宮台真司のレビュー一覧
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社会システムの変化に伴う、非人間性の浸透に対して、なぜそうなるか、何を意図してそうなってきたかを整理して、その上で懐古主義ではなく、これからどうするかについて、良質な問いかけを元に対話形式で進む本書は、学生、ビジネスパーソンだけでなく、すべての成人に読んでほしい書籍。事例は分かりやすく、マッチングアプリやマトリックス、アバター、鬼滅の刃なども事例に取り上げられている。
今通常のピラミッド組織におけるリーダーおよび今後のリーダー候補が、これからの社会のリーダー足り得ないことも描かれており、その立場にいる人も、その立場に関心が薄い、あるいは自分はその候補でないと思っている人も、目を通す価値のある -
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久しぶりに集中して、本の後半は朝の3時から6時半で、一気に読み終えた。大学生までは、小説や哲学や社会学が好きだったこともあり、宮台さんの本は、当時のサブカル、援交などを全てまるっと大きく、社会学として、批評しているイメージがあったけど、難解な本は難解であった。
いつからか、私も、大学生までは最も嫌悪していたハック、ビジネス、自己啓発といった類の効率性重視かつ、心が貧しくなる本しか読まなくなった自分がいたが、そんな中、ビジネスと社会学が交わった本書は、適度なバランスで記述された本だと思う。
システム化と生活世界の軸をべースに、3段階の郊外化があったという話は納得できるストーリーだし、それぞれ -
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リベラルアーツに重きを置くなど特徴あるカリキュラムで知られる経営大学院の至善館で、社会学者の宮台真司と経営学者の野田智義が行った講義を元にした論考。もともと開学時から社会学者の橋爪大三郎などが教鞭を取っているのは認識していたのだが、まさか宮台真司まで登壇していたとは知らなかった。そしてここでの議論は今の日本、そしてこれからの日本を考えていく上で超一級の思考の補助線を与えてくれると断言できるほど素晴らしかった。
本書は「既に社会の底が抜けているこの日本社会をどのように良き社会へと変えることができるか?」という問題意識からスタートする。孤独死、無敵の人、ヘイトスピーチなど、日本社会は経済は何とか -
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自分の拙い理解で、資本主義とは何か?と問われたら、全てをお金で換算する社会と答える。故に効率化を追求し、分業に分業を重ね、餅は餅屋とばかりに専門家に任せた。結果、自分の専門以外のことはとんと何もできない人ばかりになった。もちろん自分もその1人。それが本書で言われる「システム化」と理解している。
その世界の仕事はつまらない。自分は人事屋なので、間接部門のシェアド化などを見ていると強く思う。ただレンガを積んでいるか、みんなが幸せに集まる教会を作っているのか、それはその人の見方次第という寓話があるが、大抵の人にはやはりレンガ積みなのだ。しかも、その教会ができても、教会向けレンガ積みの専門家として次の -
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野田智義は、非営利の独特な教育機関であるISL(Institute for Strategic Leadership)の創設者である。ISLは、大企業の経営幹部候補を対象に、リーダーを育てる教育を行う機関である。私はこれまでに、金井壽宏先生との共著である「リーダーシップの旅」という野田智義の著書を読んだことがあり、とても共感を覚えた記憶がある。ISLを母体に、2018年には大学院大学の至善館を開校されている。
宮台真司は有名な社会学者であるが、その至善館の特任教授として講義を受け持たれていて、本書「経営リーダーのための社会システム論 構造的問題と僕らの未来」は、その至善館での講義を著書にしたも -
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2020/10/06社会学のレンジの広さ 神保哲生氏・宮台真司氏
社会学者哲学者の視点は大きい
経済学は科学の装いーその代償に矮小化
アダムスミスは道徳哲学者
道徳感情論 同感能力が社会構成人に備る
国富論 神の見えざる手
経済学には市場の外部性の前提がある
社会学では経済学の主流争いは無意味=前提の違いだけ
日本社会の問題 中枢が空 空気・天皇
→「公」の概念がない
既得権益のシフトができない 社会のダイナミズムない
政治力=ゲバルトが機能せず 行政官寮に大ボス不在
コロナ・デフレの「大問題」には対応不能
グローバリズムの中で、市場主義に対抗して
「社会的共通資本」宇沢弘文・岩井 -
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コカイン所持でピエール瀧が逮捕されたことは、残念だったし、衝撃だった。
罪は償わねばならないのはわかる。
だけど、所属している音楽ユニットの全音源の発売と配信を停止する必要まであるのか?
