポストフォード主義 スローフード運動 仕事以外の場で承認を(帰還場所:
ホームベースを見つける) 宗教的不安の回避 葬式を出さなくなった日本 プライミング ミメーシス フィードインタリフ 小林秀雄「様々なる意匠」 ハイパーメリトクラシー主義 「誰か何とか言ってやれよ問題」 サプライヤー目線 カセクシス 「言葉を言わせている文脈」に注目 「テクストから身を外す(コンテクストに注目する)」 世直し宗教・癒し宗教 -
Posted by ブクログ
90年代の氏の著作に感銘を受けつつ、その後15年以上放置状態にあったが、本作でひさびさに宮台節を聴く。
難点が故か、結構難しい・・・。これ以上平易に記述不能と氏は言うので、もっとほりこんだ読みが必要かもしれない。が、そうさせようと思うほどのパワーを感じる次第。結局どうなのよという点についても、ある程度明快な結論を提示している点がすっきりしていて良い。しばしばそうでない論客がTVではお目にかかれるもので。
無論色んな視点から書にある各種問題は論じることができる。が自ら言うように、一通りの課題群を一気通貫で論じるという意義は非常に深いと思う。明日への思考の一助となるということで、勝手に気をはいている状態になった。