【感想・ネタバレ】社会という荒野を生きる。のレビュー

あらすじ

・内容紹介
「いま私たちはどんな時代を生きているのか」「これからの時代で何を大切にして生きていくべきなのか」。
社会学者・宮台真司が日々のニュースや事件、社会現象をネタに、
「そもそもなぜそれが起こったのか」を解説しながら、
現代という社会、また、より良い生き方のスタンスについて詳しく丁寧に説いているラジオ番組
「デイキャッチャーズ・ボイス宮台真司」。
「天皇と安倍総理」「民主主義と独裁」「沖縄問題のゆくえ」「ブラック企業」……。
この社会の本当の「問題の本質」を解き明かす。
宮台真司の「本質を見抜くニュースの読み方・考え方」が学べる書。
社会学的知見に基づいたフィールドワークを通して論考した宮台の現代批評は、
不透明な時代の見晴らしを良くする武器となるはずだ。

・著者
宮台真司(みやだい・しんじ)
1959年生まれ。社会学者、映画批評家。首都大学東京教授。
東京大学文学部卒、東京大学大学院社会学研究科博士課程満期退学。
社会学博士。東京大学教養学部助手、東京外国語大学専任講師、東京都立大学助教授を経て現在に。
社会システム理論を専門分野とする一方、テレクラ・コギャル・援助交際など、
サブカルチャー研究でも第一人者に。
著書に「権力の予期理論」「制服少女たちの選択」「終わりなき日常を生きろ」「日本の難点」
「民主主義が一度もなかった国・日本」「絶望時代の希望の恋愛学」など多数。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

社会で起きている出来事を裏側から解説してあり、とても勉強ななった。
ラジオ番組かなにかで話したことを文字起こしして、本にした内容なので、社会学素人のぼくにとってはとっつきやすかった。

宮台真司さんの視点はとで面白く、他の本も読んでみたい。

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2020年05月18日

Posted by ブクログ

本書はとても読みやすい。といって、内容が浅薄ということではない。宮台氏の鋭い舌鋒は本書でも健在だし、その裏付けとなる社会分析もいつもの重厚さを保っている。読みやすさは、専ら本書の言葉遣いが宮台氏の他の著書と比べて、平易であることに由来するのだろう。
ここでも宮台氏はあくまで「正論」を端的に、かつ論理的に述べている。
宮台氏は他の著書でも「社会の空洞化」を主張しておられる。本書は身近なトピックを扱っているだけに、社会の空洞化が「なぜ起きたのか」、そしてその結果「社会はどのように変化したのか」がより自分に近い次元で疑似体験できるのではないかと思う。ある時期を境に「ニート」と呼ばれる層が増加し、あるいは高学歴な人間が突飛な問題を起こして社会を賑わせたりしている。その理由(答え)も、本書を読めば理解できるだろう。
日本の政治家の「劣化」が著しい。もともと米国の支配下での政治しかできない政治環境下で、まともな政治家の醸成を期待することが無理なのではないかとさえ思えてくるが、現状を見れば米国の顔色だけを窺い、政治家が本来目を向けるべき国民(市民)を顧みることすらしなくなった。米国さえ文句を言わなければあとはやりたい放題――それが我が国の現状だ。そして、空気を読み、結果として自分たちの利益のためにのみ動く官僚どもがそれに続く。「人事権」という首根っこを押さえられている役人たちは、もはや思考停止に陥っている感さえある。
本書の中で、猿の命名にあたり「シャーロット」と名付けたことに端を発し、「勝手に」英国王室の意向を「忖度」したことについて書かれていた。それに対する英国王室の反応は、実に面白かった。ここでも宮台氏の説明は合理的である。「忖度」されて有頂天になり、恥の上塗りを続ける我が国の政治家たち。にもかかわらず、そうした莫迦をあがめる人たちが増えたこの社会は、本当に「生きづらい」。生きるのが辛くなったとき、改めて本書を読み返してみようと思う。

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2020年01月08日

Posted by ブクログ

自説を述べる時に「誰々が言った事だが」と補強をするのは宮台真司だけに限らないが、こうした援用には、説明のショートカットと自らの責任回避が目的としてある。従い、認知の低い層を切って捨てる彼の態度と実は同根であり、自分の気づきとして理屈立てて説明するのが煩わしいのか不得手なのか、皆が忘れていた史実を錦の御旗に、とにかく定言命法のように「絶対的な情報」により攻守を固めながらマウントを取るという論法だ。

宮台真司は天皇主義者であり、それは師匠の小室直樹から受け継いだもの、オウム真理教に基本的な洗脳手法を提供した自己啓発セミナーにも関わっていた、と権威に権威を重ね、完璧な鎧を纏った上に、性的にも強者であるかのようなエピソードをファッションのように身につけている。

で、いつもながら、私はそれを不快には感じていない。スーパーマリオのクッパみたいにトゲトゲの甲羅を背負った論客による熱々の「絶対的(っぽい)情報」をハフハフ言いながら美味しく頂いているのだ。

ー 国際連盟は委任統治領に軍事基地を作ることを禁止したが、日本は満州国建国をきっかけに国際連盟を脱退しており、パラオを初めとした委任統治領に軍事基地を作りまくった。

ー 1954年の第五福竜丸被爆事件から一ヶ月後、ワシントンは日本に原発を建設させる前提として原子力平和利用博覧会を開く計画を立案。広島を含む日本全国11ヵ所で開催し、日本人の原子力アレルギーを取り除くと共に反米世論を抑え込む。博覧会終了直後の1957年、アメリカ製実験炉を東海村で稼働した。