作った人が犯罪を犯したからといって、自分が好きな音楽を聴く権利を、なぜ奪われないとならないのか?全く理解できない。
SONYの措置には怒りしか感じない。
一年経った今でも、未だ解除されないことも非常に遺憾に思っている。
石野卓球が最近呟いている。
ー おいSONYよ。
さっさと俺や前科者と作った曲を解放しろよ。
ほんとだよ。
いくら原盤権があるからと言って、電気グルーヴやファンへの嫌がらせを続けるのは -
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本書はとても読みやすい。といって、内容が浅薄ということではない。宮台氏の鋭い舌鋒は本書でも健在だし、その裏付けとなる社会分析もいつもの重厚さを保っている。読みやすさは、専ら本書の言葉遣いが宮台氏の他の著書と比べて、平易であることに由来するのだろう。
ここでも宮台氏はあくまで「正論」を端的に、かつ論理的に述べている。
宮台氏は他の著書でも「社会の空洞化」を主張しておられる。本書は身近なトピックを扱っているだけに、社会の空洞化が「なぜ起きたのか」、そしてその結果「社会はどのように変化したのか」がより自分に近い次元で疑似体験できるのではないかと思う。ある時期を境に「ニート」と呼ばれる層が増加し、ある -
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ネタバレ難しいが、宮台氏の著作は正鵠を射ている。いくつか氏の著作は読んだけれども、読むたびにその意を強くする。
本作においては、モダンからポストモダンへの移ろいの中で、主に日本というドメスティックな社会がどのように変化したかが論ぜられ、またそうした社会への対応策としての処方箋も示される。時には欧米諸国などとの対比も交えながら論を進めるので、難解ではあるが、自身の経験や感覚に照らして首肯できる内容が多い。
宮台氏は本著の中で、「空洞化」というキーワードを繰り返し述べている。特に「システム」を利用して生きていると思っていた「我々(生活世界)」は、いつしかシステムの一部となり、その結果いつしか「我々(生活世 -
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自分の感じていたことをきちんと説明してもらえたような気になる。私にとって社会学者や哲学者の本を読む意味は詰まるところそういうところにあるのだろう。
抽象的な思考や概念がどのような私的な体験プラス些細な出来事から生まれてきているのかを語っているので、非常にわかりやすく腑に落ちる。私自身、結婚して家を持とうとして土地を探し始めた時、余りに人工的な空間に息が詰まるような気持ちがして、結局ある程度ごちゃごちゃした一言で言えばいろんな人が住んでいる今の土地を選んだ。
それぞれの年齢や立場に応じて、土地に対する評価も変わってくることをお二人が自分の変化として語っており、人生のライフステージで、均質な空間 -
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ネタバレ昭和・平成の流れは社会学的にどう捉えてられているのかを知ることのできる良い本だった。
特に自分たちの世代が客観的に指摘されることで、何が他の世代と違うのかという点について理解でき、また他の世代の方の考え方を知る指針ともなった。
また本の内容を踏まえ今のマネジメントのトレンドも社会学的な背景もあるんだろうと感じた。
法の奴隷とならざるを得なく、偽りの自分を演じるようになったときに、偽らなくても良い「1人の時間」が大切となる。
そのため「会社の飲み会にいきたくない」というようなことが起こり得るんだろう。
本当の自分を出せる場が必要であり、その場を構築するための手法として1on1がトレン -