社会が荒野に見えるのは、その社会に立ち向かう無力さを感じたからか、低認知と折り合えずに感じる過度なストレス故か。威勢の良さの裏にあるものが透けて見える気がしてならない。

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2024年01月26日

Posted by ブクログ

時事ネタを社会学で解説するラジオのコーナーが文字起こしされたという。「おわりに」によると、ラジオ番組前に下調べを数時間かけるが基本的には即興とのこと。それでこのクオリティに仕上がるところに宮台さんの教養の広さと深さを感じるが、それでも彼が慣れしたんだ型を繰り返しているのがわかる。
社会学と哲学の先人が切り開いたコンセプトを持ち出すか、日本社会の過去の事象を紹介して課題の共通点を列挙して他の論者の浅はかさをディスりつつ先頭に立って主導権を取る。この宮台さんの立ち回り方を観ながらいつも”もったいないなぁ”と思うのは、その教養と頭の良さを「マウントを取るための武器」にしてばかりいることだ。いったい誰と戦っているのだろう?と思うのだが「朝まで生テレビ!」に出過ぎたことが原因かもしれない。単にあの番組でのキャラが憑依してることもありそうだが、番組に出る度に増えていくアンチ層が彼の言動の揚げ足を取りにくるのでいつしかファイティングポーズを取るところまでが型となってしまったのかもしれない。

本書では宮台さんの意見をザッと見渡すことができる。安倍政権、日本の民主主義、沖縄基地問題、原発、日本の中間層、忖度(空気ばかり読む)社会の問題、性愛、仕事、教育など、時事問題を考える上での補助線となる。

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2024年01月11日

Posted by ブクログ

ラジオ番組でいつも聞いているので、本をみつけてすぐ買いました。期待通りでした。鋭くて深くて、そうなんだろうな、と思いつつ読みました。こちらには簡単に賛成できるほどの見識があるわけではないので、そうなんだろうな、どまりですが、とても心に残りました。

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2019年01月03日

Posted by ブクログ

 恥ずかしながら、著者の宮台氏のことは例の事件の際に知った。そのときに、私は彼を大学で学生に講義して、論文を書いている典型的な学者だと思っていたので、タイトルだけ見て買ったこの本の内容は予期していたものと違った。氏がラジオやYoutubeなどの媒体でご活躍されていたのは全然知らなかった。本書のように対談など会話形式が内容の中心になっている本は嫌いではなくむしろ好きなのだが、社会学の専門的なことを知りたかったというのが正直な感想。
 筆者は本書で現在の日本社会のどうしようもなさを明らかにし、痛烈に批判している。私は彼の言っていることの9割以上に同意する。

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2023年06月21日

Posted by ブクログ

当時の時事問題に合わせた小論が続く。トピックが多いので、広く浅くの印象。
社会という荒野を信頼できるコミュニティと共に生きろという考えには共感。

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2023年05月03日

Posted by ブクログ

社会の空洞化、感情の劣化。
頑張ったのにこれじゃない感。

社会心理学の観点から、安倍政権、脱原発、憲法、ISILなど、具体的テーマで、何が本質的問題なのか、それを踏まえてどうする、と言った内容が盛りだくさんで、正直、論理の理解はできるけど、情報過多でまだ飲み込めてない。
私が貢献価値として認められて、帰って来れる場所としての共同体はとても共感で、こういう場所はとても大事だと思う。感情が劣化している私ですが、共同体作ってみようと思う。

個人的に、口調が対立的なところがあまり好きじゃないので、評価低めですが、指摘は鋭いなと、いい視点もらいました。

追加で、祭りの大事さも少し理解が進んでよかった。
日常に変性意識状態を用いて活性を呼び込む

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2022年02月27日

Posted by ブクログ

あらゆる事象を著者目線で切れ味良く、分解し解説してくれている。戦争、安保、沖縄問題など重たい話題もしっかり解説していた。
一つ一つの事象を理解するというより、その背景や人間性などに照らし合わせて解説しているので普遍性もあり納得感があった。
エビデンスに基づいている部分は少ないが、著者の社会学の洞察をもとに語られている。

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2022年01月24日

Posted by ブクログ

著者は、社会の地域共同体や中間層の分解により、分断され感情が劣化した個人が、メディアやインターネット上での同質な者とのコミュニティ等に承認を求め、果てはイスラム国のようなものにまでそれが拡大される現代に警鐘を鳴らし、基盤としてのコアな場を持つことの重要性を説き、同時に国民の感情劣化による民主主義の危機と日本の政治の知性の劣化にも警鐘を鳴らし、国民や住民の直接投票を活用した健全な民主主義の確立を唱える。

と、言ってることはわかるし、知識が豊富なこともわかるし、勉強にもなる。
一方で、以下の点が少し気になった。
・そもそも他人からの承認を求めない真の自立した個人という理想像が見えず、承認欲求の奴隷として生きることを前提としているように見える。
・政権の知性劣化批判として、歴史的ルーツへの深い理解もないままに概念や制度を都合よく利用していることを看破してみせるが、本来重要なのは、現在直面する課題に対する解決策として有効かつ適正かの評価であって、何百年も前のルーツとなった出来事との整合性を軸に批判的評価を展開することには違和感が残る。

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2020年11月21日

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